本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163911038

作品紹介・あらすじ

君たちが幸せをつかむために今知るべきこと最底辺のリアルから始まる「新しい世界」のかたち・日本は国民の7人に1人が貧困層・なぜ川崎の少年たちは中学生を殺したのか?・世界各地の子供兵のあまりに悲惨な現実・クリスティアーノ・ロナウド、孫正義、安室奈美恵…… 「貧困の壁」を突破した先人たちの勇気格差の固定化、少年犯罪、メガスラム、ストリートチルドレン、人身売買、売春、薬物依存、世界各地の少年兵……すべての「繋がり」と貧困問題の「構造」を解き明かし、解決へ向けた未来へのヒントを示す著者集大成となる一冊。人生への向き合い方が「180度変わる」感動の講座! どうやれば、貧困から脱出できるのか。 どうやれば、人生を輝かすことができるのか。 どうやれば、社会や世界をより良いものに変えることができるのか。 僕が示すのは、人生や社会に革命をもたらすための方程式だ。きちんと身につければ、君が置かれている環境や君がいる社会を変えることができる。 ――「はじめに 17歳の君たちへ」

感想・レビュー・書評

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  • 日本も貧困に陥っている人が増えました。貧困に関する書籍も沢山出版され、若年層、シングルマザー、老人、外国人など色々な人々が困窮している事が盛んに取りざたされています。そんな中で、貧困を産みだすプロセスの中でどんな力が働いて、どういう仕組みに取り込まれてその渦に巻き込まれていくのか。
    この本で繰り返し繰り返し言われるのが「自己肯定感」です。
    自己肯定感とは、自分を好きでいられる、自分の事を認める事が出来る事です。前向きに挑戦して日々を明るく送る為に絶対に必要なものです。
    他者と引き比べて自分が貧しいと感じる(相対貧困)、信頼出来るはずの人からの罵倒、DVなどによって、自分を無価値だと思い込む。これによって前向きになれず、自暴自棄になり、職に定着出来ず貧困のスパイラルにのみ込まれる。
    これは生まれたシチュエーションはかなり大きいと思います。親からのDVやネグレクトで死んでいく子供たち。仮に生き残って成長したとしても縮こまった心と、無知の中では真っ当に働いて必要なだけの金銭を得る事はとても難しいでしょう。
    悲しいかな貧困は連鎖するというのは真理だと思います。

    絶対的な貧困の中では他者と引き比べて自分が特別貧しいとは感じず、プライドを痛めつけられる事は有りませんが、自分だけが貧しい相対的な貧困の中では自己否定の心が湧いて前向きになれません。だから発展途上国の貧困と、日本のような先進国と言われる国の貧困者を比べる事は出来ないと言います。
    僕自身シングルマザーの家庭で育ちました。幸い餓える事もなくいつもお腹いっぱい食べていましたし、妹と母の三人で笑いの絶えない楽しい子供時代を送りました。
    残念ながら勉強も運動も苦手だったのでこれと言って自己肯定出来る材料はありませんでしたが、愛されていないという事を感じたことがないのが、何よりも幸せな事だったんだなと今振り返ると思います。今は自分の家庭を築いた事によって、家族の自己肯定感の材料になれていたらうれしいし、今自分は自己肯定出来ています。みんな本当に有難う。

    そしてそういう事が全て失われて、虐げられて生きていかなければいけない幼少時代を送ったとしたらと想像すると、犯罪に走ってしまうことが不思議では全くないと感じます。本書でも貧困を放っておいたツケが今世界を覆っていると言っています。

    小学生に向けて書いた「君が世界を変えるなら」もまた感動的な名著でしたが、本書は中高生に向けて書いた名作です。が、そういう所にいる子は本を読む余裕も慣習も無いんだろうなと思うととても悲しい。必要としている子たちの元にこの書の中の言葉が届きますように。

  • 日本での貧困と途上国の貧困はどう違うか、あるいは同じなのかという問いに答えられずにいた。
    大抵の情報は別々に書いてあるし、自分の中できちんと結びついていなかった。それがこの本で、はっきり理解できた。

    この本にも書いてあるが、年寄りの「自分たちの若い頃(終戦直後)はもっと貧しかった。それでも必死で頑張って、日本を経済大国にしたのだ。今は貧しいといっても物乞いも餓死者もないじゃないか。ゲームしたりスマホ持ったりしてるじゃないか。甘えとる。」というような発言を何度も聞いていて、そのたびに反論できないが不快な思いをしてきた。
    この本を読んで、このもやもやはおかしいものではなかったのだ、とわかった。みんなが貧しければ卑屈になることはない。自分を貶める必要もない。そもそも戦争を起こしたのはそういうことを言っている老人の親の世代であって、戦争中子供であった彼らには何の非もないことが明らかなのも堂々とできる理由の一つだと思う。途上国の子供たちが貧しくても生き生きとしているのも、自分が惨めだとか、劣っているとは思っていないからだ。みんなが貧しく、だれも学校に行かず、豊かな暮らしを見たこともないなら、卑屈になりようがない。
    しかし、現代の貧困は違う。ほかの子供は塾に行ったり習い事をしたりする。家族で旅行にも行く。学校では同じ制服を着て、同じ給食を食べていても、貧困家庭の子供は自分は劣っていると感じる。家庭が不安定で勉強できないのに、できないのは自分がバカだからだと思う。自己肯定感の反対の自己否定感にとらわれ、自分なんて何の価値もないと感じる。そういう子供が成長すると、一瞬の幸せを感じたいからドラッグをやったり、愛情を感じたくて売春をしたりする。
    そして、途上国でスラムからもはみ出したストリートチルドレンや、親を殺されて少年兵になった子供たちにも自己肯定感はない。考えてもいいことは何もないから考えない。刹那の楽しみに逃げる。
    「人は一度考えることをあきらめてしまうと、泳ぎをやめた魚のようにどんどん沈んでいくことになる。この先何年も自分が売春の世界に留まればどうなるのか、これ以上自分が傷つけられればどうなるのか。そういうことが想像できないので、自分が光の届かない恐ろしい海底へと沈んでいっていることさえ自覚できない。そして気が付いた時には、もい二度と浮き上がれないところまできてしまう。」(p126)

    日本の貧困それが引き起こす社会問題、途上国の貧困とそれが引き起こす国際問題は、つながっている。
    それをどうやって変えていくのか。
    貧困の当事者の若者がどう考え、行動するかはもちろん、私たち大人が何をすればいいのかもちゃんと書いてあるのが素晴らしい。
    貧困をテーマに多数の著作がある著者だからこそ、貧困が引き起こす様々な実例を挙げていて説得力がある。

    世界にいる1億人のストリートチルドレンが幸せを感じることなく死んでいっているなら、それは核ミサイル以上の殺戮であり、彼らの死因は社会の(私の、私たちの)無関心である、という指摘は強烈だった。今まで何もしてこなかったことを本当に申し訳なく思う。
    この本は17歳(高校生)に向けて書かれているので、もちろん責めてはいないのだが。
    学校教育の意義について書かれているところも、深く肯首した。
    学力はもちろん大切だが、主張の仕方や助けを求める方法を学んだり、いろいろな家庭や社会があることを知り、「自発的に自分や社会の問題を解決していく力を手に入れること」(p133)が大切なのだ。
    「君が学校で身につける教養は、それ(人々の無関心)を打破して社会をより良いものにしていくことのできる最良の武器なんだ」(p133)
    こういう視点で教育している教育者がどれほどいるだろうか。東大の入学式での上野千鶴子の言葉を思い出した。アインシュタインやガンジーの言葉も紹介されていたけれど、皆同じことを言っている。あなたの力を、ほかの人のために使いなさい、と。

    高校生が関心の高い(けれど学校では教えてくれない)ドラッグとセックスの関係について、また性風俗に従事する女性の背景についてもきちんと書かれている。偏差値が高い生徒でも間違った解釈をしていることが多いので、ここは本当に良かった。
    社会に出る前に、ぜひ読んでおいてほしい。

    実際に取材した情報だけでなく、数々のデータ(もちろんすべて出典あり)をグラフで提示しているので説得力もある。
    本当に読んでよかった。

  • 「貧困は低収入は違う。貧困には、生活の困難さ、社会の無関心、そして、圧倒的な自己否定感が絡みついている」
     高校生向けに書かれており、全体的に言葉はやさしく、マーカーや図解もあり、理解しやすい。著者の国内外での取材をもとにして書かれているので、具体的な事例を元に、残酷なまでにリアリティがある。両目を失った小学生くらいの女の子が1ルピー(2円)を物乞いする。虫にたかられながら、下痢で死んでいく子供。セーフティーネットがあるはずの日本にいながら、孤独から犯罪に走る若者。
     貧困生活、そこからの脱出、逆に相互補助からも見放される子供、性被害や少年犯罪、違法ドラック。格差社会で下流側におらず、貧困は他人事というように捉えていても、結局は税金や犯罪などで、しっぺ返しをくらうということまで丁寧に伝えている。
     著者の考え:高校生などの若い人この本を読んで、貧困の構造を知ってもらいたい、それを変えるための行動を起こしてほしい、ということが強く伝わってくる本。

  • 国内から国外まで貧困についての様々な内容が書かれている、今年は結構貧困についての本を読んだけど、この本は非常に網羅的で良かった。
    また、日本では貧困層の子供と、そうでない子供が同じ学校に通っていることにより、貧困層の子供は自己否定感が重なり、自分に自信がなくなり幸福度が下がる。
    しかし、絶対的に貧困であるはずの、途上国の貧困層の子供は、そうでない子供と住む場所がはっきり分かれているため、自己否定感を感じることがなく、自分に自信がなくなることはなく、幸福度も日本の貧困層の子供よりは高い。などのように、自己肯定感や自己否定感という切り口で貧困について見ているのも面白かった。
    もう一点、格差社会の歪みが、ドメスティックな視点でも、グローバルな視点でも自分たちの生活に影響を及ぼしていることについて言及されているのが良かった。
    惜しむらくは高校生向けに書いた本だからか、作者がオッサン臭く、頭が固く、多々説教くさい。

  • 高校生向けに書かれた、様々な国の貧困層の様子や貧困に陥ってしまう仕組みなどの話。日本でもひとたび貧困状態に陥ると容易には抜けられなくなってしまい、貧困ビジネスの餌食になってしまうというくだりは、若い人たち、特に女性にはよく知っておいてもらいたい。

  • 図書館にて。
    大変わかりやすいし、衝撃的だし。素晴らしい。
    娘が16歳だったらぜひ読ませたいと思った。

  • いじめ、虐待、教育機会の喪失、犯罪など貧困と社会問題の連鎖が怖い程分かる本。

    特に気になった部分

    p184「反社会の子供」から「非社会の子供」へ

    『暴力など社会に対して反抗的な反社会の子供が多かった時代(1980年代)から

    現代は「社会に非ざる子供」が増えている。

    ・学校の人間関係に入っていけず、友人と呼べる人がいない

    ・家族とさえ信頼関係を築くことができない

    ・自分の意志を持てず、コミュニケーション能力が低い

    ・ネット、ゲーム、アニメなど二次元空間に自分の居場所を見出す

    ・打たれ弱く、何をやっても続かない

    ・社会や将来に対して希望を抱くことができず、何に対しても投げやり』


    p250 自己肯定感UP→貧困の壁突破→心の豊かさに繋がる

    NDC 368.2

  • 日本と発展途上国の貧困のリアルな話が書いてあります。

    自己否定感は心のがん。貧困との関係がとても興味深いものでした。

    知っているかいないかで、人や社会の見方が変わると思います。

    自己肯定感を得ることは、貧困から脱する方法であると同時に、心の豊かさを手に入れる方法でもある。子育てにも通じるところがあると思います。

    こどもが大きくなったら進めたい本です。

  • 図書館で借りた本。犯罪者矯正にかかる費用は年間約2300億円、生活保護の年間予算は3兆8000億円。特殊詐欺被害額は2018年は363億9千万円。今年は新型コロナ感染拡大の影響で、この数字を超えるのではないか?と予測しておく。本書は10代の子に向けて書かれており、家庭環境の崩壊から貧困、非行に走るパターンの例が多数あり。同時に途上国のスラムの子供の現状を伝えている。親が原因の貧困状態から抜け出す方法はNPOを紹介している。今はSNSなどネットで簡単に身知らぬ人と出会う環境がある事には触れてなかったし、パパ活という売春の現状も書いてないから、その辺はひと昔前の社会情勢の話題だけだった。

  • 読んでいる途中だけど、誰向けの本?
    17歳向けということのようだけど、
    金持ちの家の子ども向けなのかな?

    富(正義)vs貧困(悪)
    貧困を克服した成功者(正義)vs失敗者(悪)

    という構図になっているようで、貧困への悪意を感じてしまう。

    途中だけど、積読行きかな?

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著者プロフィール

1977年東京生まれ。作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執筆活動をおこなう。著書に『物乞う仏陀』(文春文庫)、『神の棄てた裸体 イスラームの夜を歩く』『遺体 震災、津波の果てに』『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』『浮浪児1945- 戦争が生んだ子供たち』(以上、新潮文庫)、『原爆 広島を復興させた人びと』(集英社)、『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』(双葉社)、『漂流児童 福祉施設の最前線をゆく』(潮出版社)など多数。

「2019年 『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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