世界まちかど地政学NEXT

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 74
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910147

作品紹介・あらすじ

「博打好き」の中国資本によるラオスの都市開発から、格差最小富裕国ルクセンブルクの歴史的叡智まで――世界105カ国をわたり歩いてきた著者が描き出す、各国の地政学的ダイナミズム!・高架上の遊歩道「ハイライン」にみるNYの都市再生・平和の配当に潜む毒饅頭、東ティモール・テロの爪痕の残る国際リゾート地ニースを脅かす排外気分・高級モールとスラム以下の生活が混在する南米アスンシオン・バルカンの火薬庫、歴史に見る戦争と平和の分かれ道とは? …etc大好評『世界まちかど地政学』の第2弾。日本の未来を照射する世界経済のリアルがここに。目次第1章 成長目指す貧困国 平和の配当に潜む毒饅頭第2章 ニューヨーク・再生と格差拡大の現場第3章 バルカンの火薬庫はいま:旧ユーゴとアルバニア第4章 極小の公国から見える欧州の本質第5章 レバノンとヨルダン・戦地真横でのかりそめの安寧

感想・レビュー・書評

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  • 中東のレバノン、ヨルダンの話が面白かった。
    周辺のイスラエル、シリア情勢の影響もあって危険だと勘違いしていた。
    これをきっかけに中東のパレスチナ、シリア内戦、クルド人、ISについても改めて勉強するきっかけになった。

  • デフレの正体や里山資本主義と言った国内に目を向けた一冊ではなく、世界に焦点を合わせた一冊。著者の世界旅行からその国で感じたこと宗教や歴史と言ったものを語る。

    総じて感じたのは発展途上国ほど、外国資本の流入もあり貧富の差が激しくなったり、ひとが入らないショッピングモールを作り、国としての見かけの大きさをアピールしている感があることでした。

    旧ユーゴスラビアの国々の話では、国家が消滅することの意味を考えさせられました。またルクセンブルクの小国だが、ひとりあたりの所得が世界一の国の生活が地味に見えたけど、以外と富裕層ほどそんなものかと。

  • 羨ましい生活かも~ヴィエンチャン・東チモール・アスンシオン・ニューヨーク・ザグレブ・サラエヴォ・ポドゴリツァ・スコピエ・プリシュティナ・ティラナ・ルクセンブルク・アンドラ・モナコ・ニース・ベイルート・アンマン~東大卒でコロンビア大学院修了し、日本政策投資銀行の参事役を経て、日本総合研究所調査部主席研究員

  • 世界には、名前すら知らない国がまだいくつもある。ましてや、それらの国を実際に訪れる機会など、普通の生活をしている人にはほとんどない。
    観光地などには目もくれず、ひたすら訪れた国の街の中を自らの足で歩き回ることで、その国の来し方行く末を展望しようとする筆者の視点は、その国を経由しつつ、自らの故国である日本の来し方行く末に注がれているのである。

  • 藻谷さんの新しい本。毒舌だが、本質を得た鋭い意見が多く、考えさせられる。

  • 日本は、経済の発展した、治安が大変良い、民族や宗教の衝突がない、海に囲まれ言語も統一され「国とは何か」というようなことについて考える必要もない場所です。ですがそれゆえに、日本の中だけでものを考えていると、世界の国々が何に悩んでおり、どうしようとしているのかがわからなくなってしまうように思えます。

    日本は明日にでも食べていけなくなるという日本人の不安を聞けば、世界の人たちは、「こいつら狂っているのか?」と思うだろう。日本ほど真面目な国が食べていけなくなるのなら、他の200カ国のほうが先に破滅するよというのが、世界の人の常識的な反応だ。

    ベトナム人は稲を植える。カンボジア人はそれを見ている。ラオス人は、稲の育つ音を聴いている

    欧州50カ国の違いを把握するには、EU加盟か、シェンゲン協定加盟か、ユーロを使用しているかの3点を確認することが有用だ

    サラエボオリンピック オーストリア選手団に対して暴力をふるう地元観客がでた 旧ユーゴのうちスロベニアとクロアチアを多年支配した国だから

    セルビア人 14精機からオスマン・トルコに支配されつつも、東ローマ帝国時代からの正教を奉じて500年のも反抗を続け、19世紀初頭に自力で事実上の独立を回復した尚武の民だ。使用する文字も、東ローマ帝国時代のブルガリアで発明され正教圏に広まったキリル文字である。
    他方でクロアチア人は、トルコの支配を免れたがオーストリアのハプスブルグ家に多年支配された結果、カトリック教徒となって中欧の文化に同化している

    セルビア人とモンテネグロ仲が良かった

    西欧のキリスト教国は、カトリックを奉じる神聖ローマ帝国の首都ウィーンを、トルコによる2度の包囲から死守するのには協力したが、正教を奉じるセルビアの苦境には、結局十全の力を貸さなかった

    ルクセンブルグ 45%が外国籍 シンガポールと似ている 街頭ですれちがうのは白人ばかり。仏英独といった多言語を操ることへのハードルが、大陸欧州出身者でないかぎり高いからか

    ちなみに欧州にさらに10年先んじて、先進国で最初に生産年齢人口が減少を始めた日本では、アジアらかの人工流入圧力はずっと低い。ここ数年の間に韓国、台湾はもとより中国やタイでもばたばたと、日本に遅れること20年あまりで、同じく生産年齢人口減少という事態が始まっているからだ。つまり欧州にとっての中近東やアフリカに該当する人口爆発地域が、もう周辺にはあまりないのである

    日本は低賃金労働に依存するタイプの工場を東アジア、東南アジアに移転した。そのことが移転先の経済発展を促進し、生活水準を向上させて出生率を下げ、地域紛争や内乱をも抑え、結局日本への人口流入圧力を低減する結果となった。
    それに比べて、中近東やアフリカを発展させなかった、欧州や、メキシコやカリブ海地域を発展させなかった米国は、移民の強い流入圧力に晒されている

  • 著者の藻谷浩介(1964年~)は、日本政策投資銀行勤務を経て、日本総合研究所主席研究員を務める、地域エコノミスト。2010年発表の『デフレの正体』は2011年新書大賞第2位となり、販売部数は50万部を超えている。
    本書は、著者がこれまでに訪れた世界105ヶ国での見聞・考察を、2017年4月から毎日新聞社のインターネットサイト「経済プレミア」に週刊連載している、「藻谷浩介の世界『来た・見た・考えた』」の書籍化第2弾。第1弾は、毎日新聞社から2018年2月に発刊された『世界まちかど地政学』。(第1弾の後、続編を期待していたのだが、早速出版されて嬉しい限り)
    本書に収められた国・都市は、「途上国問題」としてラオス、東ティモール、パラグアイ、「都市問題」としてニューヨーク、「民族問題」として旧ユーゴスラビア(クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、セルビア、北マケドニア、コソヴォ)、アルバニア、「国民国家の問題」としてルクセンブルク、アンドラ、モナコ、ニース、「宗教問題」としてレバノン、ヨルダンである。
    著者の旅に対するポリシーは極めて明快で、「観光地の前にまずは首都へ」、「興味は名所旧跡ではなく、その国のいまの社会状況にある」、「「首都を日帰りや1泊でチラ見したところで何がわかるものか」という批判はあって当然だし、筆者もいつもそう自問自答している。それでもチラ見するのと、一度も行かないのとはまったく違う」、「書斎で膨大な数の本を読んで知識を得る人がいるように、筆者は世界の無数のまちかどで、現場の光景を読み取りつつ、「この世界はどのように出来上がってるのか」ということを考え続けてきた」というものであり、本書もそれに則った内容・記述になっている。
    私は著者と同年代の会社員で、これまで公私で40ほどの国を訪れる機会があったが、もちろん美しい自然や歴史的建造物を見る楽しみはあるものの、一方で、歳を重ねるごとに、“世界各地の人間社会”がどのように存在し、そこで人々はどのような生活を送り、更に、それを我々はどのように捉え、考えるべきなのか、に強く関心を抱くようになっており、著者のアプローチ方法には強く共感する。(私は一昨年イスラエル&パレスチナを一人旅したが、近いうちに旧ユーゴを巡りたいと思っている)
    観光ガイドとも、紀行エッセイとも、ルポルタージュとも異なる視点で、今知るべき世界の一部を垣間見ることのできる面白い一冊である。
    (2019年4月了)

  • 【歩くとはじめて分かる「本当の世界情勢」】再開発が進む途上国で起きている格差拡大の実態から「ヨーロッパの火薬庫」の現在まで、世界のリアルから日本の未来が照射される一冊

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著者プロフィール

1964年、山口県生まれ。㈱日本総合研究所調査部主席研究員。1988年東京大学法学部卒、同年日本開発銀行 (現、㈱日本政策投資銀行)入行。米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所出向などを経ながら、2000年頃より地域振興の各分野で精力的に研究・著作・講演を行う。2012年度より現職。政府関係の公職多数。主な著書に『実測!ニッポンの地域力』(日本経済新聞出版社)、『デフレの正体』(角川oneテーマ21)。

「2012年 『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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