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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784163908229
作品紹介・あらすじ
作家・北村薫が、父の死後に遺されていた膨大な日記を考証、再生。ミステリ作家・本の達人としての腕を存分に振るいつつ、無名の一青年の目を通した昭和初期の歴史的シーンを繊細に愛情深く甦らせた三部作の完結編。
ドイツではヒトラー内閣が成立し、三月には東北三陸地方に大津波が押し寄せた昭和8年、父は慶応義塾大学を卒業するが、不景気の波が押し寄せる時代に就職口はない。文春の試験にも不合格し(池島信平が合格)、大学院に進むものの家の経済は苦しく、定期を買う金もない。崇拝する折口信夫から満足な評価を得る事もできず、国文学への情熱も断ち切るしかないのかと懊悩しながら東京、横浜をさまよう父の姿が哀切をもって描き出される。一方、文学史上の有名人物と折口信夫が敵対し、罵倒批判された数々の事件の真相に迫る著者の筆はスリリングかつ感動的。時代の背景と状況を踏まえ、文献、日記、関係者の随筆に散見される該当箇所を読み解きつき合わせることで、折口信夫の底知れぬ大きさと怖さ、師弟関係に潜む感情、国文学に生涯をかける人々の熱情と嫉妬があぶりだされる。横山重、佐々木信綱、池田弥三郎、祖父、父、学友たち-ー
あの時代を歩んだ有名・無名の人々の姿を捉える、感動の昭和史。
感想・レビュー・書評
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作者の父親の日記に基づく三部作の完結編。
前二作の内容を余り憶えておらず、序盤の国文研究周辺の流れを掴むのに苦労したが、流れに乗ってしまえば、主人公の心の動きや時代の流れ、折口信夫周辺の動きなど、丁寧に掘り下げられていて、引き込まれる。
三部作を書くに当たっては、関連する文献を克明に読み込んだのだろう。
三冊をまとめて通読すれば、より深く感慨を覚えると思う。 -
筆者の父の残した日記を軸に、折口信夫や横山重にまつわる記録をひもときながら過去を描写していく。100年も経っていないくらいのことでも、私のような昭和最後のころの生まれにとっては遠い遠い昔のようで想像を超えている。昭和初期の戦前期というのはそれだけ特異な時期だったのだろうか。本書の終盤は本当に急かされるように切なくなりながらページをめくった。結びに挙げられた、仏足石の歌が印象に残る。「御足跡(みあと)作る 石の響きは 天(あめ)に到り 地(つち)さへゆすれ 父母がために 諸人(もろびと)のために」。
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折口信夫を敬慕しながら取巻きとは認められなかった演彦氏の微妙な立ち位置を鮮明にするために、横山重が副主人公として描かれたのだろう。こんな人がいたのか。本、というより書籍と言った方がいいのか、その重みが違う。演彦さんの妹の友達とのお付き合い、恋と言っていいのかな、北村さんも作家ならば詳しく突っ込んで書くべきだろうが、やはり両親への遠慮があったのだろう。関東大震災に比べ太平洋戦争はあっさり流された感が。経済的に困っているのに、外食観劇旅行にお金を惜しまないとは、当時の都会のインテリとはそういうものか。兄嫁を責められない。新村氏のフルネームを明らかにしないのも配慮か。えんひこは少なくとも友には恵まれたな。
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三部作完結。自由学園明日館は最近たまたま「吉田類の酒場放浪記」で観たところだったので驚いた。謎のシンクロ!
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【慶應を出たけれど、就職口なし。胸をうつ昭和史】昭和八年、慶應大学を卒業したが就職口はなく経済の逼迫に苦しむ父。巨人・折口信夫をめぐる真実に迫る感動の昭和史。
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