明治銀座異変

  • 文藝春秋 (2018年9月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784163908571

作品紹介・あらすじ

昨年、『明治乙女物語』で松本清張賞を受賞し、鮮烈なデビューを果たした著者渾身の本格歴史ミステリー!

明治維新前夜、妻、幼子とともに馬車に乗っていた英国商人が、関内で三人の侍に斬殺される事件がおきます。三人は「攘夷なり!」と叫んで逃走し、その行方は杳として知れませんでした。

それから17年後、銀座煉瓦街で鉄道馬車の馭者が、何者かに狙撃され死亡します。彼はこときれる前、「青い眼の子……」との言葉を遺しました。この意味するところは何なのか。「開化日報」の敏腕記者・片桐が幼い〝相棒〟直太郎と、事件の真相に迫ります――。

感想・レビュー・書評

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  • 堅実で細かな点までよく目配りされた作品だと思います。明治になって十数年、維新後に生まれた少女・直が出てくることによってジェネレーションギャップや新時代の芽吹き、といった部分も感じられました。前作に出てきた久蔵や藤田警部補が出てきたのも嬉しかった。

  • それほど期待せずに読んだが、意外と面白かった。
    幕末の横浜、期せずして異国の商人を斬ってしまった浪人三人組。事件は未解決のまま明治16年の本編へ突入。
    鉄道馬車の馭者が何者かに撃たれ殺される事件が発生。新聞記者の片桐と情報屋見習いの直、そして後の大山捨松が事件の真相に挑む。
    分かりやすい構図かと思っていたら、終盤になるにつれミステリアスな方向へ。
    社会が激変した時代だけに登場人物たちの前身や人生ドラマも興味深く、こうした事件やドラマもたくさんあったのだろうなと思えた。
    直が健気で素直で愛らしく、幸せになって欲しいと思いながら読んだ。

  • 松本清張賞を受賞した『明治乙女物語』の少し前の銀座を描いた物語だ。

    銀座で新聞記者として働いている片桐と、彼の助手として記事の「種」を拾う小間使いをしている直。ふたりが仲良く言い合いをしていると、馭者が銃で撃たれたために鉄道馬車が暴走する事件が起きる。
    人格者と評判の馭者がなぜ狙われたのか?
    偶然居合わせた米国帰りの才女・山川捨松とともに推理をはじめた片桐と直は、やがて、大政奉還の前に起きた不幸な事件に突き当たる・・・・。

    ちょっと関係者がひとところに集まり過ぎているんじゃないか、という思いはあったけれども、話は破たんなくまとまっていて読んでいてすんなりと胸に収まる。

    明治のはじめごろはこんな空気感だったんだろうかとふと思う。
    新しいものを取り入れることによって生まれる軋轢と、新しい風。忘れられてゆく旧来の遺物たちと、それが残すよすがが入り混じったような、そんな独特の空気を感じた。

  • 明治時代、銀座の鉄道馬車の馭者狙撃をきっかけに、新聞記者たちが維新前夜の殺人事件の謎を追う。
    混沌とした幕末や明治の新しい時代への期待感などの雰囲気がいいし、事件を追う三人のキャラも好感が持てる。事実が次々と明らかになってくる終盤はミステリとしてはスムーズすぎる気がするが、希望が持てる結末でよかった。
    松本清張賞の受賞作も読んでみたい。

  • 明治乙女物語の前夜編かと思いましたが、同じ人物は捨松さまと藤田警部と久蔵のみ。(すいません、他にもいたら指摘お願いしますw)久蔵が序盤でけっこう出てきたし、乙女物語ではキーキャラだったので、久蔵メインかと思いましたが違ったようですね。
    片桐さんの過去は事件と繋がりあるのかな?と深読みしましたが、終章に少し触れただけであまり重要ではなさそうで残念でした。
    登場人物に縛られず、本編自体は今回も最初から最後まで休む間もなくとても面白かったです。がもう少しお嬢様が出てくる内容が好みですw←

  • 直太郎ちゃん、頑張ってほしいです。

  • 大政奉還前年、開港地横浜の夜道で外国人居留地に住む英国商人が3人連れの武士に殺害された。犯人は闇に紛れ、ついに捕らわれることがなかった。
    17年後、明治16年の初夏、銀座煉瓦街で鉄道馬車の馭者が狙撃され、「青い目の子・・・」という言葉を残して逝った。
    開化日報社の敏腕記者・片桐と記者志望の幼い相棒・直が、事件の真相を探るべく動き出すとき、歴史の渦に沈んだ17年前の事件が再び世間の耳目を集めることとなる・・・

    面白かった~!
    人力車と馬車、長屋と煉瓦の家、着物と洋服など、この時代の混沌や、維新を経験した大人たちがそれぞれに抱えた鬱屈、そして新しい時代への期待感、そんな時代背景が軽妙なやり取りの中にうまく盛り込まれながら、ミステリー要素も失われない。読み進めるのが楽しくて仕方がなかった。

    岩倉具視使節団として津田梅子らと共に米国留学したという実在の女性・山川捨松が片桐たちと共に真相究明に奔走するという、フィクションとノンフィクションが入り混じった設定もなかなか面白い。

    会津藩士としてつらい過去を抱えながらも相棒の直に優しい目を向ける片桐、家庭の貧困から小学校にも行けず記者見習いとして働く直、日本語より英語が得意で変な日本語を話す捨松、イケメン人力車夫・久蔵、アウトロー的な警部補・藤原・・・登場人物が皆魅力的なのもいい。

    狙撃事件の真相が少しづつ明らかになるにつれて、17年前の事件の影が濃くなっていく。
    軽妙なタッチで描きながらも、時代を背景にした重い内容も盛り込まれ、終章での片桐の戊辰戦争への慟哭は胸を衝く。

    個人的にこの時代背景が好きということを差し引いても、全体としてとてもバランスのいい作品でした。

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