百花

  • 文藝春秋 (2019年5月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784163910031

作品紹介・あらすじ

「あなたは誰?」

息子を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子。

ふたりには忘れることのできない“事件”があったーー。

現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。



『世界から猫が消えたなら』『億男』『四月になれば彼女は』の著者、待望の最新刊!



【内容紹介】

大晦日、実家に帰ると母がいなかった。

息子の泉は、夜の公園でブランコに乗った母・百合子を見つける。

それは母が息子を忘れていく日々の始まりだった。



認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母を介護しながら、泉は母との思い出を蘇らせていく。

ふたりで生きてきた親子には、どうしても忘れることができない出来事があった。

母の記憶が失われていくなかで、泉は思い出す。

あのとき「一度、母を失った」ことを。

泉は封印されていた過去に、手をのばすーー。



現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。

すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。

感想・レビュー・書評

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  • 濃密な母と息子の物語でした。
    産まれたその日からずっと二人きりの生活。
    父の名前も顔も知らない。
    祖父母との縁も切れていて、頼る人は誰もいない。
    だからだったのかもな?と今は思い始めています。
    息子を置いて不倫相手の元へ走ってしまった母。
    中学生の息子は一年間、一人きりの生活をします。
    ‥‥どうしてもそこが受け入れられなくて、レビューを書くことができなかった私‥‥
    でも朝ドラの『舞いあがれ!』を見ていて、ちょっと考えが変わりました。
    『舞いあがれ!』では体の弱いヒロインと心配し過ぎる母が祖母の家に住むようになるのですが、祖母は
    母に「お前は帰れ」と言います。母娘の共依存に、祖母は危険を感じたのだと思います。そして母も娘と離れてホッとしている自分に気付きます。
    この物語の母と息子も頼れる人がいれば違ったのかもしれません。母も一生懸命なだけだったのかもしれません。そのピンと張った糸がプツンと切れてしまっただけなのかも。
    読書はやっぱり自分のフィルターにかけて読み進めていると思うので、映画化されたこの作品を観たらまた印象が違うのかもしれません。

  • 映画が海外の賞を受賞したとのニュースを耳にし、遅ればせながら読んでみました。

    嬉しいこと、辛く悲しいこと…
    いつまでも覚えているだろうと思っていても、
    時が経つといつの間にか忘れてしまう。
    「みんないろいろなことを忘れていくのよ。だけどそれでいいと私は思う」と笑っていた母。
    その母が認知症になっても忘れなかった親子の思い出…ラストで息子がそれを思い出すシーンはじんときました。

    現在と過去の場面が頻繁に入れ替わる読みづらさ、この登場人物は必要?という疑問も感じました。

  • シングルマザーで、ピアノを教えて一人息子を育てた女性が、認知症になっていく。
    息子は、自分を忘れていく母親を、介護する。

    私にも、娘と息子がいるが、子供には、決して迷惑をかけたく無いと、思ってはいるが、事、認知症に関しては、どうなるかわからない。

  • 川村元気という人をあまり知らない。
    「億男」からの2冊目
    題名と、本の美しさに惹かれて
    借りたもののなかなか読む気にならなかった。

    本にはいつも白紙で向き合う〜
    読後中村元気の肩書に驚き

    映画監督、脚本家、絵本作家
    はたまた題名を知っている作品多々。

    アルツハイマー
    最近このテーマが多くない?
    葛西百合子「母」
    葛西泉「息子」
    だんだん母が若くして認知症になる

    認知になる症状のリアルさに
    恐ろしく、悲しかった。

    泉の好きな味噌汁を作ってるよと
    そこには鍋の中には広告だとか紙がちぎられ
    お味噌汁の具になっていた。

    これだけではなく、
    ネタバレになるので書けないが
    シングルマザーで誰にも頼らず
    ピアノ教師をしながら生きてきた百合子に起こったことがあるー
    このことを自分は許せなかった、

    息子の泉が許して生きてることをーどうしても
    許せない。自分の潔癖性、真っ直ぐすぎる
    融通のつかないところ。
    本を通して自分の狭さに「なんだろう〜」と傷ついた。

    作品はよくできてる
    さすが変化に、テーマに
    泉自身が親になることへの戸惑い。

    しかし、器用に作られてる
    うますぎることにもう一つ信用できない?
    他の作品をまだまだ読めばわかるのだろうか
    出来過ぎ感が否めない。
    器用にこなしてる。
    映画やテレビにすればおそらくヒットするだろう〜
    この不信感はなんだろう〜
    いつか
    この思いに詫びる時があるのかないのか?

    本文よりー
    医者が言うには
    もともと50年も生きることができなかった人間が
    長生きするようになって
    ガン患者が出てきた
    ガンが治せるようになりさらに長生きできるようになったら
    アルツハイマーが増えた、どこまでいっても、人間はなにかと戦わなくてはならないんです。」

  • 『百花』川村元気さん
    1.出会い
    世界から猫が消えたなら
    億男
    四月になれば彼女は
    理系に学ぶ
    と読んできました。
    好きな作家さんのひとりです。

    2.百花を読み終えて
    どの小説とも違う読了感です。
    題材が、高齢に伴うアルツハイマーだからであるかもしれません。
    いえ、最後に記載ありますが、川村さんの祖母との思い出、歩みを想いながらの執筆だからかもしれません。

    近くの人。
    愛する人。
    その人がアルツハイマーになったとき、周りはどのように受け止めていくのか?
    そして、その人が願う、最期かもしれない願いにどのように寄り添えるのか?

    遠くに離れていたら、やはり、進行に気づけないのかもしれません。
    また、本人は、認めたくないために、声もあげないのかもしれません。

    そして、忘れるのは、その当人だけではなくて、周りの人たちも、少しずつ大切な何かを失っているのかもしれません。

    だからこそ、今を生きる。
    この一瞬を一遇として生きる。

    そんな想いになりました。

  • 一流レコード会社に勤めるエリート夫婦
    その旦那の母親がアルツハイマーになり
    あっさりと超優良な施設が見つかり
    すぐに入れる!
    その母は息子が中学生の時、不倫相手と
    一緒に神戸に行ってしまう
    息子を置いて…
    一年くらいでしらっと帰ってくる!

    アルツハイマーが進行して、息子自身も認識できなくなったと思ったら、すぐに肺炎で死にましたとさ

    1つも感情移入出来ずに、読んでて辛かった…
    前の2作はけっこう好きだったので残念です
    次回作に期待します

  • 泉と母 百合子のお互いを思う切なさに、とても考えさせられました。大切な人はいなくなってからその存在の大きさに気付かされます。この本はそんなことを教えてくれました。

  • 認知症の母親、辛い老後です。
    息子、泉のことまで忘却の彼方へ?
    本人にとってはある意味しあわせなのでしょうが、家族は辛い。

  • 映画化されたけれど観に行く暇がないので、小説で読むことにした【記憶】にまつわる話。
    認知症まではいかないけれど、自分の母親も物忘れが激しいのでなにか参考になるかな?と思い読んでみた。
    仕事、妊娠出産、日記、施設とコロコロ場面展開してどの話も中途半端で、正直今までに味わったことのない読み辛さだった。どうやらこの方とは相性が良くないみたい。途中諦めそうになったけれど2週間かけて読了。
    日常的な記憶は失くしても、人生において大事な場面の記憶は覚えている。最後の最後で少しスッキリ。
    例え母親が私の名前を忘れてしまっても、昔印象的だった出来事を1つでも覚えていてくれたらそれでいいと思えた。その時読み返したらもっと響くだろう。
    きっと映画なら泣いてる。

  • 認知症の親を看取った経験から言えば、認知症のもっとどうしようもない悲惨な状況にはならずに理想的な施設に入所出来て、泉も百合子もラッキーとしか言いようがない。まぁお話ですから。
    母と息子が2人で生きてきて、途中で母を離脱し一年間女になったり(そこまで極端でなくても)子育ての長い年月には様々なことがある。それを一緒に振り返る事はなくても、それぞれに思い出してみれば、もしかしたら、そこには感謝と同じくらい、たらればの後悔があるんじゃないかなぁと思う。
    半分の花火を見て泣き崩れる泉に何となく自分が重なった。

  • 母と息子の母子家庭、ピアノ教師してた母と今は音楽産業に携わる息子だが68になった母は少しずつ認知症が出始め壊れはじめ、息子は新米の父になろうとしている。
    そんな二人の辿ってきた道と歩んで行く道を静かに対比させながら、甘酸っぱくほろ苦かった母子関係を柱に物語が進む。静かでゆったりしたピアノ曲小品のような作品。
    衝撃的だった あの有吉佐和子の「恍惚の人」から遥かな時を経て、令和の今版「恍惚の人」は主人公も背景も社会状況も様変り ですねぇ♪

  • 認知症の母と息子・泉。母認知症で全てを忘れてゆく、息子さえも。泉は母との思い出を掘り起こす。
    いくら自分がそうなりたくないと思っていても、否応なく記憶を消してしまうかもしれない。泉にとって母にとって辛い出来事があったとしても、最後まで二人は親子でした。自分にも訪れるかもしれない結末。誰にでもあるであろう物語。実際認知症の方と生活を共にするのは大変ハードなことと思いますが、こちらは愛を主軸に書かれたもので、親子の愛に満たされました。楽しいことばかりではなく、辛いこともあったし、でも親子にはしっかりとした絆がありました。そこに自分自身のことと重なり心が揺さぶりますね。この物語では、花火のところが印象に残ります。忘れるから素敵である、か。哀しいね。

  • ① この本を選んだ理由
    川村元気さんの作品ということで選びました。


    ②あらすじ 
    認知症と診断され、徐々にいろいろなことを忘れていく母と、その息子との物語。


    ③心に残ったこと
    認知症の物語はたくさんあるけど、どれもとても悲しいと感じてしまう。この物語も悲しさと、いつかそのようなことが周りにおこると思うと、恐怖でしかない。


    ④感想
    哀しい物語で心に寂しさが溢れた。

    親との別れはとても哀しいもので、泉と同じように、過去を思い出していました。記憶は断片的であり、強烈に覚えているつもりのものも、本当にそうであったか、今ではぼんやりしています。いつまでも忘れずにいることはできませんが、たまに思い出してみることが、人生には必要かもしれません。


    ⑤登場人物
    葛西泉
    葛西百合子 母 68歳

    葛西香織 妻
    浅葉

  • 人は忘れてしまう生き物。
    花も花火もそれが美しかったという記憶だけを残して消えていく。

    この2つが心に強く残った。
    最後の方は苦しいくらいの涙が出てしまって、繰り返し読んでしまう部分があったりでしばらく作品の余韻に浸りました。

    認知症じゃなくても人は大事なことも楽しいことも忘れたくなかった思い出も忘れてしまってるなぁと気付かせてもらいました。
    もっと覚えておきたかったこと記憶に残せてたら幸せもたくさん感じれるのだろうかとも思うけどきっとそういうわけでもないんだろうなと。
    色んなこと忘れたくないな。。。

  • 読書備忘録687号。
    ★★★。

    映画の原作ということで読んでみました。
    作者は小説家というより映画・アニメのプロデューサーが本職なんですかね。

    穿った見方をするなら認知症の母親と息子の、お涙頂戴物語として書いたんでしょうが、ありきたり過ぎて心は何も反応しなかったです。残念。
    じ~んと来たかったんですがのが正直なところ・・・。

    母、百合子。
    60台後半と思われますが、アルツハイマーに。
    徐々に脳の機能を失っていくことが描かれる。

    息子、泉。
    レーベル会社の同僚、香織と結婚している。
    そして子供を授かる。香織も泉も、母親になるということ、父親になるということに戸惑いを覚えている。
    泉と香織が、母(義母)の認知症に直面しながら、一方で生まれ来る命にどう向き合っていくのかが描かれる。

    物語中盤までところどころに、泉が"あの時のように"という表現をする。アルツハイマーの母親が徘徊で姿を消す度に、あの時のように母親が消えると・・・。
    それは、泉が中学生の時に、突然母親が1年間消えたというのだ。それも不倫恋愛が理由で。
    妻子持ちの大学教授の単身赴任について神戸に行ってしまう。そこで1年間過ごすが、阪神淡路大震災に遭う。そして瓦礫の中で叫んだのは不倫相手の名前ではなく、息子の名前だったと・・・。
    その1年間、泉は祖母に時々面倒を見てもらいながらひとりで生き抜いた。

    はぁ?である。親が10代前半の子供を放ったらかして、消える?1人親が?
    この時点で、全く感情移入できなくなった。

    作者は、脳の機能を失っていく母親と、これから生まれてくる新しい命を対比させながら、泉が息子すら認知出来なくなっていく母親を許し看取っていく、という構成にしたんだと思います。

    繰り返しますが、全く心に響かなかった。
    私も年老いた母親がいますし、自分も初老!
    認知症はすぐそこにある恐怖です。だからこそ、それも含めて心に響くと思ったんですが・・・。
    全く響かなかった・・・。
    こんな母親は正直ありえないから。

    あと、レーベル会社の同僚や、百合子にピアノを教わっていた女の子とかその母親が出てきますが、どうでも良い登場人物。存在感ゼロ。何のために登場させているか全くわからん。

    残念!

  • 久しぶりの著者作品。
    今元気な自分の親が認知症になるという将来は、悲しくてとても考えたくないけれど、もしそうなったら…と考えさせられた。

    「失っていくということが、大人になるということなのかもしれない」
    「人間は体じゃなくて記憶でできている」
    「人間の個性は欠けていることによって生まれているのかもしれない」
    という言葉が印象に残った。

  • 人間の寿命は50歳程度であった。それが医療の発展で長生きできるようになると、癌という病気が人間を襲った。それでもまだまだ抗うと、痴呆が生まれた。すごく印象的だった。人間の歪さを感じた。自分の母親がアルツハイマーになることを想像してしまい、心が握り潰されそうになった。いつか、そういう日が来るのだろうか。そのとき自分は、どう感じ、何を考えるのだろう。この小説の特徴的なところは、アルツハイマーと出産を並行して描いて、記憶の生まれるところと消えていくところを表現しているところだ。なんかそれは、生と死よりも妙に人間臭い営みな感じだ。でも、母親がアルツハイマーで記憶が薄れていく以前に、泉がそうであったように、自分だって母親との記憶のいくつを忘れているんだろう。もっと、母親と話そう。今のうちに。今だからこそ。

  • 母と息子泉の二人暮らし。
    彼が中学の時突然母がいなくなり
    子供を置いて好きな男性と一年暮して、
    何もなかったように息子のところに戻ってきたら認知症。
    私も親の認知症で忘れられる寂しさを経験したが仕方のない事だと思った。
    ただ私も歳を取って子供達に同じように寂しさを与えてしまうのかと思うと辛いよね。
    ただこの母親、自分の身勝手な振る舞で子供をほったらかし、息子も一年ほったらかされて突然帰ってきた母親をすんなり受け入れる、この二人理解しづらい。

  • 離れて暮らす母親が認知症になってしまう。

    この母親は主人公の息子が中学生の時に家を出てしまう。1年後には戻ってきたのだが二人の間にはそのことは触れないけれどわだかまりとなっている。

    終末期に母が望んだのは半分の花火が見たいということ。それは、中学生の時失踪して戻ってきた時に引越しをした家から見た団地に遮られて半分しか見えない花火のことだった。
    息子との思い出をたどりたいと最期に思う…なんだか切ない。

  • あらすじを見た時から読むのを避けていた。
    自分の母が認知症になる未来が怖かったから。
    忘れる方も辛いし、忘れられる方も辛い。

    この本を読んで、思い出は残るし、生きてきた証であるように思えた。

    普段は忘れているけどふとした時に思い出せる大切さ、感情がこれほど貴重で尊いものだと思った。

    半分の花火。この言葉の重みが最後にしみた。

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著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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