小さな場所

  • 文藝春秋 (2019年11月14日発売)
3.60
  • (7)
  • (18)
  • (19)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 188
感想 : 24
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784163911212

作品紹介・あらすじ

日台同時発売! 切なく沁み入る傑作連作集



台北の紋身街は、日本でいえば新宿・歌舞伎町一番街の一角か、あるいは渋谷センター街の裏路地か――世界中のどの街にも必ず一本はあるだろうと思われる、細くて小汚い、猥雑な通りだ。昼間でも夜みたいに暗く、くさくて、洋服店やピアス店、そして刺青店がひしめく。

大人たちは狡くて、いけしゃあしゃあと嘘をつくけど、大切なことも教えてくれる。

この通りで、食堂の息子の「ぼく」は生きている――。



少年が見つめる台湾の原風景。東山ワールドの到達点!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 台湾、台北の小路にある暮らし、そこにはアウトローなならず者も普通にいる。そんな中で育つ少年の話なのでそこは異国なのだが妙に郷愁を感じてしまう。
    最後の頃に《井蛙不可以語於海者、拘於虚也》と荘子の言葉が出て来る。私達がよく知る《井の中の蛙大海を知らず》だが「されど空の深さ(青さ)を知る」と続くのだとは知らなかった。
    どんな道、どんな世界でも一途に努力をしていれば成長出来ると言う前向きな諺だったのだ。
    昭和初期の霧社事件等にも触れていて、過去のそしてこれからの台湾と日本の関係にも思いを馳せた。
    台湾に行きたいな~!

  • 台北の裏路地、ピアスの店や刺青店等ひしめく紋身街。食堂屋の息子・小武(シャオウ)はこの町よりたくさんのことを教わった。9歳の小武よりみた人間模様。6篇。
    子供の頃は自分の街が世界の全てと感じる。刺青屋の兄さん姉さんたち、街の噂で少年は街で楽しみながら成長してゆく。そして、より大きい世界へと目を向けて。そこのところ、最終章のカエルの話がうまく描かれています。東山さんが子供の頃はその近くで遊んでいたようです、心の拠り所になっているのかな。不思議なお話もあったけれど、街の活気や暖かさ、時には苦さがよく伝わる。

    • kuma0504さん
      検索すると、台北西門町に紋身街があるようです。1週間台湾を旅したときに、最初の日はそのあたりに宿を取ったのですが、夜しか行かなかったので全く...
      検索すると、台北西門町に紋身街があるようです。1週間台湾を旅したときに、最初の日はそのあたりに宿を取ったのですが、夜しか行かなかったので全く気がつきませんでした。5000円くらいの綺麗な安宿なんですが、今考えると迷路のような作りや、あまりにも厳重なドア、普通と違っていたなあ。もう一回行ってみたい。
      2020/02/17
  • 東山さん特有のノスタルジック感がとても良かった。
    なかなかひどい描かれ方(笑)をしているが、逆に台湾行ってみたくなった。

  • 「流」はとても勢いが有って、青春の切ない雰囲気と暴力的スピード展開が最高でした。本作は刺青街で産まれ育った小学生が、魅力的で猥雑でどうしようもない人々と送った輝ける日々を綴った作品です。
    少年らしい正義漢と、地域的に早熟な部分が混在して主人公がとても立体的です。連作なので時系列前後しながら、周りのバカ野郎どもが次第に近所の兄ちゃん姉ちゃんに感じられてきます。正直さほど期待していなかったのに読み終わるときなんだかロスな気持ちになりました。
    少年の成長と共に物語も終わりに近づいて行きます。寂しい。
    台湾の下町はどことなく日本の下町の40年前の雰囲気を感じさせます。懐かしい気持ちを刺激されるけれど現代なんだよなあ。最近台湾に行きたくてたまらない。

  • 星は3つにするか4つにするか、最後まで迷った。

    こういう猥雑な話というか、決して綺麗とは言えない場所でたくましく生きる人の話は嫌いではない。
    台北の紋身街は行ったことはない(実在するかも知らない)けど、読み進むにつれてその町の風景やそこに生きる人々がどんどん好きになっていって、いい話だな、とは思った。

    けど、何か食い足りなさが残ったんだよな。

    もともと、何気なく撮ったスナップ写真を並べるような感じで、軽い気持ちで読んでもらうことを前提に書かれたものだろうから、食い足りないという感想は的外れかもしれない。

    食い足りないのが何なのかよく分からないのだけど、ピンボケ写真を眺めているような、もどかしさが残った。

  • 小学3年生のぼくが語る物語も良かったけれど、「天使と氷砂糖」で垣間見えた高校生のぼくの物語ももっと読んでみたいなと思った。

  • 現実的な天橋上的魔術師みたいだった。台北って本当に世界の縮図みたいなところだなって何度も思ったな、ってこの本読んだら思い出した。

  • こんな世界があるんですね。
    知らないのに懐かしいような…

  • 台湾のタトゥーの店が多い商店街で暮らす男の子の暮らしの物語。いろんな人がいる。ニン姐さんかっこいい。

  • 台湾の紋身街に住む小学生の視点から
    様々な人間模様を見つめる物語。

    彫り師、探偵、タピオカ店主、ヘタレなヤクザ…
    小さな街の中に多様な世界観。
    そんな中で自分とは?大事なものとは?を考えされました。


    小学校の先生でラッパーのフオミンダオの言葉が心に残る。
    「自由とは孤独のことだよ。自由でいたいなら孤独を恐れちゃだめだ。理解されないことを恐れちゃだめだ。」

  • 台北の片隅の猥雑な横丁。ここが世界の全てと思う少年と、ダメすぎるけど悪党にもなりきれず憎めない大人たち。回顧形式で描かれているので少年期の懐かしさも感じるけど、実在の地名や人物やイベントも登場するので、台北の現在も感じさせられるし、実際歩いた町並みと一緒に物語の光景が思い浮かぶ。市井の人々のままならぬ人生も語られ、ちょっとしたハードボイルドさもあって良い。

  • AERAの台湾旅行特集で東山彰良さんの台湾エッセイが掲載されていて、それが良かったので本書を読んでみた。が、ハードボイルド的なタッチであまり好みではなかった。

  • 「ウマが合う」ということなのか……
    読んでいて、とても気持ちの良い物語。

    舞台も登場人物も、各エピソードも、全くストレスを感じさせないまま、終わってしまった。
    それでいて、各編に込められたメッセージは、確実に届いている。

    主人公小武と紋身街の人々は、いつでも精一杯に生きている。

    六話だけでなく、続けてまた会いたい。

  • ちょっと前の日本でもありふれた光景みたいですが、台湾ではスマホの現代でもこんな感じなのでしょうか。ちょっと乱暴だけれど、芯は通っていた時代。日本にはもう帰ってこないのでしょうか。。。漢字のセリフが面白いです。

  • 連作短編6編
    台湾の刺青街の下町の食堂の9歳の小武,黒い白猫を可愛がる刺青師のニン姐さん,骸骨のような探偵さんなど個性豊かな人々に囲まれまた観察し考え行動する.また,しゃれて含蓄ある会話が本当に面白い.「人間ってのは死んだら迷惑だし,生き返ったらもっと迷惑なんだな」なんて最高.カエルの作文も良かった.

  • 食堂の夫婦、刺青師、タピオカ売り子、チンピラなど、台北の市井を書いた短編集。

    作者らしく、台湾の街の雰囲気を肌で感じる。


    少年の視点から描くことで深刻さがなく、ユーモアを感じる。周囲の人々の少年に対する愛情が暖かい。

  • 台湾の少しアウトロー色のある地域で生まれ育った少年からみた日常。
    現代でありながらノスタルジーと異国情緒を感じさせてくれる。

    少し社会からはみ出してしまった大人たちやまっとうな社会側に踏みとどまっている両親との関わりを通じて、少年が人生における居場所を探す様を少年の書く小説にのせて表現するのはとても面白く読めた。
    また、台湾の裏路地の所々に顔をのぞかせる日本も面白かった。

  • 台湾の紋身街。タトゥーショップが立ち並ぶ猥雑な裏通り。
    そこの食堂の息子が見聞きしたさまざまな出来事を描く。
    追われた男や消えていった女、行方不明になった神様。
    紋身街では何もかも風のように移り変わっていく。

  • 理由はわからないけど、なんか読み進めてしまう。
    東山作品。

    少年は大人になった時どこにいるんだろ。

  • 【日台同時発売! 切なく沁み入る連作集】台北の紋身街は、世界中のどの街にも必ず一本はあるだろう小汚くて猥雑な通り。不思議な大人たちに囲まれて「ぼく」はそこで生きる。

全20件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

東山彰良(ひがしやあきら)
1968 年台湾生まれ。福岡在住。
2002 年に第 1 回「このミステリーがすごい!」大賞の銀賞・読者賞を受賞し、翌年『逃亡作法 TURD ON THE RUN』でデビュー。
『路傍』で第11 回大藪春彦賞、『流』で第 153 回直木三十五賞、『罪の終わり』で第 11 回中央公論文芸賞、『僕が殺した人と僕を殺した人』で第 34 回織田作之助賞、第 69 回読売文学賞、第 3 回渡辺淳一文学賞を受賞。
そのほか『怪物』『わたしはわたしで』『邪行のビビウ』など著書多数。
猫とお酒をこよなく愛し、ラジオ番組のパーソナリティーも務める。
絵本の翻訳は本作が初めてとなる。

「2024年 『まぼろしの雲豹(ウンピョウ)をさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東山彰良の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×