そして、バトンは渡された

著者 :
  • 文藝春秋
4.21
  • (177)
  • (163)
  • (66)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 1613
レビュー : 202
  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907956

作品紹介・あらすじ

森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる物語。

    みんなからいつも愛されていた優子。ならばなぜ?みんな彼女の元から去って行ったのか(産みの母親のみ死別)、それが気になってしょうがなかった。特にブラジルに行った産みの親のお父さん、どこに行ったの⁉︎

    17歳の今一緒に暮らしているのは森宮さん。まったく血の繋がりのない37歳の父。森宮さんは子供っぽくて少しずれていて父親らしくないけど、いつもそばにいて一緒にごはんを食べてくれる。

    餃子、かつ丼、ラーメン、オムライス、ドライカレー…等。そして出てきたスイーツは数知れず。これがもう本当に美味しそうで、幸せそうで。
    一緒に食べた分、食べた時間だけふたりはかけがえのない家族になっていったんだと思う。

    大人になった優子は、ある事をきっかけに親めぐりをする。今だからわかるそれぞれの愛の深さ。そして、彼らが去って行った理由。

    家族ってなんだろう。他人でもこんなに愛せるって凄いな。そんな人いるわけない…を、いるかもしれないと思わせてくれる瀬尾まいこマジックを楽しみました♪

    この本の中で私の好きな歌が出てきて、それがまたこの作品にぴったり。森宮さんと優子の関係だなと思うと泣けた。

    ただ、ある人のした事を私なら許せるだろうか。「強運の持ち主」でも感じたぐるぐる渦巻く気持ち。

  • やだ、なんなの、凄くいいお話なんだけど~
    今年の中で1番良かったと言ってもいいくらいに。
    とっても心の中が温かくなったよ。

    優子ちゃんみたいないい子は本当にいるかな~
    実は私も4回苗字変わったけど(4回目は結婚して)、
    突然他人が身内になるって抵抗あったし最後まで心は開けなかったよ。
    優子ちゃんの周りの大人たちは、みんないい人で本当に良かったよ。
    結婚式にはお父さんも来てくれて感動しました。
    本当はちゃんと一緒に暮らして欲しかったけど、梨花さんの愛が大き過ぎたのね。
    森宮さんもね。何でだろう?本当の子供じゃないのに。そう考えたら不思議な話なんだけど、素敵なお話にまとまっててとっても良い。

  • なんだろう、なんだろう、なんでこんなに胸がいっぱいなんだろう。
    優子ちゃんも松宮さんも、梨花さんも泉ケ原さんも、そして水戸さんも、みんなみんなみんな大好きだ。どうしてこんなにみんないい人なんだ。こんなにも誰かのために自分を差し出せる人ばかりなんだ。全日本いい人選手権大会を開いたら、このメンバーば絶対に入賞するよ。それくらいいい人ばかり。でもそのいい人加減がそれぞれに違っててそれがまた心地よくて。
    あぁ、そうか。4人の大人たちがみんないい人なのは、そのいい人さを使いたくなるのが優子ちゃんだからなんだな。
    実の両親の手から離れ、他人と家族として生きていかなきゃならなくなった彼女が身に付けたもの。それが大人にとっては無条件で彼女のために何かをしてあげたいって思わせるんだろうな。誰かと暮らしてもまた自分は一人になってしまうかもしれない。だから誰かに過剰に依存しない、クールにある程度の距離を保って親しくしていく。そんな彼女はそりゃ、放っておけないわね、オトナとして。
    いや、でも誰もが彼女と暮らすことを楽しんでいるんだよね。義理と義務とか、そういうのじゃない。とにかく彼女と一緒に暮らしたいという思い。そこがすごく心に染みる。特に森宮さん!森宮さんの「父親」っぷりが楽しくて楽しくて。真面目で傲慢で一生懸命で真摯で優しくて温かくて。いやもうサイコーじゃないですか。こんな人がいたら即結婚しますわ、私。とにかく森宮さんと優子ちゃんのやりとりをにやにやしながら読んでいるのがすごくすごく楽しかった。
    家族っていいなぁ、と心から思う。血の繋がりなんてどうでもよくなる。そもそも家族ってのは赤の他人が2人で作り出すものなんだから。一緒にいること。一緒にいたいと思う事。それが家族の基本。家族の在り方としてはとてもレアな形だけれど、だけれど、この「家族」はサイコーだ。家族との関係に悩む人がいたら、これを読むといい。悩むってことはなんとかしたいと思っているからだから。家族であるために、彼女たちがなにをどうしていたか。あぁ、いやいやいやいや、そんなこと考えながら読むことない。ただただ優子ちゃんと森宮さんのまじめでおかしなやりとりをにやにやしながら読めばいい。読み終わったときにきっと胸の奥に小さくて温かい何かがあるはず。それが家族のタネだね、きっと。

  • 家族愛に溢れた、誰かを大切にしたくなる作品だった!

    父親が3人、母親が2人、17年間で親が7回変わった優子だが、常に新しい親から愛されていた。
    親が変わるたびに別れを経験し、新しい親との出会い、そして慣れた頃にまた別れを経験する。
    そんな中で最後に親になった森宮さんと生活していく中で、家族の繋がりの大切を感じていくお話。

    幼かった自分には流れに身を任せることしかできず、抗っても仕方ない、どこか自分を一歩引いた立場から見るのが癖だった。新しい親は優しいし、みんな愛情を持って接してくれるし、幸せであることには間違いない。だけど子供の頃の寂しさや悲しみ、不安を押し殺して生きている。幸せだけど、なんとなくつっかかりの残る前編の書き方にすごく引き込まれた。
    優子のクラスで浮いた時もどこか他人事な強さが、ほかの作品にはない優子だからこその乗り越え方だとも思ったし、森宮さんも変わった考え方も暗くならず、笑っちゃうところが、設定として暗くなるような感じなのに、明るく展開していく特徴なのかなと感じた。

    家族がいること、子供がいることで未来が二つになる。自分の幸せを追うよりも誰かの幸せを追う方がずっと幸せ。
    子供ができたこから思うのか、すごく心に残る一言だった。

    でもやっぱり本当に血の繋がった父親だけを、おとうさんと呼ぶ優子を見たときは、流れに身を任せて悲しみも乗り越えて、本当に今幸せである優子でもやっぱり本当の父親の存在って大きいんだなと感じる
    親の都合で振り回され、引き離されてしまう子供は抵抗できない分、かわいそうだなと親の身勝手は弱い立場の人を傷つけるんだなと思った。

    かといってそれをマイナスだけでなく、新しく前向こうとして描かれてる本作はやっぱりステキな本だと思う!!
    家族ってありがたい!

  • 父親が三人、母親が二人いる。
    家族の形態は、17年間で七回も変わった。
    でも、全然不幸ではない…。
    血の繋がらない親の間をリレーされ、四回も名字が変わった
    森宮優子、17歳。
    だが、彼女はいつも愛されていた。

    様々な家族の形態があると思いますが、
    この家族はとっても特別。
    父親が三人、母親が二人…親戚を転々としたわけでもなく
    血の繋がらない親と暮らしている。
    どうしてこうなったのか…どういう事だろうって読み進めた。
    主人公は高校三年生17歳の優子。
    現在は3人目の父親である37歳と少し父親としては若い
    森宮さんとの二人暮らし。
    森宮さんが父親であろうとする姿が一生懸命で、どこかズレてて
    面白くって微笑ましい。
    森宮さん大好きだ

  • 親が五人もいる女の子、優子。生みの母は小さな頃になくなり、父は転勤で海外に。その父と結婚した女性(梨花)と長く暮らすが、父は2度変わる。そして、梨花は離れて行き、三人目の父(森宮さん)と長く暮らし始める。高校時代があり、恋愛・結婚までの様子が書かれているが、なんて、楽しそうに、明るく、育っているのだろう。もちろん家庭事情で悩み苦しむときがあるが、周りの大人、親たちがみんな暖かい(そして魅力的)。苦しみを背負って、成長もしている。「親子でも離れたら終わり、目の前の暮らし、いま一緒にそばにいる人を大事にしよう」と、強くなってゆく。高校の先生も、良い先生。真剣に付き合えばこそ、ゴタゴタがあり、それが平気なんてつまらない、家族もギクシャクして作られていくなんて、自分にも言われているみたい。そして、また印象に残ったのは、自分の明日と、より未来と可能性を含んだ子供の明日、未来が二倍以上になるっていう宮森さん。考えたことなかった。すごいなあ、森宮さんみたいな方、変わってる風だし、憧れちゃうなあ。女の子なんだから好かれなくてはダメだよ。人に好かれるかどうかで女の幸せは決まる。梨花のセリフもどきっとするし、この本は圧倒的でした。みずみずしく、暖かい家族の素敵な素敵な本でした。

  • 自分の子どもの親は、自分しかいない。
    自分が育てることが子どもにとって一番幸せなんだと信じて子育てをしてきた。
    でも、本当にそうだったんだろうか、、、
    この物語を読んでいたら、なんだか自信がなくなってきてしまった。
    父親が三人に母親が二人・・・次々と大切なバトンを渡すかのように、主人公の優子は親から次の親へと保護者が変わってきた。
    血の繋がりなんてなくても、いやないからこそ
    相手を気遣い自分を客観視し親子の愛情を作り上げていく。
    実際の子どもはこんなに思慮深くもなければ良い子でもないし、親だってこんなに常に全身全霊で子どもを愛しているわけではないけれど
    誰かが誰かを大切に思う気持ちはやっぱり素敵だ。
    読んでいる間ずっと幸せを感じていられる物語でした。

  • 3人の父親2人の母親に育まれて育った優子の独白の形での優しくてほんわかした話。そんな境遇にも拘わらず曲がったり捻れたりすることなく成長したけど大事な思春期の父親は一番らしくない今の若い父親で、好きな人が出来ていざ結婚となった途端に一番反対されてしまう。そんな らしくない彼の独白が最後の締めになっている。
    嫌な人 悪い人 意地悪な人 虐める人など出て来なくて、読み手も幸せ気分になれる小説でした♪

  • たらいまわしにされる子供は悲惨です。いくら優しくされてもどこか安心できず、体を全部預ける事が出来ない緊張感が有ると思います。自分自身は体験無いのですが古今東西の映画や本を見ていると想像は容易につきます。
    この本はそのたらいまわしした大人たちが揃いもそろって善人で、しっかりと彼女の事を愛しているのであります。
    先行きを見守りそれでも親が変わっていき、父親3人母親2人という数だけで行くと鬱屈しかなさそうな状況です。
    しかしひたすら皆暖かく、しかもほんのり切なくなります。
    この表紙なんだろうと思っていたけれども、彼女自身がバトンということね。なるほど。
    「ファンタジーでしょこれ?リアリティーがさあ」とか言っちゃう、空気読めない人には読んで頂きたくない本です。登場人物の言動を読んで、自分もこういう風に在れたらいいと、わが身に置き換えて胸を熱く出来る人に読んで頂きたい本であります。

  • あぁ、なんだろ。どうしようもなく彼女を羨ましいと思ってしまう感情は。どれだけ血が繋がっていたって親から子への愛情は絶対ではない世の中で、大き過ぎる愛情に包まれ続けて日々を生き抜いていける彼女の人生はどれだけ幸福だろう。もちろん歪みや世間とのズレはある。でもそれがない人生なんてないんじゃないだろうか。瀬尾さんが描くトンチンカンなんだけど愛情深い人たちがとても好きだ。世の中にあるいろんなどうしようもなく避けれないことの裏に少しでもこんな愛が隠れていたら、少し救われる気分だ。

全202件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

瀬尾 まいこ(せお まいこ)
1974年生まれ。中学校国語講師を務めた後、2005年に教員採用試験合格、2011年に退職するまで中学校で国語教諭として勤務する傍らで執筆活動を行っていた。
2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。
これまでの著作で、代表作『幸福な食卓』、そして『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』が映画化されている。近刊『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補となり、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位に。

そして、バトンは渡されたのその他の作品

瀬尾まいこの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

そして、バトンは渡されたを本棚に登録しているひと

ツイートする