白魔の塔

  • 文藝春秋 (2019年4月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784163910116

感想・レビュー・書評

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  • 想像以上に面白かった。
    過酷な職場を志す物理波矢多が今回見つけた職は、灯台守。
    赴任地の轟ヶ崎灯台を目指す道中、やっとたどり着いた灯台でと…様々な怪異が彼を待ち構えている。

    ピュアで明るいイメージの白を見事にダークに変化させ描かれた不気味さはさすが。
    灯台長との、まるで合わせ鏡のような体験は偶然の一致か必然の一致か…波矢多の推理にはキラリと光るものを感じた。
    特に雨と一緒にしがらみを洗い流す…の推理は感嘆の吐息。なるほどね。
    そしてまるで待ち構えていたかのような悪寒。たまらない。
    次なる波矢多の職が早くも楽しみ。

  • 前回は炭坑を舞台にした不可思議な連続殺人事件だったが、今回は灯台を舞台にした不可思議な因縁話。
    前回のような如何にもな連続殺人事件という派手な事件が起きない分、中弛みというか飽きそうになった部分があったのが残念。

    前作での炭鉱夫から一転、今回は灯台守(正式には航路標識看守)として東北地方の轟ケ崎灯台に赴任することになった物理破矢多(もとろいはやた)が、灯台に行き着くまでの不可思議な体験と、灯台に辿り着いた後に聞いた灯台長の体験談と不可思議な因縁に気付く。

    前作は「黒い狐面」だったが、今回は何かと「白」が出てくる。白い面を被った女、後を付いてくる白いモノ、白衣の森に白拍子の白子村、白神楽に白神…もう白尽くしだ。

    本来なら漁船で灯台の麓に着けるはずが船長が嫌がり少し離れた港へ回り、そこから陸路で山に入り藪を漕ぎ、そうしているうちに夜が更けて、お誂え向きに怪しげな一軒家にたどり着く。灯台に早く着任しなければならないのに、なかなか辿り着けない。
    しかもそこに辿り着くまでに何やら怪しいモノにずっと追いかけられる。
    ようやく辿り着いてホッとしたのもつかの間、灯台長から聞かされた体験談にあまりの自分との相似点に気付いて不安にかられる。
    つまり灯台長の体験談は破矢多の未来をも暗示しているのだから。

    先にも書いたように、今作は前作のような殺人事件は一切出てこない。出てくるのは破矢多と灯台長、二人が体験した不可思議な出来事だ。
    白いものに追いかけられ、見つめられ、先回りされる。

    今回は前作と違って全面的にホラーテイストかと思いきや、終盤にははやり破矢多の謎解きが始まる。
    しかしそれでも刀城シリーズのように物理的に説明が付くものと付かないものがある。
    そしてその説明が付かないことにこそ、本当の恐ろしさがある。
    破矢多が見たもの、聞いたもの、さっきまでいたモノは何だったのか。

    「黒」「白」と来て、次は何色なのか。破矢多は今度はどこへ行くのか。そして何が待ち受けているのか。

  • いつ人が殺されるんだろうって勝手に思って読んだせいでなんかもう。最後バタバタバタっと謎解きだったな。灯台守の話は興味深かった。

  • 読むのに苦労した…。
    ラスト100ページで怒涛の展開となって読み切れた。

  • 黒面の狐の続編。炭坑を出て灯台守になった主人公の話。山道で化物に追われる(と思い込む)作者お馴染みの展開ですが、序盤から結構怖いです。弁当から手紙が出てくるあたりからもう怖いです。中盤先輩灯台長の回想シーンでほぼ8割終わり、ミステリらしさゼロの怪談ですが、突然ラストに驚愕の謎解きが始まります。中だるみ凄いですが、諦めずに読むべきかと。またラストも凄い怖いです。

  • 読了。40点

    三津田さんは非常に好きな作家さんですがこの作品はあまり楽しめなかった。
    その最大の要因は語り部に感情移入できずまたその人物が見ているものも伝わってこなかったからでしょう。

    超常的なホラー作品の怪異として、怪異がはっきりと観測・把握・肯定されるものと、そうでないものに分けることができると思います。
    前者はその上で主人公たちが対峙するか逃げるかが話の本筋になりますが、後者は付かず離れずの距離感のまま話が進む。三津田さんの作品は後者のパターンも多くその上で比較的楽しめてはいましたが本作はその怪異の雰囲気だけで読み続けるには魅力に欠けました。
    灯台守という職業にフォーカスを当てること自体は素晴らしいと思いますが如何せん説明がくどく読ませられる感が非常に強い。

    もう少しコンパクトに纏められた中編小説としてならより楽しめたかもしれません。

  • シリーズ一作目はホラーに見えるミステリーだったので今回もそうかと思ったら、ホラーに見える本当にホラーでした。
    これを意外性があって面白いと取るか、肩透かしと取るか……それは読む人次第です。

    読み終わった時、一番に考えたのは、この話はプロットの時点では2つあって、それをくっつけて1つの話にしたのかな?という印象でした。
    二人の人物が年月がずいぶん離れているにも関わらず、同じ体験をしている……といった不気味さを出すにしても、後半は一種謎解きパートに入っている筈。
    それなのに、体験を振り返るシーンがボリュームたっぷりで少々中だるみの感もあるので、これはもう2つの話がくっついたとしか思えませんでした。

    そんな印象を抱いてしまったくらいの本作なので、全体的に不揃いな感じがします。
    ・前述のとおり。ミステリーに見えてホラーのままで終わる
    ・灯台守の話だから、新しい任地の灯台で怖い体験をするんだな!→任地に行くまでの話。ここからが本番じゃないの?というところで後半の人物にバトンタッチしてしまう。
    ・灯台の歴史部分の説明が重厚。灯台に詳しくなれる。灯台に関するレポートは興味深いけど、今この本で読みたい部分かといえば、そうでもない。

    色々ネガティブなことばかり言ってしまっていますが、それでもホラーの表現はさすがの三津田さんです。
    これでもかと(本当にこれでもかと)ホラーのシーンを入れてきてくれるので、恐怖に慄きながらも面白くてページをめくる手が止まりませんでした。
    読み応えのある一冊だと思います。

  • 物理波矢多第2作目。
    怪奇ミステリーを期待するのだが、今回は殺人事件はなく、怪奇色がほとんど。結局最後の結論もも行きつくところに行きついた印象が強い。
    ただ、灯台長はどうなったのかよくわからない。

  • 「黒面の狐」のまさかのシリーズ第二作。物理波矢多シリーズ。あれはあれで終わりなのかと思ってました。刀城シリーズのように自分から物騒な怪異譚的なものに飛び込んでいくならともかく、普通に生きようとしている人がそうそうあんなミステリホラーなことにそうそうは巻き込まれないでしょう、と。いやまあでも好きだからその辺は大いに目をつぶらせていただきますが。
    で、面白かったです。なんというか、最後がかなり駆け足になってしまってる感はありましたけども。
    しかし、元々がかなり剣呑な展開ありありな背景なんだし、いっそ白もんこ使いのばあちゃんを殺害して・・という展開もありそうだなーとか思ったり。戦争を体験してそのあたりの心理的なハードルも下がっていたりしそうだし、そういう発想に物理くんが至らなかったのが不思議だなーと・・・あくまでも物語の中でのお話ですよ。個人的に殺人を肯定とかそういうのではありません。

    刀城シリーズに比べるととぼけたコメディタッチなところがなくてちょっとホラーよりで好き嫌いが分かれるのかもしれませんね。最終的にオカルトありきの前提でのお話になってるところも。

  • 物理波矢多シリーズ第2弾。
    敗戦に志を折られた元エリート青年の物理は日本の復興を縁の下から支える過酷な職を選ぼうと決意し、前作の炭坑夫につづいて灯台守となる。しかし赴任地の轟ヶ埼灯台に向かう彼を待ち受けていたのは不可解な怪異だった…
    ひたひたと迫る得体のしれないもの、山中の一軒家、見えているのに辿り着けない灯台。サプライズはあるものの前作よりホラー寄りな話で、怖さに引っ張られて読み進むうちに読み終わってしまった。
    個人的には前作『黒面の狐』の方が好みだが、秘境の灯台と怪談という組み合わせはいい。

  • 『黒面の狐』に続く波矢多シリーズの第二弾。灯台守になった波矢多が「白い人」の謎に巻き込まれる。彼自身が体験した奇妙な出来事と、灯台守の上司が過去に体験した出来事の、時を隔てた相違の謎を解くホラーミステリ。不気味な効果音の繰り返しで怖さが増してくるいつものパターンだけど、今回もゾクゾクさせられた。
    ホラーミステリであるから、謎解きも本格ミステリの様に全てが明らかになる訳では無く、曖昧な部分も残る。それを不完全燃焼と思うか余韻と思うかで評価は分かれるだろう。私は『黒面の狐』の方が好きだな。

  • 今回は謎解きが蛇足に思えるほど。全編ホラーで押し切っちゃってくれた方が怖さがより後を引いて良かったのでは?
    半島の先端になどの端っこを旅するのが好きなので、何か所か訪れたことのある灯台が出てきてゾクゾクしました。

  • いわゆる殺人事件は最後まで起こらずでびっくり。それでも最後にはうわっとゾクッとするような謎解きが展開されて面白かったです。灯台守というまたしても特殊な職業でしたが、戦前からどういう形態を経ていっているのかの説明辺りは素直に感心しながら読みました。

  • オカルトには伏線回収は必要無い!
    必要無いのだが、少しばかり散らばり過ぎな気がしなくもないかな?
    今回は前作とは違い、事件よりもオカルト要素がふんだんで、好みではあったけれど、消化不良気味。

    『娘』のことは薄々分かっていたが、きっとそこには止むに止まれぬ事情があるんだろうと読み進めていった所が、自分の代わりの人身御供だとは…。
    とんだネグレクトだった。

    …そして誰もいなくなった。
    この結びは好きだった。

    時間の前後はあるものの次作には『彼』がカメオするらしい。 時代考証が同じなので期待はしていた!
    そういったクロスオーバーも個人的に好み。

  • 前作で炭鉱夫だった波矢多が、今回は灯台守として辺境の灯台に赴任するところから話は始まります。しかし、灯台に辿り着くまでが長い!しかも怖い!いつもの追い詰められ系の恐怖。そして、ようやく灯台に辿りついた頃には本の半分を過ぎ、さらに同じような体験をした灯台長の(怖い)話が続き、合理的な説明をつけ始めたのでちょっと安心したら最終的にさらに怖いという。前作の黒面が想像していたのと違い、そこまで怖くなかったので安心して読み始めたらこれか! 次作の赤はちょっと間に何か楽しい話を挟んでから心して読みます…。

  • 三津田信三作品はホラーとミステリーを楽しめる贅沢な本が多いですが、このお話も怖さと謎解きがあってとてもよかったです。

    前作(黒面の狐)はどちらかというと波矢多が事件に巻き込まれ、渦中の真ん中から見ているようなイメージでしたが、今回は波矢多の実体験がありつつも、先輩灯台守の聞き手にまわる部分が多かったとおもいます。
    波矢多、安楽椅子探偵の素質もあるな…とか思いながら読んでました。

    もうすぐシリーズ3作目が出るということなので、すごく楽しみです!!

  • 敗戦後、困窮極める日本の復興を下から支えようとする物理波矢多が灯台守となって登場する。第一部は物理君が東北某所にある轟ヶ崎灯台に赴任になるも嵐で船が着けられないため、地元民が避ける白衣の森を通って灯台へ向かう。日本の灯台史、仕事を紹介しながら、物理君の周囲を白もんこという怪異がうろつく。そんな不気味な雰囲気の中、森で道に迷い憑き物筋と思われる祖母と孫が住まう白屋に一泊する。孫の白穂に魔除けのお守りを貰ってどうにか灯台へ辿り着くもそこには誰もいない。

    第二部は灯台長入佐加の過去が語られる。第一部の物理君の話と奇妙な一致がある。この偶然の一致について物理君が合理的な推理をした後、現実とは思えない出来事が物理君を襲う。物理君が会話していたはずの入佐加は死んでおり、彼はただ一人で話していただけだという。

    第一部の怪異が第二部では奇妙な偶然という謎となり、怪異について説明はできないが謎は解釈できるってことかな。第一部と第二部で灯台に関する説明がかぶっている、第二部灯台長はすでになく物理君の自問自答というのは後から取って付けた感があって、ちょっと作りが荒い気がする。

  • 物理波矢多シリーズ、2作目。

    前作は北九州の炭鉱が舞台であったが、今作は東北地方にある灯台が舞台。現代は船にGPS機能がついているし、灯台そのものの役割が薄れてきている上、灯台の無人化で灯台守という職業も消失しているとのこと。なので、今は存在しない灯台守がかつてどういう仕事でどのような暮らしをしていたのか、その実態をとても興味深く読めました。ただ、前作は怪奇譚でありながらも本格ミステリの面もちゃんとあり、謎に対してそれなりに合理的な解決が成されていたと思うのだが、今作は結局のところ怪奇譚は怪奇譚でしかなかった、という結末で終わってしまった。少しばかり謎解き的なところもあるけど、最後、灯台長の存在そのものを怪異譚で終わらせてしまうと、それまでの全てが非現実化してしまって元も子もないような。もう少し、合理性があっても良かったかな。

  • 『黒面の狐』の続きになるのかな。
    相変わらず、雰囲気が怖い。
    本なのに、文字から嫌な空気が流れ出てくるような感覚。
    文章として物凄く怖い言葉が書かれているわけではないのに、「何か気持ち悪い。おどろおどろしい気持ち」になってしまうのはすごい。
    「白もんこ」の正体が結局何なのかうやむやなまま終わったけど、そこがいいのかな。結局怖いものは怖いもののまま。この本には、その結末がピッタリかな。

  • 相変わらず怖かった。
    最後近くで怖くなかったのかと思いきや、やはり怖かった。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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