中野のお父さんは謎を解くか

  • 文藝春秋 (2019年3月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784163909943

感想・レビュー・書評

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  • 『中野のお父さん』シリーズ2冊目。娘とこんな話をできたらなぁという古書マニアのお父さんの願望がつまったお話なのでは。太宰のガスコン兵が出てくる『春の盗賊』、佐野洋子の『恋愛論序説』を読んでみたくなった。

  • シリーズものの2作目と知らずに読んだ。もっと文学に造詣が深かったらなあ、と思った。徳田秋声も里見弴も読んでないので、いまいちピンとこない。
    松本清張も熟読したわけでもない。ただ、似た作品というものはあり、それを剽窃のように言われたら腹立たしいだろうなあ、という気持ちは分かる。
    謎解きも人は死なないので、安心感はあるが、さらりとしすぎていて、印象に残らないのが残念。

    「せっかちだと、色々なものを捨てることになる。粗筋や結論だけ知っても、読んだことにはならない。大事なのはむしろ、無駄なこと、本論以外のところにある」
    「膨らみのないものは駄目だ。面倒なこと、時間のかかること、よく噛まないと飲み込めないようなところに、物事の味わいもあるんだがなあ」というせりふが良かった。

  • 文芸愛に満ちたいい本。お父さんは北村薫さん自身がモデルなんでしょうか。
    全話よかったけど、「キュウリは冷静だったのか」が謎解きとしては1番スマートで、かつ夫が妻に解説をしなかった理由がすごくしっくり来た。
    北村薫さんの本は結構久しぶりだったけど、安心してドキドキできます。

  • 『中野のお父さん』続編。
    老舗出版社の編集部で、月刊誌「小説文宝」の編集者を努める田川美希(たがわ みき)。
    都内で一人暮らしをしているが、実家は中野にあって、ときどき里帰りしてはホッと一息ついて英気を養い、高校教師をしている父に相談事をしては知恵を拝借している。

    嬉しい第二弾。
    相変わらずお父さんの推理は鋭く、なんと、話す前から質問の内容まで分かってしまうという神業を連発!
    しかし、前回よりも美希は編集者として頼もしくなったなあ~と感じるとともに、お父さんが自分の記憶力を嘆いたり、体調を崩したりと、老いを感じる描写があって少々寂しい。
    いつまでも元気で、謎解きをしていただきたいのだけれど。

    美希の仕事柄、お父さん以外にも、更に年配の先生方との交流がある。
    長年蓄えられた知識と知恵、生き方などをじかに見聞きすることのできる美希の仕事は素敵だなと思う。
    それとともに、若い編集者たちの日常もなかなかに爽やかで甘酸っぱい。


    「縦か横か」
    "意外な犯人"のはなし。

    「水源地はどこか」
    松本清張、古き日の屈辱を小説に昇華?

    「ガスコン兵はどこから来たか」
    実は太宰治のコンプレックス…

    「パスは通ったのか」
    パスは自分宛てじゃなかったんだな…あとで分かる

    「キュウリは冷静だったのか」
    長年連れ添った夫婦の感慨

    「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」
    本は、作者の意図しない読み方をされることもあるが…

    「火鉢は飛び越えられたのか」
    尾崎紅葉の弟子ふたり。泉鏡花が徳田秋声につかみかかったわけは…?

    「菊池寛はアメリカなのか」
    なぞなぞを出します。
    男の中心でブラブラしてるもの、な~んだ?
    肉体じゃないですよ?

  • 「小説文宝」の編集者・田川美希が出版社の日常でぶつかる様々な謎。日常の謎、文豪にまつわる謎、どこをどう調べてもわからないとき美希が駆け込むのは中野の実家。
    高校の国語教師のお父さんは、そんな謎をいとも簡単に解決してしまう。お父さんの名推理が光る、安楽椅子探偵ならぬ掘り炬燵探偵「中野のお父さんシリーズ」第2弾は8つの短編。

    今回も謎はバラエティに富んでいる。だけど、このシリーズの愉しみは、メインの謎解きだけではない。
    シリーズ第2弾ということで勝手がわかってきたからか、頁を開いた瞬間から始まる編集部での美希と同僚、上司とのほのぼのとした関係、担当の作家さんとの機知に富んだやり取り、実家の父母との思いやり溢れる会話、それらすべてが心地よく、洒落も効いていて思わずにまにま。

    謎の合間に挟まれる小ネタも「ほ~」と目から鱗で、それだけでも十分楽しめるし、もちろん文豪の謎も読み応え抜群。
    すっかり、お父さん目線(お母さんではなく)で読んでしまって、こんな風に娘が自分をあてにして実家に帰って来てくれるなんて嬉しいだろうな~となんだか他人事ながらジンワリ。

    なんとなく美希のロマンスに繋がりそうな人物も登場したりして、今後もこのシリーズから目が離せません。

  • ★私の一番の絵本は、父の描いてくれた、あの漫画かも知れない。(p.233)
    小説の形をした文芸エッセイのようにも見える第二段/雑談のようななかで謎が出てきたりヒントがあったり/リアルでもありそうな小さなでもちょっと気になる謎とその解

    【一行目】「また、来たわよ」

    【縦か横か】意外な犯人、意外な正体。

    【水源地はどこか】松本清張の盗作疑惑と荒正人の思い。個人的に思い入れのある中村眞一郎さんや福永武彦さんの名前も出てきて「おや?」と。

    【ガスコン兵はどこから来たか】太宰治とガスコン兵。太宰治って文章うまいですねえ。

    【パスは通ったのか】ノールックパスは成功するか。

    【キュウリは冷静だったのか】星野さんの、一時は危なかった夫の放ったキュウリという語は何なのか。

    【『100万回生きたねこ』は絶望の書か】父、倒れる。『100万回生きたねこ』を絶望の書だと思うと言う手塚に美希は「嫌なやつ」と感じる。ぼくはいまだ怖くてこの絵本を読めていません。

    【火鉢は飛び越えられたのか】鏡花が秋声を殴った事件。ヒントは『時の娘』。考えてみれば『中野のお父さん』シリーズもそういうタイプかも。

    【菊池寛はアメリカなのか】原島先生が菊池寛はアメリカかと言ったそのわけは? マッケンローvsボルグとどうつながる?

    ▼簡単なメモ

    【安西】洋々社の編集者。
    【筏丈一郎/いかだ・じょういちろう】編集者。堂々たる体格。週刊誌に配属されたとき足りないよりはと出前を余分に取り余ったら自分で処理しているうちにだんだん横幅が広くなっていったという恐怖の「筏」伝説を持つ。
    【うっかり】百合原ゆかりいわく「しっかり者が、うっかり者に転落するのは簡単よ」p.187
    【お父さん】田川未希の父。五十八歳で高校の国語教諭。いろんなことを知っている百科事典タイプの人物。年々お腹が大きくなっている。
    【亀山太四郎/かめやま・たしろう】『小説文宝』の定期購読者の中でもおそらく最高齢の人。昔、郵便配達員だった。
    【国岡学/くにおか・まなぶ】作家。連載中の中国古代を題材にした大作は未希の担当。
    【国高貴幸/くにたか・たかゆき】文宝出版の推理新人賞応募作『夢の風車』を書いた。五十八歳。
    【塩谷一刀/しおたに・いっとう】作家。運動不足を痛感してランニングに目覚め熱が入っている。直接の担当者は百合原ゆかり。
    【小池】ミステリ作家。
    【小説】お父さんいわく「小説ってのはせんじ詰めれば筋じゃない。どう書くかだろう」p.27。個人的にもそう思う。極端に言えば文章がよければ中身が多少陳腐でも楽しめる。
    【田川美希/たがわ・みき】→未希
    【手塚】春秋書店の編集者。高校時代に野球部で県でも評判の剛腕投手だった。美希から「嫌なやつ」と思われたり「いいやつ」と思われたり。相手役?
    【藤堂】洋々社の編集者。眼鏡の似合うクールな感じ。雨男。ゆかりと結婚する。
    【虎谷紫苑/とらたに・しおん】未希より少し年下の編集者。ボーイッシュなタイプだったが女性週刊誌に異動して化けた。
    【蜂川光起/はちかわ・こうき】文学史上重要な作家。
    【原島博/はらしま・ひろし】趣味は古書店巡りという本好き。中野のお父さんと傾向が似ている。
    【備中高松城】秀吉の水攻めで有名。岡山出身で授業で取り上げられてましたが秀吉に対する反感はなく、なんかうまくやられてしまったなあという印象でした。
    【星野洋子】大先輩編集者。いっしょに安藤忠雄の展覧会に出かける。
    【丸山】『小説文宝』編集長。細長い顔に眼鏡。眼鏡はちょこちょこ変えている。文宝社長に、俺はなる! とシラフで叫んでいたらしい。
    【丸山の姉】美人。一人娘に有香がいる。
    【美希】田川美希。主人公。文宝出版編集者。二十代後半。大学でバスケットボール部のレギュラーやってた。バスケ協会公認コーチの資格も持っている。
    【村山富美男/むらやま・ふみお】大御所作家。人格者な上、締め切りを守る。野球好きでソフトボール部も作った。古希をきっかけに作家・編集者による軟式野球部「Cockys」も作った。
    【八島和歌子/やしま・わかこ】『別冊文宝』編集者。ゆかりと同期。背の高い素敵な美人。「ドラえもん」のことならなんでも知っている。
    【有香/ゆか】丸山の姉の娘。びっくるするほど可愛い。サンタさんにダッフィーをもらいたい。
    【ゆかり】百合原ゆかり。未希の先輩。我が道をゆく女って感じ。藤堂と結婚する。
    【百合原ゆかり/ゆりはら・ゆかり】→ゆかり
    【落語家さん】売れっ子でイケメン。歌もうまい。
    【若森瑠璃子/わかもり・るりこ】晩年の蜂川光起に気に入られていた知的な作風の作家。

  • 「縦か横か」「水源地はどこか」「ガスコン兵はどこから来たか」「バスは通ったのか」「きゅうりは冷静だったのか」「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」「火鉢は飛び越えられたのか」「菊池寛はアメリカなのか」
    松本清張や鮎川哲也、佐野洋子など好きで読んだ作家が目白押しで懐かしく嬉しい。登場人物に悪人が出てこないのも安心。主人公に恋の予感もあり、中野のお父さん、ますますお元気でがんばらないと!

  • 続編でもあり、円紫さんシリーズとちょっと似たところもあり、いずれにしても謎解きに気が抜けない。

    今回はボケっと読んでるといつの間にか終わっていて、もう一度読み返して頭をフル回転し納得するのである(笑)

    それにしても、文学は奥深い。こんな視点でまた読み返すきっかけができて、うれしい限りです。

  • まあまあ楽しめましたが、文学に詳しくないので、楽しさ半減なのかなと思う。文学や作家に造詣の深い方なら、もっと楽しいと思います。

  • 出版社の編集部で働いている美希が疑問に思った事を国語教師の父に謎解きしてもらう。
    どんな謎も解いてしまうお父さんの読書量や記憶力がすごい!

    中野のお父さんの中野とは中野の実家の事。時々実家に帰り、そう言えば…と謎について話す娘、会っていない間のお互いの日常が何となくわかるようなこんな親子関係良いなぁ。

  • さらにマニアックな内容になってます。北村さんの知識が深すぎて「へー」と頷くしかない。太宰とか徳田秋声とか専門的に好きで詳しい人だったら、かなり面白く読めるんだろな(つまらないという訳ではないです)
    名前が出てくる中では菊池寛が好きで、「三浦右衛門の最後」も読みましたが「そうかネクタイの柄か~」以上の感想が浮かばなかった。
    「よく噛まないと飲み込めないようなところに、物事の味わいもあるんだがなあ」
    この一言が中野のお父さんシリーズをよく表していると思います。

  • 仲良し父娘。
    謎解きは淡々としてるが
    あっさりと読みやすい。
    前作再読したが、こちらだけでも特に支障なかった。
    [図書館・初読・6月3日読了]

  • 面白い、面白いなあ。文章は巧みだし、一度読み始めたらもう止まらない。やはり、文章がうまいからだろうなあ。
    女性を主人公にしたら、というか、語り手に近い設定にしたら、当代随一に違いない。
    「中野のお父さんは謎を解くか」って、解くに決まっているのだから、なんだか違和感のある題名だと思ってしまう。何かのアナグラム?でも、それは解けませんでした。
    この短編を書くためにはどれだけの調査が必要なのだろう、と思うと、次から次へとページを繰ってしまってよいのか、と思うこともある。でも、ページを繰る手は止まらないのです。
    これまでにも、円紫師匠もベッキーさんも覆面作家さんも、このシリーズがいつまでも読んでいたい、と思ったものばかりだったけれど、今回のお父さんもいつまでも読んでいたいです。

  • 娘が感じた疑問をお父さんは ほらほらと解いて見せる。読んだものを覚えていられない私には驚異のお父さんだ。
    ちょっとした謎を解けたらうれしいだろうな。

  • 何言ってんのか、全然分かんない。
    申し訳ないが、文章の書き方が私には合わない。

  • 一作目「中野のお父さん」より断然面白い! なんと言っても文豪たちにまつわる謎解きがクスッと笑えていい。
    少し読むのに苦労したのは、「このセリフ、主体は誰?」と思うことがちらほら。私が作者の文体に慣れていなかったからでしょうが…。
    いずれにしても3作目も続けて読みたいです。

  • 中野のお父さんシリーズ2作目。8編の短編集。一つが短いから寝る前に読むのにぴったり。変わらず本や文豪に関しての雑学というか情報がたくさん出てくる。美希の彼氏になりそうな人が登場。次作で付き合いそう。お父さんが倒れたのにはびっくりした。

  • 中野のお父さん第二弾。
    とても面白かった。
    この本を読んでると、色々読みたい本が増えてしまうのが嬉しい悲鳴です。
    本のこととなると探究心を燃やすお父さん。
    作家や作品の裏話がたくさん出てきて本当に面白かった。
    そしてひょっとしたら美希に恋人が出来る予感です。

  • 文宝社 文芸部編集者の美希
    本や文豪にまつわる謎が続々
    そういう時には高校の国語教師のお父さんが頼り
    ほのぼのまったりすっきり
    登場した本、読んでこのお話の世界に浸りたい

  • 文芸誌の編集員である美希は、仕事で知り合った作家や編集仲間たちの一言から、文学のうんちくのような謎解きが始まる。資料室や図書館でも見つからないとき、美希は中野にある実家の父を訪ねる。高校の国語教師である父親は、古書店めぐりが趣味で、自宅の書庫には様々な資料を蓄えている。美希の投げかける疑問に、たちまち答えの資料を出してきてくれる。

    文学を軸にしたコージーといった趣だ。2作目であるそうだが、1作目を読んでいなくても面白い。北村氏は、引き出しが多いなあ。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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