- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163911502
作品紹介・あらすじ
親しい人だけでなく、この国さえも操ろうとした、愚か者がいた。
四国・松山の名門高校に通う二人の青年の「友情と裏切り」の物語。
27歳の若さで代議士となった男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。秘書となったもう一人の男は、彼を若き官房長官へと押し上げた。総理への階段を駆け上がるカリスマ政治家。
「この男が、もしも誰かの操り人形だったら?」
最初のインタビューでそう感じた女性記者は、隠された過去に迫る。
『イノセント・デイズ』の衝撃を越える、そして、『店長がバカすぎて』とも全然違う、異色の不条理小説が誕生。
国際政治学者・三浦瑠麗氏、推薦!
「冷酷とは真に空っぽであることなのかもしれない。読了してそう思った。
政治のみならず人間の怖気だつような貌を描き出す小説。ルサンチマンのもたらす破壊力はかくもすさまじい」
感想・レビュー・書評
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松山の名門校で知り合った清家と鈴木。
政治家になりたいという共通の夢を持った二人。
鈴木は清家のブレーンとなり、清家は官房長官にまで上り詰める。
清家はホンモノなのかニセモノなのか。鈴木に操られているだけなのか。
‥‥というつもりで読み始めると、どんどん様子が変わってきます。どこまでマトリョーシカを開けていけば黒幕に辿り着くのか‥‥。
こういう物語は何を書いてもネタバレになってしまいそうで困ります(-_-)
一つ言えるのは、私好みのエンディングでした〜ということ。
さぁ、録り溜めておいたドラマを見るぞー
(とってもドラマ向きだと思う)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても面白い小説でした。
永田町で47歳にして官房長官の清家一郎とその元で政策担当秘書として働く鈴木俊哉は愛媛の高校からの同級生でした。
第一部は二人の高校時代、一郎を生徒会長に俊哉がしようとするところから始まります。
一郎は元銀座ホステスの美しい母浩子と、当時官房長官として活躍中だった政治家の父、和田島芳孝の隠し子でした。
亡くなった母方の祖母の願いが「一郎を政治家にすること」だったのを母の浩子が引き継ぎ、俊哉に女の武器を使って一郎のブレーンにしました。
その後二人は俊哉は東大、一郎は早稲田に入学します。
一郎には、シナリオライター志望の彼女、美和子ができますが、俊哉は浩子に頼まれて美和子を一郎から遠ざけます。
27歳の時に一郎は俊哉の力を借りて議員に初当選します。
記者の道上香苗は『道半ば』という一郎の出版した本を読み、一郎にインタビューする機会を得ます。
そして、香苗のところに一郎の卒論の下書きだった、エリック・ヤン・ハヌーセンというヒットラーのブレーンだった人物について批判的に書かれた原稿が送られてきて、香苗は一郎のブレーンを探し出そうとします。
香苗は一郎が官房長官になるまでに邪魔だった人物が交通事故で亡くなり、43歳の時に俊哉もまた殺されかけていることを突き止めます。
香苗は調べていくうちに美和子が劉浩子というペンネームで昔、シナリオコンクールに応募した原稿『最後に笑うマトリョーシカ』を見つけ出しますが…。
誰が交通事故を起こして邪魔者を消そうとしたかの謎も面白かったけれど、誰が清家一郎を操っているのか、最後の最後までわからずそれを探っていく過程が面白かったです。
最初は俊哉の友情によって清家一郎が総理大臣に昇り詰める話かと思ったらそうではありませんでした。
最後に笑うマトリョーシカは一体誰なのかと言うちょっと怖い話でした。
香苗は清家にいいます。
「ヒトラーがハヌーセンを切ったとき何を思っていたかわかりますか。『見くびるな』ですよ」。 -
ニセモノとホンモノ
マニピュレーター=他人の心を操る人
ブレーン
ヒトラーとハヌッセン
オメガの腕時計
魑魅魍魎がはびこる政界で、友情で結ばれた2人の若者が頂点に登りつめる爽快物かと思いきや、灰色の梅雨空がいつまでも続くようなそんな作品です。
どれが本当の自分なのか。
マトリョーシカ人形の空っぽさが清家一郎という人を物語っているようでした。
図書館本 -
政治家としての素養を充分に備えた清家一郎と密かにその力を陰で動かして政界を席巻しようとする取り巻く人達
最後に笑うマトリョーシカは誰なのか
彼を動かす本当のブレーンは誰なのか
とても面白く、自分好みのストーリーだった。
後半に色んな関係が紐解かれて行きながらも、
エピローグに入っても、最後までこの2つの疑問を持ち続けられたのが、この作品の面白さだったと思う。
いやむしろ清家は自らの魅力で、使えるブレーンを引き寄せ利用していたのか?
操作する側の論理とされる側の論理の交錯。
ブレーンがいなければ前に進めないが、「見くびられた」と見抜かれたところで役目を終える。
そして次のブレーンがお互いの思惑を隠しながら新たなステージへ導く…
もう一度、最初から読んで確かめたくなる。 -
ドラマが始まるよりだいぶ前に図書館へ予約を入れていた。
蔵書が1冊しか無いが、ほんの数番目だったので、ドラマ放映前に借りられるだろうと思っていた。
しかし、ことごとく延滞する人が続いたのか、ドラマをすっかり見終わり、今頃やっと順番が回ってきた。
この表紙、junaidaさんだったんだ。
ドラマがイマイチでも、私の場合、大抵「原作の方が面白い」と思うことが多いのだが、これは原作もなんだかなぁ。
申し訳ない。
浩子も一郎も気持ち悪い。 -
四国、松山の名門校から政治家を目指す男とその友人の内情とは…
最初から目が離せず一気読み。
高校時代から政治家になると宣言した男と彼を支えてきた男。
2人には、元から友情といえるような気持ちはなかったのでは…と思わせる。
それほどにお互いの本音が読めない。
マトリョーシカは、本当に誰かに操られて仮面を被ったままなのか。
わかったままで、操られてるふりをしていたのか。
最後まで、本音を見せないところに凄さと不気味さを感じた。
わかりやすい政治家なんていないのか…と。
現実を見てしまった気分がした。 -
面白かった。最近の自分では進んで手に取らないタイプの政治ミステリ。若い頃によく読んだ松本清張風な昭和を感じるサスペンスだった。ただし昭和部分がごそっと洗い流されていて、代わりにデジタル文化がはいった感じ。一応殺人事件なんかも起こるが、殺人事件はあまり問題にならない。愛媛の名門男子校で出会った3人が、政治家、秘書、後援会長になり、官房長官を目指す(総理大臣でもええ)んだが、、、ていう、王道な筋。キャラが非常に魅力的で、結局誰が主役やねん?的な面白さ。清家と鈴木のダブル主役とでも言えるだろうし、清家母の物語とも言える。エリック・ヤン・ハヌッセンの入れ方もいい。文章も非常に読みやすく、会話も悪くない、清家にあった香苗が”できの良いAIと向き合っているような気分”、これが全編を通してのこの本の印象にも繋がるように感じた。テレビ2時間ドラマにすぐできそう。読みながら配役を考えたくなるタイプの小説。ちなみに、日本の俳優さんを知らなさすぎる私が配役するのもナニなんだが、
独断と偏見でキャスティング遊び(あははは)
清家が政治家になった後
27〜40歳ぐらいのところを演ってほしい
清家 染谷将太、鈴木 菅田将暉、佐々木 仲野大賀、清家母 菊池凛子、亜里沙 松本まりか。こんな感じでどないでしょう!(笑)
p138
「この世界、本当に誰が敵かわからないからね。味方のフリして足を引っ張る人間なんてごまんといる。それよりタチが悪いのは、足を引っ張っているという自覚のないまま味方面をする連中だ。(以下略)」 -
仕事しながらも、早く帰って続き読みたいなあって思った本は久しぶり。
これは政治小説じゃなくて人間の歪みとか、心理を書いた作品のように感じた。
私にとっては最初から最後まで面白すぎた! -
ドラマも帯も見ずに読み始めたので、プロローグで政治家たちの話かと思ってしまった。政治家は政治家でも、目指して登り詰めるという野望にマニピュレーターが関係していく。
見覚えのある著者名だと思ったら『イノセント・デイズ』の著者。作風は全然違うけれど、本作でも周囲の人間のいろいろな思惑が物語に絡んでいた。
誰が何にどう関与しているのか、清家はニセモノなのか、読んでいてとても楽しかった。
最後は「えっ!」と声を上げてしまった。
著者プロフィール
早見和真の作品





