六月の雪

著者 :
  • 文藝春秋
3.52
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本棚登録 : 230
レビュー : 33
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908403

作品紹介・あらすじ

祖母のふるさと、台南への旅が私の人生を変える 7日間のひとり旅が生んだ人々との絆がもたらした奇跡とは。 声優への夢破れ、祖母と二人で生活する杉山未来。入院した祖母を元気づけようと、未来は祖母が生まれた台湾の古都、台南を訪れることを決意する。 祖母の人生をたどる台湾の旅。そのなかで未来は、戦後に台湾の人々を襲った悲劇と所ミンチだった台湾に別れを告げた日本人の涙を知る。 そしてついにたどり着いた祖母の生家で、未来は人生が変わる奇跡のような体験をするのだった。「わたしは誰からも愛されない。誰も愛さないなんて生き方はしたくない」 いつもどんなときも夢は突然始まる。台湾の旅情もあふれる最高の感動作。「時間だけ、過ぎる」 劉慧雯(りゅうけいぶん)が、日本語で呟いた。未來は、自分自身が過ごしたこの三年間を思った。白も黒もない、単なる派遣社員の仕事だった。だが確かに、自分の本意ではない仕事を続けている間に、気がつけば未來も三十歳というラインを越えていたのだ。あまりに呆気なく。こんなつもりではなかったという思いが何度頭をかすめても、まだ大丈夫、まだ何とかなると自分に言い聞かせて過ごした日々でもあった。(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • ★4.5

    声優への夢破れ、祖母と二人で生活する杉山未来。
    入院した祖母を元気づけようと、未来は祖母が生まれた台湾の古都、台南を訪れることを決意する。
    祖母の人生をたどる台湾の旅。
    そのなかで未来は、戦後に台湾の人々を襲った悲劇と
    植民地だった台湾に別れを告げた日本人の涙を知る。
    そしてついにたどり着いた祖母の生家で、
    未来は人生が変わる奇跡のような体験をするのだった。
    「わたしは誰からも愛されない。誰も愛さないなんて生き方はしたくない」
    いつもどんなときも夢は突然始まる。
    7日間のひとり旅が生んだ人々との絆がもたらした奇跡とは…。

    私も主人公の未來と一緒だ。
    台湾について何も知らなかった。
    知ろうともしていなかった。興味も持たなかった。
    日本史の授業でも習っていなかったのか…。
    東日本大震災の時、台湾の方々から200億円もの義援金が送られてきたこと。
    台湾には親日家が多いって漠然と思っていたが、
    どうしてそんなにも義援金を送って下さったのか深く考えなかった。
    何故なのかを知ろうともしなかった。
    50年間日本が統治していたなんて…。
    日本が戦争に負けて、台湾から追い出された後、
    中国本土から国軍がやってきて、とても悲惨な事件が信じられない位起こり、
    世界一長い厳戒令…40年近くも苦しめられてきたこと。
    その為怖くて怖くて、感情表現が苦手な人が多い事。
    自由になったのはわずか30年前…。

    アーケードの様になっている亭子脚。
    走り回る沢山のバイク、バイク。
    ごちゃごちゃとした街並み。
    漢字だらけの沢山の看板。
    どこまでも広い青空や緑。
    焼ける様に暑い日差し。
    台湾の描写が素晴らしくって、行った事もない台湾に居るようだった。

    この本を読んで、台湾の歴史や日本との繋がりが良くわかりました。
    510ページというボリュームの本作。
    重厚でとっても辛いお話も沢山登場し、沢山の事を色々と考えさせられました。
    母親と娘・嫁と姑・家族とは何か…。そして国と国との関係。
    とても重かったけどとても良かった(*´ `*)

    今、この瞬間から過去になる。
    過去の事は変えられない。
    自分の力で変えられるのは未来だけ。
    そして、心に生きている間は出来事も人も死なない。
    忘れなければ生き続ける。

    縁ってあるんだよね。
    人と人との出会い大切にしなきゃね。
    過去を振り返るんじゃなくて、
    未來に向けて生きることのひとつなんだね。

    この本を読むと台湾に行きたくなります。
    本当に、いつか是非行ってみたいです( ˶´⚰︎`˵ )

  • 祖母と二人で暮らす未來。祖母は生まれ育った台湾の夢を見た。そして、台湾(台南)の家に帰りたいと未來と話しているうちに怪我をしてしまい入院をする。未來は祖母を元気付けようと台南へと旅立つ。中国語も喋れなく、台湾の歴史をよく知らぬまま旅立った未來は、現地の若い人たちに手助けられ、祖母が暮らしていただろう街・家、そして見たという「六月の花」を探す。未來を主に李さん他の人柄については薄いが、台湾の歴史、家族のこと、人との出会いは深く書けていて、乃南さんはこちらを強く書きたかったのでしょう。未來の家族の問題あり、台南で出会った家族の問題、国は違えども人は同じと気づいたこと、出会った人との縁、未來が感じたこと伝わった、台湾生まれの日本人のかたを私は身近にいないけれど、読んでていて、おばあさんや未來の感情を自分のことのように感じることができた。教科書では習わないことばかり。一瞬に過去になってしまう。おばさんのことにしても未來の今にしても乃南さんは失われてしまうことを大切に大切にしたく書いたのではないかな。未來と共に台南を旅した感じです。かすみちゃんの過去わかりませんが、悲しいです。実際のモデルの方がいたのかしら。

  • 祖母と二人で暮らす杉山未来。声優への夢が破れ契約社員として働いていたが、祖母が怪我をして入院してしまう。ちょうど契約期間が終わった未来は、祖母に元気を出してもらおうと、祖母の生まれ故郷の台湾に行く。台湾人の助けを借りながら、台湾の歴史や思想に触れるにつれ、未来の人生観にも変化が。
    台湾の地理・歴史・文化などを詳細に知ることができた。家族との係り方や、家族間の問題など、日本と台湾の話を織り交ぜながら進み、考えさせられることも。「一瞬一瞬が・・・」の箇所がとても印象に残った。

  • なんらよ〜。いろんなことが起こりすぎて、いろんな考えがぐるぐるして、考えがまとまらないじゃないか。
    夢を諦めたこと、仕事のこと、おばあちゃんのこと、台湾のこと、彼のこと。ぐるぐるぐるぐる。楽しくて悲しくて全部がごちゃまぜ。

    みんなと一緒に台南を歩いて、一緒に六月の雪を見たような気分になったよ。再読してまたみんなと会いたい。

    読後、台南旅の写真を見返している。今度台南に行くのは6月がいいなと思った。

  • 台湾人の苦労話が思った以上に長いのが苦痛だったけど
    う~ん、必要だったのかなぁ。

    とにかく、何かを踏み出すためには
    それくらいのインパクトを受けないと
    だめなのかもしれない。

  • 祖母と暮らす未來は、怪我をしてしまった祖母を元気づけるため、祖母が暮らしていた台湾を旅することにした。現地では、台湾人に助けられながら、祖母のルーツを探し、やがて未來自身のこれからを考えるようになる。

    20年以上前に台湾には旅行したことがありましたが、知識を持たずの観光旅行で、美味しいものを沢山食べただけ。
    今となってはもったいないことをしたと思います。

    かすみちゃんが魅力的。
    なので、ラストの展開には驚かされました。
    かすみちゃんにも、素敵なこれからがあれば良かったのに。

    台湾の歴史など、調べながら興味深く読みました。
    こういう出会いが出来ることが読書の醍醐味。
    大切な一冊になりました。

  • 台湾好きとしては色々な光景が目に浮かび、主人公と共に旅をしている気分。未來を案内する台湾人たちの姿も手に取るようにわかる。特にかすみちゃんは高雄を案内してくれたガイドさんにそっくり。ただ、かすみちゃんのしゃべり方については「だ行」「ら行」の曖昧さに違和感が残る。

    おそらく、未來に一つの決断を下させるために、あれだけのページ数を要したのだろう。歴史の重さ、祖母の思い、自分の淡い恋心、さらに行動を共にしてくれた人々の人生が1週間の非日常にあれだけぎっしりと詰め込まれれば、人生観が変わるのも無理はない。ただ、家族関係が複雑すぎて散漫な印象は残る。台湾で出会った女性と自分を重ね合わせる効果として設定されたのだろうが、読む側としては労力を要した。

    これまで10回余りの訪台で行ったのは台北と高雄のみ。ぜひ台南へ行きたい。食べ物のリアルな描写に惹きつけられ、読後に思わず台南のサイトへ行ってしまった。

  • 何冊もの本を読んだよう。
    読むのにエネルギーも要った。

    かすみちゃんを思うと悲しすぎます。

  • 日韓併合は1910~1945年、そして日本の台湾統治は日清戦争後1895~1945年の50年間。その後、台湾は自由のない、世界一長い戒厳令が38年間も続き、台湾人が現在のような自由を手にしてからまだ30年しかたっていないと・・・。杉山朋子は1929年生まれ16歳まで台湾で過ごした。台湾には六月の雪という小さくて真っ白な花、咲くと一面雪が降ったように見える花があった。孫の未來は、祖母の思い出の地台湾を訪れ、日本が統治していた名残を写真に撮って祖母に送る。乃南アサの509頁の大作「六月の雪」2018.5発行。

  • 台湾かぶれてる今年。
    乃南アサさんが台南を舞台にした小説を書いてると知り手を伸ばす。
    台北以外訪れたことがないため、映像として浮かばないけれど、台湾のじっとりねっとりと汗ばむ気候や、あの建物の作りを亭仔脚というと知ったり、かぶれてる自分にはたまらない気持ちで読み進めていけた。
    台湾の人は優しい とよく言われているが、そうでもないんじゃ?と思うこともあって。
    でもこの本を読むうちに、そうかそーかそうなのね…と考えさせられた。

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著者プロフィール

乃南 アサ(のなみ あさ)
1960年東京生まれ。'88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。'96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。
主な著書に、『六月の雪』『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『いちばん長い夜に』『新訳 にっぽん昔話』『それは秘密の』など多数。訪台をめぐる随筆の近著に『美麗島紀行』がある。

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