風に恋う

著者 :
  • 文藝春秋
4.10
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本棚登録 : 98
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908526

作品紹介・あらすじ

かつては全国大会連続金賞、その象徴的存在としてマスコミにも頻繁に取り上げられた黄金時代を持つ、名門高校吹奏楽部。子供の頃に演奏会で魅了された幼馴染の茶園基(ちゃえん・もとき)と鳴神玲於奈(なるかみ・れおな)は入部したものの、現在の吹奏楽部にかつての栄光は見る影もない。そこへ突然、黄金時代の部長だったレジェンド・不破瑛太郎(ふわ・えいたろう)がコーチとして戻ってきて、一年生の基を部長に任命した。部に渦巻く嫉妬とプライド、大学受験のプレッシャー、才能への不安と選抜オーディションの恐怖。一年生部長を擁する名門吹奏楽部は今年、全国大会開催の地・名古屋への切符を手にする事ができるのか。「高校時代が一番輝いてた、なんて言う大人にはなるなよ」―-コーチとして部活の真剣な舞台に戻ってきた瑛太郎は高校生との時間に何を見つけられるのか。悔いのない高校生活とは。部活動にすべてを賭ける「今」は、どんな未来へと繋がっているのか。青春小説の名手・額賀澪が紡ぎだすリアルで美しい言葉たちが奔流のごとくあふれ出し、高校時代の輝きを懐かしむ全ての大人たち、部活動に青春をささげる中高生の胸に突き刺さる!涙腺決壊の王道青春エンタメ小説!

感想・レビュー・書評

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  •  心をハンマーで叩きながら訴えてくる本に出会いました。
     僕のような年齢になって、この本で進む道がおぼろげに見えてきたかも・・・

     この本を一言で
      「好きなものを真剣に抱きしめた時間が、人を
      大きくする」。【本文より】

    【本文より】
    「何も考えないでやっいていると思うか?あいつらが悩まず練習していると思うか?たしかに高校を卒業してからも音楽を続ける奴は一握りだよ。やめる奴が大半だよ。確かにそうだよ。なのに必死で練習しているんだよ。勉強も受験も将来もコンクールのことも、二十年も生きてない子供が必死に悩みながら一生懸命やっているんだよ。親や担任に「部活ばかりやるな」って言われて、自分でもその通りだって思いながらそれでも音楽をやろうとしてるんだよ。たった数分のフレーズのために何日も何日も悩んで練習してるんだよ。一日二十四時間しかない中で必死に楽器に触ってるんだよ。」

  • 18/09/08読了
    きれいすぎるし、話の展開は想像を裏切らないし、きらきらした言葉はあるあるも多い。でも大好き。物語として、気持ちに入り込んできて、泣かされる。
    十八のときだったら、の繰り返し。瑛太郎は大人で、彼を見守る三好先生と森崎さんの配置。徳村に楓。愛にあふれてる。

    先々であのとき部活なんてやってなかったらって思って欲しくない。
    今日という時間がどれだけいいものだったかを決めるのは、明日以降の自分だ。だから、今日のためだけに生きるなよ。
    あとからなら何とでも言える。何とでも言えるのだ。だから、今を足掻くことができる。
    泣かせてやろうかと思って。
    悪いな、一人じゃ帰せない。
    お前が歩いてきた道を、正しい道にしろ。
    忘れてしまえるくらい、いい人生を送ってくれ。
    愛してる
    あらあら、若者がこんなところで泣いてるよ

  • 高校生が頑張る話は大好き。
    吹奏楽部で成長する高校生だけでなくて
    24歳の青年が成長していく様が
    描かれている。

    みんな悩みながら、考えながら成長していく。
    部活動のいいところばかりを挙げないところがよかった。

    「ブラック部活動」なんて言葉でてくるのも
    今、という感じがする。

    高校生の目線と家族の目線だけでなく
    何よりもコーチの瑛太郎の目線が描かれていることが新鮮だった。

    実り多い高校生活を送ってほしいと
    いつだって思っているんだよぉと
    親目線では伝えたかった。
    伝わってるみたいだったけど。

    いい作品です。

  • 高校の吹奏楽部で全日本での金賞を目指して頑張る高校生たち、彼らの指導をすることになった吹奏楽部の黄金時代を作り上げた伝説のOB。彼らが織り成す青春讃歌。

  • 中高、吹奏楽部だった私には「あるある!」な面がたくさんあった。ブラックな部活とは言いつつ、ちょっと理想的すぎて、現実味が薄いかな…

  • 高校生×吹奏楽の黄金青春小説。
    だけど、額賀さんはここに「ブラック部活」という今ならではの問題も盛り込んできた。そうなんだよ、部活問題、いま難しいんだよ。
    高校生って人生において最初の分かれ目なんだよね。どこに入学するか、から始まり、どの部活に入るか、どういう進路に進むか。そういう岐路に立っている三年間、大きくて重い時間。その時間を部活に捧げる高校生たち。自分の能力や才能に悩んだり折れたり去ったり、そして全うしたり。そのどの道を選んだとしても、どの道が正しかったかなんて最後までわからないわけで。後悔することもあるだろうし、思い残すことなく次の一歩を歩みだすこともあるだろうし。そんなひとつひとつの青春を丁寧に描いているのはさすが額賀さん。ブラック部活についてはいろいろ思うところがあるのだけど、それはまた別の話。

  • 前作の「完パケ!」に続き、本作も良かった!
    「拝啓、本が売れません」で作家さん事情を垣間見て、
    より応援したくなり、その後の待望の新作でしたが、期待を裏切ることのない面白さでした。
    青春ものでありながら、高校生の視点だけでなく、コーチ側の視点もある。
    そしてブラック企業になぞらえて「ブラック部活」と称し、学業と部活の両立、部活動の在り方といったテーマに切り込んで行っている。
    この点が物語に厚みを持たせていて、
    薄っぺらい青春もので終わらせなかったと思う。

    キャラクターに関して言うと、
    少しまっすぐで綺麗過ぎるきらいはあったかな。
    もう少し目を背けたくなる様なブラックな内面があった方が人間らしくて良いかも。

  • 中学時代吹奏楽に打ち込みながらも、高校では吹奏楽をやめようと決意していた茶園基。高校入学後、幼馴染の部長を訪ねて吹奏楽部に訪れた基は、自身が憧れていた黄金時代のOB不破瑛太郎に出会う。思わず、基は吹奏楽を続けることになるのだが―。

    一見して、基の成長物語。しかし物語が進むにつれ、存在感を増してくるのは瑛太郎だ。かつてテレビでも取り上げられ、周囲からの憧れを集め、栄光を手に入れたかに見える瑛太郎は、現実の前で進路を失い視界不良の日々を過ごしてきたことが分かる。

    何かを求めることの避けがたい代償について本作が教えることは多い。栄光を求めた日々は、鮮やかな無惨に他ならないのか?成功を求める道は、緩やかに加速していく失敗への下り坂なのか?

    そうではない、というのが本作の解答だろう。誰しもが逃れがたい、思春期に抱くあの高揚と万能感。それらを抱いた記憶のある人は、きっと瑛太郎の苦しみに自らを沿わせたくなるに違いない。

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著者プロフィール

額賀 澪(ぬかが みお)
1990年生まれ、茨城県行方市出身の小説家。日本大学藝術学部文芸学科卒業。2015年『屋上のウインドノーツ』で第22回松本清張賞、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞。2016年刊行の『タスキメシ』は第62回青少年読書感想文全国コンクール高等学校部門課題図書に選出され、さわや書店の「さわベス」第2位を獲得。
小説を記す一方、自らの来歴を紹介しつつ、自著を増売するための方法を求めるルポ『拝啓、本が売れません』も刊行している。
ほか、『さよならクリームソーダ』『君はレフティ』『潮風エスケープ』『ウズタマ』『完パケ!』など。近刊に『風に恋う』。

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