わが殿 下

著者 :
  • 文藝春秋
3.79
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163911298

作品紹介・あらすじ

昨日までの当たり前は、いつの間にか去っていたのだ。新銅山の発掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船……。七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。時代は移り変わろうとしていた――。幕末最強バディ小説の誕生。新時代を生き抜くヒントがここにある!【著者プロフィール】高知県生まれ、名古屋育ち。名古屋造形芸術短 期大学卒。漫画家を経て、二〇〇一年『しゃば け』で第十三回日本ファンタジーノベル大賞優 秀賞を受賞してデビュー。以来、「しゃばけ」 シリーズは大ベストセラーになり、一六年には 第一回吉川英治文庫賞を受賞した。他に、「まんまこと」シリーズ、「若様組」シリーズ、「明治・妖モダン」シリーズ、「つくもがみ」シリーズ、『ちょちょら』『けさくしゃ』『うずら大名』『まことの華姫』『とっても不幸な幸運』な ど著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • わが殿(下)
    2019.11発行。字の大きさは…小。

    幕末期に越前国大野藩7代目藩主・土井利忠は、藩政改革を行います。その執行役として内山七郎右衛門が利忠公を財政面でよく支えて行きます。

    内山兄弟は、長男・七郎右衛門が財政面を、次男・隆佐(りゅうすけ)が軍事面を、末っ子の介輔(かいすけ)が隆佐のあと軍事面を担当します。
    明治維新後に薩長に味方した藩以外は、苦境に立たされますが、七郎右衛門が始めた大野屋が大野藩の家臣たちを支えて行きます。

    【読後】
    幕末期に越前国大野藩の財政面を支えた内山七郎右衛門の伝記のような本です。七郎右衛門は、武士でありながら商人のように金勘定に詳しいく、その上、将来を見据え、腹の座った素晴らしい人です。
    2020.09.20読了

  • 最後まで藩と殿のために尽くして駆け抜けた人生だったのがひしひしと伝わってきます。
    教科書で、大々的に取り上げられる内容ではないですが、とても興味深く是非訪れてみたいと思いました。

  • 凄いぞ七郎右衛門!(*゚Д゚*)下巻も次から次へと難題が降りかかる(>.<)でもスイスイ乗り越える打ち出の小槌♪ちょっと寂しがりやな打ち出の小槌、私も欲しいな~(^^)藩主じゃないから無理か(--;)でも大野へは行ってみたくなった(^-^)

  • +++
    新銅山の開掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船…。七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。時代は移り変わろうとしていた―。新時代を生き抜くヒントがここにある!
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    七郎右衛門、相変わらず殿の打ち出の小槌に日々勤めている。何か事が起こり、窮地に立たされるほど、己の裡にあるものが閃きとともに表出し、突拍子もない策として形になるような印象である。常に次の手を考えているという証だろう。利忠公との信頼関係も、さらに深まり、公はもはや完全に七郎右衛門を信頼し、それ故、新しいものごとに向かって無茶をすることにもなる。止まるということを知らない殿である。だが、年月は容赦がなく、誰もが年を取る。悲しい別れも幾たびも経験することになるのである。殿と七右衛門と彦助との最後の穏やかなひとときには胸を熱くさせられるた。江戸が終わって明治の代になるとともに、感覚的には親しみを覚えるが、地続きには武士の時代の波乱があったことを、不思議な感慨をもって実感できるようになった気もしている。充実の上下巻だった。

  • 幕末の騒動に巻き込まれていく大野藩。
    日本が変わろうという時にも必要なのは金。
    それに備え、大野屋という店の商いでその危機を乗り越えようとする。
    いつも金勘定に頭が回り、人から羨む妬まれる事もあるがそれは大野藩を思っての事。
    藩主の打出の小槌となった家臣の出世話ではあるが、胸のすく様な思いになる。

  • 幕末の越前、大野藩。藩の財政改革を成し遂げ殿に尽くす家来。押し寄せる明治維新の波。

    上下巻の下巻。財政改革を成し遂げた後、下巻ではペリー来航から桜田門外の変、明治維新と波乱が続く。

    上巻と比べ、キャラが独り歩きを始めたかのように活き活きとした展開が続いていき、一気読み。

    次から次に来る無理難題を解決して行く主人公。マゾヒスティックなものをすら感じる。これが暗君出あったら「武士道残酷物語」と変わらないだろう。

    大野藩の幕末は良く分からないが、参考文献が挙げられているところを見るとある程度史実に基づいた作品らしい。

    ほのぼのとして、心地よく読める作品。作者にベストセラーが多いのも納得、満足のいく読後感でした。

  • どんな時代にもこんな話はあちこちであったんだろうなあ
    あの時代に種痘を子供らに施した2人は素晴らしい

  • 2022年2月12日
    数々のアイデア。打出の小槌。
    平凡に見えた八十石の侍が家老にまで昇進。
    実話だったのですね。大野藩。
    才を見極める殿、これが実はすごかったのかも。

  • [図書館・初読・2月18日読了]

  • なんとか読了。
    いつの時代にも、置かれた状況で精一杯尽力した人がいた。小藩の大野藩で奮闘した侍の人生。
    読めてよかった。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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