【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された

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  • 文藝春秋
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レビュー : 725
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907956

感想・レビュー・書評

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  • 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる物語。

    みんなからいつも愛されていた優子。ならばなぜ?みんな彼女の元から去って行ったのか(産みの母親のみ死別)、それが気になってしょうがなかった。特にブラジルに行った産みの親のお父さん、どこに行ったの⁉︎

    17歳の今一緒に暮らしているのは森宮さん。まったく血の繋がりのない37歳の父。森宮さんは子供っぽくて少しずれていて父親らしくないけど、いつもそばにいて一緒にごはんを食べてくれる。

    餃子、かつ丼、ラーメン、オムライス、ドライカレー…等。そして出てきたスイーツは数知れず。これがもう本当に美味しそうで、幸せそうで。
    一緒に食べた分、食べた時間だけふたりはかけがえのない家族になっていったんだと思う。

    大人になった優子は、ある事をきっかけに親めぐりをする。今だからわかるそれぞれの愛の深さ。そして、彼らが去って行った理由。

    家族ってなんだろう。他人でもこんなに愛せるって凄いな。そんな人いるわけない…を、いるかもしれないと思わせてくれる瀬尾まいこマジックを楽しみました♪

    この本の中で私の好きな歌が出てきて、それがまたこの作品にぴったり。森宮さんと優子の関係だなと思うと泣けた。

    ただ、ある人のした事を私なら許せるだろうか。「強運の持ち主」でも感じたぐるぐる渦巻く気持ち。

  • 父親が三人、母親が二人いる。
    家族の形態は、17年間で七回も変わった。
    でも、全然不幸ではない…。
    血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった
    森宮優子、17歳。
    だが、彼女はいつも愛されていた。

    様々な家族の形態があると思いますが、
    この家族はとっても特別。
    父親が三人、母親が二人…親戚を転々としたわけでもなく
    血の繋がらない親と暮らしている。
    どうしてこうなったのか…どういう事だろうって読み進めた。
    主人公は高校三年生17歳の優子。
    現在は3人目の父親である37歳と少し父親としては若い
    森宮さんとの二人暮らし。
    森宮さんが父親であろうとする姿が一生懸命で、どこかズレてて
    面白くって微笑ましい。
    森宮さん大好きだ

  • 瀬尾まいこ氏の作品は ファンタジー領域にある。
    さりげない日常を切り取ったようでありながら、登場人物はいい人で いい人と巡り合って 平凡だが幸福な時間がそこにある。
    『そして、バトンは渡された』
    これなんて その際たるもの。
    幼い頃に病気で母を失った優子だが、さまざまな事情で次々に交替していくどの親にも大事にされ、芯が強くモノに動じない現代的で生き生きとした女性に育っていく。
    もうカンペキすぎ、ありえない(笑)

    でも、道徳本のカンペキとはちょっと違う。
    このふんわりと優しいお話の向こうには 強い願いと信念が くっきりと見える。
    一人の子供がちゃんと成人するまでには それだけの育てる者の覚悟とエネルギーが必要なんだよ。
    それは地味な毎日の積み重ねだけれども なかなか大したことなんだよ、と。
    我慢も必要、努力も必要。
    でも、それを唱えちゃうのは全体主義者のやること。どうすればたくさんの人に "やってみせるように”伝えられるか。
    その手法が小説なんだろう。

    よかったのはピアノ関連のところ。
    優子は合唱祭のピアノ伴奏をする。
    恒常的にピアノをさらっているわけではない彼女でも 練習すれば弾けそうな曲が選択されている。
    森宮さんにプレゼントする曲も(え?ムリでしょ?)とは思わせない曲。
    そういう地に足がついたディテイルが良い。

    早瀬くんがピアノについて迷う時間も良い。
    アートとしての演奏と、聴衆を楽しませるための演奏と、くっきり分けることはできない。
    それでも、自分はなんのためにピアノを弾くのか?という問いと向き合うことは、将来にいきづまるピアノ・サイボーグをつくらないための課題。
    動機を掘り下げることを厭う傾向が強い日本の教育への問題提起とも言えるかもしれない。

  • 幸せって何?誰が決めるの?
    私は誰がなんと言おうと不幸なんかではない。
    17年生きてきた中で4回苗字が変わろうが、父親が3人母親が2人いようが、たいしたことではない。

    幸せの規範について考えさせられた。
    人は常識を他人に押し付けがち。
    物事の規範は自分が決めるもののはず。
    自分が満足してさえいれば日々を笑顔で過ごせれば、それでいいのだ。

    物語の設定に初めは違和感を感じたけれど、物語を追う内にこれも有りかも、と徐々に思えるようになった。
    親が変わることで4回変えた苗字を、最後は自らの意志で変えた優子。
    育ててくれた親達からバトンを渡された優子の未来を祈る。

    「親子」とは血のつながり等関係ない。
    親になる覚悟を持ち、子供に真っ直ぐ愛情を注げる大人に親の資格があるように思う。
    実の子を平気で虐待する親のニュースを最近よく耳にする。
    親子の在り方について改めて考えさせられる物語だった。

  • 3人の父親2人の母親に育まれて育った優子の独白の形での優しくてほんわかした話。そんな境遇にも拘わらず曲がったり捻れたりすることなく成長したけど大事な思春期の父親は一番らしくない今の若い父親で、好きな人が出来ていざ結婚となった途端に一番反対されてしまう。そんな らしくない彼の独白が最後の締めになっている。
    嫌な人 悪い人 意地悪な人 虐める人など出て来なくて、読み手も幸せ気分になれる小説でした♪

  • 読みやすくて、あれよあれよと言う間に読み終わっちゃったって感じ

    読みながらこの本はどういう結末になるのか想像つかなかったが、第2章になってゴールが見えてきてほっとした

    たくさんの親がいることも珍しいとは思うけど、その親みんなに愛される優子はどんだけいい子なんだよとは思ったかな

    梨花さんのめちゃくちゃな行動も優子の為だとわかるとほんわかしたし、森宮さんのずれた父親像が面白かったな

    水戸さんがブラジル行くのに、なぜ梨花さんと別れる必要があったのかがよくわからなかったな

    家族、父親ってなんだろう
    小さい子供がいる身からしたら、変なプレッシャーをかけられたみたい

  • 最後の1ページを読んだ時に自然と涙が流れた。
    これが言いたかったことなんだろう。
    そして、本を綴じて、表紙を見たときに、
    この表紙の意味が分かった。
    これは、優子という女の子の未来へのバトンなんだ。

    実子だって時に負担に思うこともある子育てを
    ラッキーだと思えるのが目からウロコ。
    そんな風に感じられるものだろうか。
    でも、親になると
    自分の明日と、
    自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が
    やってくるって言葉が納得で、
    私もラッキーなんだっていつも思いながら子育てできたら、と温かい気持ちになった。
    ファンタジーのようで現実味がない、
    と感じる方もいると思うけど
    軽い感じでかかれているのがいいのだと思う。
    深刻になるばかりがいいわけじゃない。

  • 面白い本と、人に勧めたくなる本。これは後者なのだと思う。それが目に見える形になったのが本屋大賞ということなのだろう。最終章は全ての出来事が収斂したような見事な結びだった。

  • 血の繋がりだけが家族の形じゃないんだと、暖かい気持ちで読めたお話。
    みんながそれぞれ違った愛の形があって、不器用なところもあるけどお互い想い合っているのが素敵。
    読み終わって、私もこんなに愛情溢れた家族を築きたいと思えた。

  • 瀬尾まいこさんは大好きな作家さんのひとり。
    教員と作家の二足の草鞋をはきつつ、素敵な作品を生み出されていた頃から、ずっと瀬尾さんのファンです。
    この本は15冊目。

    ついについに「本屋大賞」を受賞されて、とっても嬉しい!

    やっぱり瀬尾さんの本です。
    ゆっくり心に沁みこませながら読みました。

  • 私は郊外に自宅を購入した。通勤には片道1時間半ほどかかる。それを知ると職場の同僚は口を揃えて「そんな遠いところから大変ね」と言う。同僚はみんな都心部に住んでいるから。「大変ね」という言葉の裏には、そんな田舎にしか家を買えなかったのね、かわいそうね、という哀れみを見て取れる。

    余計なお世話。私は昔からこの街が好きでここに決めたんだ。かわいそうなんて言うな!私はかわいそうじゃないぞ!(決して強がりではない)

    主人公の優子は家族の形態が17年間で7回も変わった。しかも血の繋がった両親とは幼いころに離れてしまった。ああ、なんてかわいそうな少女なんだ。こんな不幸があるものか。

    と思いながら読み進めると、それは私の偏見だったということにすぐ気付かされた。主人公の優子は全然不幸なんかじゃなかったのだ。それどころか、いつでも深い愛情に支えられている。

    そもそも幸せかどうかは誰が決めるのか。優子は、あまりにも周りが自分のことを「かわいそうだ」と言うことに疑問を抱く。自分が世間では「かわいそう」な境遇であることを客観的に理解しつつも、でもそのことを全然悩んでいない。

    世間の基準で自分が幸せかどうかを判断してはいけない。そして周りも他人の幸せの形を決めつけてはいけない。

    私は今日も1時間半電車に揺られる。でも幸せだ。

  • 感動する本というよりは普段生活しているだけでは忘れてしまうようなことを思い出させてくれる本でした。

    私は生まれてからずっと血の繋がった親と5歳下の妹と暮らしていますが、今までたくさんの愛情を注いでもらっていたことに気付かされました。

    今年度から高校生の私ですが、これからずっと親に感謝していきたいと強く思いました。

  • 優子ちゃんが最初、家族が変わることへ冷めてるのか
    どうなのか気がかりだったけど、向井先生が素敵で、
    こんな先生がいてくれることが嬉しかった。
    森宮さんの作る料理、どれもおいしそう。
    餃子づくしは、続きすぎるとちょっと勘弁って感じ
    だったけど(笑)
    ゼリーとか、いいなー。
    その森宮さんの親になる覚悟が素晴しかった。
    なんて大人物なんだろ。(変わり者だけど(笑))
    梨花にもびっくり。ぶっとんでるー。
    ピアノのために、それって?!
    温かな気持ちでほーっとため息でページを閉じた。

  • 最初のうちは他人と家族になってこんなきれいごとでいくわけない。なんて内容が薄っぺらな本なんだろうと思った。でも、作者はわざと重くならないように書いたのだろう。優子はどんな苗字でも合う。どうでもいい。どこで暮らそうが誰と暮らそうが一緒だ。そう投げやりにならないと、生きていけない。そんな厳しい言葉が少ないから淡々と読み進めることができた。実の父親のくだりは現実味がないが、梨花さんが離れて行った理由、森宮さんの思い、早瀬くんのピアノなど読み終わってみて本屋大賞とるだけあるなと思った。子育ては明日が二つになる。

  • 今まで読んだことのない、家族のお話。
    家族の話の重苦しさは皆無、ぼーっとふんわりのほほんと読めるけれど、色々考えさせられる一冊。
    読み終わった後、タイトルの意味が分かりじんわり暖かい気持ちに。

  • やはりの瀬尾まいこ。
    飄々と?生きる、深く考えずに、今を生きることを見つめる主人公と、彼女を愛する血が繋がったり血が繋がってなかったりする親たちの生活の物語。

    子供を持つのって、いいな、と思わされた。ぐ。

    さすがの瀬尾まいこ。
    ラスト付近の結婚のくだりでは、もう、涙が止まらないよ!
    父さんの手紙、森宮さんの早瀬母への手紙、梨花さんの愛、泉ヶ谷さんのどっしりした安心感。
    みんな、他人だからか、遠慮しながら、優子のことを一番に考えながら、生活している。
    愛だ!
    ラストの、だろうね!という展開もありがたい。
    全員集合の、親たちの全員いい人感が溢れてる、ラストに涙が止まらん!

  • 読み終わって、冒頭を見返すと涙腺が崩壊した。
    家族の話には弱いな~

    物語を構成する上で、一度は主人公を落としたくなるもののこの本小さな山こそあれ、ずっと幸せな状態で、読んでるこっちも幸せな気分に。
    ただそんな幸せな小説なかなか書けるもんじゃなくて普通だとつまらなくなりがち。
    しかし本作は一見経歴だけ追っていくと不幸の塊なのに、実はね幸せなんだよっと設定の妙で読ませる小説になってた。流石です。

  • 最後の最後まで渡される”バトン”の意味が明かされなかったので、その意味においてはちょっと裏切られた感じ。全体としてはいい話なんだろうけれど、小学生時代から妙に大人びた考え方をもつ優子を始め、ちょっと現実離れしたプロットではあります。懐かしい「大地讃頌」が出てきたところや、早瀬君が奏でるアンドレギャニオンなんかは個人的には大変楽しめました。

  • 優子に対する親権だとか扶助義務だとか、そんなのがバトンなのかと思ってた。そうであればタイトルとして、彼女をたらい回しにしているようで嫌だなと。でも、どうやら彼女の親たち、そして夫それぞれが彼女と出会い、育て、ときに離れる時間の流れにおいて、自分の人生の転機を見極めて未来の自分に現在の自分がバトンを渡すってことなのかも。バトンは培った経験かもしれないし、たとえば「自分らしさ」ならば、環境が変わってもしっかりと継いでいかなければいけない。そして人の数だけバトンがある。もちろん優子もバトンを持っている。親になるって、自分だけでなく子どもの数だけ明日が増える、自分より可能性と未来を含んだ明日が増えるって内容のフレーズ、よかった。

  • 主人公が大人に振り回されながら経験する、様々な形の家族。物分かりのよい子どもでいたはずなのに、やっぱりそんなことはなかった、高校生の主人公。
    「友達は一番の優先事項ではない」
    そんな、主人公の考えに一票。
    その時の「一番の優先事」を読み違えてはいけないのだ。
    いま、リアルに中高生である子どもたちに気づいてほしい。

  • 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」

    母と死別。父の再婚。それ以降、継母に引き取られ、継母の裕福な再婚相手に引き取られ、、、。
    17才の今は37才の継母の再婚相手と二人で暮らしている高校生の優子。

    環境は複雑だか、彼女はみんなに愛されて、彼女もみんなを愛している。

    女子高生ならではの陰湿な無視などもさらっとかわし、たくましく楽しく生きていく。

    幸せな結婚式には胸が熱くなった

  • 食べ物だけでは味気ないし、こころばかり強くても仕方がない。
    でもその2つが一緒にあって、それでも少し物足りないような、そんな感覚は誰かと食べる事で満たされる。
    読む前は少し重たい話なのかと思ったけど、そんな事なくて、読んだ後とても幸せな気分になった。

  • 父が三人、母が二人いるという優子の物語。1人目の父は聡明な実の父、2人目は資産家で器が大きい泉ケ原さん、3人目は東大出で賢明な森宮さん。特殊な家庭環境だが、先生が言ったように普通の家庭よりも親の愛情を受けた子供なのではないだろうか。

    森宮さんが作るオムレツやポテトサラダ入りの餃子、ゼリーとか、優子の勤務先で出される玉子焼きや煮物など、料理を食べる描写が多く、どれも美味しそうに描かれているのでお腹が空いてしまった。

    学期の始まりなだけなのにカツ丼、クラス全員にハブられたと聞くと精をつけなきゃだと餃子を食卓に並べる森宮さんは、一般的な父親とずれていて面白かった。

    優子が大人びてどこか冷めた子供なのは、実の親と一緒にいる期間が短く、早熟にならざるを得ない状況にあったからなのではないだろうか。しかし他人と呼ぶにはあまりに深すぎる愛情を持つ親たちに育てられた優子は幸せだなと感じた。

    梨花さんが「優子ちゃんの母親になってから明日が二つになった」と、自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日がやってくるという言葉が印象的だった。

  • 高校生の優子ちゃんは、名前の通りとても心優しい子だからこそみんなから愛されていたんだ。
    ほんとうに心優しくなるためには、強く逞しくなければできないから。高校生だけど、周りよりも一回り先に大人になってしまったような。そんな印象。
    ほっこりするお話だった。

  • この物語で「わたし」の歴代の親とのエピソードが出てくる。これらは、彼らが彼女を愛してくれた記憶ではあるものの、彼女にとっての「親」は今の親の「森宮さん」であり、歴代の親の中で一番大切なのは「森宮さん」であることも明らかである。それは歴代の親の愛情が足りなかったわけではなく、「今の自分の家族」を大切につづけてきた結果、彼が大切な存在になっている。

    親側からの目線で言えば、きっかけはどうであれ、子供ができるということは責任が生まれるものではある。ただ、それと同時に成長していく守るべき存在ができる喜びも生まれるのも確かである。結婚とは別の形の「誰かと共に生きる」幸せを気づかせてくれる作品だと感じた。

  • 瀬尾まいこさんの
    「そして、バトンは渡された」
    読了しました。

    読み終えて、ドラマ「義母と娘のブルース」のMISIAのエンディングが流れてきました。どこか、似ていて。
    でも、私はこちらの作品の方が好きかもしれません。

    登場人物のキャラクター、シナリオ、時系列など、全てにおいて絶妙でした。
    なにより、読みやすい。

    残酷な出来事、残酷な人たち…
    たくさん出てくるのに、なぜか清々しい気分になれました。

    『困った。全然不幸ではないのだ』
    (第1章 最初の一文より)

    まさに、その通りでした。

  • とっても穏やかな本で、刺激的な話が好きな私は途中すこし退屈に思えてしまったけれど、1番最後のクライマックスで感動して涙がボロボロでました、、!

    森宮さんがいい味出してた

    梨花が、子供がいると明日が2つになる
    自分の明日と、もっと大きな未来のある子供の明日
    その言葉がすごく素敵だった

  • すーっと取っ掛かりなく文章が入ってくる作品。日常の生活の中で見られるちょっとした表情が思い浮かび、クスッと笑いたくなるような微妙なニュアンスの表現が素敵だった。書き出しの一節は読み終わった後に再読して欲しい。バトンが渡される瞬間を楽しみに読み進めて頂きたい。

  • この物語に登場する親たちは皆、自分の立場に悩まされながらも優子ちゃんの人生に寄り添い変わらない愛情を持っていた。思い合える関係があれば親子の形など関係はないのかもしれない。

  • 父親が3人、母親が2人いる高校生、森宮優子。
    実の父親が生きているというのに血の繋がらない父親と暮らす経過が少しずつ明かされていく。2019年本屋大賞受賞。

    父親像をわいわい言いながら優子の世話を焼いている森宮さんが、色々なことを話しながら食卓を囲む2人がとても微笑ましい。ステレオタイプじゃない、こんな形の幸せもあるんだな
    馴染みのある色んな料理が出てきたけど、この物語の中では登場人物のためだけの特別なツールだったように思う。

    赤の他人がこんなに子供を愛して親になれるか、現実は違うかもしれないけど本当に温かい物語だった。全力で親と喧嘩するとか我儘言うとか「絶対捨てられない」って安心感があるからできるのかな。
    森宮さんが娘ができて人生がどう変わったか話すところとか終盤はもう胸がいっぱいで…なんて素敵なリレーなんだろう。やっぱり瀬尾さん、さすが瀬尾さん 読んでよかった。

著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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