崩壊の森

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 99
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163909950

作品紹介・あらすじ

隠された真実を暴け!『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞受賞、『傍流の記者』が直木賞候補となった本城雅人が満を持して放つ、ソ連崩壊前夜、世界的スクープを連発した日本人特派員の物語。チェルノブイリ原発事故から1年――1987年(昭和62年)4月、東洋新聞の記者・土井垣侑(どいがきたすく)が特派員としてモスクワに降り立った。当時のソビエト連邦はペレストロイカ政策が進められていたが、記者はソ連政府の管理下でしか取材することができず、しかも本社からは当局を刺激しないよう「特ダネ禁止」を言い渡されていた。そんな状況に不満を抱いた土井垣は、独自ネタを拾おうと精力的に街へ繰り出す。だが、ソ連政府は一記者にまで監視の目を光らせていて……。新聞記者20年・作家生活10年の著者が送る、圧巻の社会派エンタメ。

感想・レビュー・書評

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  • ソビエト連邦崩壊を、モスクワ支局に勤める日本の新聞記者の目線で追っていく物語。当事者ではない距離感で、期待したほどの重さはなかった。
    当時の新聞やニュースを覚えている人なら、あの報道もこんな風にもたらされたのかもしれない、と興奮したりするのかなと思う。でも私には自分の目で見た記憶がないので、歴史を知る面白さはあるものの、変化を時系列で追うだけではのめり込めなかった。
    主人公の取材相手が政府関係者ばかりなので国民生活のことにはあまり触れられておらず、国が変わるときの国民の感情とか実際的なこととかがどうだったのかをもっと知りたかった。クーデターの場面ではそういうものが少しだけ垣間見えてよかった。

  • 昔々、ソビエト連邦という国が有りました。と、言わないと若い人たちには分からない位遠い話になりました。昔は映画も米ソ冷戦を土台にしたアクションやスパイ映画ばかりでした。善のアメリカ悪のソ連みたいな短絡的なイメージを持った子供でしたが、日本人の持っていたイメージというのは大多数そんな感じだったのではないかと思います。
    この本はそんなソ連にに特派員として駐在した土井垣目から見た、激動のソ連と社会主義の崩壊を描いています。事件的には色々ありますが割と牧歌的な本で個人的にはとても好きでした。よく分からなかったゴルビーとエリツィンの関係性や、当時のソ連の状況がすっと入ってきて、各社会情勢にこういう分かりやすい俯瞰的な小説が有ると、とっても入りやすいなと思いました。
    思い入れが入っている本なので小説としては作者が透けて見えすぎという事も有りますが、僕はとても好きな本です。
    ちなみ余談ですが、この本の中で書かれている実現しなかったソ連初の音楽イベントとは「モスクワミュージックピースフェスティバル」の事だと思うのですが、1989年に実現しています。記念のオムニバスアルバムの「メイクアディファレンス」はロックの歴史の中で超重要アルバムです。ソ連初のメジャーデビューしたゴーリキーパークの「マイジェネレーション」はTHE Whoのカバーですが、本物の数倍かっこいいです。アレンジを聴くとよくぞここまでソ連のイメージを取り込んで作り上げたなと驚嘆します。
    メイクアディファレンスに参加しているのは、ボンジョヴィ、モトリークルー、スコーピオンズ、スキッドロウ、オジーオズボーン、そしてゴーリキーパークです。今見てもメンバーが凄いですね。

  • p28 プラウダ 真実 イズベスチヤ 情報

  • テーマ、舞台が面白い

  • 歴史が好きな人は面白いかもしれない。
    ただソ連崩壊前後をなぞってはいるが主人公が特別な動きをしたわけではなくあくまで記者としての仕事とその視点を描いているだけなのでいまいちの部分はあるかもしれない。

  • 最初は面白かったが段々と飽きてくる。
    主人公がどういう記者なのか良く分からないまま読み終えてしまった。

  •  なぜ今という感じがする。
     現代史の復習。
     エリツィンの後どうなったか、よく理解していなかった。

  • ソ連駐在の日本人特派員(新聞記者)を主人公にした小説。

  • ソ連崩壊をジャーナリストの眼から描いた社会派小説。

    自分もヨーロッパ旅行中にベルリンの壁のニュースに遭遇したので、その後の展開を注視していたら、それからのソ連崩壊まではすごく劇的だった記憶があります。
    特派員の物語とすることで、よりリアリティ感もあり懐かしくも面白かったです。
    女スパイのエピソードは、物語としての色付けとしたと思うのですが、特にいらなかったかなとも思いました。
    ラストのロシアの闇の深さはいまだに日ロ関係にも影を落としていると思いますね。
    全体としてもノンフィクションぽい感じで、エンターテイメント性がないのは物足りないですが、この時代を正面から描いたものとしては評価できるのではないでしょうか。

  • ソビエトからロシアに至る裏事情も含め,KGBの暗躍する緊迫した時代の空気を,制限された中で精一杯つかもうとした記者の奮闘記.ゴルバチョフからエリツィンへの人脈など少しわかった気がした.

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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