いけない

著者 :
  • 文藝春秋
4.07
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本棚登録 : 390
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910512

作品紹介・あらすじ

2019年7月13日「王様のブランチ」で大反響!

騙されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。

『向日葵の咲かない夏』の原点に回帰しつつ、驚愕度・完成度を大幅更新する衝撃のミステリー!

第1章「弓投げの崖を見てはいけない」
自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く。
第2章その話を聞かせてはいけない」
友達のいない少年が目撃した殺人現場は本物か? 偽物か?
第3章「絵の謎に気づいてはいけない」
宗教団体の幹部女性が死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き捜査を進めるが。

どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……!
ラストページの後に再読すると物語に隠された〝本当の真相〟が浮かび上がる超絶技巧。
さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる〝真実〟に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。

「ここ分かった!?」と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「いけない」
    久々。


    向日葵の咲かない夏には見事な仕掛けにやられた。それ以来、道尾作品をちょくちょく読むようになっている(とは言え、今回で久々なんだが)。本書は、その記念すべき作品への原点回帰であり、大幅超えの超絶ミステリー、と言う触れ込みである。これは読む一択だ。


    白沢市と蝦蟇倉市を結ぶ白蝦蟇シーライン。その道を南下するとき左手に現れる弓投げの崖。身投げの名所になっているこの崖を中心にして、物語が進んでいく。第1章の「弓投げの崖を見てはいけない」では、ミステリー色が強いが、2章、3章に続くにつれ、原点回帰の意味が分かっていく。


    そして、終章の終章で明らかになるもう一つの真相。自分なりに、こうではないのか?と言う推理は立てられたのだが、果たして本当にこれなのか?と言う疑惑が拭えない。


    仮に自分の推理が正しければ、驚きはある。気づかれずにやり遂げたことで、前提をひっくり返したのだから。しかし、ちらほら謎が残ってしまう。まず、この推理は立て易い。隠された伏線ではあるが、割と見えてる。だから疑ってしまう。これでは、大幅超えの超絶ミステリーと言うインパクトを与えるほどの真相とは思えないから違うだろう、と。


    次に、2章に謎が残り過ぎる。人智を越えた何かがいるようなストーリーであり、珂の力にも謎が残る。どうやら第1章に秘密があるようだ。向日葵の時には、叙述トリックがあっただけに、今回もやってるのでは?と疑いながら読んでいたのだが、気づかなかった。謎を解くには、再読が必要だ。

  •  本作の第一章に当たる「弓投げの崖を見てはいけない」の初出は、2010年に東京創元社から刊行されたアンソロジー『蝦蟇倉市事件1』である。当時、存在は認識していたものの、あまりアンソロジーを読まない自分は、手に取らなかった。

     それから9年。「弓投げの崖を見てはいけない」を読んで、これを見逃していた不覚を痛感したのだった。架空の都市で起きた架空の事件。その時間、そこを通らなければ…。不運で片付けるにはあまりに酷な巡りあわせ。許し難い犯人。

     どん底に叩き落された一家と、蠢く宗教団体。嫌なネタがこれでもかと絡んでくる。警察の捜査は後手を踏む。果たして、実際にこんなことが可能なのか? そんな疑問は瑣末なことでしかない。最後の最後まで、衝撃の連続に呆然とするのみ。

     さて、本作は既出の第一章を基に、第二章から第四章を書いて完成した作品集である。それぞれの事件と登場人物には、密接な繋がりがある。そして、罠は最初から仕掛けられていた。2010年時点で、道尾さんには構想があったのかどうか。

     第二章。語り部は日本に移住してきた中国人の少年。彼の境遇は日本という国の現実そのままであり、日本人として胸が痛い。彼の境遇のせいで、こんな事件に関わってしまった。あの出会いがなければ、どうなっていたのか。頼む、生きてほしい。

     第三章。語り部は刑事。あの宗教団体の影が再び、というより前面に出る。聞いてねえよという情報が続出するが、嘘はどこにも書いていない。あくまでフェアな騙しだが、最後の部分は戸惑った。なぜ彼が…。そしてあっちの真相は…。

     短い最後の第四章でネタばらしされるが、すべての謎が説明されるわけではない。各編最後のページにある写真が、鍵を握っている。一度読み終えてから読み返すと、なるほどと納得する部分と、わからないままの部分がある。いずれ再読しなければ。

     それにしても、既出の1編を基に書き足して、これほどの完成度に仕上げるとは。久々のダーク路線と言われた前作『スケルトン・キー』でも味わったはずだ。そもそも、道夫秀介とは、騙しの技術に長けた作家なのだ。これぞ真骨頂の作品集だ。

  • 著者の初期のような作品であり新しい試みもされてるが
    騙されたみたいな驚きはなかった。
    でもいつも違ったテイストで楽しませてくれるのは凄い。

  • 本屋で何気な〜く手に取って、読んでみたら面白くて2日で読破。
    各章のオチが最終章で繋がる!!

    最後に繋げるために各章で様々な事件が繰り広げられてるが最後の写真一枚で全て繋がる。

    …が!そこには余白もあって読者が考える余地が残されてる。正直一度見ただけではこの本の面白さを全て楽しむのは難しい。
    先ずは一度読んで自分なりに解釈したあと2回目を読む事をオススメする。

  • 映像化された頃に『カラスの親指』を読んで以来、久しぶりの道尾秀介。

    一周目を読み終わった。読んでいる最中も、「え、そうだったの!?」という驚きがあって、前のページに戻りながら読んでしまった。
    しかし、まだまだ残る謎。
    少し時間を置いて、もう一度読みたい。

    一番好きなのは第一章。
    「死んだのは誰?」
    予想通りの叙述トリックだなと思っていた。途中までは。
    それがひっくり返ったのは、第三章を読んでから。
    それぞれの持ち物が鍵だったとは。

    それぞれの章の最終ページに絵や写真があるが、
    一章のものだけ、何を表しているのか(見ることによって何が分かるのか)が理解できず。
    再読時には理解できるだろうか……。

  • 2019/07/13読了

  • 道尾秀介さんらしい意欲作であり傑作。一回読んだだけでは全貌が理解できないので再読必至。初読時はラスト1ページで「あ!……えっ!?」と微妙な反応してしまったが、ちゃんと読み込むと、著者の意図が分かって「おおおお!」となる。ちゃんと伏線なども巧妙に(実に巧妙に)仕込まれている。難易度の高いミステリだが、理解すれば感心と衝撃が襲いかかる。心して読むべし。あと何気に「蝦蟇倉市シリーズ」なのも嬉しい。

  • 1周目読了。
    読みきれてない感じがすごい。自分はちゃんとこの本を読んだのだろうか。まだまだ謎がいっぱい。
    感想は2周目を読んでからにしようと思う。
    そして、この謎の答え合わせをどこかでしたい。

    追記
    2周目読了。
    道尾氏の表現力にただただ圧倒された。真相を知ると、所々に手がかりとなる伏線があり、そこに気付けるかどうかが鍵だと思う。

    試される、日本語能力。
    ぜひ考えながら、想像しながら読んでほしい。

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著者プロフィール

道尾 秀介(みちお しゅうすけ)
1975年、兵庫県生まれの小説家。玉川大学農学部卒業。会社員生活を続けながら小説を執筆しており、2004年『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー。
2007年『シャドウ』で第7回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞。2009年『カラスの親指』で第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞。2010年、『龍神の雨』で第12回大藪春彦賞受賞。『光媒の花』で第23回山本周五郎賞受賞。2011年、『月と蟹』で第144回直木賞受賞。直木賞にはこの作品で5回連続のノミネートだった。
その他代表作として『向日葵の咲かない夏』があり、文庫版は100万部を超えるベストセラーになった。『カラスの親指』は映画化された。
ほか、横溝正史ミステリ大賞、新潮ミステリー大賞の選考委員を務める。

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