ドッペルゲンガーの銃

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 127
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163908960

作品紹介・あらすじ

2018年度ベスト級の謎がここに。ユーモアあふれる本格ミステリ中篇集。女子高生ミステリ作家(の卵)灯里は、小説のネタを探すため、警視監である父と、キャリア刑事である兄の威光を使って事件現場に潜入する。彼女が遭遇した奇妙奇天烈な三つの事件とは――?・密閉空間に忽然と出現した他殺死体について「文豪の蔵」・二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者について「ドッペルゲンガ-の銃」・痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人について「翼の生えた殺意」手練れのミステリ作家、倉知淳の技が冴えわたる!あなたにはこの謎が解けるか?

感想・レビュー・書評

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  • 女子高生でミステリ作家の卵である灯里。兄・大介は刑事。小説のネタ探しに兄に事件を紹介してもらう。兄と灯里と灯里を助言する者が事件を追う。密閉空間で死体「文豪の蔵」、二つの地点で同時に事件を起こす「ドッペルゲンガーの銃」、空中飛翔したとしか考えられない状況の「翼の生えた殺意」の3遍。
    灯里と大介のやりとり、助言する者が小説内の場を和ませました。謎解きのところ、読ませましたね。そういったところで楽しさと解決とダブルで楽しめる作品集でした。続編があってもいいかなあ。
    サディスティック佐田山氏のコメントがいいね。佐田山氏の鋭さ抜群。

  •  どうしたんだろう一体。このところ、倉知淳さんの刊行ペースは早い。今回は、ガチ本格の作品集だという。一見、ユーモア路線っぽい装丁。確かにユーモアという側面もある。しかし、メインはあくまで謎であり、論理的解明である。

     いわゆる本格ミステリの中には、現場が「不可能状況」になっているものがある。例えば「密室」などである。僕も含む大抵の読者は、どうせ抜け道があるのだろうと思いつつ、自ら推理することなく読み進む。そして真相が明かされると、何だよそんな手かよと、文句を言う。その「そんな手」に気づかなかったのに。

     本作でも、3通りの不可能状況が描かれる。もちろん、そこには抜け道があるが、論理的に可能性を一つ一つ検証していけば、なるほど、それ以外にないことは納得せざるを得ない。読者に、「そんな手」かよとは思わせない納得性の高さこそ、本作のすごさなのである。

     「文豪の蔵」。密室に忽然と出現した死体。殺害現場はここで間違いない。ただ一つの鍵は、肌身離さず管理されていた。どこか見落としはないか? そこかおいっ! 正直、冗長だなあと思いながら読んでいたが、ちゃんと伏線になっていたのである。盲点を見事に突いた、ありそうでなかった1編。

     「ドッペルゲンガーの銃」。離れた2箇所で同時に起きた事件。ドッペルゲンガーが起こしたとしか思えない状況の根拠は、ミステリ好きなら聞いたことがある、あの用語。そう、○○○は決して嘘をつかない。だからこそ、こんな状況が生まれてしまった。何だか悔しい気がするが、ぐうの音も出ない。

     「翼の生えた殺意」。状況からして自殺と考えられる、資産家の死。他殺だとすれば、、容疑者はたった3人に絞られるが…。本格にはお馴染みの要素がてんこ盛り。その必死の様子を想像すると、涙ぐましいけれども…これだけはちょっとずるい気がする。まあしかし、その点も含めて計算されていると言えるだろう。

     このキャラクター設定は必要なのか? とちょっと思ったが、こういうキャラクターだから、本格としてのガチさが際立つのかもしれない。

  • 新人ミステリー作家の女子高生灯里は焦っていた。受賞後二作目のプロットが全く通らないのだ。そこで、兄からアイディアを得ることにした。若くしてキャリア警察官僚のわりにぼんやりした兄に、奇想天外な事件を教えてもらうのだ。現場にも行き、そこで出会う謎につまづくが、その謎を解くのは妹でも兄でもなく……。密室の蔵に突如現れた死体、2つの地点で同時に事件を起こす分身する犯人、痕跡を残さず空を飛んで去っていった犯人の三編収録。

    構えていたよりあっさりした仕上がり。兄と灯里のやりとりも慣れてくると微笑ましく、事件もそこまで突飛でなく。確かに先祖の一件を抜いて書いたら編集さんに地味ってボツにされるのは分かるわってな仕上がり。タコ踊り始めた時は構えたけど、先祖かわいいよ先祖。軽い読み物として、シリーズ化するなら読みたいかな。

  • キャリア組の兄より女子高生の妹の方が優秀すぎるってどうよ…

  • 探偵の設定、どうなんだろう。出現の仕方も何回も続くと、、、。謎もどれもどこかで既読感が、、、。
    終わり方からすると続編があるのかもしれないが、読まないかな。

  • 事件の説明や謎解きがていねいで分かりやすい。元気な女子高生の主人公と兄やその身体を借りるものとの掛け合いも微笑ましくてやさしい一冊。のほほんと読めます。

  • ミステリィ要素は込み入り過ぎず、単純過ぎずでサクッと読むのに丁度よく、探偵役に一捻りあったのも好かった。
    が、小説だから何でもありと言えばそれまでだが、警察のインターンを詐称する高校生の小娘に、事件関係者が個人や家の内情をぺらぺら喋るというのはいただけないし、ミステリィ作家の卵という作家事情の織り込みには食傷と言わせて貰う。

    「文豪の蔵」~密室空間に忽然出現した他殺死体について~
    「ドッペルゲンガーの銃」~二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者について~
    「翼の生えた殺意」~痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人について~
    「それから」~エピローグ的なもろもろ、クリスマスプレゼントを添えて~

  • ヒロイン?の性格がどうしても好きになれなかった。
    人を人とも思わないあの身勝手さ。
    兄さんは、よく付き合ってると思う。
    事件の謎も、特段、、、
    ま、合わない作品はある、ってことで。

  • 収録作品:文豪の蔵 ドッペルゲンガーの銃 翼の生えた殺意 それから

  • +++
    女子高生ミステリ作家(の卵)灯里は、小説のネタを探すため、
    警視監である父と、キャリア刑事である兄の威光を使って事件現場に潜入する。
    彼女が遭遇した奇妙奇天烈な三つの事件とは――?

    ・密閉空間に忽然と出現した他殺死体について「文豪の蔵」

    ・二つの地点で同時に事件を起こす分身した殺人者について「ドッペルゲンガ-の銃」

    ・痕跡を一切残さずに空中飛翔した犯人について「翼の生えた殺意」

    手練れのミステリ作家、倉知淳の技が冴えわたる!
    あなたにはこの謎が解けるか?
    +++

    謎解きよりも何よりも、まず設定に目を惹かれる。警視監の息子で警部補だが、陽だまりのタンポポのようにのほほんとしている大介と、高校生ながらミステリ作家の卵の灯里(あかり)のコンビが、不可解で不思議で謎に満ちた事件現場に赴き、関係者から事情を聴いて謎解きをするのである。だがそれだけではなく、実際謎解きをするのは、また別の人物(?)であり、あまりにも無理やり感満載であるにもかかわらず、なんかあるかも、と思わせてしまうのが著者のキャラクタづくりの妙なのかもしれない。ともかく、不可思議な事件の謎は解かれ、警視庁での大介の株は上がるのだから、文句はない。愉しく読める一冊である。

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著者プロフィール

1962年静岡県生まれ。日本大学藝術学部演劇学科卒業。1994年、『日曜の夜は出たくない』で倉知淳として小説家デビュー。1997年、『星降り山荘の殺人』で第50回日本推理作家協会賞(長編部門)候補。2001年、『壷中の天国』で第1回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2002年、「桜の森の七分咲きの下」で第55回日本推理作家協会賞(短編部門)候補。

「2013年 『シュークリーム・パニック ―Wクリーム―』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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