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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784163908793
作品紹介・あらすじ
◎生命の常識を覆す衝撃のノンフィクション◎
ヒトゲノム計画の発案や「次世代シーケンサー」の開発など、
遺伝子革命を牽引し続けてきた天才、ジョージ・チャーチ教授。
ハーバード大学にある彼の研究室には世界中から若き知性が集まり、
日夜、生物学を一変させるような研究を進めている。
そんなチャーチ教授のもとにかかってきた一本の電話と、
「氷河期パーク」を夢見る孤高のロシア人研究者との出会いによって、
マンモス復興プロジェクトが始動。そして四人の若者が集められた。
サンプル採取、DNA分析、遺伝子操作……。
ペイパル創業者ピーター・ティールも巻き込みながら、
研究チームは最先端の科学を総動員し、
「頭脳ゲーム」のような難題に次々と挑んでいく。
すべては三〇〇〇年前に絶滅した“命”をよみがえらせるために――。
【目次】
■第一部 ヒトゲノム計画前夜
第1章 孤島に取り残された最後のマンモス
第2章 北極圏に入る
第3章 ジョージ・チャーチ研究室
第4章 小さな科学者の実験
第5章 ニキータ・ジモフの帰郷
第6章 ニューヨーク万国博覧会
第7章 ヒトゲノム計画の幕開け
第8章 ハーバード大学との抗争
■第二部 永久凍土という時限爆弾
第9章 あるジャーナリストからの電話
第10章 韓国人科学者の影
第11章 マンモスか、リョコウバトか
第12章 満身創痍のロシア横断
第13章 「氷河期パーク」計画
第14章 二酸化炭素を閉じ込める
■第三部 プロジェクト始動
第15章 エース投入
第16章 老化のプロセスを逆行させる
第17章 再生へのロードマップ
第18章 サンプル採取の誤算
第19章 胎盤の運び屋
第20章 幹細胞という行き止まり
■第四部 そしてマンモスはよみがえる
第21章 捏造犯の暗躍
第22章 シリコンバレーの奇才
第23章 iPS細胞で突破口を開く
第24章 絶滅危惧種の救済法
第25章 クローン犬製造工場
第26章 「子宮を作ろう」
第27章 科学者は生命を操作する
第28章 “復活”の瞬間
第29章 孤島の目撃者
■ジョージ・チャーチ博士によるエピローグ
■あとがき 絶滅種の復活 スチュアート・ブランド
■解説 生物学に起きつつある大変革 相澤康則(東京工業大学生命理工学院准教授)
みんなの感想まとめ
最先端の遺伝子学に挑むプロジェクトが描かれており、マンモス復活を目指す研究チームの奮闘がリアルに描かれています。著者は、ハーバード大学のジョージ・チャーチ教授を中心に、科学者たちが直面する倫理的な課題...
感想・レビュー・書評
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マンモス再生計画に携わる研究者たちを追うノンフィクションである。
類書に比較して読みやすい1冊である。研究者の人となりにもフォーカスし、彼ら彼女らがどのような経緯でその研究に携わることになったのか、人間ドラマとして読むこともできる。
軸となるのはハーバード大学のジョージ・チャーチと彼が率いる研究室である。チャーチはヒトゲノム計画や次世代シーケンサー(遺伝子配列解析装置)の開発に携わってきた遺伝学界の「巨人」である。
チャーチのグループは、永久凍土に残るマンモスから、クローンをつくることを目指しているわけではない。マンモスの特徴を持ったゾウを作り、マンモスを復興(リバイバル)させることを目指している。彼らの計画は:
・マンモスの特徴を抽出する
・マンモスのゲノムデータを手に入れる
・マンモスの特徴をコードするDNAを特定する
・CRISPRを使って「マンモス遺伝子」をゾウの細胞に書き込む
・遺伝子が変換された幹細胞を作る
というものである。
厳密にはそれはマンモスなのかという点では疑問が残るが、マンモスのように振る舞うであろうとは予測される。
彼らが特に重要な特質としたのは、密生した毛、暑い皮下脂肪、小さく丸い耳、氷点に近い温度でも機能するヘモグロビンである。
マンモスゲノムは他の研究室により解読が進んでおり、これらの特徴を司る遺伝子は特定可能であった。
こうして特定した遺伝子を近縁であるアジアゾウのゲノムに切り貼りして「マンモス化」することも、CRISPR-cas9の技術により、実行可能となった。
次の山は、幹細胞である。遺伝子の書き換えができたとして、そのゲノムをさまざまな細胞に分化可能である細胞に入れなければマンモスの個体を作るという目標には近づけない。
実はゾウは幹細胞の得られにくい生物として知られていた(一方でゾウは癌にならないことも知られており、この2つには関連がある可能性もある)。
しかし、iPS細胞の技術を使用することで、これもどうにかクリアできそうになっている。
研究にあたっては、アジアゾウの細胞試料が多く必要だった。チャーチはその「お返し」として、ゾウにとっては命取りのヘルペスウイルスに対する治療法を確立することを目指し、そちらの研究にもあたっている。
実際にマンモス個体を得るには、もう1つ大きな、おそらく最大の山がある。
それは、受精卵を得て、それにマンモスゲノムを移植し、そして個体になるまで育てなければならないことである。近縁種から受精卵を得て、またその腹を借りるというのがまずは考えられる手法だが、現存のゾウは絶滅が危惧される動物である。妊娠期間も2年間と極めて長い。希少な動物の受精卵や子宮を、別の種の仔を生み育てるために借りるということが許されるのか? すでに絶滅した動物と、絶滅が危惧される動物が入れ替わるだけではないのか?
チャーチらは「人工子宮」という驚くべき策を検討している。これが成功するのかどうか、本書の時点ではわからないが、さてこの先、どのような結果が待っているのだろうか。
遺伝子編集、幹細胞操作といった分野は発展も目覚ましいが、倫理上の問題の整理が追い付いていない感がある。新たに生じる境界上の問題を解決できる倫理が育っていないと言った方がよいのかもしれない。「できること」を突き詰めていったその先に何が起こるのか。
人は本当にそれをすべきなのか。それともやめるべきなのか。それは誰が決めるのか。決めてもそこに実効性はあるのか。
毛深いマンモスの物語の向こうに、そんな不安も見え隠れする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
有り 936/メ/18 棚:20
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以前、「合成生物学の衝撃」という本を読んだのですが、その流れで手に取ってみました。
ケナガマンモスを再生しようという俄かには信じ難いプロジェクトの話です。
最先端の遺伝子学がテーマですが、専門的な解説書ではなくノンフィクションの物語の体裁なので、学術的な内容を期待していた読者の方は少々拍子抜けするかもしれません。 -
ノンフィクションでありながら、近未来の描写をちょっと入れたり、ほんのり小説テイスト。
全編通読後、結構重要なブリッジが端折られているんじゃ…といった感想を持ったりもしたが、遺伝子工学の大まかな現状とこれまでの過程がある程度分かり、また、永久凍土が失われてゆくメカニズムとそれがもたらすCO2排出の恐ろしさがヒシヒシと感じられ、スリリングでもあった。
意図して種を滅亡させることも可能だという、遺伝子ドライブなる技術も然り…。
科学者は"科学でできること"を際限なく突き詰めるのが本能であるし、その衝動及び恩恵と倫理がどこで折り合いをつけるのか、これはバイオテクノロジーを論じる時に必ず付いて回る問題であり、もちろん本書の読者に対しても例外なくその命題は示される。
個人的な感覚としては、例えば"人間に害をなす生物を改変・駆逐する"、"別の種の生物が持つ特徴を発現させる"、あるいは"飼い主の要望を受けペットのクローンを作る"などといった技術は既に超えるべきでない一線を跨いでしまっている気がするが…果たして、ジュラシックパークならぬ"氷河期パーク"は誕生するのだろうか? -
↓利用状況はこちらから↓
https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00546253 -
面白すぎて一気に通読。
現実は小説よりも奇なりというバイロンの言葉のごとく、SF小説を超えるリアルの面白さ。
これが現在にリアルに起こっていることなのか考えると、ほとばしる高揚感と未来への想像。
遺伝学世界のトップであるハーバード大のジョージ・チャーチを中心として、マンモス再生への軌跡。
現在の遺伝子工学は数十年前では考えられなかった境地にすでに今の時点で達しており、さらに加速度的にあらゆるテクノロジーの進歩が今まさに起こり続けている。
ヒトゲノム計画、マラリア撲滅運動、遺伝子移植による老化の逆行。
デザイナーズベイビーから、不死の可能性までをも匂わせる。
すでに、マンモスはハイブリッドとして現在に細胞レベルでは生き返っており、復活のその日を待っている。
マンモス復活が地球温暖化防止策として、数十億の命を救うことにつながるというのもまた面白く、人類にとっても非常重要な試みだと思わせてくれる。
遺伝学の可能性は計り知れない。
ハイブリッド人間、不老不死、それらの一大産業が一般化され一般社会に流通していく日もそこまで遠くないかもしれない。
人生100年時代どころか、150年時代が目前のように感じる。
ここ1年間で読んだ本の中でも、
トップクラスの面白さと学びを得られた良書。 -
シベリアに「氷河ワールド」を作る。
マジなんですね。
小説の形を取っていますけど実現可能な条件は整いつつあるのでしょう。3000年前はギリギリ絶滅種を再生出来るタイミングなのでしょうか。
ケナガマンモスはもちろん見たいですが、ドードーやサーベルタイガー、ニホンオオカミも見てみたいですね。
夢が広がる近未来ノンフィクションでした。 -
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マンモスを再生させるという発想が、フィクション小説を読んでいるのか、と錯覚してしまった。
物語としても、とても読みやすい。
でも、ノンフィクションなんだよな、それが、びっくり。 -
氷結マンモスなら、3−4000年前の隔離された島でのものが残っているらしくそれを、象のDNAをベースに特徴を組み替えてマンモスの特徴、ヘモグロビンがマイナス50度でも凍結しないなど、を出す。それをアジア象あるいは人工子宮を使って生み出す。というプロジェクトを追う。
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===qte===
マンモスを再生せよ ベン・メズリック著
生命操作、大義掲げた最前線
2018/9/29付日本経済新聞 朝刊
1997年、クローン羊ドリーの誕生が世に報じられ、日本でも続々とクローン牛が生まれた。当時、すぐにもクローン人間が作られるのではと騒がれていた。
その数年後には人の全遺伝情報(ゲノム情報)が解読され、2006年には山中伸弥さんによってiPS細胞が作られた。そして今、DNA配列の特定部位を切り取って効率的に書き換えられる技術CRISPR/Cas9(クリスパー/キャスナイン)が登場した。
ハーバード大学のジョージ・チャーチは、遺伝子操作技術の開発とその応用分野で、常に存在感を発揮してきた。クリスパーという魔法のはさみが手に入った今、彼は何をしているのか。その迫真のレポートが本書である。こともあろうに、3000年前に絶滅したケナガマンモス復活計画を主導しているのだ。
マンモス復活計画は過去にもあった。永久凍土に埋まっている死体から細胞をとり、ゾウを代理母にしてクローンを作ろうという目論見(もくろみ)だった。ただし、未(いま)だに実現していない。技術的に困難なのだ。しかしゾウの遺伝子を自由に書き換えられれば、マンモス化することも不可能ではない。クリスパー技術によって、それが夢ではなくなったのだ。
それにしてもなぜ、ケナガマンモスなのか。温暖化により、シベリアの永久凍土が溶け、封じ込められていた二酸化炭素が放出されつつある。マンモスなら、それにブレーキをかけられるという。大型草食獣により、凍土が踏み固められることで、解凍が逆に抑えられるというのだ。実際、シベリアで大型草食獣を放牧し実践している親子がいる。
その親子とチャーチ、そして自然保護論者の投資家がタッグを組み、本気で取り組んでいるのがこの計画なのだ。
著者は、映画「ソーシャル・ネットワーク」などの原作者。まさに映画のような構成で物語は進む。最初から映画化を考えてのストーリー展開なのだろう。異色のノンフィクションである。なるほど大義は立派かもしれない。ならばどんな生命操作も許されるのか。エンターテインメントとしては楽しめる。しかしちょっと待てよ、と考えさせる本でもある。
《評》筑波大学教授
渡辺 政隆
原題=WOOLLY
(上野元美訳、文芸春秋・2000円)
▼著者は米国のノンフィクション作家、小説家。著書に『facebook』など。
===unqte=== -
ノンフィクションであるが、構成が工夫されており読み物としてとても面白く一気に読み通す事ができた。マンモスを再生する目的が地球温暖化の抑制の為である事には驚いたがもしそれが理論上本当に正しいのならぜひ実現してほしいと思う。
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マンモスのDNAを近種と思われるゾウのDNAに書き加えることで、マンモスを再生させようとするプロジェクトがある。実現できたとしても今世紀の後半とのことだが、比較的容易だと思われる鳥類の絶滅種ではさほど遠くない話だと言う。
本書は、未来像を織り交ぜてフィクションのような体裁をとっているため、読み物として面白いのだが、本質はノンフィクションだ。遺伝子工学の進展ぶりと世間との乖離が恐ろしい。
以前「マンモスの作り方」という本を読んだ。科学的・技術的な難しさもさることながら、社会的な営み、生態系を復活させることの課題、危険性などを提起していたことを思い出した。
ベン・メズリックの作品
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