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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784163908052
作品紹介・あらすじ
文藝編集者として出版社に勤務し、定年を迎えたあとはカルチャースクールで小説を教えていた澤登志男。女性問題で離婚後は独り暮らしを続けているが、腎臓癌に侵され余命いくばくもないことを知る。
人生の終幕について準備を始める中、講師として彼を崇拝する若い女・樹里は自分の抱える闇を澤に伝えにきたが-―
激情に没入した恋愛、胸をえぐるような痛恨の思いを秘めて皮肉に笑い続けた日々。エネルギーにあふれた時代を過ぎて、独りで暮らし、独りで死ぬという生き方は、テレビで繰り返し言われるような「痛ましく、さびしい」ことなのか。
ろくでもない家族でも、いさえすれば、病院の付き添いや事務処理上の頼みごとができて便利なのだろうか。生きているうちから、人様に迷惑をかけないで孤独でない死を迎えるために必死に手を打ち備えることは、残り少ない時間を使ってするようなことだろうか。
プライド高く、理性的なひとりの男が、自分らしい「死」の道を選び取るまでの内面が、率直にリアルに描きつくされる。
人生の幕引きをどうするか。深い問いかけと衝撃を与えてくれる小池真理子の真骨頂。『沈黙のひと』と並ぶ感動作。
みんなの感想まとめ
人生の終焉を迎える準備をする主人公の内面が深く描かれた物語です。腎臓癌を抱えた69歳の元編集者が、若い女性との交流を通じて死と向き合う姿は、孤独や老いについての深い考察を促します。彼は過去の選択を悔い...
感想・レビュー・書評
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久しぶりの小池作品。
私の中では「恋」を超える作品が無く、読む機会も段々と減っていたが、今作では末期ガンである元編集者の69歳の老人と、26歳の普通の女性が巡り合い、死を迎えるまでを描いていると言うことで、どことなく「恋」の時の年の差を超えた恋愛小説を期待して、読み始めたが、実際には死と向き合う人間の葛藤の物語であった。
人間は生きている限り、誰しもが老いる。
その老いをどう受け止めるか?
主人公の澤は、今までの人生を決して悔いることもなく、孤独であることも受け止め、ラストは自分の意思を貫く。
自分も身内、親しい他人もいない中、この先、澤のようになって行く可能性が高い。まだ年齢的には先の話だが、とても考えさせられる内容だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あぁ…凄いのを読んでしまった‼︎
静かな作品ですが、読むのを止められなかった。人生の幕引きをどうするか?人間にとって真の救いとは何か?ということを考えさせられる傑作です。静かな涙が滲みました。
作中に出てくる、アルノルト・ベックリーンの『死の島』という絵画。(このモチーフで何作も描かれている)私もこの絵については初めて知り、検索して絵も見て…読後、この絵のイメージが頭の中に染み付きました。(気になる方は検索してみてくださいね)
人は1人で生まれて、1人で死んでいく。それだけは確実に平等ですよね。自分は最期の瞬間に何を思うのだろう?
そんなことをグルグル考えていました。
最近『死』というものが、心の中では身近になってきてる気がします。いえ、私自身は大病もしてないし、まだまだ長生きするつもりですが…。この三年で、夫と両親に立て続けに逝かれたもので…。
『人はどう最期を迎えるのか?』ということを、否応なく考えてしまう。
思えば、父方も母方も、祖父祖母ともに早くに亡くなっていたので、私はおじいちゃん、おばあちゃんと過ごす、ということを経験せずに育ちました。
本来、歳の順にお迎えがきて、親が子にその時の様子を見せたり話したり…そういう“順番”であることが、安らかな気持ちになれる一つなのかもしれないなぁ…とよく思うのです。
とはいえ、思い通りにならないのが人生だけど…。自分にとって大切な人のことを考えながら読みました。
夫や両親に会いたいとひたすら思う…。いつか私も死の島へ行けば会えるのだろうな…。ガッツリ私的な感想でごめんなさい、
心に残ったフレーズを少し。
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どれほど激しい情熱も例外なく、時と共に落ち着いていくものらしい。そしてひとたび変容した情熱は、形こそ変わっっても、二度と元には戻らなくなる。
おれたちは似たもの同士だったんだよ。だからこそ、お互い、あんなに夢中になれたんだ。(中略)だからきっとおれたちは、死ぬ時も似たようなことを考えるんだよ。そうだろう?
土台、運命というのは皮肉なものである。人格とか、意思とか尊厳とか、これまで積み重ねてきた努力とか、さらに言えば思想だの哲学だの、人が懸命になって自分を支えるために編み出した、ある意味では高尚な思考のプロセスなどにはまったく目もくれない。情け容赦なく、運命は人の人生に影を落とす。あんなにツイてなかったのだから、今度こそ、という儚い希望すら、一瞬にして無惨にも打ち砕く。
利口な女だった。一見、絶えず甲高く囀る小鳥のように無駄口を叩いているように見えて、その実、彼女は話題にしていいことと悪いことを明確に線引きしており、口も堅かった。
いくら必死になって自分を分析し続けても、まとまりのいい結論や精神の安らぎは得られない。流れに身を任せて生きてみる。それが一番だった。 -
初出 2016〜17年「オール讀物」
装画がなぜ山本六三のスフィンクスなのだろう、ベックリンの死の島で良かったのではないか、というのが読み終えた時の違和感。
出版社の編集者だった70歳の澤登志夫は4年前腎臓癌が見つかり治療していたが、ステージⅣまで進行して骨髄と肺に転移していたため、治療をやめ、長野の別荘に行って点滴治療を利用して失血死を選ぶ。
その過程で小説講座の教え子で澤が作品を誉めた26歳の樹里との交流があったが、澤は樹里には何も伝えなかった。樹里は澤のことを小説に書こうと思う。
私も癌になったら、延命せずペインクリニックだけで最後を迎えたいと思っているので、主人公の葛藤や決意には考えるところが多々あった。 -
ふむ
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「死の島」とは、有名な絵画のタイトルです。本編にも、出てきます。
当然ググって、PC上でですが、観ました。誘われるような、不思議な絵でした。
完治の見込みの薄い、転移した癌。
妻は既に亡く、自らも高齢でやり残した仕事もない。
積極的な治療を拒み、自らの意思で人生を閉じようとする主人公。 -
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日経に作者がこの本のことを書いていたので図書館から借りた。
テーマは重く簡単に感想は書けない。
まぁ自分が高齢者だからこう思うので未来のある若者なら小説の一つで済ませられるのかも知れない。 -
3.5
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末期の腎臓癌の元編集者の登志夫。自分らしい、自分で決めた最期。一人で死んでいく。
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アルノルト・ ベックリンの代表作『死の島』
棺らしきものを載せた一艘の小舟に白装束の人間が乗っている、海を漕いで向かう先に見えるのは不気味な死の島。
主人公は不治の病に侵され、余命いくばくもない69歳の澤登志夫。
澤が死の島へ向かい、自身でオールを漕いでいる様な本作は沈鬱さに満ちている。
読んでいる間、私より先に逝った家族や友人の姿を思い浮かべ何度も鼻の奥がツーンと痛み涙が零れた。
澤の企みが尊厳死と言えるのか分からない。
願わくば霊魂や魂の存在を否定していた澤が島に辿り着き自身の考えを豪快に笑い飛ばしていて欲しい。 -
「恋」が衝撃的だったので、本の帯のコメントに惹かれて期待して読みましたが期待し過ぎたかな。
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朝日新聞の土曜版で、この作家は、亡くなったご主人との思い出について、自然やかわいがっている猫たちを絡めてとても美しいエッセイを連載している。そのエッセイが好きで、この人の本を読み始めた。
この小説で描かれるのは、独りで死んでいくと言うことの厳しさ。家族に囲まれた人でもそれはきっと同じなのだろう。
そして、終章を書くためにこの小説は書かれたのではないかと思った。 -
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コメントありがとうございます。今読み直すと辛口なレビューだったかもしれません。最近著者はご主人を亡くされて、朝日新聞にエッセイを掲載されてい...コメントありがとうございます。今読み直すと辛口なレビューだったかもしれません。最近著者はご主人を亡くされて、朝日新聞にエッセイを掲載されていますが、深い悲しみが胸を打ちます。この主人公は何となく著者のご主人をみたいな感じがしていました。2021/01/03 -
作者との相性ってありますよね。私は「モンローが死んだ日」をお勧めします。タイトルからあまり気乗りはしなかったのですが読み終わった後小さいなが...作者との相性ってありますよね。私は「モンローが死んだ日」をお勧めします。タイトルからあまり気乗りはしなかったのですが読み終わった後小さいながら晴れやかな気持ちになりました。舞台は軽井沢です。もし機会があれば読んでみてください2021/01/03 -
2021/01/04
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愛とは何なのか、死が差し迫った主人公と、主人公の生徒であった女性の視点を行き来しながら考えていく内容。
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友人に推薦されての初・小池真理子氏。
ううむ。普通にちゃんとした文章の小説だな、という感想。
主人公の心の移ろいや教え子の女性とのシーンなど含め、「文が上手ですね」という以上の感想が出ない。心象風景描写もテレビドラマ的な平均さだ。
仕事柄、大学教授的な立場の初老の男性と会うことが多々あるが、秘書だが弟子だか知らんが、だいたい若い女性を連れている。初老の女性著者で若い男性を連れている、というパターンはない。
ううむ。何が言いたいんだおれは。小池真理子氏はもういいかな。え? ミステリーもあるん? ううむ。やめときます。合う人には合うのだろうが自分には合わないな。
老いを描いた作品として筒井康隆氏の『敵』を思い出す。あっちをもう一度読んでみたくなった。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
小池真理子の作品
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