もう「はい」としか言えない

著者 :
  • 文藝春秋
3.13
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本棚登録 : 217
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908588

作品紹介・あらすじ

浮気がばれて、パリへ逃げた。そこに悪夢が待っていた。もう笑うしかない……松尾スズキ、衝撃の最新小説!二年間の浮気が、キレイにばれた。別れたくない。二度目の結婚で、孤独な生活はこりごりだ。妻の黒いヒールスリッパの鼻先に、海馬五郎は土下座するしかなかった……。無条件降伏として、仕事場の解約と、毎日のセックスを、妻から宣言された。性に淡白な海馬五郎は、追い詰められて、死すら望むものの、死ねるはずもなく、がんじがらめの日々を過ごしている。半年ほど息苦しい生活を味わった頃、海馬五郎は、フランスのエドルアール・クレスト賞の受賞を知らされる。「世界を代表する5人の自由人のための賞……?」胡散臭いものだが、パリへの旅費と一週間の滞在費を支給してくれるらしい。飛行機が嫌いで、外国人が怖い海馬五郎も、一週間は妻とのセックスを休めるというので、その誘いにのった。これが悪夢の旅になったのである。表題作『もう「はい」としか言えない』の他、海馬五郎の恥ずかしい少年時代をヴィヴィッドに描いた『神様ノイローゼ』をカップリング。天才・松尾スズキのシュールでエンタテイメント精神にあふれる、まったく新しい小説世界へようこそ!〈著者プロフィール〉一九六二年、福岡県出身。一九八八年に「大人計画」を旗揚げする。主宰として多数の作・演出・出演を務めるほか、エッセイや小説の執筆、映画監督など、その活躍は多岐にわたる。一九九七年、岸田國士戯曲賞受賞。二〇〇一年、ゴールデン・アロー賞演劇賞受賞。二〇〇六年、小説『クワイエットルームにようこそ』が芥川賞にノミネート。二〇〇八年、映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の脚本で、日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞。二〇一〇年、小説『老人賭博』が芥川賞にノミネート。二〇一八年、「大人計画」は三十周年を迎えた。

感想・レビュー・書評

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  • なにかを受賞したらしく、先入観をたっぷり持って読んだ。ストーリーは好き嫌いあるが文の転がし方やフレーズの使い方が上手いのは間違いない。頭に残るセンテンスがいくつも出てくるのを味わってもらいたい。

  • タイトルと妻から与えられたお仕置きが秀逸。

  • それなりに顔のしれた俳優、海馬五郎(松尾スズキのような俳優)。二度目の結婚。
    妻に浮気がばれた。好評されたら昨今の状況から仕事を失う
    土下座しする。1時間毎に自分の写メを背景付で送る
    毎晩のSEX。これを守らないと携帯GPSを妻のPCと連携。
    フランスの実業家から手紙が届く。海馬の20代の作品に対して賞を授与。フランスまでの旅費+賞金5000EURO。
    妻との生活から解放されるので渡仏。通訳として母フランス人、父日本人の斎藤聖(ひじり)25才。CG会社の激務で精神を病み退社。岡山の親戚宅で農業+Webデザインをほそぼそとしている。新しいタイプの若者。海馬と聖のフランス珍道中。社長は体長不良。日本人女性が対応乾。帰国子女で日本になじめずフランスで働く。社長欠席の食事会で不倫中、今日で最後にする予定と普通に話す。二日目も表彰式延期
    聖は母に会いに。海馬は一人でタクシー観光。黒人しかいない場所で降ろされる。子供のスリにバッグを取られる、警官が追いつき事なきを得る。パスポートが入っているかと思っていたら入っていない。警官から問われる。そのスキに子供スリが逃げる。警官が追う。子供が逃げ切れるように
    ホテルに戻ると聖と予想通りの美人母が会う。海馬が行きたかった場所に行っていた。夕食に誘われるが外人タイムはもういいので断る。
    翌日、乾がホテルに出迎え。不倫相手は社長。夫人が副社長なのでクビです。
    目隠しされたまま7時間ドライブ。途中でまずいランチ
    到着した場所はスイス。薄暗いビルの中ではゲイのなりきりナイト。とんでもない仮装パーティ。
    美男子聖は注目される。
    社長登場。末期癌で安楽死を希望、スイスは安楽死が認められている。安楽死に手伝いで、何を聞かれても「はい」と回答するのが受賞の条件。
    海馬は付き合う
    聖は未成年がいたので大画面を消しにいきもめた
    聖は久しぶりに会った母と暮らしてみる
    海馬は関係の修復しない妻の元へ帰る

    神様ノイローゼ
    海馬の少年時代の話 北九州の町。炭鉱の町の近く
    クラスには生活保護でクラス家庭は二つ 父親は屋根から落ち、母親は工場で切られた指を見せる
    ガタルカナルの生還者の教師が狂人。やたと殴る
    ついに一人が切れて教室を飛び出し校庭を走り回る
    驚きもせずに授業を続けた
    部門の不正を見抜けず元武士の祖父が切腹した級友
    いつもハナタレのダメ級友
    水泳教室でダメ級友に負けた時、水死体のふりをした

  • 個人の好みもあるけど、なぜ本作が第159回芥川龍之介賞候補作品に選出されたのか不思議だ。
    本屋大賞もだが、話題性と売れればいいという出版界のやらせ感がヒシヒシと感じられて残念。

    海馬五郎がリリーフランキーに脳内変換されてしまう。

  • 僕のような冒険しない人間にとって、不条理というものは結構遠くにあるものです。不条理がどんどん増幅して巻き込まれてもみくちゃにされ、それを見たり読んだりするのは非常に楽しいし、それがいい書き手だと猶更です。どちらかというと同じ主人公「海馬五郎」の子供時代を描いた「神様ノイローゼ」の方が笑えました。神様を欺くためにフェイントをかけて生活するとか、なんとなくわかる気がするんですよね。この辺の感覚をわざわざ表現できるのがすごい。

  • もう何と言っていいか分からない。 今まで読んだことのない種類のストーリー。 自分にはなかなか理解できなかったかも。 自分には、神様ノイローゼの方が分かる部分が多かった。くすってところと、あの頃はそうなんだよなぁってとこと。

  • 何だよっ!松尾スズキ!おもしろ過ぎる(笑) あっちこっちと話題が飛ぶけど、それでこそ!松尾スズキ!浮気の話も笑えたけど、出てくる人が又、変な人達で( ̄▽ ̄;) 後半のP177はアタシも思う事だった。松尾スズキ同様、人生は笑い♪で生きてるので凄い一人・・・仲間感を感じた。面白かった~~

  • 中編2編、表題作「もう『はい』としか言えない」と「神様ノイローゼ」を収める。
    いずれも主人公は、著者自身を彷彿させる、俳優兼シナリオライターの海馬五郎。
    この男が、自分が悪いのか世間が悪いのかはたまた人知を越えたナニモノかが悪いのか、のっぴきならない状況に追い込まれ、えええー?と立ち往生するような、ちょっとシュールなストーリー展開である。

    「もう『はい』としか言えない」では、五郎は浮気をし、それが妻にばれる。まったく自業自得だが、離婚は何としても避けたい彼に、妻が厳しい条件を突き付けてくる。密会場所となった仕事場の解約はともかくとして、仕事で仕方がない時以外は1時間ごとに写メを送れ、そして毎日夜のおつとめをせよ、と。しかしまぁ弱みがあるので「はい」としか言えないわけである。窮屈な生活を送る五郎に「朗報」が舞い込む。パリの富豪が創設した賞を受賞したので、現地での授賞式に出席せよというのだ。妻の監視から逃れられると色めき立つ五郎だが、実は飛行機はニガテだし外国語もまったくできない。その上、この賞、「世界を代表する5人の自由人のための賞」なるもので、なぜ大して売れていない自分が受賞するのかも謎である。ともあれ、友達に世話してもらった通訳のネクラ美青年を伴い、現地に向かうのだが、富豪はなかなか姿を現さず、ことは意外な展開に・・・。

    「神様ノイローゼ」は、五郎の子供時代の回想である。何だか理屈っぽくあれこれ考えすぎる子供。本当は1人で絵を描いたり物語を考えたりするのが好きなのだが、大人たちは周囲の子供と遊ばせようとする。子供社会の不条理なヒエラルキーでしかし、五郎は伸していくことはできない。それもこれも「神様」が決めているのだ、と少年は思い込む。何でもかんでも言い当ててしまう「サトル」の化け物の昔話のように、神様の裏をかくことはできないのか。水泳教室の昇級試験で、窮地に陥った五郎少年が取った策とは。

    全般に不思議なブラックユーモアと危ういバランス感覚が漂う。
    失笑しつつどこかうすら寒い。
    リアルさを残しつつも、理解不能な展開に迷い込むシュールさ。その境界はなかなかスリリングである。

    劇化は困難であるようにも思うのだが、何とはなしに発想が「舞台」「演劇」寄りであるように感じられる。

  • 前半の聖との爆笑珍道中から、安楽死に出会い妻や母のことを思い出す後半の旅路のギャップがすごい。

  • 2018/10/11読了。

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著者プロフィール

1962年、北九州市生まれ。第41回岸田國士戯曲賞受賞。戯曲『ラストフラワーズ』『ウェルカム・ニッポン』『業音』他。

「2018年 『ニンゲン御破算』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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