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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784163910802
作品紹介・あらすじ
日本の問題は、「経済」と「環境」にある。そんなのは、コロナにならなくったって、虫を見ていればわかること。虫が生きにくい世のなかは、人間も生き物も生きにくい――。
コロナ禍で一転、イタリアとの行き来が途絶え、日本生活を余儀なくされた根っからの昆虫好きのヤマザキマリが先輩として慕う養老孟司。コロナ以前から箱根の養老昆虫館に足を運んだ4年間、話は虫を通じて見えてくる世界の複雑さ、気候変動とともに変わりゆく生態系、来るべきAIの世界、すっかり脳化が進み「戦時中と似ている」という日本を覆う空気まで。そして養老さんに訪れたまるの死と病。はたして想像力と突破口はどこにある?
世の中との「ズレ」を感じ続けるふたりが、その違和を一つひとつ解きながら、いつしか微視的スコープで文明の深奥までを眺め見る対談。
みんなの感想まとめ
テーマは、昆虫を通じて人間社会や環境問題を考察する対談であり、著者たちの深い知見と独自の視点が際立っています。虫の話から始まり、経済や気候変動、日本とイタリアの文化的違い、さらには人間の存在意義にまで...
感想・レビュー・書評
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博識なお二人の対談。読み応えがあった。
割にさらっと読める感覚もある。
と言いながらじっくり用語を調べながら読んだが。。
目標をたてるというよりながされるように生きる。
それも素敵だし自然に近いと確かに思う。
ただ、楽に生きたいと思うが故に数学に逃げ、機械に逃げ、システムエンジニアになった自分からしたら耳が少し痛い…
なにを楽と捉えるか次第でもあるが。
家族至上主義なイタリアと、社会性、同調性などの方が重視される日本。考えてみたらそれらはかなり差があって、遺伝子的に組み込まれてるのかなとも感じる。
他にもなるほど、と感じるエピソードが多かった。 -
ヤマザキマリの事をよく知らず、前半は、会話のおうむ返しも多いし、本当に虫好きなのかを疑いながら養老孟司に擦り寄っているだけみたいな失礼な見方をしていたが、私の誤り。凄い素敵な人だった。息子さんも登場してくるが、自然な参加で心地良い。
虫の話が多い。そこから敷衍して考える世界観もあるし、私も虫の話には興味があるが、しかし、中々な、虫談義で胃もたれ。
地球そのものは、ただある存在。目的に向かって駆動したり、意思を持つものではないと思う。それを複雑と捉えるならば、恐らくそれは、主体の感性が勝手に複雑化してしまっているのだろう。虫はどうか。虫は目的のためだけに存在しているという気がする。この本書の対話はどうか。ダラダラと無目的には仕上がり得ない。地球のみが無目的、あるいは人間ごときに存在理由は分かりえない。不可知論的には、そうした計り知れない存在を神と同義に括れてしまう。
ゾウの歯の話に感銘を受ける。ゾウの歯はものを噛むためじゃなくて、石臼のように回転させる機能を果たしており、下あごで回転させていて、次第に歯がすり減る。一本の歯がすり減ると、次の歯が出てきて、全部使い終わると歯がなくなる。それがゾウの寿命なんだという。
ー 私は古代ギリシャのソクラテスが言っていた「人間の卓越性とは徳であり、その徳を磨いてよく生きるために、人は真理を追求すべきである」という言葉を思い出さずにはいられなくなりました。
ー たいへん良い結論を頂き、ありがとうございました。八十代の半ばを超えても、真理の追求にはげみたいと思います。
上記は後半の二人のセリフだ。自然とは、内発的な目的に対し調和を乱さず、果たすこと。歯は寿命のために存在し、命と共に朽ちる。真理を追求するという目的が人を生かすのだろうが、慣性で動く地球には目的がないのに、人類には意思があるから目的があるというのは不思議だ。目的とはつまり欲の対象だが、その欲望の始点と終点を自覚し、目的から解放されてこそ、真の安らぎが得られて命は果てていくのだろう。 -
2018年5月から2021年10月にかけて8回行われた対談集。
半分は虫の話。そこから人間の話になる。
ヤマザキマリさん、虫に詳しいから養老孟司さんと話がかみ合う。
お二人とも虫が好きなんですね。
このご両人は、頻繁に本も出している。
書かれている内容は重複していることも多い。
同じようなことを感じている人はおそらくたくさんいて、そんな人たちが読んでいるのでしょう。
言語化された思いを自分の脳に焼き付けるのに役立っている。
みんな心当たりがあって、当たり前のことだと思っていることを言っているだけだから、読者から文句や批判を受けにくい。
読者は、思っていることを上手く言葉で表してくれると「そうそう」「それが言いたかった」となる。
言語化する能力がなく、発言することができないから、自分の代わりに言ってくれる人を書籍やメディアの中で探している。
思い込み思い続けてきたことを、肯定して貰わないと気が済まない人が多い。
人間は見たいものしか見たがらない。
そもそも共感できない発言は、聞き流しがちで心に刺さらないから、「そうだ」と感じる言葉しか残らない。
普段考えたことがないことをサラッと文章化されて、好奇心のスイッチを押される言葉も随分あった。
「宇宙人は地球に来ていて人を操っている。実は猫は宇宙人なのだ。」
「死ぬってことを考えないと、人生が浅くなっちゃう。」
「死刑制度と安楽死は似ている。どちらも人の死に手を貸すことになるから当事者にはなりたくない。」
対談期間中に起きたコロナの話題も出てきた。
以下のような発言が頭に残った。
コロナ感染症の流行は、気候変動や資本主義と絡み合っているように感じる。資本主義の限界と気候変動のリスクを痛感した。(マリ)
日本は経済成長の鈍化で結果的に温暖化のブレーキをかけている。
斎藤幸平さんの『人新世の「資本論」』は、答えとしていいんじゃないかな。(養老)
実現するためには、物欲に囚われない精神を当たり前のものにしなければならない。(マリ)
mRNAワクチンは遺伝子をいじる初めてのワクチンで、世界的に極めて大人数にやっている。
短期的には副反応以外の被害は無いが、長期的にはサリドマイドみたいに絶対なにかあるはず。(養老) -
養老孟司さんとヤマザキマリさんの対談集。
前半は虫の話が中心で、できるなら虫は避けたいと思っている自分にはヒットはしなかったものの、専門家でもないのに(?)ヤマザキさんの虫の知識には驚くばかり。
後半は、身近な話題をもとに、欧米と日本の違いを宗教感、文化的習慣なども交えながら語り合っているが、これがまた深い!
お二人とも見識が広くて、紹介される本や映画も読んでみたい、観てみたいというものが多かった。 -
海外の出版業が不況の
なか、
日本の出版業は活気が
ある。
それはなぜか?理由に
ついてマリさんが説き
ます。
それは、日本の教育が
自分の考えを言語化し、
それを発言する弁証法
に力を入れてないから。
だから皆自分の代わり
になにか言ってくれる
人を、
書籍やメディアの中に
いつも探してるからだ
と。
私はその「みんな」に
すっぽりはまってるな
・・・
それはそうと、読んで
る間ずっと養老先生の
肉声が、
とってもリアルに脳内
再生されてました(笑
あとがきで、ご自分を
「くたびれた爺さん」
と称する養老先生。
まだまだお元気でいて
ください。 -
面白そうな話をしそうな人が実際に面白い話をしている。
それを喫茶店なり飲み屋なりで、ごく近い席で聞き耳立て楽しませてもらってる。
対談集を手に取ると、いつも大体そんな感じ。そして紹介される著書が興味深いのでエア積読が増える。
昆虫好きな二人が、昆虫について、昆虫から広がる話について、しばらく話し続けます。虫があまり得意でないなら少し辛抱が要るかも。でも中盤からはほとんど虫は出てきません。
他の動物について、人間の歴史、文化、知性、民族性、死生観、政治経済、環境問題について。それはもう多岐に渡って話してます。
どのトピックも、うんうん、なるほどと頷けるところだらけ。とりわけ、
『だって自分は死んだって本当に困らないから。そうでしょう?若い人は自分が死ぬと、意外に困ると思ってるんですよ。年寄りでも言うでしょう、私が死んだらみんなが困る、いまはまだ死ねない、と。でもいちばん困らないのは自分ですよ。だって次の日から自分はもういないんだから。逆に言うと、それをひっくり返すと簡単なことで、人間の人生って、ひょっとすると世のため人のためなんですよ。自分のためじゃない。だから人の死は自分に関係あるけど自分の死は自分に関係ない、死は「一人称(私)」でなくて「二人称(あなた)」なんです。』(p.139)
が最近の私にとってのパワーセンテンスでした。
昨日までそこにいた人がいなくなったら、物理的、機能的に困ることはある。もちろん感情的にも。それだけではなく、いなくなったその人の生き様、死に様を知り考え、自分の人生観、死生観が更新される。それは、とても重い呼びかけとなる。 -
2018年5月から8回にわたって
コロナ禍での一度の養老さんの鎌倉自邸以外は
箱根の別邸で行われた対談。
(ときどき息子デルス君と、ブレイクダンス得意の小林君も加わります。)
シングルマザーに育てられ、虫大好きという共通点がある二人
話は多方面にわたり、非常に面白い対談でした。
私はコロナ始まって二年ちょっとの間に
ヤマザキマリさんの本を11冊読みました。
彼女にとってもハイペースではないでしょうか。
(本当はもう一冊予定していたのです。
養老孟司さんの主治医中川恵一さんとの共著『未成熟な日本人』
どうなったのかしら?)
ヤマザキマリさんによると次の通り。
〈日本の教育は弁証法に力を入れていないじゃないですか。
ひとりで、自分の考えを言語化し、それを発言する、
なんていう教育をそもそも受けてこない。
そのかわり、みんな、何か自分のかわりに言ってくれる人を
書籍やメディアの中でいつも探している。
日本の出版文化がこんなに活性化しているのはその影響だと思うんです。
イタリアもアメリカも出版業はボロボロなのに、
神保町に行くとすごいビルが建ってるのが信じられない。
海外の知識人はみんな驚く。
漫画という娯楽産業の力であるにせよ、
書籍だって毎月どっさり発行されている。
それだけ日本人は人の活字化された言葉の中に
答えを出す民族なんですよ。
日本にいるこの二年の間に、私だって
どれだけ本を出したかわからないですよ。
なんでまた、こんなどうでもいいようなことを
みんな聞きたがるんだろうと思うんだけど、
私にとってどうでもいいことであっても、
それが誰かにとっては必要だった言葉かもしれない。
だから需要は絶えない。
こんなこと言っちゃなんですけど、
養老先生の『バカの壁』のヒットも、
結局そういうことじゃありませんか〉
これに対して養老孟子さん
〈考えていることを言語化してもらいたいんだよね。
だから先輩に言われたもん、
おまえの考えたことくらい誰でも考えているんだよ、って。
でも表現能力がないんだよって〉
私も、そういう需要を作っている一人なんですね。
余談ですが、ずっと子どもだと思っていたデルス君が
養老さんと知的な会話ができるほどの日本語能力でした。
彼はイタリア語や英語でもこんなふうに会話できるのかしら
さすがだなあ。 -
元々虫好きなヤマザキ氏が箱根の養老氏の昆虫館?を訪ねた事から始まった、養老孟司氏とヤマザキマリ氏の対談集。
虫嫌いの私としたらちょい距離を置いて、と思ったが確かに導入部や例えで昆虫は出てくるものの、大半は2人の全方位にわたる博識の一端を垣間見せてくれる対話で、深く深く同意しながら読み終えた。 -
特徴のある人といえばこのふたりほど変わった人はいない。振り幅、柔軟さ、表現力がすごいふたりの生き方に憧れます。
「人間は見たいものしか見たがらない、というのはカエサルの至言」 -
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共通の趣味である虫の話から、mRNAワクチンの影響、生活環境を殺菌してしまうと免疫系が訓練不足でアレルギーが増える、医者にかかると寿命が縮まる、暗号を全部解読したことがナチにバレないように住民を避難させず犠牲にしたコヴェントリーの空襲の秘話等々、現代社会の虚実と危うさを多角的縦横無尽に語り合う二人の博識に感服させられる。
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養老先生は、もちろんヤマザキマリさんの博識に驚いた。虫に関する知識の部分は、さらっと読んだが、後半コロナ禍の社会を追求する対話の部分は、二人ともあっさりと結論づけてくれるので、わかりやすかった。モヤモヤしているところを一言で表現してくれるので妙に納得してしまった。
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養老先生とヤマザキマリさんの対談本。ヤマザキさんの多彩な才能と養老先生の深い考察が光る内容でした。対談本としてはよく練れた作品と思います
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Audibleで途中まで聞いて、サブスクを解除してからも気になっていた一冊。
趣味の話から現代社会論まで、とても幅が広い連続対談集。養老先生も、ヤマザキさんも、すっごい読書家だ。すごくいろんなことを考えていらして、面白い。
『考えるのはカッコ悪い』
とか、
『賢そうな顔しやがって』
とか、果ては、
『暇だからいいわねー。』
だとか揶揄されるのは、いつから始まったんだろう。この本を読んでいると、考えることを止めたら、人間の一番面白いところをかっぱらわれることじゃないかと感じてしまう。考える材料として、知識は必要なのにそれが悪いみたいな言い草。なんだかものを考えていると悪いみたいな世の中で、こういう言説をよくぶっかけられるガキンチョだった私は、いよいよそれが加速していて、大人になっても、ごそごそした気持ちになる。
そして同時に、知識だけ、机上の論理だけで物事をひねくり回すのも、大概にしておいた方が良いんじゃなかろうかとも思うのだ。時間をかけてじっくり考えた方がいいことほど、ほったらかして。合わない鋳型に現状をはめ込もうとする。考えないで良いことや、シンプルにしたらいいことは、いきなりAIに考えさせようとか言い出す。ホントはみんな、ちょっと変って思っているのに。全然上手く止まれない。私達は、進行方向に崖があるのに進んでいく、ブリキのおもちゃのようだ。
この対談集が面白いのは、ほいっと気に入りのジャケットでも着るような気楽さで、虫の標本作りからコロナ禍のことまで、考えたり、話したり、味わったりしてるから。
読もうよ。考えようよ。見ようよ。そして、話そう?そして、頭の中の屁理屈は、ダンボールに入れようよ。
ちなみに、関係ないことだけど、AIで文章書くのは、アウトライン作るにはいいと思うの。でも、完成したものの良し悪し、完成度、自分らしさの味は、自分が判断して、手を入れる力がなくちゃだめと思うのだ。全否定も丸投げもよろしくない。
ほどよさって、人間しか持っていないのだ。それは、やっぱり、考えて、関わって、話して。面白がって。粘ったり諦めたりを、上手にやっていかなきゃ、知的生命体として枯れていくんじゃないか。この本を読んでいるとそんなことを思った。
自分より優れている人の話を聞くほど面白いものはないが、この本もそういう一冊。中身は深いけど気軽に読めるので、もしよかったらどうぞ。 -
養老孟司さんとヤマザキマリさん、このお二人の共通の趣味が“昆虫”、でもそのマニアックな話題から、歯の寿命と痴呆症、物と言葉の結びつきが深い日本語。学力と倫理観。仕事に対する心構え。愛情についてなど。あちらこちらに飛びながらも、いまの日本をどこからやり直したら良いのか憂いに満ちながら考える。
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虫は正直苦手だけど、虫を通じて色んな世界が垣間見れた本だった。
マリさんが暮らしてきたイタリアやイスラエル、アメリカやキューバでの文化や思考、価値観の違いから、日本を地球を俯瞰できたような気になった。
養老先生の虫屋と医者、科学者としての目線も、奥が深くとても勉強になった。
面白い対談だった。 -
装丁がすてき、マリさんちょっと若い!?
対談は、歴史や政治や昆虫と多岐にわたってお二人の多才ぶりがこれでもかと伝わってくる。
しかし、結構話が難しい。母は途中で挫折した(笑)
テンポよい対談なので、わからないことはさらりと流し読了となる。 -
■ Before(本の選定理由)
一体どんな組合せの2人なのだろう。共通点が無いように感じる。タイトルに惹かれて読んでみる。
■ 気づき
まさか昆虫愛が2人の共通点。本のタイトルはきっと後付けで、プチ詐欺かなとも思う。前半は虫と、2人の周辺の人の話。後半は、コロナ禍もあって人類・民族というか、文化人類学?のような印象をもった。
■ Todo
日本人は自己を表現するトレーニングを受けていないこともあり、自分の気持ちを代弁してくれる誰か・何か(書物)をいつも探している、はドキッとした。 -
全体的にすごく勉強になった!
虫の見方が変わった&虫の苦手意識が少しなくなった。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
養老孟司の作品
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感想 :

こちらこそいつもありがとうございます。
やっぱり思いますよね…同調圧力に屈する、その言い方の方がまさに、です。
あとはコルベ...
こちらこそいつもありがとうございます。
やっぱり思いますよね…同調圧力に屈する、その言い方の方がまさに、です。
あとはコルベットさんの感想にある、日本で本が売れるのは、代わりに言語化して欲しがるからという所、私も同じだと感じた部分です(^_^;)
身につまされる話が多い本でした…