0から学ぶ「日本史」講義 中世篇

  • 文藝春秋 (2019年6月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784163910352

作品紹介・あらすじ

週刊文春連載の日本史講義、第二弾。今回は「応仁の乱」「承久の乱」を含む中世篇です。巻末には、『応仁の乱』著者、呉座勇一さんとの対談も収録。



第一章 院政の始まり

野性のエネルギーを失った藤原氏

院政の開始

荘園のつくり方

「武士」は京都生まれ

前九年・後三年合戦の神話化



第二章 平氏政権の実態

中世日本のラスプーチン 信西

平治の乱——生き残った清盛

東西の巡礼流行

中世日本のジョブズ 平清盛

時代のイノベーター 平氏政権



第三章 鎌倉幕府の虚実

「源平合戦」はあったのか?

『平家物語』の名場面は本当だったか

身内殺しの頼朝

鎌倉幕府――頼朝から北条氏へ

「反乱軍」が勝った承久の乱

「御成敗式目」の合理的精神



第四章 モンゴル戦争と悪党

世界を揺るがしたモンゴル帝国

モンゴル戦争で幕府の権威がピークに

両統迭立は「上皇と天皇」のセット

「鎌倉新仏教」か「戦国新仏教」か

鎌倉幕府の滅亡



第五章 後醍醐天皇と足利兄弟

ワンマン社長の「建武の新政」

建武の新政を生んだ「朱子学」

新政の崩壊から南北朝時代へ

足利尊氏の“ライバル”、新田義貞

尊氏と直義の兄弟二頭政治

天下を二分した兄弟喧嘩『観応の擾乱』



第六章 室町幕府の興隆

生まれながらの将軍、義満

義満の「権力の見える化」戦略

倭寇と「日本国王」

世阿弥とパトロン義満

守護大名の誕生

足利義教——幕府の権威がピークに



第七章 下克上の時代へ

義政と「応仁・文明の乱」

現代日本文化の源流 東山山荘

戦国時代はいつ始まったのか

戦国大名とは何だったか



第八章 天皇、公家、そして武家

中世篇まとめ1 院政の伝統

中世篇まとめ2 中世日本を支配した公家と武家

中世篇まとめ3 貨幣経済の浸透で現代日本とつながった



対談 呉座勇一「中世を学べば現代がわかる」

感想・レビュー・書評

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  • 博覧強記な著者は、日本史をグローバルな影響から見るという一貫した視点で解説している。鎌倉時代〜戦国時代というカオスな中世も、世界とくに中国の影響を抜きには語れない。

    教科書に出てくる元寇は、大元ウルスというモンゴル発の世界帝国が日本を侵略した戦いとして知られる。しかしその実態は通商交渉であり、日本側の幕府・得宗が外交手段を持たなかったという考えはなるほどと唸らされる。同様に、源平合戦という平家物語をベースにした歴史も明確には存在せず、源義経の超人的活躍も実はなかったのだ。そして武家社会を開いたのは源頼朝というよりは平清盛であり、そのグランドデザインに則って鎌倉幕府〜室町幕府という武家権門が形成されていった。

    グローバルの大きな影響のもう1つは宋銭の大量輸入による貨幣経済の到来である。銀本位制の大元ウルスにおいて、銅の宋銭は不要でありそれらが周辺国へと流れて貨幣が使われるようになる。そうすると物々交換から商業が発展し、さらに金融や土地との価値交換、年貢の集収といった行為に活用されるようになる。それらが従来の公家や寺社の荘園といった既得権益を脅かし、在地の守護・地頭が力をつけて武士が中心の大名家が勃興していくのだ。

    こういった視点での日本史理解は新鮮だし、教科書に書いてあったような内容とは奥行きがまったく違って見える。大人の学び直しに、是非とも目を通してもらいたい。

  • 歴史を学ぶことは、現代生きる上での知恵を得ることだという。そのやりかたというのを学んだ気がした。たとえば元寇の背景。宋を滅ぼした元は、宋の官僚を使って文化事業を行い、そして軍人を使って周辺国への侵攻を行った。元寇として知られる日本の国難は、そういう背景で行われたものであり、元がなぜそれを行ったかといえば、宋の官僚や軍人が不満を感じて元に反抗するのを抑えるためだったからだという。仕事を与えときゃ、おとなしくしてるだろう、と。対して、フセインを殺したあとイランの軍人たちからISに流れたものが多くいた・・・アメリカは元よりも考えたらずだったね、なんてあたり。なるほどなぁ。

    あるいは建武の親政をおこなった後醍醐帝。彼は中国の皇帝を中心とした政治体制を作ろうとしたんだけど、中国に合ったような科挙が日本にはなく、ために帝政を支えられるだけの体制を作ることができなくて、結局、尊氏に追われることになった、と。

    こういう歴史の事実をその背景と、なぜそういうことになったのかという説明をあわせて出してくれるあたり、とても面白かった。歴史って決して暗記科目じゃないんだよね。

  • 本書はカオスな中世が主題。荘園を分け合う権門体制から、やがて武士が興隆し戦国の世に入るのと合わせ、貨幣の流入による悪党の出現や金融流通の発達、自治する惣村や室町期での日本文化の形成など、社会変遷の流れを押さえ、少しくだけた語り口で説明するスタイルは相変わらず読みやすかった。王家やモンゴル戦争など、従来用いられなかった用語の使用に表れるように、最新研究の反映に努めている姿勢も安心感がある。反面、随所に示される著者特有の史観や認識に対しては、自分はこう考える、と鵜呑みにしない読み方も大事。自分なりの歴史の見方を醸成する叩き台に。

  • 週刊文春連載2017年11月~2018年11月
    第二弾は中世。
    1068年(藤原氏を母としない)後三条天皇の即位から
    1568年信長の入京までの500年間としています。

    〈つまり、これを期に摂関政治の時代が終わり、院政と武士の時代が始まったのです。寺社の強訴を朝廷が押さえられなくなったとき、「院」は律令体制の枠外にあるおかげで、自由に武士を操り武力で鎮圧することが出来ました。この時代は、公家・武家・寺社などの権門が分立していました。それら権門が有する荘園と公領が、荘園公領制と呼ばれるように、並び立っていたのです。〉

    出口さんの日本史の面白さは、「現代で言えばどういうことか」とわかりやすく説明してくれるところ。
    例えば〈以前、守護が「守護大名」化した経緯をみました。簡単にいえば将軍に任命された県警本部長である守護が、任地の町村長を部下にして、いつの間にか県知事になってしまったという話でした〉など。

    そして「歴史の解釈はどんどん変わっている」
    そのことを知らせてくれます。
    驚きです。

    また最後にまとめているのもとても良いです。
    出口さんの本の特徴だと思います。

    さらにこの本では巻末に『応仁の乱』のベストセラー作家呉座勇一さんとの対談があります。
    これで出口さんが独自の可笑しなことを喋っているのではなく、助教のお墨付きとわかります。

    読者の忌憚のない意見がほしいということで、伝わるかわかりませんが、個人的に言わせてもらうと、関西弁の多用は御遠慮いただきたいです。
    他の本でちょっと出た時は面白いと思ったのですが、
    正直うんざりしました。
    普通にやってほしいのです。

  • 改めて日本の中世はカオスだったんだなと思う。
    様々な立場の人が色気丸出しで権力争いをしている。
    摂関政治から院政へと権力が移り武士の意識も少しずつ変化したようだ。
    当初幕府は政治をする気はなく軍事警察権を認められればよしとしていたことは新鮮だった。

    鎌倉幕府は平清盛にならって制度設計したとの事。
    土地本位制のなか貨幣経済を取り入れようとした平清盛は先見の明がありセンスがよかったんだな。

    承久の乱で武士の地位は向上し、応仁の乱で現代に続く文化が花開く。
    大きな戦の後は様々なパラダイムシフトが起こる。

    中世とは色々な可能性のある面白い時代だったんだな。

  • 戦国時代は小説やドラマで何となく流れは知ってるつもりですが、鎌倉、室町時代はあまり知りませんでした。源平の実相、モンゴル戦争による鎌倉幕府の西国への拡大、院というシステム、南北朝、室町時代の足利家のこと、公方と鎌倉公方の二元体制、等々。公家と武家の絡み合い。多元的で混沌、でも活力あり。今回も自分の常識が覆される歴史を勉強できました。自分レベルでは本巻は是非再読したいです。出口さんの関西弁での解説、これはすーっと頭に入ります。

  • 鎌倉から室町がためになりました

  • 最新の歴史学の見解をベースに、わかりにくい中世のカオスな状況について出口先生のわかりやすい言い回しで書かれていて、入りやすい。

  • もちろん通史なので内容はさらっとしたものです。筆者の言い回しが私にはしっくりこなかったかな。星3つぐらいです。

  • <目次>
    第1章  院政の始まり
    第2章  平氏政権の実態
    第3章  鎌倉幕府の虚実
    第4章  モンゴル戦争と悪党
    第5章  後醍醐天皇と足利兄弟
    第6章  室町幕府の興隆
    第7章  下剋上の時代へ
    第8章  中世編まとめ 天皇、公家そして武家

    <内容>
    APU学長出口さんの『0からの日本史』中世編。相変わらずの読書量から繰り出される解釈は、わかりやすく、会社人としての素直な読み解きが、大変わかりやすい日本史となっている。足利義教が室町将軍で最強に賢かった、というのは目から鱗。確かにそうですね。問題は信長と同じように、短気だったこと。その結果は二人とも同じ。
    最新の歴史解釈も、文章がわかりやすいので、すっと入ってくる。

  • 【日本史の常識をアップデート!】世界史解説の第一人者による日本史本の第二弾! 承久の乱、応仁の乱を含む中世篇も「源平合戦はなかった?」など刺激的な知見満載。

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著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)名誉教授・学長特命補佐。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年~2023年、APU学長。2024年1月より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)、『逆境を生き抜くための教養』(幻冬舎新書)、『出口治明学長が語る 人生が楽しくなる世界の名画150』(星海社新書)、『働く君に伝えたい「考える」の始め方』(ポプラ社)等多数。

「2024年 『人類5000年史Ⅵ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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