ナナメの夕暮れ

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 173
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908878

作品紹介・あらすじ

オードリー若林、待望の新エッセイ集!『完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込』から3年。雑誌「ダ・ヴィンチ」での連載に、大幅に書き下ろしエッセイを加えた、「自分探し」完結編!ゴルフに興じるおっさんなどクソだと決めつけていた。恥ずかしくてスタバで「グランデ」が頼めない。そんな自意識に振り回されて「生きてて全然楽しめない地獄」にいた若林だが、四十を手前にして変化が訪れる――。ゴルフが楽しくなり、気の合う異性と出会い、あまり悩まなくなる。だがそれは、モチベーションの低下にもつながっていて……「おじさん」になった若林が、自分と、社会と向き合い、辿り着いた先は。キューバへの旅行エッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』では第三回斎藤茂太賞を受賞。「生き辛い」と感じている全ての人に送ります。

感想・レビュー・書評

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  • 自分探しが内側から外側にまで発展していく。
    外へ向く気持ちには自分へのある程度の諦念と、絶対的な事実による逆説的な外に向けての価値の向上があった。
    私はまだまだ力があり余っていて、ネガティブが止まらない。
    卑屈さは正論を振りかざして、破壊衝動を伴い、自己嫌悪に陥りつつも、そんな自分が好きでもある自己顕示欲の中で複雑化していく。
    面倒な自分を認めながら、何かに縋りながら外に目を向けられる自分になりたいと思わせてくれる本だった。

  • 正直、前半は少々イライラしながら読んでいた。
    この人何故こんなこと書いているのか、と。
    ご本人も「あとがき」で書いておられたけれど、今回のエッセイは「青年とおっさんの狭間の不明瞭さ」が如実に表れている。

    思春期の頃から物事をナナメにしか見れなかった不器用な若林クンが、おっさんに近づくにつれ少しずつ分かってきたこと…
    外のジャッジは必ずしも正しいとは限らないこと。
    外のジャッジに気を取られすぎると、自分のジャッジが蔑ろになること。
    自分を受け止めてくれる人がこの世に「いるにはいる」ということ。
    エネルギーは必ずしも「上」に向けなくてもいいこと。
    ネガティブはあり余る体力という現実。

    何歳になっても「昨日より伸びしろが広がることがある」ことを発見した若林クン。
    自意識過剰な生き辛さから解放され楽になった、と語る若林クンなりの「自分探し」の答えに、若林クンよりちょい上の年代の私もようやくほっとできた。

  • 読んでいる途中で、共感して何度も泣きました。
    ・生きにくい
    ・自分はなぜか人と同じにできない
    ・伸びやかになれない
    ・自分で自分をしばって不自由だ

    そう感じている人には、刺さる言葉がいくつもあるのではないでしょうか。
    自分は人とは違っている、と悩んでいるのは自分だけじゃない、とわかるだけでも救いになります。
    いま私は30過ぎで「この歳になっても人と同じになれない自分」に絶望感がありましたが、この本の「自意識過剰な人間は歳をとると楽になる」という記述を読んで、歳をとることに希望が持てました。
    変わらない自分を一度受け入れて、変われることを楽しみに待ちたいと思います。

    自分の好きなこと、周りの人のいいところを私も書き出してみたいです。

  • 若林は、まんま私だ。この本を読んでそう確信した。彼の言葉を借りるなら“合う人”なのだろうと思う。

    人生をうまく生きることが出来ない人生音痴で、でもどうにかうまく生きていきたくて、うまく生きられている人を冷笑しながら憧れている。

    でも若林は歳を重ねて良い意味で丸くなり、大人のモラトリアムを卒業しようとしている。根本的なところで似た人間ではあるけど、同じような焦燥感や絶望感を、もう共有できないのだな、と悲しく思う。

    1ページ読むごとに「わたしだな」「わかるわかる」と思いながらも、この“感じ”から少しずつ離れていくのを感じて、読後はもう泣きたくなった。

    これだけ悩み続けてくれて、それを文章に残してくれてありがとう。もう自分はここにはいられないけれど、居た場所の肯定をし続けてくれてありがとう。やっぱり若林が同時代にいてよかったな、

  • やっぱり若林が好きだ。

    終盤の「体力の減退」と「あとがき」がとてもじんわりきた。
    P193あたりの、モノ作りに励む人のモチベーションに劣等感を抱く話は「あ、やっぱりそういう感覚にさいなまれる人っているんだな」と。
    たまに酒飲んだ時にそういう話を吐露しても、「いやーがんばってるじゃないですか」って方向違いの励ましを貰うことがあるんだけど、そうじゃないんだ。

    そうじゃないって思う人がいることにホッと安心した。

    この本がそれなりに売れて、若林に共感する人がそれなりにいるってことは、そういう感覚を共有できる人がこの世の中にはちゃんと一定数いて、わたしは別にそんなに変わった人ではないという安心とモヤモヤをこの本はほどよく提供してくれた。

    若林の書く文章が本当に好きです。
    これからも書き続けて欲しい。一緒に年取りたいわ笑

  • オードリー若林が自分のこれまでの人生においての気付きから、自己分析してるようなエッセイでした。

    ナナメからのモノの見方が、ちょっと変わってきている経過を教えてくれている。

    印象に残る部分として「内ではなく外に大事なものを作った方が人生はイージーだということ」という点。

    その外に対して、比べたり、蔑んだり、羨んだりするのではなく、こんな世界もらあるのか、こんな人もいるのかと、外を肯定できた方が、きっと何倍も楽しめるだろうなと思う。
    できるだけ、内も外も肯定できるように生きたい。

  • ネイティブネガティブの人の心情が
    うまく言語化されている。

    そんな彼に結婚したら?と
    周囲はアドバイスするらしいが、

    女性のネイティブネガティブに
    そんなアドバイスをくれる人はいない。

    なぜなら女は、
    明るくなければならないから。
    イルミネーションに喜ばなければならないから。

    そんな女性でなければ女性でない、と
    この人でさえそう思っているから。

    女性のネイティブネガティブが
    救われるメッセージをいつか発したい。

  • ナナメの夕暮れ
    2018/8/30 著:若林 正恭

    今のご時世「自分探し」なんて言葉は、人をバカにする時にしか使われない。この言葉には、元々無いものを一生懸命探している人の、滑稽な姿への嘲笑が含まれている。著者をそれをいい歳こいて、今までずっとやってきた人間だ。

    なぜ、自分を探さなければいけなかったか。
    それは、自分がよくわからなかったからだ。

    そんな自分探しの旅もようやく終着駅を迎える。珠玉の38の小話によりひとつの彼の答が導き出されることとなる。自分を見つけた先にあるものとは・・。

    ある日曜日の朝。
    テレビのトーク番組にて本書の著者である若林正恭氏と直木賞作家の西加奈子氏・お笑い芸人である南海キャンディーズの山里亮太氏が共演していた。

    3人の楽しくトークする様子。特に著者である若林氏がガハハと大きな口で自然体で笑う姿を見て驚いた。噂には聞いていたが「若林氏、斜に構えるのやめたってよ。」が目の前で展開されていた。その過程や目的やいきさつをどうしても知りたくなり本書を手に取った。

    失礼な表現かもしれないが本書で取り上げられる著者のあらゆる能書きはどれも心地よく自分に染み入り、理解しながら読み進めることができた。

    同世代の著者が紡ぎだす40歳を目前とした自分探しのエンディングは自分にも重ね合わせてしまうことも多かった。誰しもが大なり小なり自分探しをしてきたし、現在進行形でしている人も多い。そんなダサい自分探しをしっかりと受け止めて、ぼんやりとした答えではあるものの提示しながら前に進む姿にはかっこよさすら感じた。

    まだまだ成長できる。まだまだ頑張れると地味に背中をトンと押してくれるようなあったかくもほんのり温い思いであふれた一冊となっている。

  • 学生時代は大学でも大きなサークルの会長をしていました。
    合コンも随分しました。
    結構、盛り上げたと自負しています。
    でも、それは、本当の自分じゃないんです。
    前日からお笑いのビデオを何本も見て勉強しました。
    当然、テンションだって高まります。
    ピークの状態で合コンに臨むことが多かった。
    つまり、相当に高い下駄を履いていたということ。
    本当は大して面白くもないのに。
    だから合コンが終わると、ドッと疲れました。
    そこまでしなきゃいけないもんか? という当然の疑問も生まれました。
    ある日、弟が8畳一間のぼくのアパートにふらりと遊びにやって来ました。
    弟は、ぼくが割と派手な学生生活を送っていることを知っていました。
    その弟が、机と山積みの本(純文学が中心ね)、小さなテレビがあるばかりの、ジメッとしたぼくの部屋を見てポツリと言いました。
    「兄ちゃんって、暗いよね」
    弟に完全に内面を見透かされ、ドキリとしたことを覚えています。
    だから、本書を100%共感しながら読みました。
    ほとんど自分の事じゃないか、と声をあげそうになりました。
    スターバックスで「グランデ」と言えない過剰な自意識。
    分かります。
    自己啓発本なんて、何の役にも立たないということ。
    すごくよく分かります。
    「あそこに書いてあるのは、人生の茶帯が黒帯になる方法だ。道着すら持っていないジャージの見学が、黒帯になる方法はどこを探しても書かれていないのだ。」
    まさしく、その通り。
    自己啓発本を抵抗なく読めるのは、それだけで選ばれた人なのです。
    40歳過ぎまで、ついに選ばれなかった俺の気持ちが分かるかっ!
    すみません、つい声を荒げてしまいました。
    「価値下げによる自己肯定」だって、若い時はかなりしました。
    周りを馬鹿にすることで、自分を一段高い人間だと思い込ませるのです。
    今はSNSがあるから、そんな発信をしている人もたまに見かけます。
    自分が若いころはSNSなんてないから、あくまで心の中で他人を馬鹿にするだけ。
    でも、本書でも指摘していますが、他人を馬鹿にしていると、いずれブーメランのように自分に返ってきます。
    それが分かったのが、29歳のころ。
    手痛い経験をしました。
    それからは随分と生きやすくなった気がします。
    って、これだと全然、書評になっていないですね。
    でも、本書について真剣に語ろうとしたら、自分のことを棚に上げるわけにはいきません。
    特に、若林さんと似た性質を持つぼくみたいな人間なら、自分と向き合わざるを得なくなります。
    そして最後には、必ずや解放されることでしょう。
    ま、おっさんになれば、自然と力が抜けます。
    本書によれば、もがけるのもエネルギーがあるから。
    人生の残り時間を考えれば、他人を馬鹿にしている暇なんてなくなります。
    そんなくだらないことに時間を割くより、他者から謙虚に学ぶ方が絶対にいい。
    なお、本書に収められている「2009年とぼくと」は名作です。

  • 考えすぎてしまう、生き方音痴という若林さんのエッセイです。

    “なぜかできる人は、なぜかできない人の気持ちがわからない。(p212)”という言葉が印象に残っています。生き辛さを感じている、うまく生きることができない人間だからこそ、できないのは私だけではないのだと勇気付けられました。
    また、歳をとることで“ネガティブは、あり余る体力だ。(p195)”と感じるようになるのかな、年齢が解決してくれることもあるのかなと、少し希望も持てました。

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著者プロフィール

若林 正恭(わかばやし まさやす)
日本のお笑い芸人。「オードリー」のツッコミ担当だが、当初はボケだった。
2013年に初の著作にして代表作『社会人大学人見知り学部 卒業見込』を刊行し、2017年『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を刊行し第3回「斎藤茂太賞」を受賞している。2018年8月、『ナナメの夕暮れ』を刊行。
趣味多数、その中に読書と本の帯収集がある。「アメトーーク!」人気企画「読書芸人」の常連。

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