うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 156
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908939

作品紹介・あらすじ

空前の藤井フィーバーに沸く将棋界、突然の休場を余儀なくされた羽生世代の棋士。うつ病回復末期の〝患者〟がリハビリを兼ねて綴った世にも珍しい手記

〈このたび、先崎学九段(47歳)が一身上の都合により2017年9月1日~2018年3月31日まで休場することになりました。〉
2017年8月10日、日本将棋連盟のホームページにこんな告知が掲載されました。折しも藤井聡太四段がデビュー29連勝を成し遂げたばかり。空前の将棋ブームが到来していた最中に、羽生世代のひとりとして将棋界を牽引してきた先崎学九段が突然の休場を発表したのです。

詳しい理由が説明されなかったため様々な憶測がかわされましたが、先崎九段は実はうつ病とたたかっていたのです。本書は、エッセイの書き手としても知られる著者が自らの病の発症から回復までを綴る、心揺さぶられる手記です。

感想・レビュー・書評

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  • エキナカの書店に面出しで置いてあって、「『3月のライオン』の将棋監修者じゃんか」と軽い気持ちで軽く立ち読み、
    「ここまで淡々と鬱病への罹患→入院→回復の一部始終を脚色なく当事者が書いた本って貴重なんじゃないか?」
    と思い購入。

    そのとおり貴重な内容で、鬱病になったことのない者が鬱病というものを理解しようとする時にとても良い本だと思った。
    それと同時に将棋棋士ってホンマに将棋のことばっかり考えてんねんなとも思った。
    そういう将棋棋士独特の生き方にも触れられました。

    内容は、ちょっと引っ張られて精神が不調になったくらいのリアリティー。
    (リアリティーって表現が適切なのかは分かりませんが。臨場感?真実味?)
    あったことだけを素直に書いてあるからこその読み応えでした。

  • 将棋の世界もわかる

  • 久しぶりにヒット作。
    うつ病の体験談は数多いけれど、今まで読んだ中で一番リアルだと思った。リアルでないものって、本人が本当の?うつ病でなかったり、本当のうつ病であっても、文章化するプロでなかったりする。
    著者は将棋のプロであって、長年雑誌の連載を執筆している物書きのプロでもあり、本当のうつ病に羅漢した。だから、ものすごくリアルなうつ病患者の様子が本作品にはあった。
    あと、ものすごく偶然だと思うけど、著者の実兄が精神科医で、アドバイスがいちいち的確なのも、リアルだった。
    うつ病のリアルが分かるのはもちろんだけど、文章がうまいから、単純に読み物としても楽しめます。

  • まだ記憶に新しい藤井フィーバー。あの同時期に著者はうつ病で苦しんでおり、本書はその回復末期にリハビリを兼ねて書かれた体験記である。
    うつ病は「心」ではなく「体」の病であることが繰り返し語られるが、いったいどんな症状でどんな感覚なのかということが、とてもよく理解できた。
    なかなか戻らないという「将棋の感覚」についてのくだりが興味深かった。

  • もう焦らないで。

  • 先ちゃんのウィットと機知溢れる文章が好きで、この人のエッセイはよく読む。ただ、才気の中に危うさも垣間見えて、このニュースを聞いた時はやはり、と思った。死なずに棋界に戻ってきただけでも慶事。そして既に勝利も挙げたという。

    この本の素晴らしさは方々で言われている通り、うつ病患者が何を感じ、何に苦悩しているかを、情緒的になりすぎず、引いた視線で網羅的・徹底的に活写していることだ。そして面白い。単に鬱々としているだけの日常をこれだけのエンターテイメントに仕立て上げるのは並大抵の筆力ではない。

  • 昨年夏に発表された「一身上の都合」での休場。その裏での闘病記。休場届は所定の用紙があるわけではなく、ご自身で全て記載したため、「一身上の都合」としての発表になったとのこと。うつ病は心の病気ではなく「脳の病気」で「必ず治る病気なんだ」。「必ず治ります」お兄様が連日送られた、その一言が本当に支えになったことが伝わってきた。ご家族や棋士の先生方含め周りの方々と病を乗り越えて来られた姿が生々しく描かれている。読んでいて引き摺られる程に。

  • 請求記号 796.021/Se 75

  • うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間
    先崎学
    2018年8月1日読了。

    羽生世代の一人。多分羽生さんと同年代かな。
    一流棋士であることはもちろん、「3月のライオン」という将棋漫画の監修としても有名。他にもコラムも書いていたり文才もある。

    2017年、将棋界では藤井聡太四段のデビュー、そして29連勝とブームが巻き起こっていた。ちょうどその頃に先崎九段は「うつ病」を発症する。
    1ヶ月の精神病棟の入院。退院後のリハビリ。そして、現役復帰に向けた将棋との向き合い。
    うつ病患者目線で書かれた本ということだけでも一読の価値はある。

    うつ病とはどんな病気なのか。どんな症状が出て、どういった精神状態になるのか。
    あくまで先崎九段の主観によるもので全部の患者に等しく当てはまるとは限らないが、概ね似た症状になるのではないか。
    うつ病とは心の病ではなく、「脳の病」であること、極悪期は「死にたがる病」身体が常に怠くコールタールが貼りついてるいるような身体の重さがあるなど具体的に症状が書かれている。

    家族や親しい棋士仲間の先崎九段を想う気持ちが復帰に向けて大きな支えとなったのは読んでいてひしひしと感じるものがあった。
    そもそもうつ病を発症して入院までして、たったの1年弱で現役復帰とか相当大変な事だったのではないかと思う。
    登場する棋士を見ると交友関係も垣間見えて面白かった。個人的にはこういう棋士の間の交友関係的な部分が面白かったかな。
    中村太地王座とは、同じ故米長邦雄永世棋聖の弟子とか、鈴木大介九段が休場に当たって奔走してくれたとか、女流棋士、奨励会員の名前も挙がっていました。
    2018年8月現在。先崎九段は48歳。まだ引退するには早過ぎる。現役復帰。そして1つでも多くの勝利、活躍を期待せずにはいられない。

    「小博打のススメ」という本も出版してる。
    色んな博打の楽しみ方が紹介されててこちらもオススメ。

  • 「うつ病は心の病気ではない。脳の病気である」
    うつ病を発症したあと、闘病生活ののち現役復帰をされた先崎九段自身による手記。
    症状が最悪のところから、徐々に回復しながらも苦しんでいた日々を、(御本人は以前ほどではないと仰られてはいるものの)読み易く機知に富んだ表現で綴っている。
    世間に蔓延っている「偏見」を打ち倒したいという著者の想いが果たされるためにも、うつ病に興味がない・よく知らない人にこそ読んで欲しい名著。

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プロフィール

先崎 学(せんざき まなぶ)
1970年、青森県生まれの将棋棋士。九段。
エッセイストの側面もあり、多くの雑誌でエッセイ・コラムを持つ。羽海野チカの将棋マンガ『3月のライオン』の監修を務め、単行本にコラムを寄せている。
著書多数。代表作に『フフフの歩』、『先崎学の浮いたり沈んだり』、『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』など。

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