三階書記室の暗号 北朝鮮外交秘録

  • 文藝春秋 (2019年6月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784163910383

作品紹介・あらすじ

韓国では発売後、3週間で10万部を超える異例のベストセラーに。
「これは禁書になるかもしれない」と今も話題騒然の、元北朝鮮外交官による暴露本。

金日成に憧れ、金正日に信頼され、そして金正恩を捨てた――。
30年間にわたり平壌心臓部を生き抜いた男が、金政権中枢の真実を次々と明かす!

・金日成が指示した「ローマ教皇招聘計画」
・ミサイル輸出をめぐるイスラエルとの極秘交渉
・密輸で外貨を稼ぐ外交官たち
・日朝平壌宣言の敗北と偽遺骨問題
・金正男の偽造パスポート事件
・大韓航空機爆破事件の金賢姫は同窓生だった
・金正恩が恐怖政治に頼る本当の理由
・張成沢処刑の引き金を引いた人物
・金正哲と過ごした61時間の全貌

【目次】

■日本語版への序文

■序 章 脱北後に見た世界

《第一部 平壌心臓部の内幕》
■第1章 核兵器開発はこうして始まった
ローマ教皇招聘計画/中ソの圧力で国連加盟/日朝国交正常化に失敗/イタリアと接
近/毛沢東の牽制/核拡散防止条約脱退/金日成の死/米朝枠組み合意で時間を稼
ぐ/深刻化する食糧危機/イギリスの秘密接触/義父の粛清/駐デンマーク大使館へ

■第2章 対イスラエル極秘ミサイル交渉
北朝鮮外交官がたばこを密輸/公表されなかった「張成沢逮捕」/デンマークからの
食糧支援/金一族への献上品/主体思想創始者が脱北/医療費が払えない/スパイリ
スト捏造/同僚の粛清/金正日の激賞/金大中当選/イスラエルとの極秘交渉/帰国

■第3章 金正日と小泉純一郎
徹底した帰国審査/イギリスと国交樹立/ブッシュ政権への警戒/人権問題を隠れ蓑
に/金正日の二枚舌外交/九・一一で状況一変/アメリカの意図を探れ/イギリス大
使館開設/APTN平壌支局/日朝平壌宣言の衝撃/偽遺骨問題/貨幣改革で大混乱

――監訳者解説1 本書が明らかにした北朝鮮外交の舞台裏

■第4章 アメリカの真意は見抜かれていた
駐英大使館に課された使命/利用されたイギリス/韓国人からゴルフレッスン/北朝
鮮の中枢機関「三階書記室」/テポドン発射と初の核実験/激怒した中国/有名無実
の六カ国協議/北朝鮮官僚がホームステイ/エリック・クラプトンに平壌公演を依頼

■第5章 金正恩の変節と粛清
同僚の思想調査/党と行政の権力闘争/金正日の決裁が下りず現場混乱/それは暗殺
計画だったのか?/後継者候補から外れた金正男/貨幣改革に国民が抵抗/延坪島砲
撃事件/金正日から金正恩へ/束の間の改革開放/戻ってきた恐怖政治/張成沢処刑

■第6章 亡命前夜、金正哲との六一時間
長男との別れ/金正恩の隠された生母/性奴隷と化した女学生たち/一万人粛清/文
字が読めない中学生/

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

北朝鮮の外交と内政の内幕を、元外交官の視点から詳細に描いた本書は、独裁体制の真実や国際関係の複雑さを浮き彫りにします。著者は、金日成から金正恩までの政権の変遷や、外交交渉の裏側、そして北朝鮮特有の権力...

感想・レビュー・書評

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  • 脱北外交官の手記。
    外交官から見た北朝鮮の様子がよくわかる。

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  • 【271冊目】2016年に脱北した元在英北朝鮮大使館公使の外交回想録。めっちゃ面白かった!北朝鮮外交だけでなく、内政の内幕、さらに北朝鮮の歴史を内側から視る。北朝鮮という特殊な国家のことだけでなく、より一般的に外交や独裁、あるいは統治についての洞察が得られる一冊。

     題名にある「三階書記室」とは、韓国でいう青瓦台、米国でいうホワイトハウス、日本でいう内閣官房のような部署のこと。北朝鮮政府は完全な縦割りになっていて、横の連携は一切ない。全ての報告・決裁は金日成・金正日・金正恩に向かってあげられ、指示はそこから降りてくる。金氏が情報を独占することにより、唯一領導体系、すなわち独裁権力を強めるためである。しかし、さすがに金氏だけで一国全ての報告・判断を行うことは不可能。そこで、三階書記室が情報の結節点となり、時に金氏に代わって判断・指示を行う。それゆえ、三階書記室は北の体制に不可欠な重要部署なのである。

     筆者が在英大使館時代に受けた三階書記室からの暗号の内容は、金正日の息子・金正哲がエリック・クラプトンの公演を観る際のアテンドをすること。超お忍びの訪英を現地で察知したのが日本のメディアというのも興味深い。

     その他、張成沢粛清は金正恩が金正日の正妻の子ではないというルサンチマンに由来しているという筆者の分析や、拉致問題で日本の姿勢が予想以上に強硬だったために金正日が認めざるを得なかった等々、興味深い話はたくさんある。

     最大の敵である米国の出方をうかがったり、北朝鮮への強硬策を回避するために、米国の同盟国で北朝鮮と国交のあるイギリスを利用したという外交戦略も面白い。この本が出版された後、イギリスは対北朝鮮政策を変えたのだろうか。

     筆者は、今年5月の選挙に当選し、今や韓国の国会議員である。しかし、本書では、彼自身がかつて誇った思想的強固性は描かれるものの、彼が犯した罪についての記載は乏しい。外交官として食糧調達の話とか書いてあるけど、この本が読みやすく、かつ、大変示唆に富み、筆者の賢さをうかがわせる内容だからこそ、逆に、本書に描かれなかった彼自身の欺瞞に意識が向いてしまう。

  • 脱北した北の高位外交官。
    実際どんな形で脱北したのかとか、全く書かれてないし、脱北を決めた心情とか唐突過ぎて、どこまで本当か、何を端折ってるのか判らないが、北の考え方とか体制とか、面白い。

    変な言い方だが、マジなんだな。

    それにしても、外交っていうのは命懸けというのがよく判って、今の日本はここまで考えてやってんのかと思う。

    南に寄せる過度な期待は、ちょっと笑う。

  • 脱北した元北朝鮮外交官による、金日成の時代からの自伝である。
    金正哲のイギリス極秘訪問や、自らの結婚に至る経緯等は非常に具体的で、北朝鮮の実情がよく分かる。
    北朝鮮の崩壊については、その強力な密告や粛清のシステムにより簡単では無さそうだ。

  • 【北朝鮮はできることもないかわりに、できないこともない社会だった。すべてが金正日の気持ち次第だった】(文中より引用)

    在英国北朝鮮大使館の公使を務めていた2016年に脱北を決意し、現在は韓国を拠点として活動する太永浩。閉ざされた国の外交活動に長く携わった太氏が、自身の半生と北朝鮮外交について詳述した作品です。訳者は、ソウル大学言語教育院で学んだ李柳真と韓日・英日翻訳者として活躍する黒河星子。

    一外交官の視点を通してではありますが、北朝鮮の社会構造から思考方法までをも感じ取ることができる稀有な一冊。圧倒的な情報量とその質に唖然とさせられること間違いなしです。今年読んだ外交関係の作品の中でもトップクラスの衝撃を受けました。

    今年のトップテンには間違いなく入りそう☆5つ

  • 著者は、2016年に脱北した北朝鮮の元英国公使。このような立場だから書けるリアルな北朝鮮の日常、外交の実態は圧倒的な現実感があり迫力がある。
    北朝鮮にとって核が如何に重要であるのか。妥協すると見せかけて時間を稼ぎ、危機を煽って相手の譲歩を誘う。これが北朝鮮の戦術であり、過去も現在もこれを繰り返しているのだという。
    しかし著者のような高官であっても外交戦略に携わっているわけではない。省庁の各ラインはバラバラで横の連携は不要であるだけではなく許されない。束ねるのは金正恩ただ一人、というのがまた恐ろしい。

  •  礒崎慶應大准教授は、北朝鮮社会では縦割り(このこと自体は本書にもある)かつ外務省の地位がそれほど高くないので、本書の過大評価は禁物と戒める。確かにそうだろう。核開発や張成沢粛清の真相、金正恩の思考は著者が直接知り得る立場だったわけではない。2010年の延坪島砲撃事件で、外務省は真相を知らされないままベルギーとの交渉が吹き飛んだり、著者は独大の抗議文に反論する羽目になったり、とも書いている。
     ただそうだとしても、著者が経験した内容だけでも面白い。90年代デンマークでの援助の引き出し、2000年以降の英との修好協議、次いで平壌又はロンドンでのやり取り。西側国家とも第三国での韓国大使館員とも、接触は2000年あたりを境に柔軟・活発になり始めたようだ。決裁文書の文言を通りやすくなるよう弄る、というのはどこの国でもありそうだ。また同僚や友人が身内に連座して追放された話も数多く出てくる。先述の「縦割り」や、北朝鮮の上流階級が金正恩の登場で改革開放に期待したとの内容は、朝日の牧野記者も書いていたように思う。
     姜錫柱や李容浩は至る箇所で登場するが、いずれも有能なように描かれている。李容浩は在英大使時代の上司だったためか、特に評価しているようにも読める。
     貧農家庭出身だった祖父と父、そして著者自身の生い立ちを描く章も、地方の庶民の生活が垣間見えて面白い。1960年代から70年代前半までは地方も含めそれほど悪い生活ではなかったようだ。
     原題の「三階書記室の暗号」は、2015年、金正哲によるエリック・クラプトンのロンドン公演観覧を手配せよとの指示。それ自体もいかがかと思うが、音楽さえあれば徹夜も辛くないという金正恩芸術担当補佐官氏が、インターネットで世界的に有名な公演を見ることができることを知り考え込む様子は切ない。

  • 【元北朝鮮上級外交官による衝撃の暴露本!】イスラエルとの極秘交渉。日朝平壌宣言の内幕。金正恩が粛清を続ける意外な理由。北朝鮮外交を裏の裏まで熟知する著者が全てを書く。

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