大名倒産 下

  • 文藝春秋 (2019年12月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784163911403

作品紹介・あらすじ

借金の積もり積もること二百年、御家を救う唯一の手立ては計画倒産!?

読めば福がやってくる! 笑いと涙の経済エンターテインメント。



連載中から「面白い!」の声続々!



〇江戸時代にもロスジェネってあったんだ!と思いました(30代女性)

〇鮭と米がとにかく美味しそう……。(40代男性)

〇もはや古典落語のような語り口、どこで止めていいのか分からない!(40代女性)

〇『プリズンホテル』以来の大笑い。それでいて、ほろり。こんな浅田作品が読みたかった! (60代男性)



丹生山松平家三万石を襲いだばかりの若き殿様は江戸城で脂汗を垂らしていた。

――御尊家には金がない。

老中からの宣告に慌てて調べてみれば藩の経済事情は火の車であった。

奇跡でも起こらぬ限り返しようもない額の借金に押し潰される寸前の弱小大名家。

父である御隠居はこの苦境を見越して、庶子の四男である小四郎に家督をとらせたのだ。

計画的に「大名倒産」を成した暁に、腹を切らせる役目のために……。



父祖から受け継いだお家を潰すまい、美しき里である領地の民を路頭に迷わせまいと、

膨らんだ借金に、倹約、殖産興業と手を打つ若殿。

しかし道のりは遠すぎる!

健気な若殿の頑張りに、いよいよ七福神が乗り出すか? そして父の深意とは……。



人も神様も入り乱れての金策に、果たして大団円なるのか──。

うっかり笑っていると号泣します……。感動のラストへ!

感想・レビュー・書評

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  • 「下」も最初から手元にあるのに、中々読み進めない。間に2つ入って、やっと読み終わった。
    貧乏神に取り憑かれた藩が、貧乏神の改心により七福神が取り憑いたり、死神が来たりと忙しい。
    話しがあちこちに飛び、その話しが結論を見る前に違う話にいく。地元の家老は私財を投げ打ちどうなったか、とか、日本有数の豪農は大阪で話しを繋いで何をしたのか、とか金が出土したが、どう扱ったのか等々。細かいところが気になる。
    どうやら七福神が手助けしたようなのに、若殿は全く気づいていないのも不思議。最後のところで、兄夫婦に赤ちゃんが生まれたエピソードが際立って微笑ましい。

  • 大名倒産 下巻
    2019.12発行。字の大きさは…小(字が薄い)
    物語は、大政奉還(1867年)の四年前の文久二年(1863年)。
    舞台は、江戸と越後丹生(にぶ)山。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    東照神君家康公が天下を統一してから二百六十年の長きにわたり、銭勘定に疎く、銭金を不浄のものとする武士が、まともな領地経営など出来るはずがない。越後丹生山藩三万石の代々の当主は、その結果として、借財二十五万両となり、その利息が三万両。それをまかなう収入が一万両。
    しかし、先代当主に捨てられて足軽に育てられた十三代当主・小四郎は、足軽の子として育てられたがために、銭金の重みを知っている。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    謙虚で、糞真面目に財政再建を行う小四郎に、家臣たちが、百姓が、町人が応援します。小四郎が、参勤交代で国元、越後丹生山に帰ると三千石の国家老二人が二百幾十年の蓄財の一切合切を献上する。その額は、二家合わせて五千両。
    大阪の堂島の米相場を動かすという丹生山で一千町歩の田畑を養う仙藤利右衛門が協力し。藩に二番目に大金四万六千両を貸す豪商大黒屋の協力で丹生山蘆(あし)川産の塩引鮭を千石船に満載して江戸に運びます。その上、上杉謙信公の隠し金山の発見。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    参勤交代で江戸へ戻った小四郎は、御用商人三十余を召し出し。
    その面前で、両手をつき「積もり重なる借財はおよそ二十五万両」
    「しかるに、その二十五万両の過半は利息の累積にございまする」
    「よって甚だ勝手と存じますが、伺書にある借入金総額のうち、半金を切り捨て、残る半金を本年八月末、現金にてご返済つかまつりまする」
    「なお、近々五年の借入金、および百両未満の未払金につきましては、その限りでにございませぬ。満額支払いをいたしますれば、今しばらくお待ち下さいませ」
    これにて、越後丹生山藩三万石の借財の整理を付ける事がかないました。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    【読後】
    小四郎の偉ぶらない、謙虚で、誠実な人柄と。何としてもこの美しい丹生山を、藩を、家臣を、領民を守りたいという熱意が、多くの味方を生み借財の整理をつけました。この物語は、殿様というより、同じ目線に立った足軽の子、小四郎の魅力が語られています。

    ただ、貧乏神、死神、七福神と多くの神様を出して物語を進めますが、これは余分だと思います。
    大名倒産 上下巻を5月17日(月曜日)から読みだして、きょう24日(月曜日)まで1週間かかりました。字が薄いのと、物語に現実味がない神様が出と、なかなか読み進めることが出来ませんでした。
    2021.05.24読了

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ※大名倒産 上巻 感想と読了日
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4163911391#

  • 超絶ケチの豪農からスタート、イメージとしては伊藤邸とか市島邸を想像しながら読む。江戸時代大阪の米相場を動かしたという超豪農たち。ネーミングダジャレがさらにヒートアップ、そこかしこでブッと吹かされツッコミをいれさされる。右近の赤子が新之助って米かっ!(笑)とかね。下巻はかなり神仏の威力がものをいいますが、それもこの負債額となると神がかり以外にどうすることもできずということでしょう、ある意味違和感少なめ。そして、まあ、ちょっと端折り気味ではあるが非常にええ落とし所だと思います。これが埋蔵金で全額返済とかだったら逆に面白くないし。戦というのは色々な種類があるもんですね、今も戦に直面していますが、色々と考えさせられることが多かった。色々な立場で正義や良し悪しが違うというのがよくわかる。リーダーシップの在り方なども非常に深い。鮭大名のオオバントウさん越中守(笑)と兄の新次郎夫婦のキャラが秀逸。最後のシーン、まるでスリーピングビューティーの最初の赤子への祝福のシーンを思わせる。刀か富か、はたまた桜のひと枝か、価値観というものを感じさせた一冊であった。
    新潟県民はとくに必読!
    文庫本が出たら必ずや購入再読します!

  • 上下巻約700ページ。どなたか、書いておられたが、各段のお話がまるで落語のよう。文章もらに登場人物もそれぞれ生き生きと描かれていて面白かった。八百万の神もお出ましで、お家を復活させる為には、神のご加護が必要と、ファンタジー感もあり、飽きませんでした。人事を尽くさぬ者に功徳を与えてはならぬ。霊験顕るるところ必ず人の努力あり、です。

  • 下巻読了。

    まだまだキャラ祭りは続きます。地元の豪農、自称山賊、大坂の豪商、そして神々の皆さま等・・。
    なんだか話がキャラ追いのようになってきているかも。それはそれで面白いですし、皆が若殿様を応援しようと立ち上がり、人力と神力で丹生山松平家に追い風が吹いていく様は痛快です。
    後半は色々端折られていましたが、取り敢えずハッピーな気分で読み終えたので良かったです。
    鮭が大好きな小池越中守は、いっそのことお屋敷(鮭屋敷)を丹生山のアンテナショップにして、塩引鮭のプロモーションに専念してほしいです・・・いや、すでにしているか(笑)。

  • 後半は、貧乏神に頼まれた七福神のそれぞれが頻繁に出てきて、なんか鬱陶しい
    260年間に積もり積もった25万両の借財、毎年利息は3万両、幾ばくかの返済はしているものの借財は増える一方
    どうにかしようにもどうにかできるものではない
    こうなれば神頼みしかないと出てきた七福神なのかなと思うが、どうもふざけすぎ、遊び過ぎの感じで、七福神が登場すると飛ばし読み

    人を動かすものは、畢竟、力ではなく知恵でもなく、素の心だった
    13代松平和泉守の真摯な人柄が次々と大物の心を動かしていく、まるでオセロのコマがまたまたと裏返るように局面が変わっていく様は滑稽であり、爽快だった

    初めは、庶子に困難を押し付け、さっさと隠居を決め込み倒産に向けて着々と計画を遂行していく先代が、悪人に見えたが、読んでいくうちにそうでもなかったのかと気づかされた
    そうせざるを得ない支配体制、世情が問題だったのかと

    浅田さんも著作にたくさんの引き出しを持っておられるのは周知のことだが、これは、お遊びエンターテイメントの引き出しなのだなと思った

  • <丹>
    越後新潟の丹生山というところに行こう,と思った.何をしに行くかと.そりゃあ塩鮭を食いに決まっている.

    だがしかし,いかにGoogle Mapで探せども見つからぬ.

    どうやら越後丹生山という場所は,現実には無く,浅田のアニイの創作地名であるらしい.もしあったら偉いことにあい成るであろう.

    それ程にこの物語は面白く涙する.料簡した,が,鴻池やら三井やら住友やらは,僕はどうにも好かぬ,許せ!

    • hiro8940さん
      村上に是非 お越しください。
      村上に是非 お越しください。
      2020/11/08
    • ryoukentさん
      コメントありがとうございます。村上はどのあたりでしたか。
      コメントありがとうございます。村上はどのあたりでしたか。
      2020/11/08
    • hiro8940さん
      村上市(新潟県最北)にはイヨボヤ会館もありますし瀬波温泉もあります。また臥牛山には城跡もあったはずです。もちろん新巻サケは名物です。
      村上市(新潟県最北)にはイヨボヤ会館もありますし瀬波温泉もあります。また臥牛山には城跡もあったはずです。もちろん新巻サケは名物です。
      2020/11/08
  • 「下町ロケット」的な、財政破綻した藩をアイディアと意識改革などでなんとか持ち直そうという感じの時代小説かと思いきや、急に日本昔話的なファンタジー要素が出てきたりして、予想外なお話だった。
    財政状況など、今の日本の状況と重ねられるところもあるのかな。現実世界では七福神の手助けなどは期待できないけれど、この先希望はあるのだろうか…

  • 面白かったー…人物名を覚えるのにちょっと苦労したけど(ナントカ右衛門とかナントカの守とか、なかなか一致せず何度も遡って確認した)。
    おちゃらけのカゲに「人として大事にしたいこと」が様々なシーンにたっぷり散りばめられていて、笑えて泣けた。

  • 読み終わってお腹のあたりがほんわかと温かくなりました
    登場人物がみんなよくっていいなあ

    狂言回しの神様たちも面白い
    浅田さんが描くと貧乏神も愛すべき存在になってしまう

    農耕が始まり蓄財が行われるようになって以来貧乏神というものはあるのだというのには膝を打ってしまった

    250年の安泰はある面では搾取するものとされるものによって成り立っていた
    富が集まれば文化・芸術が深まるという面もあるけれど、形骸化に苦しめられるということもある

    固定化した身分は上にいるから安楽なのかといえばそういうものでもない
    上に位置するものが階級を壊そうとすることもなかなかに難しく、まさに血を流さない戦いをすることとなる

    その戦いを勝利に導くのは己を大切に思うこと、己を育ててくれた周囲の人・自然に感謝すること
    結果を出すのに必要なのは見たくないものもちゃんと見ること

    …いろいろなことに通じます
     
    本当に面白いものっていいな!

    • nakano3さん
      コメントありがとうございます!
      ちょうど今が時期なので、雪にも負けず近いうちに行ってこようかと。
      博物館、気になってました。立ち寄ろうと思い...
      コメントありがとうございます!
      ちょうど今が時期なので、雪にも負けず近いうちに行ってこようかと。
      博物館、気になってました。立ち寄ろうと思います!
      2020/01/28
    • chineseplumさん
      ぜひ!
      ぜひ!
      2020/01/28
  • 浅田次郎作品は、読んでいて心臓がきゅっとなるような人情モノが好きだけれど、シャレの効いたコミカルな作品も面白い。
    上下合わせて、濃紺とオレンジの箔押しの装丁もセンスがよくて好き。
    内容の面白さはもちろん、食欲まで刺激される誘惑の本。
    ああ越後の鮭が食べたい!曰く、新鮭は格別ということなので近いうちに小池越中守よろしく越後の鮭を食べにいきます。

    • chineseplumさん
      越後にはもうお出かけになられましたか?村上に旅行に行ったときに鮭の生態についての博物館(?)を覗きました。「イヨボヤ」という言葉を初めて聞い...
      越後にはもうお出かけになられましたか?村上に旅行に行ったときに鮭の生態についての博物館(?)を覗きました。「イヨボヤ」という言葉を初めて聞いたのですが、この本を読んでいてよみがえりました。博物館も面白かったです。鮭のおいしさも格別でした♡「ああ!」
      2020/01/28
  • あっぱれ。
    浅田次郎劇場の終幕。
    最後の一文に涙した。

  • 倒産させたい父とさせたくない息子、、、

  • うーん、上下巻で長いだけに登場人物が多い。それだけに狂言回し的神様連中は必要だったのかなぁ~
    設定、人物ともいいんだけど、展開は弱い気がする。正統的悪役がいないからかな?それらしき隠居と側近だけで、それも純粋な悪役じゃなかったし、他は基本善人ばかり。それならユーモア小説かというと、やや中途半端。どうけりをつけるかと言うと・・突然のラッキー過ぎて安易でしょう(^^;
    まぁ、結論として好きな作品です(笑)これで殿様に恋愛でもあればもっと良かったんだけど、それどころじゃなかったみたい(爆)

  • 個性溢れる登場人物に貧乏神、死神、七福神も登場して神々の其々の立場での会話、関係性が面白く読めた。

    松平和泉守(小四郎)は、参勤交代で初の越後丹生山へ里帰り、同行した小池越中守は大好物の鮭の漁時期まで帰京を伸ばして新鮭にご満悦!!和泉は病床の兄を亡くしたりするも2人の老中奥さんからの財産(5千両)の寄贈申出を皮切りに育ての親で現鮭役人下で豊漁の鮭を江戸に送っての商売繁盛、極め付けは、山賊風貌の愛国者からの謙信の隠し金山の発見報告等の七福神のご利益で負債25万両の元金を払いお断りによる大名取り潰しを逃れて終える。

  • 借金はもう返せないぐらいあるから、倒産してお家を潰そう。と考えている自由な暮らしを楽しんでいるご隠居様と、いや、何とかしてお金を貯めて少しでも借金を減らし、お家を潰させないようにする、絶対に跡は継がないだろうと思っていたのに、跡継ぎの座が回ってきて即位したお殿様。
    お家はどうなってしまうのか?倒産か?再興か?

    という話なのですが、下巻になり、登場人物が増えたような……。

    それで、場面がころころと変わり、物語を語る目線も急に変わるので、ついて行くのがやっとでした。

    気がついたら、ごちゃごちゃしている間に全部終わっていた感じです。

    キャラクターも、面白い人が多かったのに、なんか残念。

  • 詰め込みすぎた感がある。
    いろんな人の努力なのか神様の力なのか、もうよくわからなくなってきた。

    2020.8.9
    70

  • 初めての浅田次郎。

    江戸開府から260年近く、溜まりに溜まった代々の借金を帳消しにするために、妾腹の子どもに後を継がせたあと倒産させ、切腹で清算しようと企む先代。

    生真面目な後継ぎが再興を試みる、時代小説コメディ。

    ところどころ、おおそうだったのか!という考察もあり、嫌な人物が出てこない、という点で気軽に読める。

  • 浅田次郎さんお得意の義理人情+コメディーもの。登場人物が多くかなりとっ散らかり感があり、なかなか本筋が進んでいかない苛立ちがありながらも、地力で最後まで読ませてしまうところは流石。

  • 一言で言うと日本昔話のロングバージョン、七福神のプチトリビアがエッセンスになっていて面白い

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

浅田次郎の作品

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