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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784163908403
作品紹介・あらすじ
祖母のふるさと、台南への旅が私の人生を変える
7日間のひとり旅が生んだ人々との絆がもたらした奇跡とは。
声優への夢破れ、祖母と二人で生活する杉山未来。入院した祖母を元気づけようと、未来は祖母が生まれた台湾の古都、台南を訪れることを決意する。
祖母の人生をたどる台湾の旅。そのなかで未来は、戦後に台湾の人々を襲った悲劇と植民地だった台湾に別れを告げた日本人の涙を知る。
そしてついにたどり着いた祖母の生家で、未来は人生が変わる奇跡のような体験をするのだった。
「わたしは誰からも愛されない。誰も愛さないなんて生き方はしたくない」
いつもどんなときも夢は突然始まる。台湾の旅情もあふれる最高の感動作。
「時間だけ、過ぎる」
劉慧雯(りゅうけいぶん)が、日本語で呟いた。未來は、自分自身が過ごしたこの三年間を思った。白も黒もない、単なる派遣社員の仕事だった。だが確かに、自分の本意ではない仕事を続けている間に、気がつけば未來も三十歳というラインを越えていたのだ。あまりに呆気なく。こんなつもりではなかったという思いが何度頭をかすめても、まだ大丈夫、まだ何とかなると自分に言い聞かせて過ごした日々でもあった。(本文より)
感想・レビュー・書評
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今、個人的に台湾の気分。行く予定はまだないけど、なんだか台湾が気になる。台湾舞台のお話が読みたくなる。
本書を読んで、日本と台湾の歴史をちゃんと知りたいと思った。そして台南いいなと思った。古い建物が残る風景が魅力的。甘い醤油が好きなお口なので台南料理はきっと合うはず。未來さんにはもっと美味しく料理を食べて欲しかった。マンゴーの美味しさを味わえたのは救いだったかな。
それにしても未來さんはなんでそこまでリイカさんに苛つくかなぁ。まあ、感じ方は人それぞれだからそういう人もいるかもしれないけど。私はリイカさんの態度は気にならない。むしろキレてる未來さんがちょっと怖かった。 -
台湾の歩んできた歴史を少し知った。
植民地して占領されていたのに「台湾と日本は、50年の間だけ一つの親戚、家族だった」と表現されることに、痛みを感じる。
日本が台湾を捨てたその後、蒋介石率いる国民党がやって来て、日本の植民地だった50年は無きものとなった。その頃、教育を受けた人には空白だという。
日本でも、台湾が日本の植民地だったと教えていなかった。(今はどうなのかな?)
日本に対する台湾の人々の感情は、どの時代を生き、どのような教育を受けたかで違う。日本も同じか。
台湾と日本を家族だったと捉え、これは家族の物語でもあるのだろうか。
劉さん母娘の長い長い話。
お婆ちゃんと娘の関係は改善されないままなのだろうか?
問題が盛りだくさんで追いつかない。
連載小説は連載されていた期間をかけて読む方がしっくりくるのだろうか。 -
祖母と二人で暮らす杉山未来。声優への夢が破れ契約社員として働いていたが、祖母が怪我をして入院してしまう。ちょうど契約期間が終わった未来は、祖母に元気を出してもらおうと、祖母の生まれ故郷の台湾に行く。台湾人の助けを借りながら、台湾の歴史や思想に触れるにつれ、未来の人生観にも変化が。
台湾の地理・歴史・文化などを詳細に知ることができた。家族との係り方や、家族間の問題など、日本と台湾の話を織り交ぜながら進み、考えさせられることも。「一瞬一瞬が・・・」の箇所がとても印象に残った。 -
母と同年齢の友人、Ⅿさんを思い出しながら読んでいた。Ⅿさんも主人公未來の祖母・朋子と同様、女学校まで台湾で暮らしていて、その頃の話を良くしていた。話の中で、燃えるような朱い花が咲く火焰樹(本文中では鳳凰樹)が記憶に刻まれているが、本作は”6月の雪”と呼ばれる、真っ白な欖李花(ランリーファ)がタイトルにもなっている。疎遠になってしまったが、この本を教えたらきっと喜ぶに違いない。
亡き義父も台湾が好きで何回か足を運んでいる。反日的な中国と違い友好的だと話していた。
隣国では珍しく反目し合っていないし、東日本大震災では多額の義援金をもらったというのに、残念ながら、台湾の歴史には興味がなく疎いままだった。鄭成功も頭の片隅に残っているぐらい。清、オランダ、数十年ほど日本の植民地となり、日本の敗戦により中国に支配されていた。国際連合に加盟していない唯一の国なんて、今まで知らなかった!
そんな私に熱く訴え伝えた本だった。「凍える牙」でファンとなり、その後それ以上の作品には出会えなかった。しかし、本作は解り易く語りかけ、同感させ、勇気をも与えてくれた。
10日間の台湾旅行最終日に、未來が「この一瞬、一瞬が過去になっていく」と神妙な気持ちでいると、林先生は「過去にはなりますが、それが心に生きている間は出来事も人も死にません。そしてこの先の未来につながることが出て来ると思います」と応えていた。
台湾旅行と並行して、入院している祖母・朋子をめぐる、実の娘や息子、嫁との葛藤も描かれてあり、登場人物の域が広い。台湾先で訪れた元日本人家屋に住む悲惨な家族の実態との共通項は大家族のために生計を支え続ける”長女”という軛だろう。未來を案内する洪春霞は仕送りするために日本へ出稼ぎし、その間に日本語を習得していてお行儀の悪い日本語となっている。取っ付きにくい李怡華だったが、台湾に限らず日本にも居るような人物像だった。
日本による植民地支配時代の歴史は詳しく描かれないが、会話の形で何箇所か出て来る。表に出さない手法で、(自ら調べて)台湾との深い関りを知るきっかけともなりより近しく感じられる。
乃南さんありがとうございました。 -
祖母と二人で暮らす未來。祖母は生まれ育った台湾の夢を見た。そして、台湾(台南)の家に帰りたいと未來と話しているうちに怪我をしてしまい入院をする。未來は祖母を元気付けようと台南へと旅立つ。中国語も喋れなく、台湾の歴史をよく知らぬまま旅立った未來は、現地の若い人たちに手助けられ、祖母が暮らしていただろう街・家、そして見たという「六月の花」を探す。未來を主に李さん他の人柄については薄いが、台湾の歴史、家族のこと、人との出会いは深く書けていて、乃南さんはこちらを強く書きたかったのでしょう。未來の家族の問題あり、台南で出会った家族の問題、国は違えども人は同じと気づいたこと、出会った人との縁、未來が感じたこと伝わった、台湾生まれの日本人のかたを私は身近にいないけれど、読んでていて、おばあさんや未來の感情を自分のことのように感じることができた。教科書では習わないことばかり。一瞬に過去になってしまう。おばさんのことにしても未來の今にしても乃南さんは失われてしまうことを大切に大切にしたく書いたのではないかな。未來と共に台南を旅した感じです。かすみちゃんの過去わかりませんが、悲しいです。実際のモデルの方がいたのかしら。
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主人公未来の「台湾旅紀行」といった物語だった。その台湾の旅は面白くて興味を持った部分もあるのだけれど、淡々としていて、味気なく感じました。また、祖母がかつて住んでいたと思われ日本家屋に住んでいる女性の、半生を聞くことになるが、それが「そこ、こんなに必要?」と思うぐらい長く、内容も重たい。
そして、未来という女性は、随分自分中心な人間で、何様なんだろう?と思ってしまいました。
面白くなかった訳ではありませんが、全体的に淡々とし過ぎていて、イマイチ物足りなく思う物語でした。 -
久々に乃南アサさんの本、本屋さんで見かけて装画が「蜜蜂と遠雷」の作者かな?と思いつつ、ぱらぱらっと冒頭読んだら、もうこれは絶対読みたいと思いました。
さすがの筆力、読み始めたらとまりません。
しかも何の偶然か、読み始めた今日、仕事で台湾の取引先の話になり、同僚から「台湾は中国だから」といわれ、「ホントに⁉︎台湾って国じゃないの?」なんて返事をした自分は、もうこの本に今、出会う運命だったなんて思ってしまいました。
おばあちゃんと未來、1週間の台湾の旅で知り合った台湾の人たち、それぞれの人生の来し方行く末。
見たことのない国の風景と歴史、日本の歴史。
時の中を過ぎて行った市井の人たちの人生。
すごく入り込んでしまって夢中になって読んで、考えさせられて、良い本に巡り会えた!という感想です。 -
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祖母と暮らす未來は、怪我をしてしまった祖母を元気づけるため、祖母が暮らしていた台湾を旅することにした。現地では、台湾人に助けられながら、祖母のルーツを探し、やがて未來自身のこれからを考えるようになる。
…
20年以上前に台湾には旅行したことがありましたが、知識を持たずの観光旅行で、美味しいものを沢山食べただけ。
今となってはもったいないことをしたと思います。
かすみちゃんが魅力的。
なので、ラストの展開には驚かされました。
かすみちゃんにも、素敵なこれからがあれば良かったのに。
台湾の歴史など、調べながら興味深く読みました。
こういう出会いが出来ることが読書の醍醐味。
大切な一冊になりました。
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台湾 近くて遠い国。
似てるようで全く違う国。
日本人として 知らなければいけないこと。
本当を知らなかったことを 今知ったきがする。 -
台湾が50年日本の植民地だったなんて知らなかった その後自由がなく 大勢の人が殺されたこと 戒厳令 政府に反対する人ら噂 不満持ってる人への拷問 38年続いたこと
その時代を知ってる人 本当の心言えない 染み付いてる 恐怖のあまり表情さえ失ってる
日本時代のことも 学校で教育しない 50年空白 そして半日教育
80才近い人よりお年寄りは日本時代の教育受けてるから大体日本好き
暑い 感情の表現は少し下手でも熱しやすくて冷めやすい 日本の地震の時 いっぱい寄付してくれた
サトウキビ畑があって 砂糖いっぱいあるから 料理が甘い
台湾の人 お金稼ぐ為に 往復したりしてる
すべて過去にはなりますが それが心に生きてある間は 出来事も人も死にません 忘れなければ心の中で生き続ける
そして必ず この先の未来につながることが出てくると思う
袖すり合うもたしょうの縁 知らない人と偶然に袖が触れ合うようなちょっとした出会いも、前世からの因縁によって起きることかもしれない… 大切にしたいですね
台湾に行きたくなりました
知らないより知ってた方がいい 読んで良かったです -
台湾には、まだ一度も行ったことがないけれど、旅したくなった。
歴史的にも日本とは深い関わりがある土地に、純粋に興味が湧いた。 -
台湾の近代史と日本との繋がりを、主人公を通して見つめられる一冊だと思って読み始めました。
台湾の美味しいものと街並みを案内するような前半。行く予定のない観光ガイドを眺めるように何とか読み進め、その後台湾の混乱期を生きてきた人の話になるのかと思ったら、読むのも辛い「地獄」の家庭に生きた個人の語りが続き・・・。
所々に台湾の複雑な歴史が散りばめられていで考えさせられる部分もあります。
でも期待した内容に一番近かったのは、最後の解説だったかも。 -
台湾の歴史、日本の歴史。
今更ながら、自分の歴史観は日本の側から見た歴史なんだなと気がつく。
人と人の繋がりや思いはくにとは別のところにしっかりと存在していたのに。
国家という力にとんでもない方に流されないように、視野を広げて時代を見るようにしたいですね。 -
台湾人の苦労話が思った以上に長いのが苦痛だったけど
う~ん、必要だったのかなぁ。
とにかく、何かを踏み出すためには
それくらいのインパクトを受けないと
だめなのかもしれない。 -
何冊もの本を読んだよう。
読むのにエネルギーも要った。
かすみちゃんを思うと悲しすぎます。 -
日韓併合は1910~1945年、そして日本の台湾統治は日清戦争後1895~1945年の50年間。その後、台湾は自由のない、世界一長い戒厳令が38年間も続き、台湾人が現在のような自由を手にしてからまだ30年しかたっていないと・・・。杉山朋子は1929年生まれ16歳まで台湾で過ごした。台湾には六月の雪という小さくて真っ白な花、咲くと一面雪が降ったように見える花があった。孫の未來は、祖母の思い出の地台湾を訪れ、日本が統治していた名残を写真に撮って祖母に送る。乃南アサの509頁の大作「六月の雪」2018.5発行。
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