雲を紡ぐ

  • 文藝春秋 (2020年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784163911311

作品紹介・あらすじ

高校生たちが選ぶ「今年の1冊」――第8回高校生直木賞、受賞作!

「分かり合えない母と娘」
壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。

「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語る今作は、読む人の心を優しく綴んでくれる一冊になりました。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

悩みを抱える高校生の美緒が、家族との絆を再構築する過程を描いた物語は、心の糸を紡ぐように優しく読者を包み込みます。主人公の美緒は、いじめに苦しみながらも、祖父との出会いを通じて成長し、家族の思いの強さ...

感想・レビュー・書評

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  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    いや〜、すごいよかった!
    わたしにとっては、すごい影響力でした。
    そして、すごい泣けてきます。

    おじいちゃんと娘という組み合わせは、わたしには、とても突き刺さることが今作品でよくわかりました。「エミリの小さな包丁」と同じように、おじいちゃんの温かさが感じられて、「男はこうなっていくべきだな像」が、はっきりと形成されました(^-^)

    すごい、好きな作品でした。


    今回の作品も不登校の女の子が主人公で、すぐお腹の調子が悪くなる子なので、「かがみの孤城」に続いて、またか…という感じでした。ほんと、不登校関連をよく手にしています。

    不登校のお話は、自分ならそうはならないという視点で捉えてしまうんですが、今までと違って、考え方が少し変わる作品でした。
    学校に行くことが必須ではないことは理解しているつもりでしたが、より、どう生きていきたいのかに視点を向けなければいけないことを意識させられる感覚でした。おじいちゃんの言葉が、とてもよいフォローになっていて、その言葉や、見えているものに、とても優しさを感じました。

    この作品は、みんなが逃げています。
    みんなが逃げて、そこから、また、立ち上がっていきます。そんな姿にとてと感動させられました。

    わたしの子どもの周りにも不登校の子はいました。小学4年生から、中学3年まで、当たり前のようにいました。その学校には、いじめがあるような環境ではない認識でしたが、本人がどう受け止めているかはわからないです。

    「一度、逃げたらダメだ。またすぐ逃げるようになるから」とは、よく口にするセリフです。子どもを育てる中で、「逃げるな」は、ほんと頭によく浮かんできます。

    では、自分はどうだったかと、久々に振り返ってみると、25歳のときに逃げるように会社を辞めて、4ヶ月ぐらい、自営業をしていた父の作業場にいって、裁断前の布を掛ける作業を黙々としていたのを思い出しました。
    わたしも物をつくることは好きだったので、物語の主人公には憧れる部分もありました。

    逃げる場所が必要なんですね、きっと。
    何度逃げることになったとしても、また進んでいけるように、考えていくことが大切ですね。


    【へこみとは、逆から見れば突出した場所だ。】
    【大事なもののための我慢は自分を磨く。ただ、つらいだけの我慢は命が削られていくだけだ。】


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    学校でのイジメが原因で不登校になる美緒。
    子どもの頃から大好きなホームスパンを母に捨てられたことをきっかけにして家を飛び出します。
    家を飛び出して向かった先は、父方の祖父が営む染織工房の山崎工藝舎(こうげいしゃ)。
    そこで数年ぶりに再会する祖父との生活が始まります。


    オモウ 汚毛
    スカード 機械で洗われた毛
    ホーム(家)、スパン(紡ぐ)

    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    山崎美緒 高校生
    山崎真紀 美緒の母
    山崎広志 美緒の父

    山崎紘治郎 美緒の祖父
    ※紘は人名用感じだって
    山崎香代 美緒の祖母

    川北太一 広志のいとこの息子
    川北裕子 太一の母、


    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      Manideさん♪
      こちらにも、こんにちは~♪
      レビュー、読んでいるハズだったのですがたまたま、抜けてしまって読めてませんでした……(>_<...
      Manideさん♪
      こちらにも、こんにちは~♪
      レビュー、読んでいるハズだったのですがたまたま、抜けてしまって読めてませんでした……(>_<)

      『逃げる場所が必要』
      そうですよね!!私も、そう思いました。
      はい、私も、逃げてます〰️!
      仕事も転職してますし…。

      ただ…どうしても親になると特に我が子に「逃げるな!」って、言いがちですよね。特に自分の子供には厳しくなってしまいがち……。親って難しいですねーホントに…

      『何度逃げることがあっても、また進んでいけるように考えていく事が大切』
      そうです、そうですよね!!これです!!この考え方ですよね。
      おっしゃる通りだと思いました-

      素晴らしい本でしたね~☆彡
      2023/04/19
    • Manideさん
      チーニャさん、こんにちは。

      コメントありがとうございました(^^)

      コメントもらうと、「なんて書いたっけな、、、」と、自分のコメント見ま...
      チーニャさん、こんにちは。

      コメントありがとうございました(^^)

      コメントもらうと、「なんて書いたっけな、、、」と、自分のコメント見ますが、長くてびっくりでした(笑)

      ほんとですね、親は難しいですね。
      おじいちゃんや、おばあちゃんになると、また、違った難しさがあるんですかね。

      自分の子どもや、孫(今はいないですけど)に、良い影響を与えられるような人生を歩んでいきたいですね。
      ほんと、素晴らしい小説でした(^-^)
      2023/04/19
  • とても面白い本だった。悩み多き娘を主人公とした物語で、その主人公の師匠である祖父のセリフが、深く簡潔なメッセージで、若者の悩みを解決する手助けとなると思う。父親視点で語られる章もあるので、家族関係で困っている親世代にも役立つ本だと思う。

  • 受け継ぐものの心の動き。悩みを理解し合うことと語り合うことのつながり。誰も悪くないけど、それぞれの思いの強さが、人との距離を作る。それでも、信じて待って分かり合おうとする心。それは、かけがえのない人だと知っているから。

  • フォロワーの皆さまの、素晴らしい数々のレビューのあとで、稚拙な感想でお恥ずかしいのですが、この本を読んだ本音を書きます。

    高校生の山崎美緒は英語教師の母の真紀のことで中傷され学校でいじめに遭います。
    都内で電車通学をしていますが、電車の中で毎朝、お腹を下しそうになり、不登校になります。
    そして、父の広志の会社はうまくいっていません。

    ある日美緒は祖父のいる盛岡行きの新幹線に乗り、祖父の営む山崎工藝舎で、仕事を教えてもらうようになります。
    祖父の会社は、ホームスパン、布を紡いで物づくりをしている会社です。
    美緒は、東京に帰って高校に戻るか、もしくは転校、それとも職人への道を選ぶか悩みぬきます。

    電車の中でお腹を下すほどのいじめに遭うのは身心共につらかったと思います。
    私もお腹が弱いけれど、私は学生でも社会人でもないので、生活できますが、人はお腹くらいと言いますが、それでは、電車に乗れないのは当たり前で、高校は卒業できません。

    この作品では、母の真紀が美緒に向かって「泣けばすむと思っている。いつも女を武器にして、父や祖父には甘える。そういうところが嫌い」と言って叩く場面がありますが、違う作風の作家さんの作品ならともかく、17歳の娘に向かって、母親が言うことかと思いました。
    あとで、祖母が「叩いたお母さんの手の方が痛かったんだよ」とかばっていますが、どんなものかとそこだけは、腑に落ちませんでした。
    子供の将来を想って言ったこととは思いますが「女を武器に」は美緒はしていないと思うし、辛辣すぎる暴言ではないかと思いました。

    でも、広志が「子供たちには未来があって望めば何にでもなれる」「望んでも得られぬものがあるとわかるのが大人になるってことだよ」と最後に言ったのが、何もせずに大人になってしまった私には響きました。

    閑話休題。
    私も、高校3年間親の転勤で盛岡市で過ごしたので、懐かしい情景がたくさんありました。
    盛岡は東北の「杜の都」と呼ばれます。
    私のいた頃は滝沢駅はまだなく、滝沢村で「いわて銀河鉄道」もありませんでした。
    でも、福田パンはありました。私はお弁当派だったのですが、年に何度か、パンを買うためにお弁当を持たずに行きました。一番おいしかったのは、やっぱりピーナッツバターのコッペパンです。
    開運橋からのぞむ岩手山。
    岩手公園の啄木の碑。
    懐かしいです。

  • はぁ、また出逢ってしまった。
    この物語を終わらせたくない、読み進めたくないって思う本でした。

    全く知識のない私は、ホームスパンとは?からGoogle先生に聞きながら物語に入っていきました。

    学校でいじめに遭う美緒ちゃんの描写が切なく、居場所であるはずの家族の中で感じるヒビに胸が痛くなりました。みんなただ一生懸命なのに、すれ違い離れて行く距離感がリアルでもどかしくて苦しかった。

    山崎工藝舎で紡ぐホームスパンと人々との出会いや関わり、盛岡の自然の中で少しずつ成長していく美緒ちゃんの姿を、母親の様な気持ちで応援しました。頑張れ、羊っ子!って。
    盛岡の自然の情景や宮沢賢治のお話もよかったです。

    で、おじいちゃん。
    もう、一言一言が沁みる。言葉は多くないけど、嘘のない真っ直ぐな言葉が背中を押してくれるんですね。
    せがなくていいっていい言葉ですね。
    外では読んではいけない本です。

    あぁ、いい物語でした。
    図書館で借りた本ですが、買ってまた読みます。

  • 既に伊吹有喜さん、6冊目。時代を越えて真っ赤なショールを巡る成長譚。イジメに会い高校に行けなくなった美緒、言いたいことを言えない苦悩。それには両親や祖母とぶつかり合わずに生きてきた。即ち、逃げてきた。ただ、祖父の紘治郎との出会い。この出会いによって美緒と家族は再生する、羊毛を通じて。美緒の周りは厳しいがとても暖かい。赤いショールの温かさ、人の温かさ、羊毛の温かさ、すべてが繋がっている。たとえ切れても継ぎ足せばよい。元に戻るのだ。失敗しても全く構わない。美緒は紡ぎながらどこまでもどこまでも行けるはず。⑤

    直木賞選評 https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo163.htm  「万人に勧められるその親しみやすさと明るさが、今回は同じような題材の『銀花の蔵』と並んだとき、人物造形の頼りなさ、作中で提起された母娘や夫婦の葛藤の解決の甘さに換算し直されてしまいました。」BY 宮部みゆき。 

    母娘の葛藤の解決がなされていない。。。確かに。でもそこにこそ成長の可能性を換算することができると思いたい。

  • はぁ‥‥家族に素直になれない人たちのお話で読んでいて何度も胸が苦しくなりました。
    気持ちを言葉にできない苦しさ、どうしても気持ちを相手にぶつけてしまう苦しさ、どちらも苦しい。そんな人同士が家族だと家の中がやり切れない場所になってしまう。
    もう本当に苦しいお話でした。
    不登校になった高校生の美緒のおじいちゃんもやっぱり家族に素直になれなかった過去を持つので、美緒にかける言葉がとても優しい。
    自分の悪いところにばかり注目しないで、それを活かせる方法を見つけたらいい、へこみも別の方向から見れば突出した場所なんだ、自分を鍛えようとして壊れてしまったら元も子もないのだと。
    そしてこの作品の中で一番胸に響いた言葉、

    「言はで思ふぞ、言ふにまされる」

    〜言えないでいる相手を思う気持ちは、口に出して言うより強い〜

    美緒がおじいちゃんに教えてもらう糸を紡いで布を織るホームスパンや、おじいちゃんが蒐集する様々な美しい物、文学に対する教養、そして岩手の自然、これらが縦軸になっていて苦しい中にもキラキラしたものがある作品でした。

  • 「分かり合えない母と娘」
    壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
    羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる
    親子三代の「心の糸」の物語。

    いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、
    祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
    ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、
    少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
    美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、
    、職人たちの思いの尊さを知る。
    一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
    実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。


    母親と母方の祖母二人とも共に元教師と現役の教師。
    至極真っ当な言葉を振りかざして美緒を追い詰める。
    二人の姿はとても嫌な感じでした。
    会ったこともない父の故郷に暮らす、ホームスパンの職人の
    祖父の所に家出した美緒。
    おじいちゃんがとても素晴らしい。
    言葉の一つ一つが心に沁みた。
    澪が逃げた先に素晴らしい御祖父ちゃんや裕子さんや太一が居て良かった。
    ホームスパンって布地がある事も初めて知ったし、
    行程もとても興味深かったです。

    美緒の成長物語が中心として描かれていますが、
    家族の姿。
    母と娘・父と娘・祖父と父…。お互いに伝えたいけど伝わらない想いが
    それぞれの気持ちのすれ違いが、とても切なかった。
    家族の物語として心に響きました。

    上手く言葉に出来なくて呑み込んでしまう気持ち。
    共感する力が強くて、相手のちょっとした表情から自分への
    ネガティブな気持ちをすぐに拾ってしまう所。
    わかるなぁって感じた。

    言はで思ふぞ、言ふにまされる
    とても素敵言葉を知りました。
    盛岡の街並みも丁寧に描かれて目に浮かぶ様。
    一度行ってみたくなりました。遠いなぁ。
    時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。
    一枚ショールが欲しいなぁ。
    伊吹さんらしい心が温かくなるお話でした。

  • ふぉ~、ほっこり! いい話。
    読み終えて、本を閉じて感じる世界は、
    澄んだ空気、やわらかな風、そして彩り豊かな光の色。

    美緒は東京の私立高校二年生。
    友人との関係が原因で学校に行けなくなる。
    家庭では母親との折り合いが悪く居場所もない。
    そして、父母の関係も希薄で家庭崩壊寸前。
    そんな美緒が衝動的に逃げ込んだのは
    盛岡でホームスパンの工房を主宰する祖父の家。

    生まれてから一度も会う機会のなかった祖父。
    それなのに美緒が盛岡へと向かったのには理由があった。
    不安定な美緒の心の拠り所が、体を温かく包んでくれる
    祖父の工房のタグが付いている赤いショールだったから。

    「せぐな。せがなくていい」
    口数の少ない祖父の温かさに包まれ、
    美緒はゆっくり心を癒していく。

    羊の毛を洗い、染め、紡ぎ、織りあげる。
    手仕事で丁寧に仕上げるその工程のように
    もつれてしまった人と人との関係を
    ゆっくり時間をかけて織り直す。
    途中で切れた糸は、新しい糸をつまんで絡ませる。
    そうすると、新しい糸が生まれる。
    なんて素敵!

    ずっと前。
    夫がホームスパンのネクタイをいただいたことがあります。
    手触りが柔らかくてふわふわで、軽くて、たしかに雲みたい。
    義父には盛岡に親戚がいて
    盛岡がどんなに素敵な街なのか、何度もお話を聞きました。
    物語の途中で出てきた「クルミゆべし」は
    お土産にいただいて、すっかりファンに!
    最近のニュースで、
    外国人に人気ナンバーワンの町が盛岡だと聞きました。

    宮沢賢治による造語だとされるイートハーブ。
    本作品の最後にも登場します。
    「理想郷」という意味で、
    エスペラント語で岩手県という意味だとか。
    一度、ゆっくり行きたいな。

    • Manideさん
      yyさん、こんばんは。

      いい作品ですよね〜
      本を閉じて感じた表現がいいですね。
      私も一冊を大切にと意識しながら、読み終わった時の味わいが足...
      yyさん、こんばんは。

      いい作品ですよね〜
      本を閉じて感じた表現がいいですね。
      私も一冊を大切にと意識しながら、読み終わった時の味わいが足りていないなと反省しました…

      ホームスパンが身近にあったんですね、すごい(^^)
      身近に良いものは持っておきたいですね。
      2023/08/17
    • yyさん
      Manideさん

      嬉しいコメントありがとうございます☆彡
      ふわふわしたものに弱いんでしょうか…。
      表紙の絵にもすっかり キュン♡ ...
      Manideさん

      嬉しいコメントありがとうございます☆彡
      ふわふわしたものに弱いんでしょうか…。
      表紙の絵にもすっかり キュン♡ とやられちゃいました。

      ホームスパンは、たまたま あったのを思い出しただけですが
      本を読んで、ちょっとだけ生活が豊かになった気がしましたよ (^^)♪
      2023/08/17
    • Manideさん
      yyさん、おはようございます。

      みんなフワフワしたものに弱そうですよね。
      人間の本能かもしれないですね。
      雲をみると、フワフワしているよう...
      yyさん、おはようございます。

      みんなフワフワしたものに弱そうですよね。
      人間の本能かもしれないですね。
      雲をみると、フワフワしているようにしか見えないですもんね。

      いま手元にある本を読んだら、次はフワフワしたお話を読みたくなりました(^^)
      2023/08/18
  • 直木賞候補作

    糸、織り上げた布、鉱石、自然、食べ物
    色彩や肌触り、香の綺麗な物語だった
    表紙や本扉の色紙、栞の色も
    章の合間合間のワンポイントな羊や洗濯機も可愛い

    「せがなくてもいい」

    冒頭ずれてゆがんでいた親子それぞれの認識や感情も、終盤に向けて、少しずつ織りなされ噛み合っていく

    糸は切れても撚りなおせば修復できる
    丁寧にほぐしてやわらかく

    紡いで染めて織って、自分や大切なひとの未来を守れたらな、って感じる作品だった
    (図書本)

  • 「切れたってつながる」
    この本には、その言葉がぴったりだと思いました。

    岩手山が見え、きれいな湧き水が流れている街にある山崎工藝舎。この場所で美緒の祖父が暮らしています。作られているのはホームスパン。羊毛から作られた糸の手織物です。

    幼い頃から、祖父母が作ってくれた赤いホームスパンを大切にしてきた不登校の美緒が、この場所で暮らしながら変わっていく様子と、家族のあり方を著した小説でした。

    小説の始めには、両親の態度に萎縮して人とうまく接することができない美緒がいました。自然豊かな場所で、大きく包み込んでくれる祖父との出会い。彼女にとってはこの場所に迎え入れられたことが、今後の人生に大きく影響を与えました。

    自分の好きなものは何なのかを探すように、など祖父の言葉は饒舌ではないけれど、美緒が初めて自分と向き合うきっかけを作ってくれました。

    親が決して言ってはいけないことを美緒に言う母親にも、自分の親からの圧力がありましたが、この家族には圧倒的に自分の思いを話すということが欠けていると思いました。相手を自分の思いどおりにはできないことに次第に気づき、お互いを認めあうまでに長い時間が必要でした。

    山崎工藝舎で手伝いながら過ごす美緒が、祖父と裕子さんそして太一くんとの日々で、少しずつ肩の力が抜けて、やりたいことを見つけられたことに安堵しました。自分の心がほっとする時間を作ることも大切なことだと思いました。その上でやりたいことが見つかると、人は強くなれるように思えました。

    美緒のホームスパンのショールは、きっとこの本のスピンの色と同じような赤い色なんだと思います。好きなものを好きと言える強さがほしいと言う願いが込められた赤い色が、とても力強く感じました。

    どうしようもなく追い詰められたときには、その場所から離れて自分を守ること、そして人は自分の思いどおりにはならないこと、自分の思いはきちんと伝えることなど、生きていく上で大切なことが、たくさん書かれていました。小説の中で気になる本も何冊かあったので、読んでみようと思いました。

    単なるいい話ではないところが、とても印象に残った小説でした。


    〈目次〉
    第一章 六月 光と風の布
    第二章 六月下旬 祖父の呪文
    第三章 七月 それぞれの雲
    第四章 八月 美しい糸
    第五章 十月 職人の覚悟
    第六章 十一月 みんなの幸(さいわい)
    第七章 三月その手につかむもの
    エピローグ ホームスパン



    • きたごやたろうさん
      フリージアさんへ

      悩みはみんな一緒だねぇ…。
      フリージアさんへ

      悩みはみんな一緒だねぇ…。
      2025/08/27
    • フリージアさん
      悩みでもあるし、楽しみでもありますね(^^)
      悩みでもあるし、楽しみでもありますね(^^)
      2025/08/28
    • きたごやたろうさん
      フリージアさんへ

      そうそう。
      いつか必ず読むから待っててねって感じで笑!
      フリージアさんへ

      そうそう。
      いつか必ず読むから待っててねって感じで笑!
      2025/08/28
  • 伊吹有喜さんの作品は
    『四十九日のレシピ』に続き2作品目

    『雲を紡ぐ』
    おび情報から最初は母と娘の確執を描いた作品かと予想していた。しかし、母と娘だけではなく3世代の家族間の繋がりや絆を、父方の祖父が紡ぐホームスパンという伝統織物になぞらえながら描いた物語

    【あらすじ】
    主人公の美緒は自己表現が苦手なことから学校でイジメにあい、高2で不登校になってしまう。両親は共働きで忙しく、母親は中学教師だが娘の不登校により学校で非難されSNSでは晒し者にされており、父親は会社が業績不振により将来に不安を抱えており、家族はみな心がバラバラで離れてしまっている。
    そんな美緒の心の拠り所は、義父母から贈られたホームスパンの赤いショール。このショールに包まれている時だけ美緒の中で時間が止まるのだ。だが、ある日このショールが見当たらなくなり、動転した美緒は家を飛び出すのだった。

    【レビュー】
    岩手の盛岡市でホームスパンの工房を営む祖父の存在が偉大だった。家族の思いが強すぎて逆にこじれたり、互いのことを思うが故に、言葉が過ぎてしまうことは多くの方が思い当たる節があるだろう。
    とりわけ、母親が美緒に発した暴言にも近い台詞には驚きと怒りも感じたが、同時に、そこまで追い詰められている母親の立場を想像すると辛くなった。
    ラストまで解決しなかった母親の学校での問題はどうなったんだろうと、そこが少し気掛かりだった。

    一方で、不登校のまま盛岡で工房の手伝いを始めた美緒。
    多くを語らず、美緒の気持ちを慮る祖父が発する言葉は、一つ一つが温かくて、理に適っていて、胸が熱くなった。

    「言はで思ふぞ、言ふにまされる」
    「大事なもののための我慢は自分を磨く。ただ、つらいだけの我慢は命が削られていくだけだ。」
    「手のかかるうちは助けて、あとは見守る。それがジジババの役目ではないですか。頼りにされた時期があるだけ幸せだ。」

    家族と長年離れて暮らし、疎遠になっていたからこそ、祖父の胸裏には言葉に出さなくても培われた想いがあるのだと思う。

    そんな祖父の住まいには、跡を継がずに都会で電機メーカーに就職した息子の会社の製品で溢れている。もう何十年も前の製品がそこにあった。
    なんだか、こういうのグッと来るなぁ。
    ほんとうに温かいなぁ。
    多くを語らない祖父の息子への愛がひしひしと伝わって来る。

    家族の形はさまざまだが、繋がりあっていることの大切さ、有り難さを信じたいと思える作品だった。
    祖父が美緒に将来の道を自分で選ばせた姿勢から、家族だからこそ型にはめることに捉われず、価値観を強要せず、一度きりの人生を謳歌できるよう、選んだ道を尊重する存在の尊さを学ばせてもらえた。

    ホームスパンという日本では岩手が有名な伝統織物業工芸。
    移り変わりの激しい現代社会の中で、家業の後を継ぐという選択をする志の崇高さが心に響いた。私も実家が古くからの家業をしている為、他人事とは思えず感情移入してしまった。

    余談だが、作中に出てくる白龍(パイロン)のじゃじゃ麺!私も盛岡旅行で味わったので、思い出して何だかワクワクした♪
    ちいたんたんまで出てくる〜
    あれは多分、1度目より2度目、2度目より3度目・・・と沼にハマっていく食べ物だろう。
    そして、福田のコッペパンといい、地元の方は本作を読んで懐かしさの余り歓喜の声を上げるんでしょうな。
    未体験の方は本作で予習の上、ぜひ!!


  • じわじわと心があたたかくなる小説だ。

    東京に暮らす高校生の美緒は、学校が嫌で行けなくなる。母の真紀とは分かり合えず、家出を決意。盛岡でホームスパンの工房を営む祖父、紘治郎のもとへ行く…

    ホームスパンとは、文字の通り"家庭で紡ぐ"糸のこと。
    元は家庭で紡いだ糸で織った織物の総称だが、現在では太い紡毛糸を使用した、ざっくりと粗い目の織物のことを指すのだそうだ。
    そして、親子三代が使えるほど長持ちする。

    この小説も親子三代の話。

    美緒は、何事もスピードとコストパフォーマンスが求められる世相に過剰適応していた。
    いつも薄笑いの仮面で、どんな状況でも「大丈夫」と言う今時の若者だ。
    いつも人に合わせて、人の評価が怖くて、自分の希望は考える機会がないから、自分の希望を明確に言葉にすることが難しい。

    だけど、盛岡に逃げて、ホームスパンに出会い、ホームスパンを紡ぐことに没頭して、自分を見出していく。

    そして、ばらばらになりつつあった親子三代の関係性も美緒を中心にホームスパンよろしく紡がれていく…
    ほっこりとした読後感。

  • 優しく残る一冊。

    前から“紡ぐ”という言葉が好きだった。
    この作品でもっと好きになった。

    自分の思いも、人間関係も人生も最初は頼りなくて切れそうでも、もつれにもつれて絡まっても、まずは丁寧に向き合うこと。

    せがなくていい。
    時間がかかっても心を撚り合わせてまた紡ぐ、毎日言葉を紡ぐことでより人とも自分とも向き合える。

    そんな大切なことが“紡ぐ”と共に溢れていたから。

    美緒を支えてくれた祖父の存在、言葉にこちらまで包まれる。

    心に力強く届き、時に涙し最後はふわりと心に優しく残る、そんな数々の言葉。
    大切に心にしまいたくなる。

  • いつも相手の顔色ばかり伺っていた。
    嫌われないように、とつい薄笑いを浮かべてしまう。
    楽しくも可笑しくもないのに。
    必死で周囲に溶け込もうとして"自分"を失くしていた。
    「大丈夫、まだ大丈夫」何が大丈夫なのかは分からない。
    また、そんな我が子に対し何も出来ずに戸惑う両親の姿にも胸が痛い。
    家族の生き辛さ、息苦しさが読んでいて我が事のように辛くなった。

    そんな不器用な女子高校生・美緒に生きる道標を示してくれたのは祖父だった。
    羊毛を手作業で染め、紡ぎ、織り上げる「ホームスパン」。
    祖父の教えにより美緒は"自分の色"と"託す願い"を決め、一筋ひとすじ横糸を自らの手で丁寧に掛け渡していく。

    腹をくくって自分の選んだ道を突き進む覚悟を決めることは、大人だって難しい。
    悩みながら、時に落ち込みながらも、自分の決めた道をひたむきに進もうとする美緒の姿がとても清々しい。

    祖父の「子どもといっしょに暮らした日々は案外、短かったな」の一言にドキッとした。
    うちの長女は美緒と同じく高校2年生。
    読んでいて長女と美緒を重ねてしまう。
    我が家の子離れの時期ももうじき来るのだと思うと寂しい気持ちになった。

  • 「分かり合えない母と娘」
    壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
    羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。
    いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
    ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。
    一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
    実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。



    このところ、殺人事件ばかり読んでいたから、この本を読んでちょっとほっこり(*^-^*)

    父親も、母親も、娘もそれぞれに悩みを抱え、心が離れてしまうが、
    祖父の作り出す糸はそんな家族をも繋いでしまう。

    所々に出てくる、盛岡の風景が行ったことも、見たこともないのに美しく感じられた。

    時に厳しく、温かい心の持ち主である祖父の言葉が、心に刺さる。

    中高生にも全力でオススメできる良書でした~(*´▽`*)

  • 不登校になった高校生が一人、疎遠だった祖父の元へ。
    そこで出会った人たちと、見つけた生きがいとは。

    高校生の美緒は、いじめにあって電車にも乗れなくなってしまう。
    母と母方の祖母は二人とも教師で、不登校に理解を示さない。正論をふりかざして、美緒に学校へ行くよう迫ってくるのです。
    母は私立中学の教師で、校内のトラブルがネットで取り沙汰されているため、悩んでもいました。
    美緒は大切にしていた赤いショールを母に捨てたと言われ、家を飛び出す。
    そのショールは美緒が生まれた時に盛岡の祖父母が手ずから作ってくれたものだった…

    父方の祖父は眼光鋭い大男で口数が少ないが、穏やかに孫娘を受け入れました。
    染織をする山崎工藝舎を主催しており、美緒はそこで作っているホームスパンの手触りと美しさに魅せられます。
    工藝舎の手伝いをすることになり、生き生きと作業をする日々。その生き返るような心地よさが伝わってきます。
    大人しい美緒は内心は素直だが人付き合いが苦手で、母親とは全く違うタイプ。大勢の中で生きるよりも、忍耐強く作業に打ち込む方が似合っているようですね。

    祖母は離婚後に亡くなっており、父は誤解から祖父と絶縁していた。そういう事情も少しずつ明らかになっていきます。祖父には後悔していることもあるのでした。
    一方、東京の父と母には、離婚話が持ち上がり‥

    後に話し合いの席で母が感情的になり、美緒にひどい言葉を放ちます。母方の祖母がさすがに驚いて「娘に言うことじゃない」とすぐに言ったほど。
    母もその頃ずっと苦しんで追い詰められていたので普通ではないのだが、どこか狭量なところがあるのですかね。
    このあたりの印象が「わかり合えない母と娘」という紹介文になっているのでしょう。
    ただ、美緒の母のことはそれほど詳しく書かれていないので、母娘のことははっきり判断できるほどでもない。
    この話のテーマはもう少し広いと思います。

    親子三代にわたる家族の絆、その危うさと一筋の希望。
    取り返しがつかないように思える危機も、必ずしもそうではないのです。
    苦しんだ後だからこそ、心が通い合うこともある。
    昔ながらの丁寧な仕事のありよう、作品の出来栄えをもたらす熱意、そのイメージと生命力にも支えられている物語。

  • 家族の再生の物語だと思っていたから、ラストの着地地点は意外だった。蓋を開けてみれば、帯にあった「分かり合えない母と娘」の通りで、なんと言うかやるせなさと晴れ晴れしさが混在しているような不思議な感覚を味わった。
    まぁ、実の娘に向かって、「女を武器にしてる」はかなりエグいし、悪人ではないのだろうけど絶望的に親には向かないのかな。だからこそ、母がどんな人でどんな事を思っていたのか。父と娘視点しかなかったから、母視点も見たかった。


  • 祖父の言葉
    「泣いてるこどもに怖くはないよと言っても泣き止まないだろう。 抱き上げて背中をさすってやれば泣き止む。触れれば分かる。心も伝わる。怖がらずにあの子の思いにしっかり触れてみてくれ」

    言葉って、人を傷つけたり、反対に安易に
    気持ちよくさせることもできるけど、
    心に触れる
    ということが
    1番の会話なのかもしれない。
    私自身おじいちゃんの言葉の
    意味は、子育ての中で体感することが
    多々あった。2歳のいやいや期や
    元気有り余る学童期
    思春期、こどもと感情的にぶつかったとき、
    表面化したものにだけに気をとられると
    こどもは
    何で何でわかっくれないのていうサインを
    出すなあ~て。
    きっと、そうやって、愛情を確かめながら
    成長していくんだろうなあ。

    羊の汚毛をあらって
    糸を紡いで織って、染め
    出来上がるスパンコール

    その工程が絡みあった家族を再生していくキーとなった
    このおじいちゃんの存在だったようにおもう


  • 割とヘビーな話かと思って手にするのが遅くなったけれど、とてもあたたかく素敵な話だった。おじいちゃんの考え方が好き。
    本のしおり紐が鮮やかな赤で、珍しいなと思ったけれど作品に出てくる物とリンクしていて納得。内容・装丁ともに満足度が高かった。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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