いけない

著者 :
  • 文藝春秋
3.47
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本棚登録 : 4180
感想 : 454
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163910512

作品紹介・あらすじ

2019年7月13日「王様のブランチ」で大反響!

騙されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。

『向日葵の咲かない夏』の原点に回帰しつつ、驚愕度・完成度を大幅更新する衝撃のミステリー!

第1章「弓投げの崖を見てはいけない」
自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く。
第2章その話を聞かせてはいけない」
友達のいない少年が目撃した殺人現場は本物か? 偽物か?
第3章「絵の謎に気づいてはいけない」
宗教団体の幹部女性が死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き捜査を進めるが。

どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……!
ラストページの後に再読すると物語に隠された〝本当の真相〟が浮かび上がる超絶技巧。
さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる〝真実〟に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。

「ここ分かった!?」と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説。

感想・レビュー・書評

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  • ほぇ〜、道尾秀介を読んだ...道尾秀介を堪能した。そんな心地の良い読了感。
    話題に上っていた分、期待値はお高めに設定していた気がする。事前情報の複雑トリックには真っ向勝負臨戦体制でいざ参る。

    『弓投げの崖を見てはいけない』
    まずキャラクターの認識からコツコツと。
    漢字表記 カタカナ表記...、これは何かあると訝しげに進むもその謎はその内にて解明される。個人的にはそんな事件の真相よりも、新興宗教の絡みや少年達。ここがどうラストの事故に繋がったのかが謎だったのだが、人物達の行動を追っていけば、最後の写真を見て納得。第一の鳥肌をプレゼント。

    『その話を聞かせてはいけない』
    これは頭がフリーズ。というのも、「ホラー...嘘やろ...」が脳内全体を支配していたので推理まで気が回らない。怖いがな。
    しかしこれも最後の写真で犯人(?)、これはすんなりと判明。ホームレスと「あいつ」に関しては様々な妄想が脳内にて繰り広げられたが、答えが出なかったのとホラーに侵された恐怖心で断念した。後に解説を読むであろう未来の私に託そう。

    『絵の謎に気づいてはいけない』
    これは終盤になってトリックが一気に解明される唯一のスッキリボーナス章だ。さらに一章での伏線回収、答え合わせの回となる。そうです。不安定な自分の推理に赤ペン先生到来!
    何かと精神的な回復ポイントが多く、疲れた頭が幾分か救われた。
    この章での事件の動機がやや不明...と言うと語弊があるが、なんだか弱い。見落としか、、、少し不完全燃焼だけども、トリックは易しめ。最後の写真もしっくりとくる。この流れだとやっぱシロさん..(・ⅹ・)ミッフィー

    『街の平和を信じてはいけない』
    これはもう、写真に鳥肌です。一周回ってハッピーエンド。誰も真実を追求することがなければ...。
    タイトルに通ずるものがありますね。全てを知った読者のみがモヤモヤします。ご褒美です。
    ーーーーー

    なんと素晴らしい構築なんだ。天才を堪能した。
    トリックに関しては「読者に委ねる」部分も多少なり存在するが、基本的には謎に包まれた部分はしっかり読み込んでいれば大体あるべき場所に嵌ってくれる。
    Q、事故ったのは? A、〇〇さんです
    の様に読み進めれば進めるほど点と線が繋がる爽快感。麻薬書物認定だ。

    さて、色んな方の考察を見たいので解説サイトに入り浸ろう。更なる驚きを楽しみにしたいと思う。

  • あなたは真相がわかりましたか? 最後の一枚の写真から提示された謎を解き明かせるか #いけない

    海岸線が印象的な、とある街で発生する数々の事故や事件。
    連作形式の四つの短編で構成され、各編の最後のページには真相に導く1枚の画像がそえられている体験型のミステリー。

    面白いっ
    ん?ん?と考えさせるプロット構成が大変うまい。道尾秀介先生はこういった小説を書くのがとてもうまく、読者を引き付けるテクニックがプロっすね。

    本書の魅力は何より、謎解きを体験させてくれるところ。

    各短編、最後すっきり終わるのではなく、答えを出してくれないんです。最後に一枚の写真を提示されるも、それ1枚ですべてがスッキリわかるわけではない。さらにここから考察を深めていく過程が面白いですよね~
    細かな伏線やあっと驚く仕掛けもあるし、ミステリーとしてバッチシです。

    しかも全四編のストーリーのまとまりとしても上出来、こんな挑戦的なミステリーにも関わらず、きっちり起承転結ができています。

    そして登場人物である刑事、被害者、加害者、少年などの人間性、魅力もうまく出せていますね。特にラストに対話する二人は、これまでの様々な物語を経ているからこその心情が描けており、最後の最後の写真を見たとき、胸にじわっと来ました。

    文芸誌で続編が出てたので、短編一作を読んでみましたが、超面白かった。間違いなく「いけない2」も買う。
    ワクワクが足りてない人には、ぜひおすすめしたい一冊でした。

  • 久しぶりにやってしまった。。。「ポッか~ん」で読了。第2章、第3章が曖昧な感じで読み解けず、なので最終章も大体こんな感じ?で終わったが、ネタバレサイトで確認。何と!そんなことになっていたのか!と感動よりもちょっと不快だった。自分のように理解ができない人のためにすべて回収して終わってほしいな~と思う。第1章で事故死した人の謎が解けたり、山内の恩返し、ドア2枚の写真の謎、十王還命会の謎など理解できてスッキリ。道尾さんのレベルの高さには完敗。でもネタバレサイトでも分からなかったのは登場人物と十王還命会の関係。

    • ポプラ並木さん
      了解で~す!
      了解で~す!
      2021/05/05
    • アールグレイさん
      私の勇気の木が実ったら、その時にはそちらで。それまでは、時々本棚の方へお邪魔させて下さい。
      m(__)m
      私の勇気の木が実ったら、その時にはそちらで。それまでは、時々本棚の方へお邪魔させて下さい。
      m(__)m
      2021/05/05
    • ポプラ並木さん
      勿論です!いつでもどうぞ。楽しみにしています。自分も本棚見させてくださいね~
      勿論です!いつでもどうぞ。楽しみにしています。自分も本棚見させてくださいね~
      2021/05/05
  • 久しぶりに道尾秀介さんの本を読んでみた。

    あぁ〜やはりテクニックを使ってくる。
    これは、相当手強いな…と序盤から感じる。

    何度も読み返す部分が出てくる。
    なかなか、スッキリとさせてくれない。

    やはり、仕掛けてくるわ。半端ないわ。
    降参だわ。
    だけどこの感じは、癖になる。
    ちょっとしんどいけど…。

  • 各章読んだ後に、ある1枚の写真を見ることで、
    隠された真相に気付く(逆にわからなくなる)体験型ミステリと称したこの作品。
    写真を見た後に再読するのは必須ではないでしょうか。
    でないと私には全くわかりませんでした・・・
    ですが全章を読了し、再読後でも自分の見解が正しかったのかはわかりません。
    その読後感がいい意味で気持ち悪くさせる作品です。
    おそらく作者の思うつぼですね・・・
    何度も読み返したくなる、読み返さぜる得ない作品です。

    • Manideさん
      もりひろさん

      深いですね〜
      何度も読み返さなければならないなんて…

      でも、すごい興味を惹かれます…
      でも、この本だけで1ヶ月が過ぎそうで...
      もりひろさん

      深いですね〜
      何度も読み返さなければならないなんて…

      でも、すごい興味を惹かれます…
      でも、この本だけで1ヶ月が過ぎそうです(T . T)
      2022/07/22
    • もりひろさん
      Manideさん

      何度も読み返すのも苦じゃないくらい気になってしまうと思います!!笑
      来月文庫で出版されるみたいなので是非読んで気持...
      Manideさん

      何度も読み返すのも苦じゃないくらい気になってしまうと思います!!笑
      来月文庫で出版されるみたいなので是非読んで気持ち悪くなってください(^^)笑
      2022/07/23
    • Manideさん
      もりひろさん

      そうなんですね〜
      情報ありがとうございます。

      じっくり写真を見ながら、読み進めたいと思います。
      楽しみです ^_^
      もりひろさん

      そうなんですね〜
      情報ありがとうございます。

      じっくり写真を見ながら、読み進めたいと思います。
      楽しみです ^_^
      2022/07/23
  • コロナウイルス感染症のため、図書館は予約資料の貸し出しと返却しかしていないところが多い。
    この本も予約して借りたのだけど、玄関に臨時の受付机を置いて、そこで貸し出し処理。
    図書館の中には入れてくれなかった…

    さて、「いけない」はとても面白かった。
    この本は、なかなかすっきりさせてくれません。
    僕の理解力が低いというのもあるけど、はっきりと犯人や動機が書いてあるわけでもないし、ある程度のところは読者の想像力や解釈に任せている部分もある(気がする。)
    (例えば、1章に登場する隈島刑事ってどうなった?、とか)

    1回読んだだけじゃモヤモヤするので、読み返しているときに、章の終わりに付いている写真、というか絵、これが重要なことに気づく。
    なるほど、そういうことなのね。

    2回読みおわると、3つのストーリーと終章、そして章の終わりの絵が繋がって、脳が気持ち良くなる。そこはかとなく。

    というわけで2回は読みましょう。

  • 久しぶりに道尾さんらしい、練ったミステリーを読めた。

    アンソロジー「蝦蟇倉市事件Ⅰ」に収録されていた「弓投げの崖を見てはいけない」を第一章に、続編三編を追加して作品として完成している。
    アンソロジーを読んだ時は核心部分がぼやかされていたのでよく分からなかったが、この作品を読んでかなりスッキリした。

    表紙の見返し部分に
    第一章 「弓投げの崖を見てはいけない」死んだのは誰?
    第二章 「その話を聞かせてはいけない」なぜ死んだの?
    第三章 「絵の謎に気づいてはいけない」罪は誰のもの?
    終章 「街の平和を信じてはいけない」…わかった?
    とある。
    道尾さんからのこの『読者への挑戦状』とも言えるテーマを念頭に、決して斜め読みなどせずにしっかり読むと面白い。
    各章の最後のページに答えを導くような仕掛けがあるのも楽しい。

    話の内容や文章の雰囲気としては重いのだが、終章でそれまでの話が繋がり謎がかなり明かされるところは面白い。
    それでも先に『かなり』と書いたのは、全てが明示されているのではなく、読者の想像の余地を残している部分も結構あるからだ。
    まあそこはそれぞれが妄想や想像を逞しくして、この一連の事件に筋道を描いてみるというのも一興ではないだろうか。

    例えば動機、例えば語られていない人間関係、例えば過去。
    あれこれ想像で補完していくと、よりホラーチックになったり、よりミステリアスになったり、センチメンタルになったり、それぞれの「蝦蟇倉市事件」が出来上がるかも知れない。

  • ずっと気になっていた道尾さん作品。
    帯にある本書のご使用方法が、気になって仕方ないものの我慢して読み進めた。
    伏線を回収しながら、スッキリしたラストを期待していたが・・・。
    あー、そういうことか位のテンションに落ち着いてしまった。
    少し期待しすぎたかも。それぞれの罪が暴かれないことに少しモヤモヤ。
    ただ道尾さん作品の登場人物達には、いつも優しく憎めないキャラ達が多く、今回もホッと出来た。 

    • アールグレイさん
      奏悟さん、30代の方かなと思っていたのですが、腰が・・・というと40代でしょうか?
      お気を悪く
      したらごめんなさい
      (>_<)・・・やはりそ...
      奏悟さん、30代の方かなと思っていたのですが、腰が・・・というと40代でしょうか?
      お気を悪く
      したらごめんなさい
      (>_<)・・・やはりそちらに住んでいらしたんですね。これからは、地震が起きたら奏悟さんを思いだすかも知れません。
      その扉をたたく音、すぐ読み終わりそうです。「怪物の木こり」レビュー、待っています。
      (-_-)
      2021/05/02
    • アールグレイさん
      こんばんは!
      お久しぶりです。
      いけない、はまだまだ読めそうにありません。まだ、文庫化されていないようですね。
      いけない、は買おうと思ってい...
      こんばんは!
      お久しぶりです。
      いけない、はまだまだ読めそうにありません。まだ、文庫化されていないようですね。
      いけない、は買おうと思っています。手元に置き、返却期限を気にすることなく読み返したいと思っています。
      早く、文庫化になあ~れ。
      今、読んでいる本は、以前さてさてさんにお薦め頂いた「私にふさわしいホテル」です。ところが、一昨日「夜空に・・・グラミー」今日「浅田家」(そんな本リクエストしたっけ?)図書館本で大忙しとなりそう
      (ノ_・。)
      good night☆
      2021/06/03
    • アールグレイさん
      奏悟さん、こんにちは!
      「浅田家」という本、図書館から連絡があったと言いましたよね。
      読む気がしません。いつも借りて来てくれる息子に、~キャ...
      奏悟さん、こんにちは!
      「浅田家」という本、図書館から連絡があったと言いましたよね。
      読む気がしません。いつも借りて来てくれる息子に、~キャンセルしたい゙と言ったら、オレが読む、つまらなかったら返せばいいと言われました。私は、家族ものは苦手かも・・・と思ってしまいました。
      道尾秀介さんの「雷神」御存知?本屋さんでは、今頃平積みになっているのでは?伏線回収など、私には難しそうだけど図書館予約しました。12番目です♪まだ、購入予定となっています。今回早いほうです。これで予約本は14/20冊、借りるのも予約も20冊まで。
      「私にふさわしいホテル」お~っもしろいです!私が読もうとすると、本がない!犯人は誰だ!ユウヤだ!ニヤニヤしながら読んでいるのです。登場人物について、めちゃくちゃに言ってみたり・・・息子はツボにはまったようです。
      (*^_^*)、)、)、
      2021/06/03
  • 第1章「弓投げの崖を見てはいけない」
    自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く

    第2章「その話を聞かせてはいけない」
    友達のいない少年が目撃した殺人現場は本物か? 偽物か?

    第3章「絵の謎に気づいてはいけない」
    宗教団体の幹部女性が死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き捜査を進めるが。

    最終章「街の平和を信じてはいけない」


    ある地方都市で起きた年月を経た一連の事件をめぐるミステリー。
    一章読み終えても、謎が残ったままでモヤッ。
    次の章に前の章の事件も触れられている。
    そして各章の最後に地図やイラストや写真が載せられている。
    それを見てあぁそうだったんだと気付かせてくれたり、
    もう一度楽しめたりしました。
    最後の頁に提示される地図・イラスト・写真で今迄見えていなかったもの
    わからなかったもの、疑っていた事がバーッと晴れます。
    でも犯人はこの人ですとは言ってはくれていません。
    読者に推理をする様に練られた本なのでした。

    難しい、とても凝った本でした。
    ラストのヒントで真相はそうだろうと予想をするを繰り返し、
    さらに最終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、
    これまでの物語の全てが絡み合い、更なる真相に辿り着きそうでした。
    それも読者の多分そうだろう…という推理です。
    文章に表れている訳ではなかったです。

    中国からやって来てる馬少年が「町は平和で良いね」って言ってたけど、
    その言葉が何だか切なかったです。

  • 1周目でクリアに解く事が出来なくて残念。2周目で漸くシステムが分かり綺麗に咀嚼できたイメージ。

    巻末の写真と各章本文の統合解析力を測る知能テストみたいな本。

    1章毎のミステリーだから文量的にも仕方ない所はあるが、浅めのミステリーだなあという印象。1周目で満点だった人が気になります。

    騙されないように警戒しながら読んだためこんなに疑心暗鬼に集中した読書は初めてかもしれないです。

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著者プロフィール

2004年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』がベストセラーとなり、以後、『シャドウ』で本格ミステリー大賞、『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、『龍神の雨』で大藪春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞、『月と蟹』で直木賞を受賞。累計部数は700万部に迫る。

「2022年 『DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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