- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163908410
作品紹介・あらすじ
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは? 「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
感想・レビュー・書評
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直木賞受賞作で映画化もされたみたいですね。
臨床心理は興味があるけど、なかなか人が人の心の状態を理解するって難しいよなぁ。そんな感想になる内容でした。
いのちを大切に、何でも気軽に相談 かぁ、、
「闇」の一言では片付かないよね、皆いろいろ抱えてんだから。
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11日の本日に映画公開された作品の原作を読了。
容疑者となった彼女の心理。そこまでの人格となった様々な環境。
そして臨床心理士の由紀と弁護士の迦葉の関係。
人間の心の複雑さが垣間見えた作品でした。
難しい状況の中でも夫の我聞が優しく包んでくれてる様が心暖かくもなりました。
容疑者環菜の勾留から裁判、判決までの物語。
映画もまた見てみようと思います。 -
本書は『ファーストラヴ』と言う甘いタイトルに反して、テーマは重くて深い。
父親を殺害した女子大生・環菜が逮捕された。臨床心理士・由紀がこの事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼される。担当弁護士・伽葉と共に事件の真相や動機に迫る。環菜の幼少期の関係者からの取材によって、本当の真相が紐解かれいく。
精神的な性的虐待と毒親について考えさせられる作品。一見、父親との間に問題があるように思えても、その背景には母親との問題が潜んでいることもある。娘が母親との関係性の危うさに気づいていないことも問題である。
環菜だけでなく、由紀や伽葉も幼い時期に辛い過去があり複雑なストーリー展開になっている。終盤につれてそちらの心境も整理されスッキリとしたラストを迎える。
『ファーストラヴ』に込められてた意味を知ると切なくなった。初恋は綺麗な思い出だけでは無いなと。 -
理解されにくい、こんな形の性的虐待もあることを知りショックを受けた。
「家族」の在り方って、本当に難しいと最近つくづく思う。
特に母親から受ける影響ほど大きな物はなく、時にそれは成長していく上で、人格を変えてしまうほどに。
環菜の母親も、きっと自分の内面の闇を娘からつきつけれているようで、苦しかったと思う。
ラストに、環菜も由紀も、葉迦も抱えていたことが少し楽になったようで良かった。
我聞さんみたいな人に愛されたら、女性はすごく幸せだろうな。
映画の方もぜひ、観てみたい。
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自分が辛いと感じたことを、「世間では、常識では、こうなのだから」という理由で『辛くない』と変換してませんか?
それは、本当に我慢しなければいけないことですか?
辛いと訴えたり、逃げたり、救われようとすることは間違ったことですか?
と問いかけられているようだった。
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第159回直木賞候補作品。女子大生の聖山環菜が父親を殺したという。理由は、わからないので見つけてほしい、とのこと。臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、弁護士の迦葉(由紀とは大学時代からの仲であり、主人の血の繋がりのない弟)とともに、理由を探る。環菜の過去が、明らかにしてゆくとともに、迦葉と由紀の中もどういったものだか非常に気になって。引き込まれました。もう少し早く会っていれば…、子供の声をきく機会なく救えなかった。環菜の過去も辛すぎる。この物語でもだれか耳を傾けている人がいれば、だ。臨床心理士の由紀も家族との問題があり(どの家庭にも程度の差こそあれ問題はあると思うが)、その輪郭も含め全体的にドロドロしさがなく、でも心をしっかり書きつつ流れるように書いていたのが素晴らしかったな(事件の不快感は別として)。ファーストラブというのは、初恋ではなく、親からの愛か? 最後の方は環菜の強さが見えよかったです。
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感情移入できない自分は幸せなんだと思う。なんというか、画面の向こう側の話、という感じでした。
本筋の裁判は(特にクライマックス)面白かったのですが、主人公を取り巻く人間関係が好きでないというか、理解し難い部分が多かったです。
タイトルの「ファーストラヴ」の指すところが受け取り手によって様々だと思うのですが、私にはいまいちピンとこないまま終わってしまいました…。
著者プロフィール
島本理生の作品





