大名倒産 上

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 900
感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163911397

作品紹介・あらすじ

借金の積もり積もること二百年、御家を救う唯一の手立ては計画倒産!?読めば福がやってくる! 笑いと涙の経済エンターテインメント。連載中から「面白い!」の声続々!〇江戸時代にもロスジェネってあったんだ!と思いました(30代女性)〇鮭と米がとにかく美味しそう……。(40代男性)〇もはや古典落語のような語り口、どこで止めていいのか分からない!(40代女性)〇『プリズンホテル』以来の大笑い。それでいて、ほろり。こんな浅田作品が読みたかった! (60代男性)丹生山松平家三万石を襲いだばかりの若き殿様は江戸城で脂汗を垂らしていた。――御尊家には金がない。老中からの宣告に慌てて調べてみれば藩の経済事情は火の車であった。奇跡でも起こらぬ限り返しようもない額の借金に押し潰される寸前の弱小大名家。父である御隠居はこの苦境を見越して、庶子の四男である小四郎に家督をとらせたのだ。計画的に「大名倒産」を成した暁に、腹を切らせる役目のために……。父祖から受け継いだお家を潰すまい、美しき里である領地の民を路頭に迷わせまいと、江戸とお国を股にかけての小四郎の奮戦が始まる!だが、大名行列の費用に幕府からの普請費、さらに兄が嫁取りしたいと言い出し、金は出てゆくばかりで……しかも、お家にとり憑く貧乏神まで現れて!?親世代の逃げ切りと負債にあえぐ子供世代……と現代にも身につまされるお金をめぐる新旧交代の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 年末年始用と思い、上下を図書館で借りる。上を読み終わってから映画の予告編を見ると、神木隆之介が主役で、杉咲花と出ていた。本の中では杉咲花は居ないはずだが、ずいぶんと変えているようだ。
    越後の丹生山藩が借金25万両を抱えて、どうにもならなくなり計画倒産をすることに。それを聞いた長男はショックで死亡。縁の遠い4男に白羽の矢が立ち、殿さまになる。足軽のどうでも良い境遇で育った4男の松平小四郎は、江戸城で老中に呼び出されて、藩が2両の支払いも出来ないことに驚く。家老達や元藩主の父に聞いても教えてくれない。周囲の評判では父親は大層に評判悪いことがわかる。
    まじめで頑張る小四郎だが、父親や重臣達の手助けがなかなか得られない中、幼馴染や全てを打ち明けて外部に次々と助ける人が現れてくる。
    なぜ、こんなに借金が増えたか良くわからないが、どうやら貧乏神が取り付いた模様。貧乏神が現れたり、七福神が出けて来たりと展開がハチャメチャ。浅田次郎さんの作風はこんなんだっけと考え込んでしまう。下巻は恐らく借金が無くなっていくのだろうが、一段も二段も展開がめちゃくちゃになりそうで怖い・・。

  • 大名倒産 上巻
    2019.12発行。字の大きさは…小(字が薄い)

    物語は、大政奉還(1867年)の五年前の文久二年(1862年)。舞台は、江戸。

    悪辣な先代藩主は、藩をこれ以上持ちこたえられぬと思い、藩の計画倒産を企てる。
    その話を長男に話すと、あまりのことで病弱な体に刺激が強く急死してしまいます。そこで、捨てていた妾腹の四男・小四郎を当主にして、最後は、責任を取らして切腹させて終わりにする事を計画します。

    お隠居様(先代藩主)が、計画倒産を企てていることを全く知らない、糞真面目な小四郎21才は、長男の急死で急遽、越後丹生(にぶ)山藩三万石の13代当主になります。早々、江戸城中で老中から幕府に払う祝儀が払われていないことを聞き愕然とする。調べると藩の借金は、25万両、その利息が年3万両。収入は年1万両。とても返済できる金額ではありません。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    【読後】
    真面目いっぽうの小四郎が、お金のない苦境を乗り切る方策をと、試行錯誤しますが。御隠居様が藩内のお金、先祖伝来の家宝、米を集めては隠していきます。この戦いは、どうなるか見ものです。
    もしかすると、幕末の騒動で藩が無くなり借金を踏み倒すのかと考えますが、いざ下巻へ。
    2021.05.21読了

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ※大名倒産 下巻 感想と読了日
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4163911405#

  • 浅田作品は 初ですが。

    面白かったです。

    キーポイントは 鮭ですかね。

    貧乏神と言いたいところですが

    今回は 鮭で行きます。

    一気に 上下読んでしまいました。

    浅田作品 ちょっと 気になります。

  • これはもう、最初から笑って笑って笑い倒しました。めちゃおもろかった。
    江戸詰からスタートし、前半は参勤交代で初めて越後へ向かうまで。越後丹生山松平、塩引き鮭が名産、となると村上藩しかない。シャケの殿様とか抱腹絶倒。そして、若い殿様の周りの人々がすべてとても雰囲気が良いキャラで固められていて、癒される。特にシャケの殿様の息女をもらった兄のキャラ設定の素晴らしいこと。ともかく、村上藩には松平家が何度か移封されているが、享保からは内藤家、最後のお殿様は和泉岸和田からの養嗣子。信民が奥羽越列藩同盟からの色々あり自害で、混乱事後処理的な抜擢。まとめるとあきませんが、長くなるのでざっくりと。ということで、なんとなくモデルを匂わせるネーミングも良いですな。

  • 5年ぶりの浅田次郎作品
    懐かしい。フムフムなるほど、こんな感じだったな
    浅田作品って
    難しい熟語がいっぱい出てきて、ぷっと吹き出すユーモアがそこかしこに散りばめてあって
    水売りに身を落とした比留間伝蔵が松平和泉守に勘定方添役としての経験を一人語りする場面など、まさしく浅田次郎だった

    江戸城における各大名に課せられた礼儀・振る舞い
    畳何畳目までや指先が畳のヘリにかからぬように等々
    意味のない繁文縟礼(こんな言葉この本で初めて知った)
    に支配される大名、こちらは馬鹿馬鹿しいと一笑に伏すことができるが、当時は大変だったのだろう
    時代物もたくさん手掛けておられる浅田さん、江戸城の作りや城下の街並みなどその詳しいことと言ったら、恐れ入ってしまう

    映画の告知を見ているせいか、13代松平和泉守信房は神木隆之介、12代当主は佐藤浩一がちらついてしようがなかったが、まさにエンターテイメント
    おもしろかった

    上で登場人物が出揃った感じ、さあいよいよ倒産を食い止めることができるのか
    いざ下巻へ参るぞよ!

  • 260年にも渡る不戦の江戸時代。
    長く続く泰平の世も継続ゆえの悪しき因習の累積がそこかしこに浮き出る幕末。

    慣習や従来からの価値観が時代にそぐわない形になっていても、同じ型にしがみついてしまう人間の性がユーモア交えながら、巧みに描かれる。

    変えること、手放すことはなかなか容易いことではないのだなあ。

    登場人物たちにそれぞれ愛らしさがあり、テンポよく繰り広げられていく顛末にクスッと。
    時代背景や難しい用語も、文中でさらりと説明が施され、助かりました。

  • 笑えました。

  • 上巻読了。

    突如家督を継がされた、13代目松平和泉守こと、庶子の小四郎は藩の財政が逼迫している事を知ります。
    実は父であり今はご隠居様となっている先代松平和泉守が、財政破綻を見越して「計画倒産」を目論んでいて、小四郎は“腹切り要員”として祀り上げられたという訳なのです。
    御家を守ろうとする、真面目で優しい若殿様と、下の世代に色々押し付けて計画倒産で逃げ切ろうとする、狡猾なご隠居様の対決やいかに・・?
    まるで舞台を見ているような感覚にさせる、浅田さんの手腕は流石です。
    とにかく登場人物のキャラが際立っていて、小四郎の次兄・新次郎とその許嫁・お初のバカップル(ただ、二人とも作庭の天才)や、鮭が好きすぎる大身旗本のお初の父といった面白系(?)もいれば、小四郎の育ての父や、生き別れの異父弟のような清廉誠実系、さらに人間だけでなく貧乏神や福の神まで出てきて盛りだくさん。
    因みに、小四郎と育ての父が鮭で溢れた川で再会するシーンは笑っていいのか泣いていいのかわからず、ただただグッときました。
    さて後半はどのような展開なのか、その幕を開けたいと思います・・。

  • 浅田次郎はやはり時代物が面白い。もちろん「鉄道員」は名作だし、現代物も良作がたくさんあるが、ちょっと剽げた軽妙な語り口での時代物は他の追随を許さない面白さがある。
    本作は幕末期の経営危機に陥った大名家の話だが、とにかく緻密な時代考証のお陰で、神様などが出てきてもドタバタ劇にはならず、どんな展開になるのだろうとハラハラしながら読めた。

  • やっぱり浅田次郎さんの作品はいいなあ。登場人物が愛おしい。
    殿やご隠居の裏と表の掛け合いも楽しい。
    後半も楽しみ。
    絶望的な状況をひっくり返すことはできるのか否か。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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