- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163910000
作品紹介・あらすじ
「あまたあるダ・ヴィンチ本のなかで、これが決定版だ」ーービル・ゲイツ絶賛ニューヨークタイムズベストセラーリスト 第1位!世界的ベストセラー『スティーブ・ジョブズ』の評伝作家が、ダ・ヴィンチの遺した全7200枚の自筆ノートをもとに執筆。その天才性と生涯のすべてを描き切った、空前絶後の決定版。「モナリザ」「最後の晩餐」ーー没後500年、最難関の謎が、遂に解かれる。オールカラー/図版144点を贅沢にも収録。本作に惚れ込んだレオナルド・ディカプリオによる製作・主演で映画も決定。【下巻要旨】人類の、自然の、宇宙の秘密を、いつも知りたかった。死者の顔の皮膚を切り取り、筋肉を研究したことであのえもいわれぬ「モナリザ」の微笑を生み出した。「最後の晩餐」で試みたのは、単純な遠近法だけではない。彼の真髄を理解するには「科学」が絶対に必要なのだ。没後500年の歳月を経て、初めて明かされる制作意図。誰も知らなかったダ・ヴィンチのすべてがここに。【下巻目次】第一八章 最後の晩餐第一九章 母の死、そして苦難第二〇章 フィレンツェへ舞い戻る第二一章 聖アンナと聖母子第二二章 失われた作品、発見された作品第二三章 殺戮王チェーザレ・ボルジアに仕える第二四章 水力工学第二五章 ミケランジェロとの対決第二六章 またもや、ミラノへ第二七章 解剖学への情熱、ふたたび第二八章 地球と人体を満たすもの、その名は水第二九章 法王の弟に呼ばれ、新天地ローマへ第三〇章 人間の姿をした天使の秘密第三一章 モナリザ、解けない微笑の謎第三二章 最期の地、フランスへ第三三章 ダ・ヴィンチとは何者だったのか結び キツツキの舌を描写せよ
感想・レビュー・書評
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上巻があまりにも興味深い内容だったため、下巻も読みました。結論としては下巻も最高の一冊でした。今回も上巻に引き続きレオナルドという天才に近づくためにレオナルドがどんな性格だったのか、どんな人間だったかを注目して読み進めました。
レオナルドといえば芸術家であるイメージがあるかと思いますが、レオナルドは絵画でしか評価されない状況を嫌いフィレンツェからミラノへ拠点を移しました。また、お金を積まれても興味がなければ絵を描かなかったそうです。大きな才能を持っていてもそれに縋るのではなく、本当にやりたい事をやり続ける。ただお金のために絵を描き続けるのではなく、より良い絵を描くために生物の構造を学び、水の流れを研究し、解剖を続ける。本当の意味で学びが好きな人物であると改めて実感しました。
また、上巻で十分数多くの学問において才能を学んできたつもりでしたが、下巻ではこれまで知らなかった分野についても秀でていたことが学べました。さらにレオナルドは〇〇という考え方、概念がない時代にこれを作りだす天才、つまり0から1を生み出す天才であると感じました。コペルニクスやガリレオより早く地球が平坦でないと考え、微積分がない時代に連続量を扱いました。そして化石をもとに地層の研究を行う生痕学の祖であったというから驚きです。生痕学が主流になるのはレオナルドの死後300年後であるため、例えるなら、江戸時代にAIの研究をしていた商人がいたようなものだと私は考えました。
最後に、私は本書を読み進めるにあたり、ただレオナルドの歴史を学ぶのではなく、自分がレオナルドに近づくには何をしたらいいのかを主軸にしていました。本書の最後にはレオナルドに学ぶべきことが20個ほど述べられています。人類史の中でも指折りの天才から学びを得れる。本書は私がこれまで読んだどの書籍よりも説得力がありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
下巻は上巻からの引き続きでミラノからのスタート
このあとレオナルドは
ミラノ→フィレンツェ→ミラノ→ローマ→フランス
と移動し、最後はフランスで生涯を終えることになる
順次追っていくことにする
■ミラノ公より『最後の晩餐』の依頼
公開制作となった
相変わらず夢中で作品に没頭したかと思えば何も描かず絵の前まで考え込む…
という姿をも公開(笑)
絵の大きさ及び部屋のさまざまな位置から見られることになることを想定し、自然な遠近法と人工的な遠近法を組み合わせ、宮殿での舞台演出家として培った知恵や創造性とか補完し合う作品に
~現物を見たことある日本人の方は多いですよね
残念ながら教会内に入っておらず…(いつか必ず!)
■50代でフィレンツェへ
美しく着飾り、伊達男としてふるまい、人とと違う生き方を心がけた
自分とサライの衣装にお金をかけていた模様(この頃サライは24歳)
常に誰をパトロンとすべきか、いつ乗り換えるべきか巧みに判断していたのでは…
また俗事に頓着しないようで、実は権力に惹かれるところがあったようだ
この頃軍事技術者かつイノベーターとして残虐なチェーザレ・ボルジアに仕えるものの結局チェーザレの残虐さに嫌気を指す
また20年以上も軍事技術者になることを夢見てきた(平和主義思想で不和や戦闘はごめんだと言っているのに、武術に興味があるという葛藤)
画家に飽き飽きしている時期か
そして…
vsミケランジェロ
1500年頃のフィレンツェに二人は居た!
ミケランジェロ25歳
レオナルド48歳
不仲(有名ですね)
☆ミケランジェロの人となり☆
・人を侮辱して顔面殴られ鼻が潰れる
・猫背で垢抜けない身なり
・他の芸術家に敵愾心を燃やす
・病的なほど内向的
・激しく、だらしなく、癇癪持ち
・親しい友人や弟子は少ない
・敬虔なクリスチャン
・同性愛であることを悩んでいた
・格好も振る舞いも禁欲的
見事に対照的な二人である
自然な魅力、優雅さ、洗練、親しみやすい物腰、美しいことを愛する心持ち、そして無宗教であったレオナルドをミケランジェロが嫉妬し、嫌悪するのは当然
レオナルドのミケランジェロに対する批判
・人の裸体を優雅さのかけらもない材木のように描いている
・体のすべての筋肉をはっきり描きすぎだ
(若きミケランジェロが男性の体に夢中であるのとがわかる)
・絵が彫刻的ではっきりとした線を使って形をとらえている
~ミケランジェロの人物像を初めて知ったので結構驚いた!
作品から勝手なイメージできちんとした品のあるタイプかと想像していた(でも確かに潔癖な感じは出てるかも)
この性格から相当な葛藤や迷いや悩みを抱えながら作品に取り組んだのだろうと思うとなかなか感動的ではある
それにしてもレオナルドとあまりにも対照的で面白い
■ミラノへ
なぜ戻ったか
・華やかで知的多様性がある
知的環境が整っている
・フィレンツェはルネサンスの芸術の中心地
絵画でしか評価されない有名画家としての人生から逃れようとした?
・自分を訴えてくる腹違いの兄弟もいない(非嫡出子の悲しき運命)
ミラノ滞在中
レオナルド55歳頃
フランチェスコ・メルツィ14歳の美少年を養子に
レオナルドが亡くなるまでそばに居た
才能と事務処理能力に恵まれ、情緒も安定していたフランチェスコは、レオナルドにとって大切な存在
〜良かったぁ
サライでは平穏な日々が過ごせないんじゃないかと心配していた だってもう55歳!
残りの人生、そろそろ家族とか作って穏やかに暮らしたいはず!
再び解剖への情熱
病院で言葉を交わした100歳の男性が亡くなり、解剖
動脈硬化の発生プロセスを発見
防腐剤のない時代、一晩中遺体と向き合うにあたっての解剖をしようとする人々への注意書きなんかがある(腐敗していく遺体と向き合うって、かなり苦労しただろうなぁ)
唇と微笑を研究(ここからあのモナリザの微笑みが誕生)
■新天地ローマへ
ここでも絵筆を握ろうとしない
ドイツ人との諍いや、取り巻く環境の変化からローマを離れる
■64歳にしてイタリアを離れ、最後の地フランスへ
フランス王フランソワ1世に口説かれる
フランソワ1世は、カリスマ性と勇気を持つ人物
教養と良識を持ち合わせる
貪欲に知識を求めその関心の広さはレオナルドに匹敵するほど
フランソワはレオナルドにとっても完璧なパトロンだった
心からレオナルドを尊敬し絵画を完成させろとせっつく事はなく、工学や建築の研究にのめり込むのを温かく見守り、心地の良い住まいを与えて定期的に報酬を支払った
この年になってようやくパトロンから認められ、安住の地に腰を落ち着けることができた
その頃36歳となったサライとは別れる
67歳で亡くなる
~フランソワ1世からとても厚遇を受けたようで本当に良かった
今までなかなかパトロンから認められ、定期的な収入を得られていないようだった
(まぁ仕事もコンスタントに完了させていないレオナルドが悪いんだけど…なかなか先行投資できないよね)
フランソワとはお互い尊敬しあえる相思相愛的な良い関係だったよう
64歳で異国に行くって結構大変なことだよなぁ(今の64歳とも違う気がするし)
でもそこで良い待遇をうけ、何人かの弟子や養子にしたフランチェスコ・メルツィと立派な居住で安泰に暮らせたのではなかろうか
■モナリザ
リザ・デル・ジョコンド
・家族ぐるみの付き合いのあった絹商人の妻
・もちろん美しかったと思うが、ただ単純に描きたいから描いた作品では?説
・あくなき好奇心、あるテーマから別のテーマえと絶え間なく変化し続ける探究心が統合されている
・科学的知識、画家としての才能、自然への尽きない興味、人間心理への洞察の全てがあまりに完璧に調和しているので、一見すると気づかないほどだ
・風景がリザの体に流れ込むようなイメージは、レオナルドの好んだ地球と言う大宇宙と人間と言う小宇宙のアナロジーの究極の表現
・風景は生きて呼吸をし、地球の体を表している 川は側はその血管であり、道は腱、岩は骨だ
地球は単なる背景ではなく、リザの体に流れ込む
・見つめられた気分になり、しかも衣装が揺れ動く
・空間周波数の高い画像より低い画像の方が微笑ははるかに鮮明に見える
口元をじっと見るより視線をわずかにずらし他の部分を見ると目の端で口元をとらえることになる
口元を直接見ていない方が微笑んでいるように見える
・モナリザの微笑は捉え難くはあるが、時を超えた英知をたたてている
・その症状は人間の内なる自我とのつながり、そして宇宙とのつながりを見事に表現している
・見るものが彼女と感情的つながりを感じる
・見るものに複雑な心理的反応を引き起こし、自らも同じように複雑な感情を見せる
・我々鑑賞者と自分自身を意識してるように見える
・我々の内なる営みの外面への表れについて、また我々と宇宙とのつながりについて、レオナルドが蓄積した英知が凝縮された普遍的存在となった
・人間とは何かと言うレオナルドの深い洞察を体現している
~「モナリザ」を自由に心ゆくまで観ることなんて一般人では無理だろう
ルーブルの人混みから窮屈な姿勢でなんとか数分観ることができるのがせいぜい
上記のような観点でじっくり観るのは普通は無理
1回しか観ていないけど、思った以上に小さく、思った以上に美しかった覚えがある
こちらの本でもカラーで「モナリザ」が載っているが、確かに唇を直視せず、他へ視線を移した方が微笑んで見えるのはわかる
過去に何度でも「モナリザ」の素晴らしさや、価値を聞いたり、読んだり、TVの特集で見たりはしているものの、自分にはさっぱり理解できない
上記にまとめたことは言っていることはわかるのだが…
そう「モナリザ」の凄さを知りたいのもあって、この本を読んだのだが、まだ現段階の自分には残念ながら無理らしい
いつか何かわかるようになるといいな…と楽しみにはしている
■最後に著者による「レオナルドに学ぶこと」
・飽くなき好奇心を持つ
・学ぶこと自体を目的とする
・子供のように不思議に思う気持ちを保つ
・観察する
・細部から始める
・見えないものを見る
・熱に浮かされる
・脱線する
・事実を重んじる
・先延ばしする
・「完璧は善の敵」で結構
・視覚的に考える
・タコツボ化を避ける
・届かないものに手を伸ばす
・空想を楽しむ
・パトロンの為だけでなく、自らのために創作する
・他者と協力する
・リストを作る
・紙にメモを取る
・謎のまま受け入れる
なかなかのボリュームだった
途中で挫折したらどうしようかと不安だったが、読み出せば進むし、暫く離れて再開しても特に問題ない
意外と気楽に読める内容であった
とにかくレオナルドダヴィンチを残されたメモから徹底的に洗い出す
というのが特徴的な内容
カラーのレオナルドのメモや絵が多数あるので、視覚的にも楽しめる
レオナルドの落書きなんかもあって人間くさく面白い
まだまだ解明されていないこの不思議な天才のことは今後も多くの方面から研究され続けるだろう
楽しみである
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天才と何とかは紙一重。
すごく面白かったです -
好奇心、観察力、
そして、未完成で終わった絵画、発明、研究書....が
ダ・ヴィンチらしさ。
未完成なのはまだまだ変わっていくものだと考えていたのだと思う。 -
『最後の晩餐』、『モナリザ』あたりの解説がとても分かりやすかった。更に『サルバトール・ムンディ(救世主)』については未知であったので真作と認めらえるまでの過程も含めて面白かった。
好奇心が強すぎて人体解剖、建築、武器の発明、運河の計画、彫刻など多岐にわたるが上巻で宮廷舞台演出家として「入り込んでいる」がそれも含めて人生に無駄なしということが分かる。
終章にある彼から学べることについての記載が素晴らしい。個人的には何にでも興味を持つ(メモには誰に聞かねばみたいなタスクになっているのも多い)、人との交流から学ぶ(孤独な巨匠タイプだと思っていたが違っていた!)、観察力(トンボの羽の動きとか細かい)というのは時代を超えた大切さだと思った。
また機会があれば再読したい。 -
「上」はレオナルド立志編
「下」はレオナルド無限創造編
といったところ。
あらゆる力を身に付けて、今も知られる作品を残すまでのストーリーについて書かれていた。
図書館の返却期限に読了が間に合わず途中で断念した。機会があればまた読みたい。 -
下巻はいよいよ最後の晩餐とモナリザが出てくる。有名な絵画だが知らない事が沢山。前にも思ったが、完成させた作品は少なかったかもしれないけど、一点でも素晴らしいものが残れば後世に名は残る。その時点ではだらしないとか評されるかもしれないが。この時代でもマキャベリやミケランジェロと同時代で交わっている。才能が集まった時代なんだな。スティーブジョブスはレオナルドが好きだった。だから書いたのかな、著者は。デカプリオによる映画化も楽しみ
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図書館の新着図書のコーナーでたまたま下巻が残っていたので迷うことなく借りた。
レオナルド・ダ・ヴィンチの人間性がとても良くわかった。彼はモナ・リザ(ラ・ジョコンダ)を手元に置きながら最後まで加筆していたという。また、この時代に独学で解剖を行い緻密な解剖図を残したり、水の流れなどの自然を科学的な視点で理解しようとする科学者全とした我々が良く知る彼がいる。
一方、最後の晩餐(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院、ミラノ)やアンギアーリの戦い(ヴェッキオ宮殿、フィレンツェ)では、彼が独自の手法を追究するあまりにフレスコで描くことを避けた結果、絵の本来の保存性が損なわれてしまったり、書きかけで完成しなかったりと合理的でない面も見られる。
初めて知ったのだが、彼はローマ教皇の息子であるチェーザレ・ボルジア枢機卿の軍事技術者として招聘されたという。本当に多彩な能力を持った巨人である。 -
「モナリザ」や「最後の晩餐」といった歴史的絵画を生み出したルネサンス期の巨匠・レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を振り返り、天才画家としての側面のみならず、兵器や城壁の設計から人体解剖に至るまで、多種多様な分野での隠れた実績に光を当て、その人物像を鮮やかに描き出した一冊(正確には上下2冊)。
著者はダ・ヴィンチが遺した膨大なメモを詳細に分析し、輪郭をぼかす技法や布地のひだの描き方から、遠近法や光学、幾何学の考察、さらには身体の動きや顔の表情を作り出す筋肉のメカニズムの解明など、傑作と呼ばれる絵画作品の背後にある膨大な科学的研究の蓄積を紐解くとともに、舞台演出等の絵画以外の芸術分野での活躍、さらには飛行装置や新型兵器の設計、治水管理や都市計画など、構想のみに終わったものも含めた数多くの観察に基づく研究や発明の成果を明らかにしている。それらを通して浮かび上がるのは、完全主義者かつADHDが疑われるほどのきまぐれさゆえに制作が遅々として進まず作品が完成しないという孤高の芸術家としての姿と同時に、より幅広い分野で権力者に重用されたいという職業人としてのジレンマを抱えた一人の人間の姿でもあり、その根本には並外れた好奇心に優れた観察力・洞察力を併せ持ち、前例や慣習にとらわれない斬新かつ柔軟な発想によって芸術と科学の境界を超えて真実を探求する情熱があったことが理解できる。
著者は、多くの専門家からの引用に、自身の解釈や見解も重ねる形で、今なお謎に満ちたダ・ヴィンチの実像に迫っているが、そこにはダ・ヴィンチをアインシュタインやスティーブ・ジョブズにも通じるイノベーターと捉えるとともに、その天賦の才よりもむしろ不断の努力や情熱に焦点を当てる著者独自の視点があり、だからこそ、現代に生きる我々にとってよりリアリティのある、人間味溢れた先達としてのダ・ヴィンチ像が描き出されている。まるで映画を観ているように(実際、映画化も決定)、大作ながら流れるように読み進めてしまう面白さと、読み終えた後に数々の教訓が心に残る良書。