まつらひ

  • 文藝春秋 (2019年1月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784163909592

作品紹介・あらすじ

『ダブル・ファンタジー』『ミルク・アンド・ハニー』……。次々に問題作に挑んできた恋愛と官能小説の第一人者が、多様な〝性〟を描きつくす!



「夜明け前」――長野県御代田町の農園に嫁いだ舞桜子は、伝統の〈龍神まつり〉が近づくたび、夫と激しくもつれ合う艶夢を見る。龍伝説の裏に隠された忌まわしい秘密とは……。

「約束の神」――ピアノ教師の友晴はかつて、幼なじみの剣児を〈神〉と崇め、永遠の約束を交わした。人気歌手となった彼と故郷・岩手県黒石町の裸祭〈蘇民祭〉に参加するが……。

「分かつまで」――写真家の秋実は、ふたまわり年上のライター穂村と、福島県の〈相馬野馬追〉を撮影に訪れた。父親のような男しか愛せない彼女はやがて、穂村の秘密を知り……。



ほか三篇を収録。〈祭〉と〈日常〉、ハレとケの裂け目をめぐる、六つの禁断の物語!

みんなの感想まとめ

多様な「性」をテーマにした短編小説集で、祭りを背景にした禁断の物語が展開されます。各短編は、登場人物の心理描写や風景描写が緻密に描かれており、読者を引き込む力強さがあります。特に、「夜明け前」では、伝...

感想・レビュー・書評

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  • あなたは『祭』が好きですか?
    
    いつもながら唐突な始まりで恐縮です。ひと言で『祭』といっても色々なものがあります。一般的には、『感謝や祈り、慰霊のために神仏および祖先をまつる行為(儀式)』のことを指すという『祭』。お祭りが好きな国民性もあってのことだと思いますが、なんと日本国内だけでも、その数は30万にも上ると言われています。そして、そんな日本各地に伝わる『祭』の中には不思議な伝説を元にしたものや、どうしてそのような行為を行うのか分からなくなってしまっているものも多々あるようです。しかし、意味が分からなくても私たちは不思議とそんな『祭』の約束事に順応できるものです。『ジャッソー、ジョヤサ、ジャッソー、ジョヤサ』と、『男たちが全員、一糸まとわぬ素っ裸で』水を掛け合うというような『祭』のワンシーンの話を聞くと、なにそれ意味不明?と思いますが、それが『家内安全の祈願』のために心身を清める行為である、と聞くと、なるほどと思ってもしまいます。今を生きる私たちは、古来から伝わるそんな『祭』の決め事に深く考えることなく付き従います。それは、そんな『祭』が生まれた古来の世の”ヒト”を知る、もしくは古来の世の”ヒト”を感じることでもあるからです。

    さらに唐突で恐縮ですが、次に『性愛』のことを語りましょう。『性愛』と言うとそれだけで目を背ける方もいらっしゃるでしょう。そこに何か汚れた世界を感じ、人前ではそんな話はしたくない、そんな風に感じる方も多いと思います。しかし、私たち人間は、一方で動物の”ヒト”でもあります。古来からこの地球の上で今までを生き抜いてきた動物の中の一つの種”ヒト”。その視点からは『性愛』は決して隠すことでもなんでもなく、この先の未来へと”ヒト”が繁栄し続けていくためには欠かせないものです。

    さて、この作品はそんな『祭』と『性愛』を描く物語です。『祭』の中に”ヒト”の『性愛』を見て、『性愛』の中に『祭』が浮かび上がるのを見る物語。そして、それは『龍神太鼓の音が響き、閉じたまぶたの裏を松明の炎が焦がす』中に、『軀の奥底で、むずがるように身をくねらせ』燃え盛る”ヒト”の欲望の中に『祭』と『性愛』の美しい融合を見る物語です。

    『艶夢、というのだろうか』と『今年が初めてではな』く、それでいて毎年同じ季節に『たびたびそういう夢を見る』のは主人公の舞桜子(まおこ)。夢の中で『いつも〈ああ、またこの夢だ〉とはっきり思う』ものの『抱き合っている相手の顔は見えなくても、それが夫の雅文』だと思い途中で目覚めることはないという舞桜子は、それが『愛の営みと呼ぶには刺激の強すぎる夢だ』と感じています。『浅間山の南麓にある』長野県御代田町で生まれ育った舞桜子。その町には『甲賀三郎伝説』というものがあり、毎年七月に『龍神まつり』という祭りが催されています。その伝説は『安寧天皇から数えて五代目の子孫』の『三男である甲賀三郎諏方』が『春日姫という美しい妻を娶った』ものの天狗にさらわるという場面から始まります。妻を必死に探す三郎。しかし、ようやく見つけた三郎は『二番目の兄・次郎諏任の奸計(かんけい)により』深い穴の底に取り残されてしまいます。しかし『仏僧たちの語る通りに身を浄め呪文を唱え』るなどして危機を脱した三郎は『次兄に奪われようとしていた春日姫』と無事に再会を果たすことができました…というものでした。そんな伝説の地に今も暮らす舞桜子はレタス農家の次男である萩原雅文の元へと嫁入りします。そんな雅文には三つ年上の兄・一臣がいました。『性格は真逆と言っていいほど違うのに、昔から兄弟仲は良かった』という二人。しかし『家業を継が』ず、家にも寄り付かなかった一臣。そんな一臣は、『父親の繁夫が亡くなってから』、なぜか『夏の繁忙期だけ』、レタスの『出荷作業を手伝いに帰ってくる』ようになりました。そんな一臣も一緒の収穫の作業の休憩時間には『四歳になった美菜が甘えて抱きついて』きます。『よーし来たかぁ』と『満面の笑みで愛娘を抱きあげ』る雅文を見て『なんて幸せなのだろうと、沁みるように思』う舞桜子。『小学校に上がるより前から、舞桜子は、雅文だけを愛していた』という幼馴染の二人。『当たり前のなりゆきのように結婚』した二人。しかし、『三年の間、子どもが生まれる気配はまったくな』く、『どうして赤ちゃんはやって来てくれないのだろう』と悩む中、『結婚四年目の秋口、ようやく子どもができた』ことに『最も喜んだのは姑の澄江』でした。『ああ、本当によかった』と喜ぶ澄江からは『雅文はほら、おたふく風邪のひどいのを、大人になってからやったでしょう』と不妊の原因の可能性を告げられていました。『ごめんねえ、つらい思いをさせたねえ』と言う澄江。しかし、『姑も、もちろん夫も、ほんとうはもう一人、男の子を望んでいるのはわかっている』と感じる舞桜子は、『産むとするならば、残り時間は少ない。急ぐ必要がある』と焦ります。一方で『夜の生活も、変わらずに充実してい』るものの『それなのに、まだ、あんな……あんな夢を見ようとは』と、『どれだけ欲求不満なのだと自分にあきれる』舞桜子。そんな日々の中、『龍神太鼓が轟き、祭り囃子が響く』という祭りの日がやってきました。そして、そんな祭りの中、衝撃的な真実が明らかになる妖艶な物語が描かれていきます…という最初の短編〈夜明け前〉。勇壮な『祭』の描写と、高まる『性愛』の描写が絶妙な融合を見せる中、まさかの真実に読者が打ち震えることになる好編でした。

    『「祭を短編集のテーマにしては?」とヒントをもらったのがきっかけです』とこの作品の誕生の舞台裏を語る村山由佳さん。『古来から祭の日にだけ許されることがある。これは性愛的な縛りとも関連が深いので、面白いモチーフになりえるのではと思』ったと続ける村山さんがこの作品で描いたのは、そんな『祭』と『性愛』の融合の先にある物語でした。六つの短編からなるこの作品では、それぞれの物語に一つづつ、日本各地に今も受け継がれている様々な『祭』が登場します。それらは決してメジャーなものではなく、この国にこんな『祭』があるのかと、その『祭』のリアルな描写を追っていくだけでもこの作品を読む価値があると思います。幾つかをご紹介したいと思います。
    〈夜明け前〉:『龍神太鼓が轟き、祭り囃子が響く。銅鑼が打ち鳴らされ、松明が燃え、やがて〈龍神〉甲賀三郎が滑るように広場へと入場する』という幕開け。『五十人からの男たちがそれぞれ支えて』、『赤い眼が爛々(らんらん)とあたりを睥睨(へいげい)し、鱗のはえた体が炎を照り返しながらうねる』と『巨大な頭部を載せた輿(みこし)』の上で『まなこを光らせ、口からはごうごうと炎を吐く』『龍神』が躍動する姿が印象的な長野県御代田町の『龍神まつり』。
    〈柔らかな迷路〉: 『ほおずき提灯(ちょうちん)と行灯(あんどん)に飾られたどんこ舟』が晩秋の夕暮れに並ぶという掘割の光景。『からたちの花が咲いたよ。 白い白い花が咲いたよ』という歌の作者で『この町で生まれ育った詩人・北原白秋を偲んで、命日である十一月二日をはさんだ前後三日間』に福岡県の柳川で行われているという『白秋祭』。
    〈約束の神〉: 『ジャッソー、ジョヤサ、ジャッソー、ジョヤサ』と声を掛け合いながら『男たちが全員、一糸まとわぬ素っ裸で瑠璃壺川(るりつぼがわ)で水垢離(みずごり)をして心身を清める』場面から始まり一晩かけて様々な催しが続き、最後に夜明けまで『御利益のある木札の詰まった麻袋』を『褌(ふんどし)姿の全員で奪い合う』という衝撃的なイベントで幕を閉じる『日本三大奇祭』の一つ、岩手県黒石町の『蘇民祭』。
    というように、知る人ぞ知る『祭』がそれぞれの短編の中で丁寧な描写をもって紹介されていきます。小説の中でこういった『祭』や、日本各地に残る風習などを紹介して一種の”紀行小説”のように書き上げた作品は多々あります。しかし、この作品はそれらとは完全に一線を画しています。特に最初の短編〈夜明け前〉が一番壮絶ですが、紹介される『龍神まつり』、そしてその元となった『甲賀三郎伝説』が物語と見事に一体化し、この伝説の存在が主人公・舞桜子を巡る物語に深い奥行きと説得力を与えていきます。もちろん、それには村山さんの筆の力を感じずにはいられませんが、それ以上に『祭』というものがこの作品でもう一つ取り上げようとされる村山さんお得意のテーマとの相性の良さをとても感じさせてくれました。

    そう、『祭』との相性の良いもの、それが『性愛』の描写です。村山さんの描く『性愛』の世界、官能小説という言い方でも呼ばれるその世界は、女性ならではの描写の柔らかさもあって、”いやらしさ”を感じるというより、夢うつつな情景をその描写に感じるような気がします。もちろん、この領域、官能小説と聞いただけで毛嫌いされる方もいるでしょうし、男性と女性の間でも受け止め方の違いもあると思います。しかし、この作品で描かれる『性愛』の世界はそのような次元を超えて、『祭』と『性愛』の融合という非常に興味深い世界観が上手く表されていると思いました。『祭は、男性性のポジティヴな面が、臆面もなく解放される限られた空間』だとおっしゃる村山さんはそんな祭の中で『神のもとで、動物の”オス”としての原始的な感覚を呼び覚まし、それを見る人々がまた興奮と魅力を覚える』と、『祭』というものの本質に目を向けられます。

    そんなこの作品で描かれていく『性愛』の世界は極めて多彩です。禁断の三角関係、近親相姦、同性愛…と、もしかするとこの言葉だけ読むと、そういうのはちょっと…と抵抗感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。私もこのテーマだけで書かれた小説であれば、ドロドロとした読後感を最後に感じることになるのだと思います。しかし、この作品は一方で『祭』を取り上げているというのがポイントです。『祭』というものは、ものによっては遥か太古から少しずつ形を変えながらも受け継がれてきたものです。その始まりは村山さんのおっしゃる通り、『原始的な感覚』に結びついていくものなのだと思います。我々の暮らす現代社会は、どこか洗練される中に、”ヒト”本来の”熱さ”を失った社会でもあります。『ジャッソー、ジョヤサ、ジャッソー、ジョヤサ』という『祭』の掛け声も、決まり事として、または『家内安全の祈願』という前提で受け継がれているだけです。しかし、その成り立ちにはきっと何かしらの理由があったはずです。しかし、そんな激しい『祭』の中に身を置く中で主人公は『この掛け声は祈禱という以前に、とりあえず互いに正気を保つためのものなんだ』ということに気づいていきます。それこそが、『祭』の本質を知ることへの第一歩ともなります。そして、そんな先にはただの綺麗事ではない、”ヒト”という”動物”の本来の感覚が目を覚まします。この感覚と『性愛』の相性が悪いはずなどありません。そんな『祭』と『性愛』の相性の良さが遺憾なく発揮されるこの作品。『プリミティヴな感覚が、読む方の中に再現されればうれしいです』と語る村山さんの描く『祭』と『性愛』の融合を見るこの作品。目の付け所の上手さをとても感じた作品だと思いました。

    『「奉る・祀る」の未然形に継続の接尾語「ふ」の付いた』「まつらふ」という言葉。柳田國男さんが『祭』の語源と語るそんな「まつらふ」という言葉を書名に冠したこの作品。そこに描かれる原始的な掛け声や古来から伝わる不思議な伝説、そして『泥だらけどころか、血まみれの怪我人も出るほどの』壮絶な『祭』など、日本各地で今も行われる様々な『祭』を取り上げたこの作品。そこに重ねられる『ほっとして目を閉じ、軀の中で響きわたる旋律に耳をすませた。彼の指が、舌が、舞桜子の軀を自在に奏でる。満ち引きする快楽は美しい音楽に似ていた』と展開する『性愛』の世界が絶妙なアンサンブルを奏でるこの作品。『祭』と『性愛』の二重唱を六つの舞台で存分に堪能できる素晴らしい作品だと思いました。

    • しずくさん
      村山さんは、昨年暮れに『風よ あらしよ』(https://booklog.jp/users/lemontea393/archives/1/B...
      村山さんは、昨年暮れに『風よ あらしよ』(https://booklog.jp/users/lemontea393/archives/1/B08JVDRDL3)で、また私の中で再燃して来た作家さんです。伊藤野枝の28歳の短い生涯を駆け抜けた壮絶な人生が克明に描かれていました。650ページを超える超大作、熱量がハンパなく、圧倒されしばらく距離を置いてまた読むつもりでしたが、すっかり失念しており、思い出しました!

      さてさてさんの感想を読み、未読の本書に、ふつふつと興味が湧いてきました。祭りはハレを代表していて高揚感が最高潮に達する舞台ですよね。祭りで結ばれ誕生した子供を、女側の村落で育てるといった風習は、かくだん珍しい話ではなかったと、女性史で読んだ記憶があります。
      そのうち読むつもりです。
      2021/10/21
    • さてさてさん
      しずくさん、コメントありがとうございました。
      私もこの作品で村山由佳さんの作品は六作目となりました。純愛と官能、そして社会派小説まで多彩に魅...
      しずくさん、コメントありがとうございました。
      私もこの作品で村山由佳さんの作品は六作目となりました。純愛と官能、そして社会派小説まで多彩に魅せてくださる作家さんという印象です。この「まつらひ」はブクログの登録者数も少ないですし村山さんの作品の中では目立たない作品なのかもしれませんが、当たり!でした。私が全く知らない日本各地の祭りの風景を堪能させていただきました。村山さんの作品も完読目指して読んでいくつもりですが、しずくさんに書いていただいた「風よ あらしよ」も早めに読んでみたいですね。興味が湧きました。ありがとうございます!
      2021/10/21
  • やっぱり村山由佳さんの文章は力強い。受け止める側も胆力がいる。今の弱っちい私じゃ無理だなあ、と感じつつも、ぐいっと引きつけて読了させてしまうのは、さすが。

    短編の一本目「夜明け前」ゾッとした!

  • 短編6つ。それぞれ短いけれど、全国の祭りをモチーフにしたひとつひとつの物語が展開します。心理描写も風景の描写も緻密に描かれていて読み応えがありました。面白かったです。

  • 村山由佳さん初読。
    祭に向かう高揚感と愛する人への感情がトルネードしとる!それは炎の色だ。


  • 長野県、岩手県、福島県、福岡県
    各地の伝統的な神事である祭りを背景に、
    人の生と性を並列して描く

    色鮮やかな物語

  • 祭りと性愛を絡めた6編からなる短編集。
    何となくドロドロしいものを想像していたけれど
    以外にもクラシック。

    お祭りにはなんとも言えない
    妖しい魅力があるよなぁ。
    色んな意味で血が騒ぐ、それが祭り。

  • 2020.6.6


    祭事、供物、神事、性行
    そして情愛

    「祭」をテーマにしたこの作品に潜む影こそ、儀式のように畏れるような「陰」の艶めきを描いている。
    村山さんの最近の、毒親やセックスレスなどで酷く傷つくことはなく、割と読みやすい方ではあった。
    …それでも辛いものはあるけれども。


    【夜明け前】
    夫と激しく交わる淫夢。実際には夫の目前で、夫の兄に犯されていた。子を作るため、義母の優しさも跡取りのため。
    呪いのような交わりを繰り返す。祭りの後の夢のような、曖昧な快楽。気づいた時の絶望感たるや…

    【ANNIVERSARY】
    題は、ユーミンの曲から。
    子供の時の何気ない願いが叶ってしまい、小学生から35歳のループの世界に閉じ込められてしまう。同じようで違う異世界で、夫と子供を残し、同じ夫と子供に出会う。
    終わり方もホラーだ。発狂しそう。毎日の何にでもないような日々こそ、ANNIVERSARYだったのに。逃れる方法は
    ヒントがあるとすれば、胸のしこり
    死 しか、抜け出すルートがないのだろうか。

    【柔らかな迷路】
    親しい上司の死が、夫婦をゆっくりと遠ざけていった。
    でも互いに想いはまだあって
    祭りの夜に、水際にてまた出会う。
    この本の中では、幸せな結末だったろうな。

    【水底の華】
    病気で突然体が不自由になった夫
    子供が欲しいが、夫を失うわけにもいかず
    寂れた温泉街、閉鎖的な世界で燻りながら生きていく小夜子
    金魚の水と、生理の生臭さ
    自由で不自由なのを重ねて嘆く

    【約束の神】
    ピアニストの過去
    いじめから自分を救ってくれた幼なじみを「神」と崇めるようになった。男同士でも支配されたい、供物になりたいと願う。
    地元の祭りの後に事故で神は死んだ
    その時から今も、動けずにいる。

    【分かつまで】
    父に犯されて育った、それ以来人を信じることができない。
    大人の男に惹かれるも、どこか膜のようなものがある。
    信頼を得て、自分を求めてくれる人が現れたら
    それは…
    死が2人を分かつまで。共にいられる存在…

  • 全体的に湿り気のある短編。

  • この人の
    性描写は綺麗だと思う。

    柔らかな迷路


    心に残った。

  • 村山さん やはり大好きだ^^ 長野の農家に嫁いだ舞桜子 龍伝説 6編のショートストーリー 

  • 全国各地のさまざまな祭りを物語のキーにした短編集だ。
    どの短編も性愛が前面に押し出されて語られており、どこかざらついた印象を残す。

    露悪的、というのか、あえて薄気味悪い部分や歪な関係を押し出すように語っていて、不快さを意識させる短編が多かった。

  • まつりにまつわる6編の話。
    村山由佳にしては、パンチがいまひとつかな~

  • 各地の祭と性の交差する夜の物語。
    anniversaryが異色で面白かった。
    [図書館・初読・4月6日読了]

  • 「まつらふ」という言葉がある。古語で「従う」「服する」を意味し、「まつる(奉る)」に由来する語だ。民俗学者・柳田國男は、この語を「祭り」の源に結びつけたという。

    本書は、その「祭り」を軸に据えた短編集である。長野・御代田町の龍神まつりにはじまり、浅草寺のほおずき市、柳川の白秋祭、野沢温泉の道祖神祭、黒石の蘇民祭、そして相馬野馬追――各地の祭礼が舞台として選ばれている。

    古来、祭りは日常の外側にある時間だった。農耕社会において、人々の願いは豊穣に尽きる。だがその成否は、自然という不可視の力に委ねられていた。ゆえに祈りが生まれ、共同体の営みとしての祭りが形づくられる。

    五穀豊穣と子孫繁栄が、やがて同じ地平に置かれていくのも、その流れの中にある。生をつなぐという一点で、両者は重なり合う。祭りの場におけるある種の解放も、そこから理解できる。

    本書は、その非日常の時間に身を置いた人々の姿を描く。舞台は祝祭でありながら、そこに現れるのは抑えきれない欲望や、言葉にならない衝動である。

    従うことと、逸れること。

    そのあわいに立ち上がるものを、静かに掬い取った作品である。

  • 村山由佳はブラックとホワイトがあるから、予めどこかに明記して欲しいんだけど、これはホワイトテイストを加えたブラック。ブラック側は、どうしても性描写過多で苦手。

  • 短編集だった。がっかり。
    目次を見てからかったけどわからなかった。一応よんだけどね
    一つずつ面白かったけどだからといってどうということはない。

  • 「夜明け前」「ANNIVERSARY」「柔らかな迷路」
    「水底の華」「約束の神」「分かつまで」
    6話収録の短編集

    モチーフとなっているのはタイトルにもなっている祭。

    各所の祭と日常、そこに性愛を絡め、妖しく幻想的でありながら現実を生き抜く男女の熱い想いを感じた作品。

    印象深いのは、悪意を隠し、うわべだけの善意とエロティシズムをミックスさせた「夜明け前」

    村山作品にしては珍しいタイムスリップ物「ANNIVERSARY」は新鮮な面白味と恐怖を感じた。

    陰鬱な空気感の中で描かれる「水底の華」も惹きつけられる。

    贅沢で味わい深い作品集。

  • 実在する祭りをモチーフに編まれた短編集。
    村山由佳は恋愛小説のイメージが強いかと思いますが、実はデビュー作はファンタジー小説。
    日本に限らず、祭りは神聖なものであり、さらに言うとかなりエロティックな要素を含んだものも多いですが、そんなモチーフと村山由佳の作風はぴったり。

    収録されている作品によって、どエロいやつから切ない話まで振り幅が大きくて、これまで色々な小説を書いてきたからこそだなあという纏まり方でした。

    『ダブルファンタジー』以降、官能作家みたいなイメージがつき過ぎているのが往年のファンとしては少々不本意です。
    本作でも存分に味わえますが、村山由佳の真骨頂は、自分もその場で一緒に見ているんじゃないかと思えるくらいの緻密で美しい風景描写だと思っています。
    祭りの描写の美しさは必読。

  • 3.8祭りを通して描かれるさまざまな愛の形。近親相姦の話には共感なし。愛は、心か性かいろいろ考えさせられる。女性の告白を聞くかのような物語。

  • 長野県御代田町の農園に嫁いだ舞桜子は伝統の龍神まつりを前に、夫と激しく交わる艶夢をたびたび見る-。<祭>と<日常>、ハレとケの裂け目をめぐる、6つの禁断の物語。『オール讀物』『別册文藝春秋』掲載に加筆・改稿。

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著者プロフィール

村山由佳
1964年東京都生まれ。立教大学卒業。93年『天使の卵——エンジェルス・エッグ』で「小説すばる新人賞」を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で「直木賞」を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』では、「中央公論文芸賞」「島清恋愛文学賞」「柴田錬三郎賞」をトリプル受賞を果たす。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村山由佳の作品

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