里奈の物語

  • 文藝春秋 (2019年11月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (568ページ) / ISBN・EAN: 9784163911328

作品紹介・あらすじ

この国に生きる、かつて少女だったあなたへ。



物置倉庫で育った姉妹は、朝の訪れを待ちわびた。

幾つもの暗闇を駆け抜けた先に、少女がみつけた希望とは──。





初めて挑戦する小説表現。

これまで書いてきた「売春少女」「貧困女子」のルポルタージュの延長線上には

絶対留まらぬこと、かつモデルになった少女らの尊厳に責任を持つことを念頭に

書き進めたが、里奈やその仲間たちの生きる熱量に焦がされ、背中を押す力強さを

感じながら、書き上げることが出来た。それはノンフィクションとは違う

血の滾る執筆経験だった。

彼女たちの生き様は、生きづらい今を生きるあらゆる女性に、

力を与えてくれるものと思う。

この国の、かつて少女だったすべての女性に、この物語を捧げたい。



by 鈴木大介

みんなの感想まとめ

物語は、困難な環境に生きる少女たちの希望と奮闘を描いています。著者がノンフィクションの経験を活かし、リアルで生々しい描写を通じて、里奈というキャラクターが見つけた希望を力強く表現しています。フィクショ...

感想・レビュー・書評

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  • 小説だけどリアルで、すごく生々しい。
    1人の少女の人生が細かく具体的に描かれていて、かなりボリューミーで、疲れました…!

  • 「フィクションでしか描けないノンフィクション」。
    「ノンフィクションに裏打ちされたフィクション」。

    そんな印象を受けました。ノンフィクション作家の鈴木大介が初めて書いた小説。これまでの取材で出会った「売春少女」「貧困女子」の体験がベースにあるから、リアリティがある。そんな設定ちょっと無理があるでしょう、小説だから話を盛り上げるために盛ってるでしょう、と言えないリアリティがある。それがストーリー全体を引き締めているとも言えるし、里奈の見つけた希望に一層の輝きを与えてもいる。
    逆に、フィクションだから安心して読めた側面もある。著者の過去のルポ『家のない少女たち』『家のない少年たち』『出会い系のシングルマザーたち』『援デリの少女たち』『最貧困女子』は、読んだら辛くなると思って読めない。読んだら可哀想になって、でも同情するなって睨まれそうで、読めない。同情する以外の接し方が思いつかない。尊敬するのも嘘っぽいし軽蔑するのも薄っぺらい。フィクションだから読むことができた。

    後で著者インタビューを読んだら、「里奈のような売春少女貧困女子にも青春があってゲラゲラ楽しい時間があるのに、可哀想にしていないといけないような圧力があって、それはルポではなく小説でしか書けなかった」というニュアンスのことを答えていた。そうか、そうか、そうだった。それがある意味でストーリー全体の救いとは別に、日常生活の中のいいこと悪いこと誰にでもあるよなというレベルの救いとして、そして他の著書にも共通する鈴木大介ならではの「やさしさ」に思えて、私の中に「癒えたけど消えない傷跡」みたいな読後感を残したのでした。

  • ふむ

  • 世の中には、自分が想像すら出来ないような環境に身を置かざるを得ない子供達がいるのだろう。

    テレビでは大人達が、こうべあるべきだ、それは適切でなはない等と言っているが、悲惨な現実を目の前にして、正論の通じない大人を前に無力な子供達は何ができるのだろう。生きて行く手段として身体を売ることは悪いことだ、と一概に言い切れなくなる。主人公、里奈の前向きな姿が救いだが、誰もが里奈になれるほど強くない。

  • 触法少女を長く取材してきた鈴木大介がこう言った希望あるラストの物語を書きたかったんだという事はわかる。でもまあ小説としてはレベルが低くて読めたものではないなあ。なのやたら長い。とにかく主人公にも出来事にも共感するのが難しいし、どんなに荒唐無稽であっても共感させられるのが物語だと思うんだよな。これが現実だ、と言うのならそれは物語ではなくていい。あと、第三者視点は良いんだけど、毎回「この後こうなるとは誰も思いもしなかった」みたいなのには辟易した。鈴木大介にはルポルタージュに力を入れて欲しい。伊田桐のモデルでもある桐生で育ったけど、これ方言大袈裟すぎない??聞いたことないよ「だがん」とか?伊勢崎や太田では言うの?

  • 生々しく、実質感はあるが、価値観に共感できない。きれいごとではなく、主人公のような人が増えるとどうなるのか?が不安に。

  • 文春に漫画が載っていて、興味があって読んだ。
    貧困や虐待、売春などぼんやりとしか知らないことが、リアリティをもって物語の中に語られている。
    売春は悪いことだなんて説教くさい流れではなく、主人公はその仕事を拠り所に自立していく。

    ストーリーはとても爽快でかっこよかった。
    美しさを引け目として書いているのもよかった。

  •  田舎の複雑な家庭で育った里奈という少女の、小学一年生から19才までを描いた濃密な物語。
     実の母親に捨てられ腹違いの妹の世話をみる里奈は、幼い頃から負けん気が強く、家出して東京に出てからは、16才にして援交ビジネスの要諦を掴み、責任者にまで上りつめる。その先々で遭遇する少女たちは、自分以上にどん底に突き落とされ貧困や虐待によって行き場を失っており、それを見た里奈の義侠心がむくむくと沸き上がり、自らの度量だけを頼りに未成年ビジネスの危ない橋を渡っていく。

     目を背けたくなるような残虐なシーンや直接的な性描写はほとんどないが、その分相当な取材を重ねたであろう最下層の少女たちのリアルな実態や、デリヘル嬢の口から語られる裏ビジネスの事情とテクニックの数々に圧倒され、里奈以上に息をのむ。何よりも彼女たちが発する言葉が台詞ではなく、心の底からの自然なものに感じた。
     何度も痛みや挫折を味わって10代にしてプロ意識の塊のようになりながらも、離ればなれになった家族と一緒に暮らしたいと切なく願う里奈の行く末が気になって、560ページもの書き下ろしが長く感じなかった。
     里奈の周りの人間がいい人ばかりで、都合のいい偶然が多いのはフィクションだからいいとして、やたらと涙を誘うようなシーンが多いのは困った。

  •  これを小説にしてしまうということに敬意。
     <現実>のしんどさを超える梯子が、人と人とのつながりであるということが、この小説を最後まで読み切らせる力になる。

     それにしても、この小説は、学校図書館に置いて良いものかどうか、少し迷う。

  • タイトルどうり「里奈の物語」としか言いようがない。登場人物もどこかにモデルがいるはずの生々しい人たち。ハッピーでもバッドでもない最高のエンドでした。

  • 鈴木大介氏の過去取材の集大成のような小説。
    色々考えさせられた。

  • 裏社会や触法少年少女ら の生きる現場をテーマとする鈴木大介氏の作品。正視に耐えない場面がいくつも登場し、貧困女子の救い難い現実に気持ちが悪くなった。
    でも問題は貧困だけでなく、主人公の里奈がまだ救われるのは、貧困にはあるが愛情に囲まれて育ったという点。
    決して里奈の選択に共感はしないけど、現代日本に実在する某日常。小説だけど、鈴木氏のメッセージが汲み取られる。正義を振りかざすだけではなんともならない、ここにも愛情が必要と感じた。

  • 炎のように美しく激しい少女、里奈。
    シングルマザーの伯母拾われ、弟妹の世話をしながら育った彼女は、生まれながらにして豊かな母性をもっていた。
    家族が離散し、その母性の行き場が失われ、絶望した彼女は夜の街で生きていく。

  • 裏社会・触法少年少女らの取材活動を続ける著者による小説。何某かの社会的な提言が込めらているのかもしれない。しかし、それを勘ぐったら批判したくなるだろう。舞台、登場人物、主人公の使う手段。決して褒められたものではない。誰かを傷つけていてもおかしくない。でもそれは考えない。素直に小説として味わおう。恵まれない生い立ち。足りない同士で支えあう少女時代。幼い心が大人の思いになりつつ、そして出奔。危うい線の先にあるものは・・・。その後の展開は楽しめる。最後も気持ちだけならハッピーエンド。読後感は悪くない。

  • もともと鈴木大介の本をはじめて読んだとき
    これ小説になったら面白くない?
    と思ってた
    そんな鈴木大介の初小説
    結論的には、小説じゃない形態で読んだ方が面白かった
    この本については著者が色々語っていそうだから
    それを読まないとだけど
    少女の救いとしての小説であって、
    そこにはこうあって欲しいとかそういったものが強く含まれてるなじゃないかなあと思った
    なので、里奈よかったね
    という感想にしか、私としてはならなかった

    鈴木大介の著作に何を求めるかにもよるだろうけど、
    読んでて強く突き刺さったりしたのは、
    明らかにこれ以前の著作の方
    鈴木大介の本は好きだけど、
    一番最初に読んだのがこの本なら
    多分私のなかで埋もれてしまったと思う

  • 【この国に生きる、かつて少女だったあなたへ。】物置倉庫で育った姉妹は、朝を待った。暗闇を駆け抜けた先に、少女がみた希望とはーー。ルポ『最貧困女子』著者、感涙の初小説

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著者プロフィール

文筆業・ルポライター。1973年千葉県生まれ。子どもや女性、若者の貧困問題をテーマにした取材活動をし『最貧困女子』(幻冬舎)などを代表作とするルポライターだったが、2015年に脳梗塞を発症して高次脳機能障害当事者に。その後は当事者としての自身を取材した闘病記『脳が壊れた』(新潮新書)や夫婦での障害受容を描いた『されど愛しきお妻様』(講談社)などを出版。2020年、援助職向けに書き下ろした『「脳コワ」さん支援ガイド』(医学書院・シリーズケアをひらく)にて日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞。近刊に『貧困と脳──働かないのではなく働けない』(幻冬舎新書)など。

「2025年 『専門家なしでやってみよう! オープンダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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