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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784163909516
作品紹介・あらすじ
哲学の中心はいま、アメリカにあるのか?
ベストセラー『勉強の哲学』の直後、
サバティカル(学外研究)で訪れたアメリカの地で、
次なる哲学の萌芽は生まれるのか。
聖なるもの、信頼、警報、無関係、分身、二人称──
32のvariationsで奏でるアメリカ、新しい散文の形。
みんなの感想まとめ
アメリカでの哲学的な探求を描いたこの作品は、著者の滞在記を通じて日常の中に潜む深い思索を探ります。著者は、ハーバード大学での4ヶ月間の経験を時系列で綴り、アメリカと日本の文化や感覚の違いを鋭く捉えてい...
感想・レビュー・書評
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千葉雅也(1978年~)は、フランス現代哲学及び表象文化論を専門とする、立命館大学大学院准教授で、2013年に発表したデビュー作『動きすぎてはいけない―ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』で表象文化論学会賞を受賞した、現在注目される現代思想家のひとり。
本書は、2017年10月~2018年1月に、ハーバード大学ライシャワー日本研究所の客員研究員として米国に滞在した際の滞在記である。
内容は、4ヶ月の滞在期間について、日々、何処へ行き、何をし、誰に逢い、何を話し、何を食べ、何を感じたかが、ほぼ時系列に書かれているのだが、思想家と呼ばれる人びとが、日常の自らの身辺の事象をどのように捉え、考えているのかが垣間見られ、興味をもって読み進めることができた。
現代思想の専門的な切り口からの記述には残念ながら理解の及ばない部分もあったが、特に印象に残ったのは、アメリカ(西洋)と日本の発想・感覚の違いを語った以下のような点である。
ひとつは、英語の会話では、「How are you?」、「Have a good day!」のような、まず相手を主語に立てるという感覚があり、一方、日本語の「どうも」、「すいません」、「お疲れ様」のような言葉は一人称と二人称の区別が曖昧、或いは非人称であり、アメリカに着いた当初、この違いになかなか慣れなかったということ。
もうひとつは、日本に戻ってきて、店の店員がマニュアル的に異様なまでに丁寧なことに強い違和感を持ち、その日本の「おもてなし」と言われるものは他人への思いやりというものではなく、他人という、下手をすると荒れ狂う自然、畏れ多いものを鎮めるための儀式・地鎮祭としてのサービス過剰であり、それは西洋的な意味での人の尊厳を大事にするということとは全く違うのではないかということ。
私は、著者と同じ宇都宮高校(本書の中にも、同校在学時にAssistant Language Teacherとして英語を教えていた大学教員とボストンで偶然再会した話が出てくる)のOBで、著者の活動には関心をもっているが、今後も、現代思想の専門外の人間との距離を縮めてくれる、本書のような作品も書き続けて欲しいと思う。
(2019年9月了)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
紀行文は書き手の性格や人となりが現れるので面白い。お盆に読むには最適だ。
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"Enjoy yourself" p.19
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詩集のような言葉運びのエッセイ。アメリカが肌から伝わってくるような感じ。
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良い。こんな感じの本をずっと読んでチューニングしたい。
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この人の考え方は面白い。
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紀行文というのだろうか。このタイプの本を読んだことがない。小説のような、でも哲学書でもあるような不思議な読書体験だった。
動きすぎてはいけないを専門書として極に位置づけ、デッドラインを小説として極に位置付けるとしたら、動きすぎてはいけない→勉強の哲学→アメリカ紀行→デッドライン、という位置づけかなと感じる。
思考の裏側というか、体験の裏側というか、千葉雅也という存在を、その一部を、垣間見ているような感覚。メイキング映像(文章?)がそのまま商品になったような感覚。追体験とまではいかないけど、だからと言って、鑑賞でもない、その間の感覚。
文春オンラインの千葉雅也インタビューによると、書くことのハードルを下げること、制作行為を伝染させること、等に本書の目論見があったらしい。上記の感覚はここら辺の目論見からもたらされていたのかなと思う。読了後にすぐ感想を書き上げてしまったことも、これと無関係ではないと思う。
新年初めの読書で面白い体験をさせてもらった。
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書きすぎず、それどころか、書かなさすぎるくらいで、なんというか、とても静かなアメリカ滞在記だった。例えば、出会った人たちとの関わりも、章が変わるごとに突如切断される。そして著者はよく移動する。
ところどころ、俳句めいたものが挿入されていた。
あれは、アメリカ都市部でせわしく行き交う人たちが束の間に交わし、乾いて宙に消えていく言葉たちへのオマージュだったのだろうか。 -
こんな風合いも千葉さんぽい。
"あたらしい散文の形式、32のvariations" との 音楽的な評で、5月の終わりを楽しみにしていた。
そして、惜しみつつ一気に読み終わってしまった。
考察と繊細さと、たびたび胸打たれた当時のツイートを思い出したりもするから、フレーズから追体験するような不思議と、新たな感覚とが幾度もおこって、たのしい。
読み心地は 人それぞれかな。
果実のように酸味のあるコーヒーが、美味しそう。
タイトルの文字の色に、個人の体験と未知のものを感じる。
とても素敵な本。 -
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