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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784163908601
作品紹介・あらすじ
その日、総務部長は社員に向けて一斉メールでカミングアウトした。「これからは女として生きていきます」。そして彼女が選んだ究極の二重生活とは?
自分らしく生きたい人に勇気を与える告白的ノンフィクション。
もうすぐ五十歳に手が届こうかという妻子もちのサラリーマン、会社では管理職。
男であることになんの疑問も持たずに生きてきたが、ふとしたきっかけで、女性になりたい自分に気づいた。最初は時折、女装して楽しむだけだったが、次第に女性として生きたいという気持ちを抑えられなくなっていく。
仕事をどうするのか、家庭をどうするのか…。微妙なバランスで家庭を壊すことなく、会社を辞めることなく、自分らしく生きる道を選ぶ。
会社での大胆なカミングアウト以降、毎日は大きく変わった。
朝、家を出るときは男装。そのまま近所のトランクルームに入り、女性服に着替え、メイクをする。仕事を終えると再びトランクルームに寄り、朝の服に着替えてメイクを落とし、帰宅する。そんな二重生活を続けている。
生まれた性と異なる性で生きる決意をしたトランスジェンダーが、それまでとほとんど変わらない社会生活を送ることはなかなか難しいという。著者は幸運でもあったが、多々困難も抱えている。
多様な性に直面する現代社会を生きる、一人のトランスジェンダーの体験記。
目次
プロローグ
第1章 初めての女装
第2章 綺麗になりたい
第3章 女性として生きていくなんて
第4章 全社にカミングアウト
第5章 外では女性、家では男性
第6章 毎日が性別越境
エピローグ
感想・レビュー・書評
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1人の妻子持ち中年サラリーマンが女性になるまでの話だ。著者は、女装をきっかけに女性になりたい自分に気づき、トライアンドエラーを繰り返しながら粘り強く女性になる道を歩んでいく。結局、妻とは以前のような仲には戻れなかったり、会社にも絶対的な拒絶を示す人がいたり、性転換におけるリアルな問題がよくみえてよかった。
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少し前に読んだ「男であれず女になれない」には、著者の(文字通り)身を切るような苦悩が綴られていたが、この著者にはそういう葛藤や絶望がほとんどない。それが一番印象的だった。
ふとしたきっかけで女装したらその魅力にはまり、どんどん突っ走っていって、ついには会社にも女性の格好で出勤し、ホルモン注射を打つようになる。願いはただただ「きれいになりたい」その一心。もちろんまったく苦しまないわけではないが(当然だ)、なんというか、それがとても現実的。どこで着替えるかとか、なかなか女性に見えないとか。アイデンティティの問題にはならないところが、これまで自分が読んだりしてきたものとは違うなあと思った。
いわゆる「女性らしさ」を無条件で肯定して、世間の目で見た「きれいな女の人」になろうとする姿勢には、まあ正直違和感たっぷりだけど、自分が心底欲するものを誤魔化さないという点は立派だ。ただ、その強さや自信は、やはり男性であるがゆえに養われたもののように思えるし、妻や子どものことをあまり気にかけていないように見えるのがどうしてもひっかかる。 -
現代の変わりゆく性の価値観の読みものとして軽い気持ちで手にとったが、ズシリとした読み応えを感じた作品。
この本は『性別』を社会的、身体的、そしてそれを抱えて生きる人間の心から見つめさせる。
でも、私は“性による個人の生き方”という領域をを描きながらも、それとは違う領域の“社会圧や、個人が生まれながらに持って生まれたもの、過ごしてきた年月で培ってきた世界観が、世間が求めているものとは違うのではないかと、疑問を抱いている多くの人たちの表情が浮かんでくるのを止められなかった。 -
図書館で見かけて面白そう!と軽い気持ちで借りてみたが、読後は当初の予想と違って少し複雑な感想をもった。単純に、生きたいように生きられて素敵!だけではないような。トランス当事者はそれぞれ異なる事情から他人にはおいそれとはわからない困難を抱えて生きているように思う(著者含め)。著者は言う「今後、もし自分について説明するときは、こう答えよう。『私は、心身ともに健康なトランスジェンダー女性です』」。これは「不健康な」トランスもいる、または多いということ?自分の信念を貫く姿勢は素晴らしい。しかしところどころでご自分が持つ特権性に少し無自覚なのかなという印象を受けた。家庭のことは家庭でしかわからないかもなのであまりとやかく言えないけれど。
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女として生きたいという気持ちは分かったのですが、ここまで家族を置き去りにして自分の主張だけをし続ける文章がただただ不快でした。高校受験を目前にした息子さんが、親の不仲に気づかないわけないし、父親の本当の顔に気づいていないと本気で思っている様が信じられません。自分の生き方を尊重するのはもちろん大事なことですが、『奥さんの理想とする生き方・家庭』を完全に無視するのはどうしてなのでしょう?
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性的マイノリティーについては、最近色々なメディアやエンタ-テイメントの中で語られる事が多くなったのでずいぶん身近な話題になってきたという印象があります。
しかししかし、自分の身の回りでいるかと言われたら数人しか思い浮かばないです。それも密にではなく友人知人程度です。
人口に対して5%程度いると言われているそうなので、もっと知っていてもおかしくなさそうですが、きっと皆首をすくめて生きていらっしゃるんだろうと想像します。
本書の岡部鈴さんも、50歳を目前にして女性として生きたい自分を発見した、一児の父です。奥様のご理解を頂けないまま、それでも自分の心に嘘をつけず少しづつ女性に近づく為に努力に努力を重ねています。
色々な葛藤もありつつ自分の生き方を追求していく姿は、同じ悩みを持っている人にとてつもなく勇気になるのではないでしょうか。女性に見える位綺麗だったり家族の理解を得られている人ではなく、女性に1mmでも近づく為にコツコツ努力をして、そして時には大胆にカミングアウトする。皆踏み出せない一歩を踏み出して着実に歩んで行く姿はかっこいいです。
奥様の葛藤は理解できるし、自分の夫が女性になるなんて到底受け入れられる話ではないと思います。なので狭量な奥様とは思わないで欲しいです。両者とも自分の心に嘘をついて生活してもいい事無いと思いますし、新しい概念を受け入れなければいけないという決まりも無いのですから。
今はLGBTにプラスしてQ(クエスチョニング=自分の性別が分からない・決まっていない)という概念がプラスされ、さらに名前の付け難いセクシャリティとして「+」と付け「LGBTQ+」というような言い方になっているようです。
自分に理解できない概念であっても、排除しない社会の成り立ちさえみんなで作っていけば次世代には必ずその概念が浸透していくと思います。 -
どうしても妻の立場で読んでしまうので、奥さんがかわいそうで共感できなかった。
文中にもあったが、著者が自分の気持ち優先で進んでいくことは妻への虐待だと私もおもう。 -
50歳に女性になりたいという気持ちに気づいた著者が書いた自らの女性化の過程。友人、職場は、カミングアウトに成功したが、家族関係は崩壊寸前。子供が独立したら離婚するのだろうなあ、という予感を残して終わっている。
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ドラマでちらっと見たことはあるが、内容はうろ覚えなので、手に取ってみた。ご本人が書かれたお話なので、もちろん本人主体なのは理解する。女装家、友達、同僚と多くのひとたちへ相談するも、一番身近な家族への心配りがなかったのが残念に思う。
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桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/619181 -
LGBTがあちこちで声を上げてきたという感じだ。今までカミングアウト出来なかったが、世間の理解が少しずつ進んできたのだろう。でも、ここまで書けるのは本人の努力があったからだ。その努力は苦しかっただろうと想像するしかないが、本人だけでなく家族もしんどかったと思う。でも、自分がしたいと思う事をするのが、誰の人生にとってもいいことだろう。
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なりたい自分になる、というのはいいことなんだろうけれど、妻子のことを気にかけているようで様々な報告は後回しだし、家族と過ごすよりもむしろ飲み会やらオフ会やら自分の趣味の集いに出かけてる(ようだ)し、もちろんここに書かなかったこと書けなかったことはあるんだろうけれど、なんか奥さんが気の毒というか、そこがどうにもスッキリしないというか・・・じゃあ家族ってなんなの、と思ってしまう。自分だったらどうだろう。兄弟が女性になったら「そっかあ」と思い、父だったら「マジ!?」と驚き、それが夫だったら「カンベンしてよ」とウンザリしそう。
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トランスジェンダー女性という生き方を選んだ岡部鈴さんのノンフィクションの作品。
LGBTQという言葉が徐々に世間に浸透してきてはいてもそれを受け入れる社会的な制度、そしてなにより受け入れる心ができていません。
性自認と生まれた性とのギャップに違和を感じるということは性自認と身体の性が一致している人にとってはまったくわからないことかもしれません。
でもLGBTQだけではなく、人は他人のことなんて本当に理解できていないのではないでしょうか。そこの一つにLGBTQがあるだけなのではないか。
そして彼ら彼女らも全員が同じ気持ち(状態)ではないということも重要なポイントです。特に日本人はカテゴライズが大好きなので、一つのボックスにまとめたがりますが一人ひとりを見ないといけません。
岡部さんは苦しかった、という感じではなかったようですが、50近くになり女装をしたことをきっかけにどんどん自分の気持ちが膨らんでいったようです。
『性同一性障害』という言葉が本の中でよく出てきます。私が一番最初に思い出すのは上戸彩が演じた金八先生の鶴本直です。彼(彼女)は性自認は男性。
ただ岡部さんは性同一性障害という言葉を使わないことを誓います。そこらへんの詳しいことは本を読んでいただきたい。
わからないことばかり、そんなことは当たり前です。私自身はそうではないのであくまで想像することしかできませんが、何事にもイマジネーションが重要。改めて問題をと考えるきっかけになっていけば・・・
ところで以前から、ゲイバーで働いている方々などがすごい直接的で下品な言葉を使うこと(ブス、オカマ、ヘンタイなど)はなんでだろうと思っていたんですけど、この本にとある一文を見つけてちょっと納得しました。
”そんな彼らの心の奥底にホモ、オカマと差別され、さらに一般の社会からは隔離されたようなこの街で働いているという、一種の自虐的な心理を垣間見ることがある from 総務部長はトランスジェンダー”
というこの文。本の主題とはあまり関係ないのかもしれませんが、すごい心に来ました。黒人たちは蔑称である"nigga"という言葉をお互いに親しいやつとして使っています。同じようなことなのかなぁと。
とにかく面白い(面白いというのは語弊がありますが)本でした。 -
映画『リリーのすべて』in日本という内容の、トランスジェンダー当事者が書いた本。ヒールの靴や露出の多いワンピース着用等、シスジェンダーの女性以上に女性らしい外見になりたいという欲望は、遺伝子や肉体的な外見の性別とは結び付いていないということを再確認させてくれる。
作者はMtFトランスジェンダーであるマイノリティ。しかしながら現代日本において、既婚男性で大手企業の正社員という点ではマジョリティで強者。作者が後者に無自覚であるように見えるのが、ちょっともやっとした気持ちにさせられた理由だと思う。
また、作者の家族の方に視点を向けてみれば、事前の相談なく、ある日自分の父/夫が去勢手術をしてきたらどう感じただろうか。私には、それは家族の構成員として誠実ではない気がしますが、それに対して作者の意識が向いていないところも含め、興味深い。 -
飲み会の企画で女装したことをきっかけに、「トランスジェンダー」になった男性の自伝的ノンフィクション。作者は47歳で妻子あり。会社では総務部長という重責を担っている。
Kindle版のセールで安くなっていたので、題名に惹かれて買って読んでみた。ものすごく引き込まれて、一気に読んでしまった。
弘兼憲史さんの『黄昏流星群』というマンガに、少し似たような話があったなあ、と思い出した。
最近は芸能人、有名人の活躍もあって、こういう人たちもあまり偏見の目では見られなくなってきたんじゃないかと思う。でもその一方で、私も含めて、世間の人はあまり正確に理解していないかもしれない。
この方のように、女性になりたいからと言って、恋愛対象が男性であるとは限らない。「トランスジェンダー」と「性同一性障害」も純粋にイコールではない。「LGBT」はこれらの総称、という理解で合っている?
とにかく、性のあり方は多様なんだ、ということがわかった。無知が偏見を生むので、もう少し調べてみたい。我々の業界でもこういう知識は必須になってくるはず。わかりやすく一冊にまとめられている本、ないかな。
そして、最も強く思ったのは、「家族の理解を得るのはそう簡単ではないだろうな」ということ。この方の場合、奥さんは最終的には少しずつ理解してくれたようだけど、息子さんはどう思うのかな……。受け入れるにはある程度の成熟が必要なんじゃないか。多感な思春期では……。
女性、特に既婚でお子さんがいる人が読むと、全く違う感想を持つんじゃないだろうか。女性の方、ぜひ読んでみてください。 -
生まれつきの生物学的な性と、自らのよりどころとする性の不一致。そうしたことに苦しむ人が少なからずいる、ということは昨今のLGBTに関する世の啓蒙というか、そんなところで頭ではわかっているのですが、「じゃあ実際そのような人はどんな人生を歩んでいるの」と具体的に知る機会は少なく、そのためにいい1冊となった。具体的な生々しい悩み、というのが伝わってきて、こうした社会的に少数派となる生き方を、単純に感覚的に拒否しないためにも、まずは当事者の生き方を知る、というのが大切だと思います。
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(たぶん)戸籍上は男性で家庭では父として夫として暮らし、通名で女性として総務部長として働いている著者の本。当事者がここまで赤裸々に語るというのはなんというか、すごい。
読んでいて「女装したい」、「女性として生きたい」というのもわかる。
けれど、本能的になんとなくの違和感がずーっとあって、なんでだろうと思っていたら「夫として父として家族と共にありたい」というのに、どういうフットワークの軽さなんだろうか、というところ。
仕事が終わって女装友達のオフに行ったり、土日にやはりオフに行ったり、メイクの勉強をしたり……なんというか。あれ、その間の家庭のことは奥さん任せなの? 家族は?という気持ちになる。
けれども、その生き方を続けて、最初は冷戦状態であった夫婦間も、会話が取り戻せるほどになったというのは……その家庭のことは外からはわからないのだろうなぁ。もしかしたら家族のことは書かないで、と言われているのかもしれない。
生きたいように生きることは、どれだけ困難なのだろう。そして困難な中、あきらめないで生きることはすごい。
あと、こういった主張をすることで、なんかこう色々言われるのかもしれないけれど、自分に都合の良い見せ方をしていないところがすごい。男らしい。
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