極夜行

著者 :
  • 文藝春秋
4.11
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本棚登録 : 239
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163907987

作品紹介・あらすじ

探検家にとっていまや、世界中どこを探しても”未知の空間“を見つけることは難しい。大学時代から、様々な未知の空間を追い求めて旅をしてきた角幡唯介は、この数年冬になると北極に出かけていた。そこには、極夜という暗闇に閉ざされた未知の空間があるからだ。極夜――「それは太陽が地平線の下に沈んで姿を見せない、長い、長い漆黒の夜である。そして、その漆黒の夜は場所によっては3カ月から4カ月、極端な場所では半年も続くところもある」(本文より)。彼は、そこに行って、太陽を見ない数カ月を過ごした時、自分が何を思い、どのように変化するのかを知りたかった。その行為はまだ誰も成し遂げていない”未知“の探検といってよかった。シオラパルクという世界最北の小さな村に暮らす人々と交流し、力を貸してもらい、氷が張るとひとりで数十キロの橇を引いて探検に出た。相棒となる犬を一匹連れて。本番の「極夜の探検」をするには周到な準備が必要だった。それに3年を費やした。この文明の時代に、GPSを持たないと決めた探検家は、六分儀という天測により自分の位置を計る道具を用いたため、その実験や犬と自分の食料をあらかじめ数カ所に運んでおくデポ作業など、一年ずつ準備を積み上げていく必要があった。そしていよいよ迎えた本番。2016年~2017年の冬。ひたすら暗闇の中、ブリザードと戦い、食料が不足し、迷子になり……、アクシデントは続いた。果たして4カ月後、極夜が明けた時、彼はひとり太陽を目にして何を感じたのか。足かけ4年にわたるプロジェクトはどういう結末を迎えたのか。読む者も暗闇世界に引き込まれ、太陽を渇望するような不思議な体験ができるのは、ノンフィクション界のトップランナーである筆者だからこそのなせる業である。

感想・レビュー・書評

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  • 何ヶ月も太陽が上がらない極夜の世界を探検して、戻ってくる話。話っていうか、探検談。ていうか、旅か。極夜の世界を想像したい、けど想像を超えた世界だろうというのが伝わってきて、想像するのを拒まれる。月に感謝し、月を呪う。40代の今が人生の一番良い状態で人生を賭けた冒険ができる、というフレーズもなんか染みるんだよなぁ。とりあえず、生きて戻ってきてくれて本を書いてくれて、この本に出会えたことに感謝!

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    ひとり極夜を旅して、四ヵ月ぶりに太陽を見た。まったく、すべてが想定外だった―。太陽が昇らない冬の北極を、一頭の犬とともに命懸けで体感した探検家の記録。

    冒険ものが大好きで、しかも重々しいものよりも血が騒ぐ感じのものが好きな人が居ましたら、悪い事は言わないのですぐに入手して読むべき。人によっては悪ノリとも思えるようなバカ話の部分も僕にはジンジン痺れました。こんな文章書く人だったけ?もっとカチカチじゃなかったっけ?

    何処かを目指す冒険ではなくて、夜が明けない「極夜」という地球規模の自然現象を体全体で受け止めて自分の内宇宙を旅するというような、禅問答かと思うような冒険です。
    真に真っ暗で広大な北極圏を行く角幡氏の相棒は、愛嬌のあるオオカミ犬「ウヤミリック」。この犬とのやり取りが最高に楽しいし、こいつをいざとなったら喰わねばならぬと追い詰められつつ、彼の痩せ衰えていく姿に心を痛めて涙する、相反するようでがっちりと溶け合った、原初の人間と犬との関わりのような絆にはごんごんと胸打たれました。感動ではないです感動なんて言葉を使うと誤解されそう。彼を食べないと生き延びられないので、それを覚悟してウヤミリックを殺害する夢を毎晩見て、それでもこの犬にどれだけ精神的に依存して旅をしているかが伝わってくるんですよね。上手く言えないけども。

    それにしても何か月もずっと暗いってどんな状況なんだろう。自分なら3日くらいしか居られる気がしないですね。昔、のホラーでダークネスっていう闇が追いかけてくるとっても怖い映画がありましたが、それどころではなく常に闇ですからね。あ、でもこんな極地じゃ幽霊も悪魔もいないか。
    それにしてもとにかく全てが上手くいかない旅でハラハラします。そういう風に自分を追い込んでいるのも有りますがひたすらアンラッキー。そんなアンラッキー続きの中でかすかな希望に縋りながら歩を進める姿がたまらない。成功譚とは言えないけれどそこがいい。

  • 冒険自体は本当にすごいと思う。何ヶ月も太陽が昇らない極夜が続く北極圏への単独行。何度も危機に陥りながら生還し、太陽を仰ぎ見たときの感慨はいかばかりか、想像を絶するものがある。「生の実感」を追い求める姿に圧倒されてしまう。

    ただ、デビュー作から感じていた違和感が大きくなったというのが正直なところ。何と言うか、「昭和の男」的な、無神経でちょとマッチョな雰囲気が濃厚に漂う。新聞記者臭(オレの問題意識こそ何より大事なことであると迷いなく主張する感じ)もかなりある。

    同じワセダ探検部出身ということでつい比べてしまうのだが、高野秀行さんにはそういう所が全くないなあとあらためて思った。

  • 20180310Mリクエスト
    途中挫折

  • 海象(せいうち) カヤックでクジラ狩りをしている漁師がうみに引きずり込まれる

    探検前に72kを80kgにして脂肪を蓄えた

    「俺はお前をパートナーにする。だがいざというときはお前を食う」 犬

    人間社会のあらゆるシステムのなかで最も脱するのば難しいものは、じつは太陽でもGPSでもなく家族だということを私は今度の旅で嫌というほど痛感した

  • 太陽が昇らない北極圏を、極夜を求めて一人(+犬)で80日間の冒険をした探検記。

    「探検とはシステムの外側の領域に飛び出し、未知なる混沌の中を旅する行為」

    出産と、極夜から太陽が昇ることの類似性を説く。最初の出産シーンは何事かと思ったがそこにつながるとは。

    文体に好き好きが出そうで、ちょっと気にはなるが、とにかく壮絶さが伝わる。

  • 現代の冒険はこんな形になっていくんだろうな。
    2018.10.5

  • 冒頭の出産シーンがマジで痛そうなので未読の方は注意されたし

    出産シーンは読みたくなかったが作者のテーマ的に入れざるを得なかったことは理解している
    苦手な方は冒頭部分だけ飛ばしてもかまわないと思う

  • 挫折本
    最北での町の様子や風習の記述が面白かった。

  • この人の本は全て読んでいる。単純にファンだ。小さい時から探検家というものが好きで、インディー・ジョーンズに憧れ、探検隊を組織し、近所の山に分け入って、河童を探すとお掘りを捜査し。小さいときの話。それはしょせん子どもの遊びなのだが、子どもながらにどきどきし、股間がキュンとなるような緊張感を感じ、当然何を見つける訳でもないので、けっきょくは虚しさを感じて終わる。ただ、あの気持ちは紛れも無い探検家の気持ちだったと思う。そして、そんな小さな時それ以来、探検というものをしていない。無くしたものへの憧れがこの作者に引き付けられる理由なんだと思う。

    今回の探検の舞台は極夜。聞いたことの無い単語だが、北極のそばには太陽が全く上らない漆黒の世界があるらしい。そこを探検している。闇の中で様々な道具を通じ、拡張現実を体感し、最後には圧倒的な太陽を見る事に成功する。極夜の内院に入ったときには読んでいて、立花隆の「宇宙からの帰還」を思い出した。想像を絶し過ぎていてもはや宇宙空間のような気がする。絶対的な闇の中で、私は何を感じるのだろうか。私が恐らく決して行くことが無い土地が地球には存在している。その事が不思議で、地球の大きさを感じさせる。終盤で衛星電話を使い出すあたりも、作者が年齢を重ねたんだなと思わせる。これだけの事をしているので、科学文明を使った事を全く否定するつもりはなく、そういう弱さをちゃんと書けるところに人間的な充実を感じる。

    私は、こんな場所を犬一匹連れて探検できるとは到底思えない。ただ、それをやりきった人がいて、それをやりきった人だけが見る事ができる景色がある。その事がものすごく羨ましい。

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著者プロフィール

角幡 唯介(かくはた ゆうすけ)
1976年、北海道芦別市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。同社退社後、ネパール雪男捜索隊隊員。『空白の五マイル』(集英社)で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『雪男は向こうからやって来た』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。『アグルーカの行方』(集英社)で講談社ノンフィクション賞受賞。

「2014年 『地図のない場所で眠りたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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