昨日がなければ明日もない

  • 文藝春秋 (2018年11月30日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784163909301

作品紹介・あらすじ

『希望荘』以来2年ぶりの杉村三郎シリーズ第5弾となります。中篇3本を収録する本書のテーマは、「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザーを相手に、杉村が奮闘します。



収録作品――あらすじ――



「絶対零度」……杉村探偵事務所の10人目の依頼人は、50代半ばの品のいいご婦人だった。一昨年結婚した27歳の娘・優美が、自殺未遂をして入院ししてしまい、1ヵ月以上も面会ができまいままで、メールも繋がらないのだという。杉村は、陰惨な事件が起きていたことを突き止めるが……。



「華燭」……杉村は近所に住む小崎さんから、姪の結婚式に出席してほしいと頼まれる。小崎さんは妹(姪の母親)と絶縁していて欠席するため、中学2年生の娘・加奈に付き添ってほしいというわけだ。会場で杉村は、思わぬ事態に遭遇する……。



「昨日がなければ明日もない」……事務所兼自宅の大家である竹中家の関係で、29歳の朽田美姫からの相談を受けることになった。「子供の命がかかっている」問題だという。美姫は16歳で最初の子(女の子)を産み、別の男性との間に6歳の男の子がいて、しかも今は、別の〝彼〟と一緒に暮らしているという奔放な女性であった……。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて既読感があり、シリーズものかと思ったが、最後の奥付けで2017年から2018年に「オール読物」に掲載されていたものだった。探偵に記憶はあったが、筋に覚えが無い。後で見直したらシリーズ5段目とか。多分読んでいそうな気がする・・
    主人公の私立探偵は非常に好人物。大金持ちの大家さんに部屋を借りて探偵事務所を開業しているが、中々依頼者が少なくオフィス蠣殻の下請けで何とかやっている。
    この本では3つの依頼が3つの短編として描かれている。出てくる内容は探偵事務所に依頼されるぐらいなので、それなりに重い事件の影がある。内2つは警察沙汰で解決する。
    宮部さんのいつもの軽快な筆致で描かれているのと、主人公が良い人なので何とか読めるが、あまりにもクズのような人々ばかり出てくるので読み味がスッキリしない。

  • 杉村三郎シリーズ第5弾です。
    前作から私立探偵としてリスタートして良いインパクトを残した三郎くんですが、今作も面白かった。

    中編3本が収録されていますが、それぞれに特徴のある困った女性たちがテーマ。

    「絶対零度」では悪役の者たちにマジで腹立てたし、「華燭」は軽い感じで楽しめたし、「昨日がなければ明日もない」では、ハッピーエンドかと思いきや…。ハッピーエンド好きの私としては残念だが、物語としては面白かった。

    星5つに近い星4つです!

  • 杉村さんは犯罪を呼び込んでしまう「体質」を逆用して探偵業を始めた。杉村さんの願いは、「相談」が「犯罪」になってしまう前に食い止めることだ。その点で、杉村さんは正しく、杉村さんほどに適する人はいない。

    と、私は思っていた。
    「絶対零度」は、まだ慰められる部分がないわけでもない。蛎殻オフィスの所長からも、杉村さんが「もっと早くに介入できていたらと後悔が多いです」と愚痴をこぼしたことに「それは無理です。全世界を1人で背負おうとするようなものだ」と評価する。「それもそうですかね」と杉村さんも自分で自分を慰めた。

    もう一つの(短編はあと2つだけど、そのうちのひとつ)事件に関しては、杉村さんは「私立探偵の形をした石になって、私はただ立ちすくんでいた」と終わる。いろんな意味で、杉村さんは深く後悔することと思う。

    でもね、杉村さん。
    人の心は、ましてや犯罪という結果に至るまでの心の闇は、日常からダダ漏れになるタイプの小人と、私たちを含め日常はなんとかやり過ごし普通ならば人生を大過無く過ごすけど小さな人物よりもはるかに広い池にかなり大物を、黒も白も飼っているタイプの人と、あるものだと私は思います。作家の宮部みゆきさんは、ずっとそんな様々な人の闇を描いてきました。その闇は、時には時空を超える物語にさえなりました。石になる必要はありません、大丈夫ですよ。やっていけます。がんばれ。

    ひとつ気になるのは、中学1年生の漣(さざなみ)さんの明日だ。悪い条件ばかりが彼女の上にはある。けれども、人は変わり得る、良くも悪くも。いつか、その顛末を物語の中に紡いで欲しい、宮部みゆきさん。

    でももうひとつ気になるのは、杉村さんの物語が未だに2012年の5月に留まっていること。杉村さんの愛娘桃子ちゃんは、この時点で11歳である可能性が高いので今は19歳になっているはずだ。人生の岐路に立っているだろうか。その間、杉村さんは桃子ちゃんのために自分の命を顧みずに飛び込まないとも限らない大事件が、必ず起きるだろうと私は予測する。その時は短編ではなくて大長編になるだろうけれども、杉村さんの超人的な人の良さと洞察力は、その時のためにもう少し磨いて欲しい。私としてはきっと出てくるそのパートのために、あともう2〜3冊は欲しい。というのはファンのわがままかな。

  • 久しぶりに杉村三郎シリーズ。4~5年前かな?希望荘を読んだの。今多コンツェルン会長の娘と離婚した杉村三郎が探偵として「地味に良い仕事」をする。今回は困った女性との対峙。宮部作品の最も長けている所は、登場人物を丁寧に描写し、喜怒哀楽が気持ちよく伝わり、さらに心の揺れ動きも明快。ただ事件の核心に読者が容易に辿り着けないところにドキドキ感が拡大する。3話からなる面倒な女性が巻き起こす事件。全て最後で痛い(遺体)。最初の話の「絶対零度」自分が当事者だったら絶対に相手に殺意を抱くと思う程の悲壮感。流石の宮部さん。⑤

  • 宮部みゆき先生の作品は、20代の頃一気読みしてから割と遠のいていた。
    またまた会社の方からお借りできたので久々に読んでみることに。

    どうやらこの本は杉村三郎さんという探偵シリーズものらしい。

    最初の依頼人は筥崎夫人。
    娘が自殺未遂をし、一ヶ月以上入院している。
    しかし娘の夫が母親の面会を断っており、娘に会うことができない。
    娘の夫からは、自殺未遂の原因は筥崎夫人たの関係性にある。彼女はあなたに会いたくないと言っている。

    杉村探偵が真相を探るべく、動き出す。


    宮部先生ってこんなタッチの小説でしたっけ?
    あら、この感じ、とても私の好きな感じだわ、、、と気がつくと一気に引き込まれて、小説の世界に没頭。

    本書の半分くらいのところでこの一作目が幕を閉じる。
    え!?幕を閉じちゃうの!?

    そう、この本は絶対零度、華燭、昨日がなければ明日もないの短編3部作でした(^^;;

    一作目を一気に読み好き、短編に落胆して暫く放置してからの二作目、三作目。

    短編なのにとても濃い内容となっておりました。

    探偵作品なのに、ハードボイルドではなく、どちらかというとイヤミス系。

    三作読み終わり、この杉村三郎探偵のことが大好きになりました。
    穏やかで落ち着いていて、優しい人となり。

    本編は杉村シリーズ第五段のようだが、これ以外の作品も最初から読んでみたい。

    誰か
    名もなき毒
    ペテロの葬列
    希望荘

    誰かは既読だが、すっかり忘却の彼方、、、
    再読したいなぁ。。。

  • ★4.5

    『希望荘』以来2年ぶりの杉村三郎シリーズ第5弾
    本書のテーマは、「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」。
    自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、
    自己中なシングルマザーを相手に、杉村が奮闘します。


    ・「絶対零度」
    杉村探偵事務所の10人目の依頼人は、50代半ばの品のいいご婦人だった。
    一昨年結婚した27歳の娘・優美が、自殺未遂をして入院ししてしまい、
    1ヵ月以上も面会ができまいままで、メールも繋がらないのだという。
    杉村は、陰惨な事件が起きていたことを突き止めるが……。

    ・「華燭」
    杉村は近所に住む小崎さんから、姪の結婚式に出席してほしいと頼まれる。
    小崎さんは妹(姪の母親)と絶縁していて欠席するため、
    中学2年生の娘・加奈に付き添ってほしいというわけだ。
    会場で杉村は、思わぬ事態に遭遇する……。

    ・「昨日がなければ明日もない」
    事務所兼自宅の大家である竹中家の関係で、29歳の朽田美姫からの相談を受けることになった。
    「子供の命がかかっている」問題だという。
    美姫は16歳で最初の子(女の子)を産み、別の男性との間に6歳の男の子がいて、
    しかも今は、別の〝彼〟と一緒に暮らしているという奔放な女性であった……。


    2年振りの杉村三郎シリーズ。
    待ってました~読める事がとても幸せでした

  • 杉村三郎シリーズ第五作。
    帯に「杉村三郎vsちょっと困った女たち」とあるらしい。(図書館本なので帯がなくて知らなかった)

    そのフレーズ通り、今回は女性が主役の三編を収録。
    自殺未遂の末、夫が親族に会わせない女性。
    過去に姉の婚約者を奪った女性の娘の結婚式での因縁トラブル。
    何でも自分の都合の良いように解釈し攻撃する女性。

    宮部さんは、特にこのシリーズではよくぞここまでと思うほど人の悪意を描いてくれる。
    その点、若竹七海さんの葉村晶シリーズと似ている部分があるのだが、違うのは晶がもう身も心も文字通りボロボロになりながら容赦なく真実を顕にするのに対し、杉村三郎はどこか余裕がある。
    二人とも何度もピンチに陥ったりとことん辛い目に遭ったりしているのにこの違いはなんだろう。

    読んでいるだけでもこの悪意に毒されそうで、読み終えた途端に疲れがドッと来るような作品なのに、直にその悪意に触れたはずの杉村三郎がいつもと変わらぬ涼しい顔というのはそのメンタルに恐れ入る。
    勿論、内なる部分では打ちひしがれているし悲しみも怒りも後悔もあるのだけど、悪意に中てられることなく通常運転が出来るというのはすごいことだと思う。
    その辺りは男性と女性との違いなのか、人生の来し方の違いなのか。

    ここまで非常識なことが、こんなありえないことが、と思いながら読み進めつつ、現実に起こる事件を思い起こしても「こんなありえないことが」起こるから事件に至るわけで、こういうこともないとは言えない。
    勿論無いほうが良いのだけど。

    この作品から登場する立科警部補、これから杉村の良いコンビになるのか、はたまたライバルとなるのか。

  • 杉村三郎シリーズ第5弾。
    このシリーズは、いつも杉村三郎の人柄に救われる。彼自身の生活も天変地異を経ているのだが、ダメージを受けながらもどこか自分を静観していて、堅実な歩みを止めない。
    寛容さが失われつつある今の社会。ごくごく普通で真っ当な杉村三郎…名前からしてインパクトがない…の考えや行動にハッとさせられ、ホッとするのだ。

    三編収録の本作。最初の絶対零度は正直、胸くそ悪くなる(失礼)。だが、これが今の世の人の現実なのだろう。最後の表題作も、ハッピーエンドにして欲しかったなぁとどこかで思ってしまうのだが、甘くはないのだ。

    その時々の社会問題をタイムリーに物語に紡いで我々に投げかけるこのシリーズ、次も期待している。2019.1.31

  • 探偵稼業が板についてきた杉村三郎が「ちょっと困った」女達と向き合う3編。取っ掛かりは確かにちょっと、なのにそれがどんどん不穏な方向に転がっていく。その結末は容赦ないし誰にでも起こり得る可能性にゾッとする。自殺未遂をしたという娘に娘の夫が会わせてくれなくて困る「絶対零度」家族間のトラブルと思っているとまさかのとんでもない闇に突き落とされる。大家の竹中夫人と一緒に結婚式の代理出席に行く「華燭」はまだ最後救いがあってほっとした。表題作は誇張されてるけどいるよなこんな人、なので最後が理解しやすく本当に苦しい…。杉村さんの日常のほっこりする場面もあるけどその分事件パートでの牙が際立つ。やはり上手いな宮部さん。

  • 『昨日がなければ明日もない』―杉村三郎と「ちょっと困った」女たちの物語

    『昨日がなければ明日もない』は、『希望荘』から2年ぶりとなる杉村三郎シリーズ第5弾で、杉村が「ちょっと困った」女性たちと対峙する物語が展開されます。自殺未遂をした主婦、訳ありの新婦、自己中心的なシングルマザーと、それぞれが抱える深い問題を前に、杉村三郎はどのように対応していくのか。この作品群は、家族という絆の中で起こる様々な葛藤と、その影響を深く掘り下げています。

    「絶対零度」では、娘が自殺未遂をした背景にある陰惨な真実を追います。「華燭」では、結婚式という人生の節目で起こる思わぬトラブルを描き、「昨日がなければ明日もない」では、奔放な女性の背負う「子供の命がかかっている」という重大な問題に杉村が挑みます。

    これらの物語を通して、著者は、自己中心的な行動が周囲にどれほどの影響を与えるか、そしてそれでもなお杉村三郎がどう人々を救おうとするのかを描き出しています。特に、家族関係における人間同士の複雑な繋がりが、よくも悪くもなる可能性を示しています。

    中篇3本から成るこの作品集は、一見身勝手に見える人物たちがなぜそのような行動を取るのか、その背後にある深い理由や状況を理解することで、人間の多様性と複雑さを感じさせます。最後の意味深な終わり方は、次作への期待を大きく膨らませます。

    杉村三郎シリーズをすべて読破し、次作の発表を心待ちにしている今、この作品群は、現代社会のさまざまな問題を考えさせるだけでなく、杉村三郎というキャラクターの魅力を再確認させてくれました。『昨日がなければ明日もない』は、杉村三郎シリーズの中でも特に印象深い作品となり、次の物語への橋渡しとして、その役割を果たしています。

  • 杉村三郎シリーズ第5弾。
    あいかわらず闇と向き合うシリーズで、読後感も重め。
    一見普通にみえる日常の中から現れる、悪意。
    当たり前の常識と論理が通用しない人間を相手する、むなしさ。
    「絶対零度」「昨日がなければ明日もない」は、強烈なパンチ力だった。
    大家さんと中学生がさっぱりしていて、「華燭」は唯一すがすがしさがあった。
    3つの中では、まだ救いがある方。

  • オール讀物2017年11月号:絶対零度、2018年3月号:華燭、11月号:昨日がなければ明日もない、の3編の連作に加筆改稿を行い、2018年11月に文藝春秋から刊行。杉村三郎シリーズ5作目。探偵業も板についてきた杉村さんの閃き推理が楽しい。杉村さんの人柄が救いです。

  • 中編3作品、逆玉の輿から離婚で放たれ今やたまの娘との再会だけが楽しみな杉村三郎探偵の物語。宮部さんには読者の見る目も期待度もハードルが高い昨今ですね。2編目までは☆3つかなぁ?と思いつつ読んでいたけど、3作目の タイトルにもなっている作品で俄然評点が上がりました!やはり上手い。

  • 相変わらず救いのない女達が出て来るんだろうなと……覚悟はして読んだ。

    一話目は救いの無いのは女達だけではなく、後味が悪すぎる。が宮部さんの語りはうますぎてグイグイ引き込まれてしまった。
    最後、優美の目は覚めたのか?それとも好きだと言う理由だけで夫から離れられないのか気になる。
    結婚した娘がこう言う事に巻き込まれた場合、別世帯であると言うだけでとてつもない困難が立ちはだかる可能性があるんだなぁ……ゾッとする。

    2話目、結婚式のドタキャンは相当な迷惑な話だと思うのだが、あえて当日を選ぶのはあまりに身勝手なんじゃないだろうか?
    花婿の所業にも呆れて物も言えない。

    三話目。家族の中にモンスターが居たらどんなにか辛いだろう。宮部さんはよくこう言う設定を書くけど、今回はそのモンスターの娘の方も末恐ろしく背筋が寒くなった。
    親の影響でそうなってしまったのか、人によって態度が激変する様子があまりにも怖い。
    別に育てられた弟は素直に育っているみたいなので、やはり親のせいなのかと思えば気の毒だが、もう遅いみたいで今後が思いやられる。

    そして杉村三郎は探偵としてはあまりに優しすぎるが、それがこのシリーズの救いなんだろうな。
    新たに登場した立科警部補が、今後杉村が巻き込まれる事件がもっと悲惨なものになる前振りみたいでちょっと憂鬱になった。そうなりませんように!

  • 杉村三郎シリーズ。前作「希望荘」に比べると、操作手段などは、格段に探偵らしくなっていて、驚きますが、探偵として働くのだから、身についていかないとということでもありますね。最初の3作の辺りの手探り感も味だったので、ちょっと寂しい感じもあります。
    3編中2編は、小規模な事件かと思いきや、発展していくという感じで、これまでと少し毛色が変わったように感じました。しかし、このシリーズ特徴の、人の持つ悪意がキーになることと、杉村の解明していく謎が、依頼人に対して、よい展開にならないと言ったところは、これまで通りで、個人的にこのシリーズの好きなところでもあります。

    「絶対零度」
    終盤に明らかになる元々の依頼の元となる事件自体は、ひどい話としか言いようがない。
    しかし、周辺にチラチラとある過干渉や、盲目的な関係なども、何気に怖さを感じる。


    「華燭」
    3編の中では事件性は低いが、根本にある妬みなどの心情が重い。ドロドロの怨嗟の一端に触れた加奈ちゃんが気になった。

    「昨日がなければ明日もない」
    単純に怖い考えをする人の話かと思っていると、最後にガーンとくる。人の悪意が呼んだ悲劇なんだろうが、ここでも、その悪意になかで育った子が、この後どうなっていくのかと気になった。冒頭や途中では、巻き込まれてしまった感があったのに、最後は同じように悪意を持ってしまったようだったので。

    なかなかスッキリした解決感がないのが、良いところだと思っているが、今回もそこはしっかりと感じられました。

  • 探偵杉村シリーズ、3編。
    ・「絶対零度」結婚した娘が自殺を図りメンタルクリニックに入院しているが、面会できない状態だという。杉村は調べると凄惨な事件が…。
    ・「華燭」近所に住む小崎さん。小崎さんの姪の結婚式に出席することになる。小崎さんは姪のお母さん(小崎さんの妹)と絶縁している。結婚式の謎はその姉妹の問題があり…。
    ・「昨日がなければ明日もない」大家さんの知り合いで、自己中心的なシングルマザー(朽田)の依頼を受けることになる。別れた男に親権があるという子供が事故に巻き込まれ、子供の命がかかっているという。朽田の対応に周りも手を焼き、取り巻く問題を解決したが…。
    どれも後味が悪かったね。しかし、社会的な大きな悪ではなく、普段の生活の陰にありそうな悪を解決する、描いているところがいいと思います。朽田さんのような方が身近にいたら困りますが…。今回も地道に生きている杉村さんをみれて良かったです。探偵っぽくないこの路線で続けて欲しいところです。

  • シリーズものとは知らずに手に取りました。
    知らなくても十分に楽しめます。
    非常に読みやすくてさすが宮部さんだと思います。

    ただラストは嫌ミス系。

  • このシリーズは決して読み心地が良くないと重々わかっていたはずで、心して読んだのだけど、いやあこれはつらかった…。

    最初の「絶対零度」冒頭からあっという間にひきこまれて、これはまずいよ、いやな展開になる気がするよと思いながらも、ページをめくる手が止まらず、明かされた真相のむごさに打ちのめされてしまった。続く「華燭」にはそこまでのダメージは受けなかったが、最後のタイトル作で決定的に沈没。うう、しばらく立ち直れないかも。

    まったくこういうのを書かせたらみゆき姉さんはうますぎる。心のどこか柔らかいところにやすりがかけられているような気持ちになる。本当にほっとする温かさもまたあるのだが、それがかえって痛みを強くするようにも思ったり。

    信じがたいほどイヤなヤツ(本当にひどい!)が出てきて、強烈なパンチを食らうのだけど、それよりむしろずーんと重いボディブローのようにきいてくるのが、ごく普通の人たちが見せる悪意や自分本位の行動だ。たとえば「絶対零度」に出てくる、むごい犯罪に加担した娘を「巻き込まれただけ」と思う母親。こんなにイヤな気持ちになるのは、たぶん自分にも同じような面があると感じるからなんだろう。そう思わせるところが、宮部みゆきと凡百のイヤミスとの違いだと思うが、その真実味の分、痛みは深いのだった。

  • 杉村シリーズの中編が3本。
    このシリーズ独特の人間の汚い部分や、とんでもない人達がたくさん登場する。

    「絶対零度」。
    娘が自殺未遂後連絡が取れないという母親からの依頼を受ける杉村。娘はどうしているのか。
    イヤミスというか、謎が解けても全然スッキリしないし胸糞悪かったな。
    読みながら私が想像してた何倍も嫌な内容だった。宅飲みとは…。

    「華燭」。
    絶縁状態の親戚の結婚式に参列したいという中学生の付き添いを頼まれた杉村。
    絶縁した理由は、その中学生の母の結婚目前に、母の妹が結婚相手とできてしまい妊娠、母は結婚相手と別れ妹がその人と結婚したという過去があるから。
    その妹の娘の結婚式に参列しようとするが、披露宴が始まらず、破談だと騒いでる…。
    うーむ、謎が解けてもなんでそんなことするのか謎が残る話だった。

    「昨日がなければ明日もない」。
    間借りしている竹中家の孫娘の同級生とその母から依頼を受ける杉村。
    離れて暮らす小学生の息子が交通事故に遭っており、それは息子を殺すための陰謀だという。息子の心配ではなく、言いがかりをつけてお金を引っ張りたいだけの母親。
    話の通じない母親の描写は、仕事で相談を受けることが多い私には苦しくなった。
    こういう無理難題いう人、私は全く悪くない(というか無関係)なのに私に苛立ち、私に暴言をはき、私は責め立てる人、実際にいるんだもの。
    だから、まぁ一番ラストはすっきりしたような。でも、結局はずっと搾取され困らせられていた人が割りを食ってしまう現実が、つらい。
    そしてその母に育てられた娘もまた、相当なモンスター。
    姉モンスターの次は姪モンスターに搾取され続けるくらいなら、捕まって強制的に離された方が、心は平穏だろう。
    昨日がなければ明日もない。当然のことなんだけど、その「昨日」とは、本当にその人自身の昨日なのか、別の誰かの昨日ではないか。
    過去を取り上げられた人は、未来をどう描けば良いのか。
    家族の病理を見せつけられた思いだった。

  • 杉村vs"ちょっと困った"女たち 3編集。
    それぞれで困った女が出てくるのだけど本当に現実にその辺にいる本人的は普通だと思っていそうな女たちだった

    一気読み
    後味が悪いと言われるけれど、2話の娘の夫となる人の素行調査を依頼してきた件は、夫となる人がやっぱり相当のワルだったぐらいまで想像してしまっていた
    杉村は圧倒的善人なので、困った女がより強調される。困った度がこの本の程度ほどではないけど、軽く困った人というのが読み手の側のどこにでもいるから引き込まれ共感してしまうのかな
    そして、杉村さんが困った女の対処方法もきちんとできるからそこまで後味が悪くないのだとも思う
    おもしろかった

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ・みゆき):一九六〇年東京都生まれ。八七年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。『火車』で山本周五郎賞、『理由』で直木三十五賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。『霊験お初捕物控』『ぼんくら』『三島屋変調百物語』シリーズ、『きたきた捕物帖』シリーズなど著書多数。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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