雲を紡ぐ

著者 :
  • 文藝春秋
4.31
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  • / ISBN・EAN: 9784163911311

作品紹介・あらすじ

「分かり合えない母と娘」壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる親子三代の「心の糸」の物語。いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、職人たちの思いの尊さを知る。一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。「時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。その様子が人の生き方や、家族が織りなす関係に重なり、『雲を紡ぐ』を書きました」と著者が語る今作は、読む人の心を優しく綴んでくれる一冊になりました。

感想・レビュー・書評

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  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    いや〜、すごいよかった!
    わたしにとっては、すごい影響力でした。
    そして、すごい泣けてきます。

    おじいちゃんと娘という組み合わせは、わたしには、とても突き刺さることが今作品でよくわかりました。「エミリの小さな包丁」と同じように、おじいちゃんの温かさが感じられて、「男はこうなっていくべきだな像」が、はっきりと形成されました(^-^)

    すごい、好きな作品でした。


    今回の作品も不登校の女の子が主人公で、すぐお腹の調子が悪くなる子なので、「かがみの孤城」に続いて、またか…という感じでした。ほんと、不登校関連をよく手にしています。

    不登校のお話は、自分ならそうはならないという視点で捉えてしまうんですが、今までと違って、考え方が少し変わる作品でした。
    学校に行くことが必須ではないことは理解しているつもりでしたが、より、どう生きていきたいのかに視点を向けなければいけないことを意識させられる感覚でした。おじいちゃんの言葉が、とてもよいフォローになっていて、その言葉や、見えているものに、とても優しさを感じました。

    この作品は、みんなが逃げています。
    みんなが逃げて、そこから、また、立ち上がっていきます。そんな姿にとてと感動させられました。

    わたしの子どもの周りにも不登校の子はいました。小学4年生から、中学3年まで、当たり前のようにいました。その学校には、いじめがあるような環境ではない認識でしたが、本人がどう受け止めているかはわからないです。

    「一度、逃げたらダメだ。またすぐ逃げるようになるから」とは、よく口にするセリフです。子どもを育てる中で、「逃げるな」は、ほんと頭によく浮かんできます。

    では、自分はどうだったかと、久々に振り返ってみると、25歳のときに逃げるように会社を辞めて、4ヶ月ぐらい、自営業をしていた父の作業場にいって、裁断前の布を掛ける作業を黙々としていたのを思い出しました。
    わたしも物をつくることは好きだったので、物語の主人公には憧れる部分もありました。

    逃げる場所が必要なんですね、きっと。
    何度逃げることになったとしても、また進んでいけるように、考えていくことが大切ですね。


    【へこみとは、逆から見れば突出した場所だ。】
    【大事なもののための我慢は自分を磨く。ただ、つらいだけの我慢は命が削られていくだけだ。】


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    学校でのイジメが原因で不登校になる美緒。
    子どもの頃から大好きなホームスパンを母に捨てられたことをきっかけにして家を飛び出します。
    家を飛び出して向かった先は、父方の祖父が営む染織工房の山崎工藝舎(こうげいしゃ)。
    そこで数年ぶりに再会する祖父との生活が始まります。


    オモウ 汚毛
    スカード 機械で洗われた毛
    ホーム(家)、スパン(紡ぐ)

    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    山崎美緒 高校生
    山崎真紀 美緒の母
    山崎広志 美緒の父

    山崎紘治郎 美緒の祖父
    ※紘は人名用感じだって
    山崎香代 美緒の祖母

    川北太一 広志のいとこの息子
    川北裕子 太一の母、


    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      Manideさん♪
      こちらにも、こんにちは~♪
      レビュー、読んでいるハズだったのですがたまたま、抜けてしまって読めてませんでした……(>_<...
      Manideさん♪
      こちらにも、こんにちは~♪
      レビュー、読んでいるハズだったのですがたまたま、抜けてしまって読めてませんでした……(>_<)

      『逃げる場所が必要』
      そうですよね!!私も、そう思いました。
      はい、私も、逃げてます〰️!
      仕事も転職してますし…。

      ただ…どうしても親になると特に我が子に「逃げるな!」って、言いがちですよね。特に自分の子供には厳しくなってしまいがち……。親って難しいですねーホントに…

      『何度逃げることがあっても、また進んでいけるように考えていく事が大切』
      そうです、そうですよね!!これです!!この考え方ですよね。
      おっしゃる通りだと思いました-

      素晴らしい本でしたね~☆彡
      2023/04/19
    • Manideさん
      チーニャさん、こんにちは。

      コメントありがとうございました(^^)

      コメントもらうと、「なんて書いたっけな、、、」と、自分のコメント見ま...
      チーニャさん、こんにちは。

      コメントありがとうございました(^^)

      コメントもらうと、「なんて書いたっけな、、、」と、自分のコメント見ますが、長くてびっくりでした(笑)

      ほんとですね、親は難しいですね。
      おじいちゃんや、おばあちゃんになると、また、違った難しさがあるんですかね。

      自分の子どもや、孫(今はいないですけど)に、良い影響を与えられるような人生を歩んでいきたいですね。
      ほんと、素晴らしい小説でした(^-^)
      2023/04/19
  • 丁寧に糸を紡いで織られた織物のような
    優しくて、あったかい…素敵なお話だった。

    イジメなどが原因で、高校に行けなくなってしまった美緒。盛岡の祖父のところに1人で行きホームスパン(織物)を学ぶことに。父や母もそれぞれ仕事がうまくいってなくて大変な上に娘の事でも悩んでいる。夫婦仲も、良くない、そんな家族。
    娘の将来を心配していて…命令口調で自分の気持ちを押し付けようとする、母親は…言葉がキツイ。
    実の母親が、娘に向かって「女であることを武器にして…。甘えるな…」なんて普通なら絶対に、言わない。私なら到底許せないな!そんな言葉が出るくらい母親も、酷く心を病んでしまっていたという事なのかもしれない…が。(母親の、どうしようもない気持ち、何とかしなければという気持ち、悩み苦しんでる気持ちはよーくわかる。それは凄くとってもよくわかる。)

    そんな辛さに耐えて過ごす美緒に、このおじいちゃんが、いてくれて良かったなと凄くホッとした!
    「大丈夫、まだ、大丈夫…。そう思いながら生きるのは苦行だ。人は苦しむために生まれてくるんじゃない。楽しむために生まれて来るはずだ。毎日を苦行のようにして暮らす子を追い詰めたら姿を消すぞ、家出ですんで良かった……」泣けてくる…言葉だ。

    祖父の言葉ひとつひとつが胸を打つ。バラバラだった家族が本音で向き合い良い方向へ進んでいけて、良かったなと思う、感動作品だった!!

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      mihiro さん、こんばんは(^^)
      大好きな本、同じで嬉しい♡♡

      おじいさん、やっぱり頭によぎりましたよね。ハイジのおじいさん!
      皆で...
      mihiro さん、こんばんは(^^)
      大好きな本、同じで嬉しい♡♡

      おじいさん、やっぱり頭によぎりましたよね。ハイジのおじいさん!
      皆でおんなじ!(*´∇`*)ナカ~マ(笑)
      2023/04/13
    • Manideさん
      チーニャさん、こんにちは。

      この作品はいいですよね〜
      みなさん盛り上がってたので、入りたくなってしまいました。

      私もほっそりしたお爺ちゃ...
      チーニャさん、こんにちは。

      この作品はいいですよね〜
      みなさん盛り上がってたので、入りたくなってしまいました。

      私もほっそりしたお爺ちゃんイメージ!
      かっこいいですよね。
      こういう人になりたいですよね。
      2023/04/19
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      Manideさん、こんにちは~♪
      コメント大歓迎です!
      たくさんいいねをありがとうございます(^^)
      この作品大好きなので嬉しいです。

      こ...
      Manideさん、こんにちは~♪
      コメント大歓迎です!
      たくさんいいねをありがとうございます(^^)
      この作品大好きなので嬉しいです。

      この作品のお爺ちゃんを皆でイメージしあう事って、楽しいですねー(笑)

      お爺ちゃん…カッコいいですよね!
      「西の魔女~」を読んだときは、こんなおばあちゃんみたいになりたいな、なんて思ったけれど………。
      今は…
      この作品のお爺ちゃんをおばあちゃんにしたような人になりたい!って、思っています~(///∇///)w
      2023/04/19
  • とても面白い本だった。悩み多き娘を主人公とした物語で、その主人公の師匠である祖父のセリフが、深く簡潔なメッセージで、若者の悩みを解決する手助けとなると思う。父親視点で語られる章もあるので、家族関係で困っている親世代にも役立つ本だと思う。

  • フォロワーの皆さまの、素晴らしい数々のレビューのあとで、稚拙な感想でお恥ずかしいのですが、この本を読んだ本音を書きます。

    高校生の山崎美緒は英語教師の母の真紀のことで中傷され学校でいじめに遭います。
    都内で電車通学をしていますが、電車の中で毎朝、お腹を下しそうになり、不登校になります。
    そして、父の広志の会社はうまくいっていません。

    ある日美緒は祖父のいる盛岡行きの新幹線に乗り、祖父の営む山崎工藝舎で、仕事を教えてもらうようになります。
    祖父の会社は、ホームスパン、布を紡いで物づくりをしている会社です。
    美緒は、東京に帰って高校に戻るか、もしくは転校、それとも職人への道を選ぶか悩みぬきます。

    電車の中でお腹を下すほどのいじめに遭うのは身心共につらかったと思います。
    私もお腹が弱いけれど、私は学生でも社会人でもないので、生活できますが、人はお腹くらいと言いますが、それでは、電車に乗れないのは当たり前で、高校は卒業できません。

    この作品では、母の真紀が美緒に向かって「泣けばすむと思っている。いつも女を武器にして、父や祖父には甘える。そういうところが嫌い」と言って叩く場面がありますが、違う作風の作家さんの作品ならともかく、17歳の娘に向かって、母親が言うことかと思いました。
    あとで、祖母が「叩いたお母さんの手の方が痛かったんだよ」とかばっていますが、どんなものかとそこだけは、腑に落ちませんでした。
    子供の将来を想って言ったこととは思いますが「女を武器に」は美緒はしていないと思うし、辛辣すぎる暴言ではないかと思いました。

    でも、広志が「子供たちには未来があって望めば何にでもなれる」「望んでも得られぬものがあるとわかるのが大人になるってことだよ」と最後に言ったのが、何もせずに大人になってしまった私には響きました。

    閑話休題。
    私も、高校3年間親の転勤で盛岡市で過ごしたので、懐かしい情景がたくさんありました。
    盛岡は東北の「杜の都」と呼ばれます。
    私のいた頃は滝沢駅はまだなく、滝沢村で「いわて銀河鉄道」もありませんでした。
    でも、福田パンはありました。私はお弁当派だったのですが、年に何度か、パンを買うためにお弁当を持たずに行きました。一番おいしかったのは、やっぱりピーナッツバターのコッペパンです。
    開運橋からのぞむ岩手山。
    岩手公園の啄木の碑。
    懐かしいです。

  • はぁ、また出逢ってしまった。
    この物語を終わらせたくない、読み進めたくないって思う本でした。

    全く知識のない私は、ホームスパンとは?からGoogle先生に聞きながら物語に入っていきました。

    学校でいじめに遭う美緒ちゃんの描写が切なく、居場所であるはずの家族の中で感じるヒビに胸が痛くなりました。みんなただ一生懸命なのに、すれ違い離れて行く距離感がリアルでもどかしくて苦しかった。

    山崎工藝舎で紡ぐホームスパンと人々との出会いや関わり、盛岡の自然の中で少しずつ成長していく美緒ちゃんの姿を、母親の様な気持ちで応援しました。頑張れ、羊っ子!って。
    盛岡の自然の情景や宮沢賢治のお話もよかったです。

    で、おじいちゃん。
    もう、一言一言が沁みる。言葉は多くないけど、嘘のない真っ直ぐな言葉が背中を押してくれるんですね。
    せがなくていいっていい言葉ですね。
    外では読んではいけない本です。

    あぁ、いい物語でした。
    図書館で借りた本ですが、買ってまた読みます。

  • 受け継ぐものの心の動き。悩みを理解し合うことと語り合うことのつながり。誰も悪くないけど、それぞれの思いの強さが、人との距離を作る。それでも、信じて待って分かり合おうとする心。それは、かけがえのない人だと知っているから。

  • はぁ‥‥家族に素直になれない人たちのお話で読んでいて何度も胸が苦しくなりました。
    気持ちを言葉にできない苦しさ、どうしても気持ちを相手にぶつけてしまう苦しさ、どちらも苦しい。そんな人同士が家族だと家の中がやり切れない場所になってしまう。
    もう本当に苦しいお話でした。
    不登校になった高校生の美緒のおじいちゃんもやっぱり家族に素直になれなかった過去を持つので、美緒にかける言葉がとても優しい。
    自分の悪いところにばかり注目しないで、それを活かせる方法を見つけたらいい、へこみも別の方向から見れば突出した場所なんだ、自分を鍛えようとして壊れてしまったら元も子もないのだと。
    そしてこの作品の中で一番胸に響いた言葉、

    「言はで思ふぞ、言ふにまされる」

    〜言えないでいる相手を思う気持ちは、口に出して言うより強い〜

    美緒がおじいちゃんに教えてもらう糸を紡いで布を織るホームスパンや、おじいちゃんが蒐集する様々な美しい物、文学に対する教養、そして岩手の自然、これらが縦軸になっていて苦しい中にもキラキラしたものがある作品でした。

  • 既に伊吹有喜さん、6冊目。時代を越えて真っ赤なショールを巡る成長譚。イジメに会い高校に行けなくなった美緒、言いたいことを言えない苦悩。それには両親や祖母とぶつかり合わずに生きてきた。即ち、逃げてきた。ただ、祖父の紘治郎との出会い。この出会いによって美緒と家族は再生する、羊毛を通じて。美緒の周りは厳しいがとても暖かい。赤いショールの温かさ、人の温かさ、羊毛の温かさ、すべてが繋がっている。たとえ切れても継ぎ足せばよい。元に戻るのだ。失敗しても全く構わない。美緒は紡ぎながらどこまでもどこまでも行けるはず。⑤

    直木賞選評 https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo163.htm  「万人に勧められるその親しみやすさと明るさが、今回は同じような題材の『銀花の蔵』と並んだとき、人物造形の頼りなさ、作中で提起された母娘や夫婦の葛藤の解決の甘さに換算し直されてしまいました。」BY 宮部みゆき。 

    母娘の葛藤の解決がなされていない。。。確かに。でもそこにこそ成長の可能性を換算することができると思いたい。

  • ふぉ~、ほっこり! いい話。
    読み終えて、本を閉じて感じる世界は、
    澄んだ空気、やわらかな風、そして彩り豊かな光の色。

    美緒は東京の私立高校二年生。
    友人との関係が原因で学校に行けなくなる。
    家庭では母親との折り合いが悪く居場所もない。
    そして、父母の関係も希薄で家庭崩壊寸前。
    そんな美緒が衝動的に逃げ込んだのは
    盛岡でホームスパンの工房を主宰する祖父の家。

    生まれてから一度も会う機会のなかった祖父。
    それなのに美緒が盛岡へと向かったのには理由があった。
    不安定な美緒の心の拠り所が、体を温かく包んでくれる
    祖父の工房のタグが付いている赤いショールだったから。

    「せぐな。せがなくていい」
    口数の少ない祖父の温かさに包まれ、
    美緒はゆっくり心を癒していく。

    羊の毛を洗い、染め、紡ぎ、織りあげる。
    手仕事で丁寧に仕上げるその工程のように
    もつれてしまった人と人との関係を
    ゆっくり時間をかけて織り直す。
    途中で切れた糸は、新しい糸をつまんで絡ませる。
    そうすると、新しい糸が生まれる。
    なんて素敵!

    ずっと前。
    夫がホームスパンのネクタイをいただいたことがあります。
    手触りが柔らかくてふわふわで、軽くて、たしかに雲みたい。
    義父には盛岡に親戚がいて
    盛岡がどんなに素敵な街なのか、何度もお話を聞きました。
    物語の途中で出てきた「クルミゆべし」は
    お土産にいただいて、すっかりファンに!
    最近のニュースで、
    外国人に人気ナンバーワンの町が盛岡だと聞きました。

    宮沢賢治による造語だとされるイートハーブ。
    本作品の最後にも登場します。
    「理想郷」という意味で、
    エスペラント語で岩手県という意味だとか。
    一度、ゆっくり行きたいな。

    • Manideさん
      yyさん、こんばんは。

      いい作品ですよね〜
      本を閉じて感じた表現がいいですね。
      私も一冊を大切にと意識しながら、読み終わった時の味わいが足...
      yyさん、こんばんは。

      いい作品ですよね〜
      本を閉じて感じた表現がいいですね。
      私も一冊を大切にと意識しながら、読み終わった時の味わいが足りていないなと反省しました…

      ホームスパンが身近にあったんですね、すごい(^^)
      身近に良いものは持っておきたいですね。
      2023/08/17
    • yyさん
      Manideさん

      嬉しいコメントありがとうございます☆彡
      ふわふわしたものに弱いんでしょうか…。
      表紙の絵にもすっかり キュン♡ ...
      Manideさん

      嬉しいコメントありがとうございます☆彡
      ふわふわしたものに弱いんでしょうか…。
      表紙の絵にもすっかり キュン♡ とやられちゃいました。

      ホームスパンは、たまたま あったのを思い出しただけですが
      本を読んで、ちょっとだけ生活が豊かになった気がしましたよ (^^)♪
      2023/08/17
    • Manideさん
      yyさん、おはようございます。

      みんなフワフワしたものに弱そうですよね。
      人間の本能かもしれないですね。
      雲をみると、フワフワしているよう...
      yyさん、おはようございます。

      みんなフワフワしたものに弱そうですよね。
      人間の本能かもしれないですね。
      雲をみると、フワフワしているようにしか見えないですもんね。

      いま手元にある本を読んだら、次はフワフワしたお話を読みたくなりました(^^)
      2023/08/18
  • 「分かり合えない母と娘」
    壊れかけた家族は、もう一度、一つになれるか?
    羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布・ホームスパン」をめぐる
    親子三代の「心の糸」の物語。

    いじめが原因で学校に行けなくなった高校生・美緒の唯一の心のよりどころは、
    祖父母がくれた赤いホームスパンのショールだった。
    ところが、このショールをめぐって、母と口論になり、
    少女は岩手県盛岡市の祖父の元へ家出をしてしまう。
    美緒は、ホームスパンの職人である祖父とともに働くことで、
    、職人たちの思いの尊さを知る。
    一方、美緒が不在となった東京では、父と母の間にも離婚話が持ち上がり……。
    実は、とてもみじかい「家族の時間」が終わろうとしていた――。


    母親と母方の祖母二人とも共に元教師と現役の教師。
    至極真っ当な言葉を振りかざして美緒を追い詰める。
    二人の姿はとても嫌な感じでした。
    会ったこともない父の故郷に暮らす、ホームスパンの職人の
    祖父の所に家出した美緒。
    おじいちゃんがとても素晴らしい。
    言葉の一つ一つが心に沁みた。
    澪が逃げた先に素晴らしい御祖父ちゃんや裕子さんや太一が居て良かった。
    ホームスパンって布地がある事も初めて知ったし、
    行程もとても興味深かったです。

    美緒の成長物語が中心として描かれていますが、
    家族の姿。
    母と娘・父と娘・祖父と父…。お互いに伝えたいけど伝わらない想いが
    それぞれの気持ちのすれ違いが、とても切なかった。
    家族の物語として心に響きました。

    上手く言葉に出来なくて呑み込んでしまう気持ち。
    共感する力が強くて、相手のちょっとした表情から自分への
    ネガティブな気持ちをすぐに拾ってしまう所。
    わかるなぁって感じた。

    言はで思ふぞ、言ふにまされる
    とても素敵言葉を知りました。
    盛岡の街並みも丁寧に描かれて目に浮かぶ様。
    一度行ってみたくなりました。遠いなぁ。
    時代の流れに古びていくのではなく、熟成し、育っていくホームスパン。
    一枚ショールが欲しいなぁ。
    伊吹さんらしい心が温かくなるお話でした。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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