正しい女たち

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 390
レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908533

作品紹介・あらすじ

日常には、空洞になっているものがある。頭の片隅では意識しているのに、はっきりとは言葉にしないもの。偏見や差別、女性の年齢や容姿、金銭状況、家庭の事情、セックス。安易に触れてしまうとヤバいもの。ヤバいけれど、ヤバいだけあって、みんな本当は興味津々ーー。(本文より)セックス、結婚、プライド、老い…。話題にしにく、でも最大の関心事。その正しい姿をモチーフに描かれた、覗き見したい六つの物語。「温室の友情」「海辺の先生」「偽物のセックス」「幸福な離婚」「桃のプライド」「描かれた若さ」

感想・レビュー・書評

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  • ひやりとして静か。

  • なんともいえない女たちの物語が収められている。
    別のアンソロジーにも収録されていた、友人のために彼女を騙すこともいとわない女の話や、正しい関係の相手との正しいセックスしか楽しめないという女、離婚する相手と心穏やかに残り少ない日々を過ごす女。
    いずれも変わっているようで、案外すぐ身近にいるのかもしれない女たちの姿は、怖くて少し滑稽で薄気味が悪い。

  • 良かった。これまで読んできた千早茜さんの小説のなかでいちばん好きかも。
    ひとつひとつの動作や風景をとらえた、淡々と丁寧な描写が心地よい。登場人物も取り立てて個性的なわけではないのに、みょうに輪郭がくっきりとしていてほぼ全員に好感がもてた。

    「温室の友情」
    主人公の遼子が、大人になって自分の手元をはなれていこうとする恵奈を繋ぎ止めるためにとった行動がホラーすぎた。相手のためを思っているとみせかけて、すべて自分本意。それは遼子の自身の母親との関係性にそっくりだった、っていうオチが素晴らしい。

    「海辺の先生」
    ちいさな海辺の街に住む高校生の美優。母親はスナックを経営している。
    そこを救い出してくれるちょっとぼさっとした先生の存在は光そのもののように感じた。
    家庭教師と、生徒として。ふわふわとした二人の時間と別れは卒業と共にあっけなく終わってしまい、でもそれはあまりにも綺麗で静かで透き通っていて、きっと美優の人生の宝物になるのだろう。

    「偽物のセックス」
    性のにおいをマンション中にまき散らす隣人夫婦。嫁とはすっかりセックスレスの主人公は現場を目撃してしまい、以降オスがメスに引き寄せられるようにそこの奥さんを尾行するようになる。
    結婚しているんだからセックスするのは当たり前?結婚してするセックスが正しいセックス?不倫はまちがったセックス?
    潔癖なのかなんなのかわからない理屈は私には消化不良でもやもやした。ラストがえぐい。

    「幸福な離婚」
    タイトルが秀逸。幸福な離婚というのはたしかにある。
    ミヤとイツキ。一緒のベッドで寝てたまにセックスして互いを慈しみながら日々を暮らす二人はおだやかな夫婦だが、半年後の春には離婚すると決めている。
    おだやかというか、安らか。もうすぐ死にゆくときの冷たい気配が漂っている。
    これで終わりだと思えば、相手への憎しみや怒りも和らぎ優しくなれるものなのだろうか。虚しさと幸福が同居していてなんともいえない気持ちになった。

    「桃のプライド」
    若いときは合コンでちやほやされるのも自分だったし、メディアや業界人としての世界を羨ましがられるのも自分だった。
    三十路の今。気づけば友人はキャリアを積んで結婚もひかえ安定しているのに比べ、明日の仕事もなく未だに媚びをうりつづけ生活にも未来にも不安しかない。インスタで必死にキラキラアピールをするだけの毎日。
    そんな環の姿は現実を突きつけられているようで怖かった。中途半端なプライドにすがりついて無駄な時間を過ごしてしまうことの恐ろしさ。

    「描かれた若さ」
    婚約中の彼女の希望により、不気味な廃校舎で女子高生にかこまれながら肖像画を描かれる主人公。
    女が老いることを軽んじて嘲る男に成敗をくだすような、不穏でホラーだけどスカッとする話。高みの見物してるつもりだろうけど、男だって日々劣化してくたびれて醜くなっていくんだ。
    人生は老いてからの方が長い。しかと受け止める。

  • 幸福な離婚 が良かった。
    体調が悪いときにさすってくれるとか、そういうぬくもりからもう何年も遠ざかっていることに気づいて、少し涙…

  • 連作のようで、違う?
    恋愛に正解とかないんだろうな。
    夫婦でも、恋人でも、自分が一番正しいって思ってるかも。
    あんまり好きな話ではなかった。

  • 読んでいてどれも心の奥からドロドロしたものが出た…
    辛くて一気には読めなかった。

  • 連作短編集。
    タイトルどおり、確かに正しいかもしれない。でもどこか、狂気じみていて、読んでいてぞくっとした。
    仲良し4人で何でも話す…と言っても心の中では何を思っているのかわからない…そんな一面も。赤裸々に知り合っているのは仲良しでも私は嫌かな。


  • 2020年3冊目。
    夜中に「幸福な離婚」を読んだら、涙が止まらなくて寝られなかった。
    その時の自分がいいと思ったことを選ぶしかないし、毎日そうやって生きているのに、どうして後悔って沢山あるんだろう。大切なものやひとを見誤らずに生きたいのに、なぜかそれができない。
    そんなことを考えてたら、本当に泣けて泣けて仕方なかった。

  • 2020.1.8 読了


    短編集。
    すごく読みやすかった。

    この人のこーゆー話 嫌いじゃない。


  • 短編集。
    「幸福な離婚」が好きだったなー

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2019年 『夜に啼く鳥は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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