罪人の選択

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 106
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163911823

作品紹介・あらすじ

二年半ぶりの新刊は、濃密なエッセンスが溢れだす珠玉の作品集。本格的デビュー前に雑誌掲載された〝幻の短編〟「夜の記憶」が単行本初収録! さらに『新世界より』発表直後に書かれたSF、歴史を越えた本格ミステリ『罪人の選択』に加え、最新SF『赤い雨』まで単行本未収録作が結集しました。「夜の記憶」――『十三番目の人格‐ISOLA‐』『黒い家』で本格デビュー前に書かれた貴重な一編。水生生物の「彼」は、暗黒の海の中で目覚め、「町」を目指す。一方三島暁と織女の夫婦は、南の島のバカンスで太陽系脱出前の最後の時を過ごす。二つの物語が交錯するとき、貴志祐介ワールドの原風景が立ち上がる。「呪文」――『新世界より』刊行直後の発表。文化調査で派遣された金城は、植民惑星『まほろば』に降り立った。目的は、この惑星で存在が疑われる諸悪根源神信仰を調べるためだ。これは、集団自殺や大事故などを引き起こす危険な信仰で、もしその存在が認められたら、住民は抹殺される。金城は『まほろば』の住民を救おうとするが……。「罪人の選択」――1946年8月21日、磯部武雄は佐久間茂に殺されようとしていた。佐久間が戦争に行っている間に、磯部が佐久間の妻を寝取ったからだ。磯部の前に出されたのは一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。もしどちらかを口にして生き延びられたら磯部は許されるという。果たして正解は?「赤い雨」――新参生物、チミドロによって地球は赤く蹂躙された。チミドロの胞子を含む赤い雨が世界各地に降り注ぎ、生物は絶滅の危機にあった。選ばれた人間だけが入れるドームに、成績優秀のためスラムから這い上がった橘瑞樹は、不可能と言われた未知の病気RAINの治療法を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 罪人の選択は引き込まれた。オチは途中でわかるように書かれていた気がしたけど、それでも抜群に面白い。
    ほかは、期待が高かっただけにちょっと残念。SFより人間的な怖さを描く方が貴志祐介作品としては好きだな。

  • 貴志祐介さん2年半ぶりの新作(過去に発表した作品等を収録)。水生生物の”彼”が荒廃した海を突き進むSF「夜の記憶」、信仰調査の為に惑星に派遣された主人公を描いたSF「呪文」、生きるか死ぬかの選択を迫られる罪人の葛藤を描くミステリー「罪人の選択」、謎の生物チミドロによって地球が赤く蹂躙されるパンデミックSF「赤い雨」の短編4本(SF3本+ミステリー1本)を収録。個人的には表題の「罪人の選択」が最後まで緊張感があり一番面白かった。

  • 初期の作品からちょっと前までの作品を4編集めた短編集です。
    SFを中心としていて、3編が近未来、1編が過去の世界に設定されています。個人的に全て共通していたのは、不気味さでした。読みづらさはありましたが、段々と慣れていくにつれ、独特な貴志ワールドにつれていかれるようで、貴志さんの原点を読んだ感覚がありました。

    初期の作品「夜の記憶」では、言葉の表現が堅苦しく、なかなか世界観を掴められなかったのですが、独特の世界観がありました。構成も独特で、原石を読んでいる印象がありました。
    「呪文」では、「新世界より」っぽい雰囲気を醸し出していました。惑星で起きる奇妙な現象や昆虫など不気味さが文章から滲み出ていて、一種の恐怖感がありました。
    「罪人の選択」が個人的には、スーッと世界観が入り込めやすく、一番面白かったです。二つの時代で起きた毒殺事件の真相が、ゾワっと後味が残る不気味さを醸し出していました。二人の緊迫した心理戦が読み手にまで伝わり、背筋が凍りました。さらに意外な展開に発展し、短編ながらも満足感がありました。
    「赤い雨」では、読んでいて頭をかすめたのが、新型コロナウィルスでした。現象が似ているところがあり、もし近未来に新たなウィルスが誕生した場合、最終形態として、こうなるんじゃないかと思ってしまいました。短編でしたが、長編を読んでいるようで、ボリューム感がありました。

    「鍵のかかった部屋」のようなミステリーではなく、「新世界より」のような近未来感が好きな方には、おすすめかと思います。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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