愛が挟み撃ち

著者 :
  • 文藝春秋
3.64
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本棚登録 : 84
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908045

作品紹介・あらすじ

愛とは何か? 愛は存在するのだろうか。愛が信じられない男をめぐる三角関係36歳の京子と、もうすぐ40歳の俊介。結婚して6年目の夫婦の悩みは、子どもができないことだ。愛なんてこの世にないかもしれない。でも、京子に子どもが生まれたならば。諦めきれない俊介が提案したのは、驚くべき解決策だった。男二人と女一人。過去が思いがけない形で未来へと接続される、危うい心理劇。第158回芥川賞候補作。

感想・レビュー・書評

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  • 第158回芥川賞候補作。36歳の京子ともうすぐ40歳になる俊介夫婦は、子供ができない。俊介、俊介の友・水口、京子の三人の出会いより始まり、その関係が語られる。そして、俊介が提案した解決策は…。三角関係でしたね。それぞれがその人なりの愛を持っていた。三人は個性的なでもありがちな風で。それぞれの恋、愛の狭間で「愛」が生まれた。「愛」は大丈夫かなあと私は思うのだけれど。最後は特に喜劇風。三人の性格、思い、うまいように書き上げたけれど、好き嫌い別れる作品ですかね。

  • 愛なんてこの世にないのかもしれない、なんてちっとも感じなかった。
    歪んでいて、醜くて、今にも消えそうで、でもここにあるのは確かに愛なんだと思った。

    子供ができない夫婦。子供はできない。でも欲しい。あきらめる?どうしたらいい?そこに夫の提案を受けて、場面は溶けるように20年前の回想につながっていく。
    京子と、俊介と、水口と。演劇を通じて出会ったこの3人の関係性がたまらなかった。
    胸がぎゅうっとなる苦しさを久しぶりに味わった気がします。訪れるべくして訪れた破綻。破綻からの真実。どこかホッとしたけれど、よけいに苦しくなった。
    みんな二十年分の歳をとり、そうしてもたらされたものに、どうにかなるはずも無いことに、「こんなの、馬鹿じゃないの」とそりゃ叫んでしまうだろう。叫ばずにはいられない。
    でもそれこそが愛で。
    だから、ふざけてるのかと思うぐらい滑稽で喜劇的なラストの展開にも、むしょうに悲しくなってしまった。

    夫婦が、洗濯物を干しながら口論するシーンは見事だなぁと思いました。深刻なことを話し合いながらも、実際どこまでも日常の生活が営まれている。「何そのパンツ?」「特に意味は無い。良いでしょ?」「良いけど」みたいな唐突で不要なやりとりも然り。それらすべて安らぎだと思った。結婚してるってこういうことだ。

    ストーリー、文体、世界観、まるっと好きな小説でした。

    • 1103103さん
      いちきさんの感想を読むと、いつもその本を読みたくなります。
      本のチョイスも感想のセンスも好きです。
      いちきさんの感想を読むと、いつもその本を読みたくなります。
      本のチョイスも感想のセンスも好きです。
      2018/02/14
    • つづきさん
      本当ですか!!いつも支離滅裂で個人的な内容のレビューばかり書いていますが、そう言っていただけてとても嬉しくなりました。ありがとうございます。
      本当ですか!!いつも支離滅裂で個人的な内容のレビューばかり書いていますが、そう言っていただけてとても嬉しくなりました。ありがとうございます。
      2018/02/14
  • 先が気になって最後まで一気に読んじゃいましたけれども…まあ、著者の文章力のおかげなのか分かりませんけれども面白く読めたには読めましたけれども、果たしてこの話を受け入れられるか?? と問われれば答えは微妙ですねぇ…。

    なんか予めプロット?を作って書いたお話のように思いましたねぇ…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • ログインできずにほったらかしだったー。
    やっと、再登録できたので、改めて、スタート♪
    実に、5年ぶり!!

  • 種無しと言われた夫婦の妊活。種は同窓生に頼むことに。

    気味悪のような、根源的な、普通な、どう思えばいいのか

  • ★3.5
    不妊に悩む夫婦の話かと思いきや、あまりにも突飛な計画に思わず唖然。そして、その計画を粛々と実行する、三角関係な男と男と女。過去のパートだけを見ると俊介の気持ちに同調してしまうけれど、実のところ、誰よりも自分本位で誰よりも罪深い。中でも、水口に対する仕打ちがあまりに酷い。まだ京子には水口への想いがあるのに対して、水口の想いは全く別の方向を向いている。それを知った上での俊介の言動は、小賢しいとしか言えない。都度の行為の結果となる妊娠の有無、最後の行為から祝福までの文章の簡潔さに、軽く恐怖を覚える。

  • 『かっこよく見えた。自分も何か、葛藤を抱えたかった。俊介の人生には挫折と呼べる出来事も、人生を呪うような悲劇もなかった。』

    『では俺はどうすれば愛と呼べるのだろうか? 愛するには相手を知らないといけない。どうやって知るんだ? 沢山話して? でも、会話によって相手の内面を把握しうると思うのもまた、容姿だけで人を愛するのと同じほど軽薄ではないか。』

    「見た目がちょっと良いからってあんな芝居、気持ち悪いよ」
    「気持ち悪いかどうかはあなたの主観じゃないですか?」
    「俺の主観はあなたにとっての客観だから」

    『水口は時々笑顔を交えながら、それは、自分が真剣になり過ぎていることへの言い訳のように見えて、余計に真剣さが伝わるような言い方だった。』

    『水口は断らない。
    この時間は、自分に言い訳するために必要な時間だ。悩んだ末、押し切られたという体裁が欲しいだけだ。』

    『水口は今でも俊介を愛している。囚われ、視界を狭められ、ただそれを信じ続けることで、それの存在を証明しようとする試みを愛というのなら。』

    『水口は嬉しそうだった。「懐かしいな」と三回くらい言った。俊介も「懐かしいな」と二回くらい言い、京子は一回だけ「懐かしいね」と言った。』

  • 愛には様々な形があるなあ。
    ラストあたりは、驚きました。
    前田司郎さん、はじめて読みましたが情景が目に浮かんでくるような文体、好きです。

  • 前田司郎作品は一通り読んできたけれど、この人がこんな作品も書くのか、と、素直に驚いた。
    まさに「到達点」。

    親子愛、夫婦愛、性愛、友愛、愛にもいろいろあるけれど、どれが最も尊いのだろう?
    ということがこの小説の主題ではないのだろうけれど、「愛」に関する問いやエゴ論というモチーフに、夏目漱石の『こころ』を髣髴した。
    学生時代のエピソードにある憧憬と焦燥感は『三四郎』のそれみたいで、親友との三角関係だとか、親友の愛する人を奪う展開だとか、『それから』を思い浮かべたりもした。

  •  現代パートと学生時代の回想パートがあり、現代は奥さん、回想パートは旦那さんに語り手が分かれている。回想場面を読んでいると、想定している表現を数段上回ってくる凄い感じがあって、ハラハラする。特に演劇をディスる場面が火が出るようだった。ところが現代パートは、特に不妊治療に首をかしげる表現があって、飲み込みづらさを感じた。結末がバタバタと店じまいするような急展開だった。タイトルもふざけているような、半笑いのすかしている感じがした。全面的に絶賛はできないけれどとても面白かった。

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著者プロフィール

前田司郎(まえだ・しろう)
1977年東京都生まれ。日本大学豊山高等学校、和光大学人文学部文学科卒業。1997年に劇団「五反田団」を旗揚げし、2017年現在も主宰。北海道戯曲賞最終選考委員を務めている。2004年『家が遠い』で京都芸術センター舞台芸術賞受賞。2005年 処女小説『愛でもない青春でもない旅立たない』で第26回野間文芸新人賞候補。2006年 『恋愛の解体と北区の滅亡』で第19回三島由紀夫賞候補。2007年『グレート生活アドベンチャー』第137回芥川賞候補。2008年戯曲『生きてるものはいないのか』で第52回岸田國士戯曲賞受賞。2009年 『夏の水の半魚人』で第22回三島由紀夫賞受賞。NHKドラマ『お買い物』で第46回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、放送文化基金賞テレビドラマ番組賞受賞。2015年NHKドラマ『徒歩7分』で向田邦子賞受賞。2016年映画『ふきげんな過去』で第8回TAMA映画賞・最優秀新進映画監督賞受賞。2017年「愛が挟み撃ち」(『文学界』12月号掲載)で第158回芥川賞候補。

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