人口で語る世界史

  • 文藝春秋 (2019年8月29日発売)
3.62
  • (12)
  • (26)
  • (20)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 489
感想 : 37
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (408ページ) / ISBN・EAN: 9784163910857

作品紹介・あらすじ

日経新聞、週刊東洋経済、毎日新聞、東京新聞、NewsPicksなどにて絶賛書評!



人口を制する者が、世界を制してきた──



ロンドン大学・気鋭の人口学者が“人口の大変革期”に当たる直近200年を叙述。全く新しい教養書の誕生。



・産業革命のもといち早く人口を増加させた英国は、植民地政策のもと世界の覇権を握った

・猛追するドイツとロシア。人口膨張への脅威が各国を戦争へ駆り立てる

・ヒトラーによる優生学。人口増との大いなる矛盾のゆくえ

・日露戦争に勝利した大日本帝国は、世界の人口大国へ

・超大国アメリカの出現。人種・移民問題を端緒とする翳りとは

・戦後の復興も遂げた日本が、世界に先駆けて少子高齢大国へ陥った本当の理由

・王者・中国の14億人パワー。だが一人っ子政策の後遺症が。インドはいつ追い抜くか



「人口」に対して、「技術革新」「経済」「地政学」「為政者」「戦争」「宗教」「イデオロギー」「移民」「医療の進歩」「女子教育」「自己決定権」などの様々なファクターを掛け合わせ、アカデミックな裏づけのもと一般読者向けに書き下ろした決定版。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人類がいかに、「人間が最も貴重な資源である」と躍起になって、人口増加に勤しんだか。人口とは、軍事力であり経済力であると、領土も含めて植民地政策で新大陸、豪州へと次々移民、帝国主義をひた走ったか。

    十八世紀、世界人口は十億人に満たなかったのが今や七十億人。この二百年に七倍に。このまま人口が増え続けると、食料難、そして環境汚染により自ら住めない地球にしてしまっている。

    人口膨張の脅威が各国を戦争に駆り立てた。超大国アメリカ、人種、移民問題を破綻とする陰り、あのトランプの過激な言論にも陰には根本的問題が潜んでいる。

    逆に人口減少の日本、少子高齢化の中で低成長ながら新しい省エネ型の国を目指すべきだろう。日本は今でも人に関しては半鎖国状態、外国か入ってくる人も、出ていく人も少なく。人口政策に関しては手つかずで逆に色んな施策を試せる環境にある。でも早く望ましい意志決定が必要、おざなりに時間だけが経過していくことが恐ろしい・・・。

  •  本書は、ロンドン大学の人類学の教授である著者が、きちんとした学術的な考察を踏まえて上で、一般読者向けに書きおろしたものだそうだ。

     1800年代以降の世界の人口変動から世界史を語る。
    なぜこの200年なのか?

    「その答えは、18世紀末から19世紀初めに、人口学的に歴史の大きな断絶、根本的な変化があったということだ。これ以前にも、人類が人口学的に劇的な変化を経験していたのは間違いない。ただそのほとんどは伝染病や大虐殺など、死に関わるものだった。そのような出来事は散発的で、長期にわたって影響が続くものではなかった。」

     産業革命以降、資本主義の発展の歴史を語ったピケティも、この200年を俯瞰していたが、学際的にも、1800年以降の世界は、歴史的に貴重な一時代なのかもしれない。

     本書を読むと、人口問題は、経済、政治のみならず、文化やイデオロギーなど、あらゆる領域で、民族、国家の方向性を左右する大きな要素であることがよくわかる。

     「マルサスの罠」(ある地域の人口は、その土地で生産される農作物で養える以上に増えない)から解き明かし、産業革命以降、農業生産性向上や輸送手段の発達、公共衛生環境の整備により、マルサスの罠を抜け出す国が現れ、人口転換という現象がブリテンから始まる。要は、人口爆発の端緒だ。死亡率の低下、出生率の低下、人口転換による、新たな食糧調達先を求めての移住、そして移住先での新たな人口転換・・・。人口変動の波は、時を前後して、グローバルに拡散していく。

     そして、その地域、その時代における社会の変化を、「人口」という視点から詳しく解説していく内容に唸らされる。歴史にif はないが、“人口の大きな変化がなければありえなかった歴史的な出来事はたくさんある”として、様々な史実を読み解く。

    「20世紀初頭にロシアの乳幼児死亡率が劇的に低下していなければ、波のように押し寄せるロシア兵に立ち向かうことなく、1941年にヒトラーがモスクワを占領していたかもしれない。」
    「アメリカ合衆国が毎年のように何百万人もの移民を受け入れ、1950年代から人口が二倍になるという事実がなければ、経済は中国に凌駕されていたかもしれない。」
    「半世紀にわたる日本の出生率の低下がどこかで止まっていれば、四半世紀にも及ぶ経済停滞を経験せずに済んだかもしれない。」
    「シリアの平均年齢がイエメンよりスイスに近ければ、内戦に突入しなかったかもしれないし、過去40年でレバノンの高齢化が急激に進まなければ、再び内戦になだれ込んでいたかもしれない。」

     こんな例を、次から次へと見せられ「人口」という新たな視点に瞠目させられると同時に、次々と世界の詳細な些事にまで及ぶ話っぷりの著者、その博識ぶりにも驚かされる。

     日本についても、比較的詳細な分析が披露されている。
     我が国日本が他国と違うところは、移民が少なかったことだと、著者は指摘する。
    「外国から入ってくる人だけでなく、外国へ出ていく人も少なかった」と。
     そして、他国に先駆けて少子高齢化のトップランナーをひた走る日本は、今後の人口動向を見据えて、いかなる未来像を描くのか。現状のどこが問題なのか、労働力不足なのか、市場の拡大が見込まれないことか、それとも若年層の負担増、やる気の減退なのか。
     日本人としてのアイデンティティを維持するか否かも、我が国の場合は大きいのではないかと思われる。目指すゴールによって採るべき選択肢は変わってくるのだろう。

    「乳幼児死亡率が下がると、あるいは乳児死亡率が下がったあと、出生率も下がる。」

     この人口の潮流の基本的なパターンを第1章から3章くらいまで読んで理解し、あとは、「猛追するドイツとロシア」(第4章)、「ベビーブーマーの誕生とアメリカの世紀」(第6章)、「日本・中国・東アジア、老いゆく巨人たち」(第8章)、中東、北アフリカ、サハラ以南と、地域を分けて解説している各章は、どこから読んでも、どこを拾い読みしてもいいような内容になっている。

     巻末の、平均余命、合成特殊出生率の考え方の解説も分かりやすかった。

  • 英ロンドン大学で教鞭をとる気鋭の人口学者が、専門的知見を一般向けにブレイクダウンした歴史教養書である。

    邦題は「世界史」となっているが、本書が扱うのは19世紀以降であって、世界史全体を俎上に載せているわけではない(ただし、18世紀以前の人口動向についても、随所で言及はされる)。

    過去200年に話を絞ったのは、人口をめぐる一大転換が起きたのが200年前だから。

    人口学の古典・マルサスの『人口論』に記された常識に当てはまらない現象が、18世紀末から19世紀初頭の英国に、まず最初に起きた。
    マルサスが規定した「人口増加への制約」を超え、人口が爆発的に増え始めたのだ。その背景にあったのは農業革命・産業革命である。

    以後、人口爆発は順次各国に飛び火し、マルサスの人口論は過去のものになった。
    19世紀初頭から現在までの200年は、長い歴史の中にあっては“人口の大変革期”であり、本書はその変革について概説したものなのだ。

    過去200年の世界史を、著者は人口学的見地から改めて意義付けていく。たとえば――。

    《19世紀の大幅な人口増加がなければ、ブリテンは19世紀前半に世界のワークショップにも、そして後半に世界の金融大国になることもなかっただろう。(中略)人口増加でどのくらい経済が成長したかを検討すると、経済成長の約半分は純粋な人口増加の影響だったことがわかる》(71ページ)

    《人口は戦争(2度の世界大戦/引用者補足)の結果だけではなく、その原因にも影響を与えた。(中略)
     もう一つ関連するのが、人口が増えていたヨーロッパがとても若かったということだ。現在の平和で老いつつある大陸とはまったく違う。社会の若さと戦争へ向かう傾向には関連があることが証明されている》(124~125ページ)

    「人の数が国の富を築く」とフリードリッヒ大王の言葉にあるように、「人口とは軍事力であり経済力である」(第2章のタイトル)のだ。

    著者は安易な人口決定論には陥っていないが、人口動向がその国の今後を占う大きな要因となることを知り尽くしている。
    そこから、過去200年を振り返るのみならず、今後の世界についても、人口学的見地から大雑把な見取り図を描いてみせる。本書は未来予測の書でもあるのだ。

    人口という補助線を引くことによって、世界の見え方が変わる――そのことを思い知らされる良書。
    人口学の面白さを一般に伝える入門書としても優れている。

    第8章で日本・中国・東アジアの人口動向がまとめて論じられており、他の章にも随所に日本への言及がある。
    「歴史上最も速く高齢化が進んでいる」日本は、平均寿命の高さ、出生率の低さなどでも世界で突出しており、人口学者から見れば興味尽きない研究対象なのだろう。
    その意味で、日本でこそ広く読まれるべき1冊だ。

  •  日本は今、少子高齢化に悩んでいます。しかし、人口動態はどの国、地域であるかに拘わらず、同じように変化するようです。
     すなわち、社会が豊かになり、出生率が上昇する。衛生管理が改善し、医療が発達することにより、死亡率が低下する。これにより、人口が爆発的に増える。そして、女性への教育が行き渡り、出生率が下がり、人口が減少する。
     先進国であれば、いずれ人口が減少することは避けられないのですね。中国が一人っ子政策をしましたが、大きな人口動態にはそれほど影響しないのだとか。そして、人口が減り始めたこれからのことは、未だ世界のどこの国も経験がしたことがないことです。
     日本は、世界で最も少子高齢化が進んでおり、どのように対処していけばよいのかを、世界が注目しています。でもいまの政権での対策を見ていると・・・

  • 表層的に現れる歴史の裏側に、人口や人々の思想がある。

    表層的に現れる事象よりも、その、裏側を知る方が真理に近い気がして興味深いです。

  • イギリスの地方には中世の城跡が多数あって、いくつか訪問したことがあるのだが、説明文を見てみると、籠城側は概ね2桁の人数で戦っているとあり、立派な城構えに比べて落差を感じることが多かった。毎回不思議に思っていたのだが、この本を見てみると、さもありなんという思いがした。欧米だけに偏らず、日本を含めてアジアにちゃんと言及されているのは良かった。それにしても、戦争と殺戮が横行した時代・地域でも、統計的には人口は増えている(ほぼ唯一の例外がホロコースト)というのは意外だった。

  • 人口という視点で過去200年程度の世界史を振り返る、これまでにない視点での歴史書。
    人口データは昔ほど実態と違っている可能性がありますが、徴税や徴兵のため、国家は以前より人口の把握を行っていたという話があり、確かに納得させられます。
    大英帝国の帝国主義時代から、対抗するドイツやロシア、その後のアメリカの反映、日本や中国の現状、今後発展するだろうアフリカ諸国と全世界に目を向けながら、非常におもしろい視点で考察されています。本書で述べられているとおり、歴史の背景に人口の影響は大きく、新たな視点で歴史を眺めることの楽しみを改めて感じました。著者は日本はもちろん、世界の実情に詳しく、その地域だけを読んでも十分楽しめます。

    個人的には、最後に書かれていた訳者のあとがきが気になったので、こちらも記録したいと思います。
    「他の国に先駆けて少子高齢化が進む日本としては、なぜそれが問題なのか、そこから考えていく必要があるのかもしれない。労働力不足が問題なのか、市場の縮小が問題なのか、豊かな生活ができなくなることが問題なのか、あるいはそもそも日本人のアイデンティティの問題なのかどのような答えを出すかによって、目指す解決策も変わってくるだろう。」

    ■19世紀の初めから世界中のほとんどの地域で、物質的状況、栄養、住居、健康、教育レベルが大きく向上したのは、経済に関わることだったのは間違いないが、同時に人口に関わることでもあった。
     つまり、人間の生産や消費のしかただけでなく、生まれてくる人間の数、大人になるまでの生存率、成長した人間が生む子の数、人が死ぬ年齢、地域や国や大陸館を移動する可能性などに関わっているということだ。生活上の進歩は人口のデータ、特に誕生と死に反映される。
    ■近代化とは、出生率低下と平均寿命の延びという人口転換を経験する、あるいは通過するための十分条件である。近代化するだけで人口転換を経験する。
    ■人口学の基本は、出生数、死亡数、移民
    ■ケインズ(1919)「歴史上の大きな事件は、人口増加とその他の根本的原因が、時間がたつにつれて変化することで起こる。その時代の観察者たちは、それらの要因に気づくことなく、愚かな政治家たちのせいにする」
    ■女性が教育を受けなくても出生率は下がることがあるが、教育を受ければその結果としてほぼ確実に出生率は下がる。
    ■20世紀末から一部の先進国の出生率がやや上昇している要因の1つは、人口統計学ではテンポ効果と呼ばれているものだ。これは社会の意識が変わり、女性が教育を受けて仕事を持つようになり、出産の時期を遅らせることだ。
    ■特に出生率が低い社会は、近代化、個人主義、女性解放が進み、晩婚化が進む一方で、婚外子を伝統的に好まない社会。職場が女性の受け入れに前向きで、男女問わず仕事と子育てが両立できる対策がとられている国の方が出生率ははるかに高い。
    ■何人の子を持つかの決定は、社会、文化、経済、宗教などの因子に左右されるので一定しない。しかしどんな社会でも、人はたいてい長生きを望む。そのため寿命を延ばすことを目標にする個人や政府、社会はほぼどこにでも存在する。
    ■ある“文明“によってひとまとめにできる国家や民族は、人口も他のことも似たような動きをする傾向にあるという有力な証拠がある。そしてそれこそが文明と定義できることなのだ。
    ■日露戦争(1904〜05年)での華々しい勝利によって証明された日本の近代化と変革は、アングロ・サクソンひいてはヨーロッパ人が生来的に持っている強みと誤解されていたものが、本当は民族的な強みではなく、人口規模と経済力や産業力の組み合わせにすぎないことを実証した。
    ■低出生率は一般的に、収入の増加、都市化、女性の教育、特に高等教育と相関関係にある。
    ■産業革命の流れでみたように、経済と人口のつながりは単純ではなく、だいたいは双方向に働いている。人口動向が経済発展に影響を与え、経済発展が人口動向に影響を与える。
    ■歴史と社会科学では因果関係がよく問われる。国家政策はどうあれ、人口動向は外的な因子として、外部から社会に持ち込まれて一方的に影響を与えるものではない。むしろ社会そのものから現れるもので、その環境に起因すると同時に、環境によって形成されるものだ。それでも因果関係は人口動向のパターンから、世界の動き方とそこで起きる出来事へとたどることができる。そして人口の潮流が歴史の流れを決めることはないが、その形をつくる。そしてたいていの場合、人口の動きが違えば異なる結果が生じる。
    ■専制支配と無政府状態は対極の位置にあると思うかもしれないが、前者は後者の前触れであり、そこから第三段階として安定と民主化へ向かうと考えられる。
    ■人口動向の変化は異なる地域を次々と襲うつむじ風のように見える。それと同時に、あるいはそれが通過したあとに、社会的、経済的発展が起きる。
    ■人口動向の未来
    ①増加するグレー(高齢化)
    ②増加する緑(環境に優しい世界へ)
    ③減っていく白(白人の減少)
    ■この著しい高齢化が世界にどう影響するかを予想することはできないが、年齢中央値が20歳前後の社会(1960年)と40歳を超える社会(2100年)とは根本から違う。起こると思われる政治、経済、技術的な変化だけでなく、純粋に人口の高齢化による変化があるからだ。
    <楽観的見方>
    ・世界はもっと平和で順法精神にのっとった場所になる
    ・高齢社会はほぼ平和である
    <悲観的見方>
    ・活力が失われ、革新的でリスクを恐れない行動を避ける傾向がある
    ■将来に何が起こるにせよ、一つだけ確かなことがある。これまでと同じように、人口動向と地球の運命はこれからも互いに関わり続ける。誕生と死、結婚と移住が私たちの生活の中で特に重要な出来事である限り、人口が歴史の方向性を左右し続けるだろう。

    <目次>
    第1章 人口を歴史がつくってきた
    第2章 人口とは軍事力であり経済力である
    第3章 英国帝国主義は人口が武器となった
    第4章 猛追するドイツとロシア
    第5章 ヒトラーの優生学
    第6章 ベビーブーマーの誕生とアメリカの世紀
    第7章 ロシアと東側諸国、冷戦の人口統計学
    第8章 日本・中国・東アジア、老いゆく巨人たち
    第9章 若く好戦的な中東と北アフリカ
    第10章 未来の主役か、サハラ以南のアフリカ

  • 人口の観点で過去の歴史や未来を考える、人口という観点を自分の新たな一つの物事の見方として取り入れることができると思え、学びになった。
    国家において人口がどのように増減していくのかというメカニズムと、そこに宗教などの影響、情報メディアなど大衆が得る情報の影響、予見できない災害などの影響がある。そしてこの先においてはテクノロジーの影響も無視できない。
    古い歴史上からも、人口が軍事の面や納税の面などでも重要視され、戦争や国家戦略上でも重要視されていた事実からも人口の観点は欠かせない。
    ましてや日本においては少子高齢化と方々から言われ、あらゆる業界の市場環境を大きく左右していることも間違いなく、人口学の視点で物事を考えることを一つのフレームワークに入れておきたいと思った。

  • タイトルに「世界史」とあるが、人口にフォーカスしている為19世紀以後の記述がメイン。最近流行りの地政学系の本に近い構成。

    平均寿命の延びと乳児死亡率の低下で人口が増え、出産が選択可能になってから出生率が落ち高齢化社会に突入するという現象が地理、政策、戦争などの条件問わずどの国にも逃れよう無く共通して発生する。そしてBRICSなど途上国は経済発展に至らないまま人口減少に向かい始めてしまう。
    ここから先、先行者利益を得たNATOの覇権はまだまだ続きそう。

  • 人口からの切り口でみるのがユニークだと感じて手に取った。イギリスの興隆をああいう風に分析したのは初めて知ったので気づきも多い。アメリカ、さらにドイツや日本の分析も納得感があった。同時に、中国に関する分析がもっと深掘りしてもらってもよかったと感じた。

    世界人口は今世紀中にはピークアウトするという予測もある。この前提が続くのか、崩れるのか、そういう思考ゲームをしてみるのも刺激的だと感じた。カナダ人ジャーナリストが書いた以下のほんと併読すると違った見方ができるかもしれない。「2050年 世界人口大減少」

  • 人口の歴史に対する影響力に気付かされる。
    年齢層の若い国は暴力的になり易く、年老いた国は穏やかだ。
    アフリカの状況は見通せないが、このままいけば早晩年老いた国はばかりになるので、世界も穏やかになるのかもしれない。
    早く中国も老成して欲しい。

  • 人口はまず最初に出産時、幼児の死亡率低下がドライバーとなる、その後、出産数の減少が続くが、前者のインパクトが大きく時平均寿命および人口がドライブされる。また、産業革命でマルサスのいう制約を乗り越えイギリスをはじめに西洋が人口成長をドライバーとした経済成長をスタートする、余剰な人口はアメリカや各地に渡る。過去の覇権国も自己奥の余剰人口を植民地に送った、日本やオランダは多くは送らず、覇権も地理的に広がらなかった。
    現在では先進国の出生率は低下し、イスラム、アフリカが伸びており、白人、キリスト教国のプレゼンスは下がり、老人の比率は上がる。

  • [評価]
    ★★★★☆ 星3つ

    [感想]
    各地域、各時代の人口をもとに歴史にどのような影響を与えたのかを解説している。
    イギリスの産業革命が人口増加によって支えられているということやドイツやロシアの人口増加がヨーロッパ全体に様々な形で影響を与えていたということがよくわかり面白い。
    日本を始めとする東アジアの人口に関しても書かれており、日本の場合は江戸時代からの明治維新の人口、人口が日本の成長に与えた影響に加え、現代の少子高齢化に関してが書かれている。

  • 人口が国の盛衰を左右する。事実を列挙し、ほぼ決定している未来を予測した教科書である。
    近代以降の人口はマルサスの罠(農業生産以上に人口は増えない)を突き破って増加し、遅かれ早かれ、ほとんどの国が以下の人口推移をたどる。
    産業革命→GDP増加→衛生状態良化→乳児死亡率低下・老人死亡率低下→平均寿命70代以上→死なないが子供は増え人口増加(人口ボーナス)→女性の合計特殊出産率低下(1.5人)→年齢中央値高齢化(40代以上)
    高齢化は日本が最先頭、中国・韓国が追いすがり欧米がそれに続く。タイやブラジルは豊かになる前に高齢化がすすむ。インドは中国同様に強制的家族計画(パイプカットなど)による人口抑制に失敗したが、今後人口ボーナス期を迎える。アラブは人口ボーナス期に若者の教育が行われず、テロ・戦乱期に移行。アフリカ南部は今後人口ボーナス期。
    メキシコは生活水準が向上し、アメリカとの国境の壁は不要になる。スリランカは人口学的な模範国で出生率が2を少し上回った数値を30年間維持している。イスラム教は避妊や産児制限を推奨していないため、今後宗教人口が増加する。白人の国といわれる国の人口は1950年代の世界全体の29%から2090年第は11%に低下する。一方サハラ以南の南アフリカの人口は10%から25%に増加する見込み。

  • 世界史というよりは、人口統計学の本と言ったほうがいいだろう。
    人口が世界情勢にどのような影響与えているのか、知りたい人には面白いのではないか。

    世界史とは言っているが、最近の200年間を対象としており、世界史と言うには期間が短い気がする。ただし、その間の世界の動きについてかなり細かく分析しており、近現代史としては楽しめる。

    この本を読んでいてイギリスからは、アメリカに移民したのはよく知られているが、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに関してもイギリスからの移民が国を作っていると言うことを知り興味深かった。

    この本の最初に語られている、人口とは軍事力であり、経済力であるというアプローチは、興味深い。そして、納得できるものでもある。
    また、その人口の増減を左右する要素としては、出生数、死亡数、移民数である。
    人口統計学は、社会についての意味深いなにかを伝えており、その数字を連続するものとしてとらえると、特別な変化を説明できる。また、データは何百人もの個人の物語である。

    日本についても触れている。日本と西洋のはっきりした違いは移民だと言っている。移民を受け入れることによって人口減少を補うということをしていないというのだ。
    また日本とロシアのはっきりとした違いは平均寿命だそうだ。ロシアの人口が減少している要因は、高いままの死亡率と低い出生率だが、日本の場合は平均寿命の伸びが出生率の低さを相殺して人口減少は遅れている。
    今後も日本人の平均寿命は伸び続けなければ、人口減少は早まるだろう。つまり日本は民族的にはほとんど同質だがどんどん老いているということだ。日本の、出生率が低く高齢化する社会の姿について筆者は特に興味深いと言っている。
    日本の年齢の中央値は現在46歳だそうだ、これはイタリア、ドイツとともに世界で最も高い。米国より9歳も高い。

    人口でいかに世界史を語るのかということを知りたかったが、たくさんの物語の蓄積で歴史を語ることができるのだということがわかった。

  • 人口という観点から18世紀以降の世界を見る、今までにない歴史書。人口が戦争等の社会的出来事に及ぼした影響力は計り知れないものがあるとよく分かる。むしろ、なぜ今までこの観点が見過ごされて(少なくとも、大きな話題になることはなかっただろう)いたのか不思議になる。本書の発行年は2018年だが、これを読めば、最近のアメリカでの社会的分断をもより理解できるだろう。また、本書には日本についての記述も散見されるが、客観的に見た日本の姿がまざまざと感じられて恐ろしい。日本は紛れもなく、いま世界で最も老いた国なのだ。

  •  「人口」を切り口に直近200年の人口大変革期を読み解いた刺激的な歴史教養書。大英帝国の覇権を生んだ産業革命と農業革命による人口増加、ナチの優生学と人口増との矛盾、戦後復興を遂げた日本が世界トップの少子高齢大国となった理由など、知的好奇心を満たす内容。
    (一般担当/あほうどり)

  • レビュー省略

  • 人口転換のパターンは世界中で同じように起きる

  • 1.「○○の世界史」シリーズは自分が好きなシリーズの一つなので必ず読むようにしている。

    2.人口統計学の視点から歴史を紐といていきます。人口統計学では、出生率、死亡率、移民の3つの要素を基本として考えていきます。この本では、国にとって人口は要であり、軍事力や経済力を表す指標にもなると述べています。基本原則として、人口が多い国ほど良いとされる傾向があります。しかし、現代ではどうか?南アや中国での人口制限政策をするくらいに人口を抱えてしまっている国もあります。つまり、人口増加が一概にいいとは言えない上挙になっています。
    この本では、タイトルの通り、人口は各国にとって何を表しているのか、データを活用しながら、現代での悩みにまで触れています。

    3.かなり難しい内容なので全ては理解できませんでした。ただ、この本では、人口が国の要になっているという考えは自分も一致します。例えば、日本で起こっている年金問題はどうだろうか。賦課式を採用している日本では、支払う側の人間が少なくなる一方になってる。これにより、将来の年金受取額が少なくなる、あるいは年齢が引き上げになるという問題があります。つまりは、死亡率と出生率が減少した結果といえる。
    しかし、人口予測というのは基本的に当たらないし、誰にもわからないので、政策を取るにも難しいです。

全29件中 1 - 20件を表示

ポール・モーランドの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×