- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163911823
作品紹介・あらすじ
二年半ぶりの新刊は、濃密なエッセンスが溢れだす珠玉の作品集。本格的デビュー前に雑誌掲載された〝幻の短編〟「夜の記憶」が単行本初収録! さらに『新世界より』発表直後に書かれたSF、歴史を越えた本格ミステリ『罪人の選択』に加え、最新SF『赤い雨』まで単行本未収録作が結集しました。「夜の記憶」――『十三番目の人格‐ISOLA‐』『黒い家』で本格デビュー前に書かれた貴重な一編。水生生物の「彼」は、暗黒の海の中で目覚め、「町」を目指す。一方三島暁と織女の夫婦は、南の島のバカンスで太陽系脱出前の最後の時を過ごす。二つの物語が交錯するとき、貴志祐介ワールドの原風景が立ち上がる。「呪文」――『新世界より』刊行直後の発表。文化調査で派遣された金城は、植民惑星『まほろば』に降り立った。目的は、この惑星で存在が疑われる諸悪根源神信仰を調べるためだ。これは、集団自殺や大事故などを引き起こす危険な信仰で、もしその存在が認められたら、住民は抹殺される。金城は『まほろば』の住民を救おうとするが……。「罪人の選択」――1946年8月21日、磯部武雄は佐久間茂に殺されようとしていた。佐久間が戦争に行っている間に、磯部が佐久間の妻を寝取ったからだ。磯部の前に出されたのは一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。もしどちらかを口にして生き延びられたら磯部は許されるという。果たして正解は?「赤い雨」――新参生物、チミドロによって地球は赤く蹂躙された。チミドロの胞子を含む赤い雨が世界各地に降り注ぎ、生物は絶滅の危機にあった。選ばれた人間だけが入れるドームに、成績優秀のためスラムから這い上がった橘瑞樹は、不可能と言われた未知の病気RAINの治療法を探る。
感想・レビュー・書評
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待望の貴志さん2年半ぶりの新刊!
「悪の教典」でのサイコパス感、「新世界より」や「クリムゾンの迷宮」での不思議な世界観、「ISOLA」や「黒い家」「天使の囀り」でのホラー感、「ダークゾーン」でのゲーム感、とどの本も当時の私を楽しませてくれた。
そして今作、SFなお話2編が面白かった。最初の「夜の記憶」でムムムッ…なんだこれ?次の「呪文」のSF設定が壮大過ぎて面白い!でも恐ろし気。表題作は時代を超えたミステリでドキドキさせる。「赤い雨」はまたSFチックで映画に出来そうな物語。
と好意的に説明したが、実は読後やや物足らず。以前のような長編が読みたい!と思ってしまった。 -
貴志祐介と言えばエンターテイメントに針を振り切った作家というイメージです。名作「新世界より」でSF作家としての力量を見せつけてたのも記憶に新しいです。
短編集で個々の関連は無いし、世界観の統一も無いので純然たる短編集として楽しみました。
遠い未来に人間が作り上げた微生物「チミドロ」に侵され鮮血に覆われたような凄惨な世界に変貌した地球。そしてドームの中で清潔に生きる特権階級とチミドロに侵され貧しい生活を送る市井の人々の姿を描いた「赤い雨」が一番です。やはり新たな世界を作る能力がすごいです。 -
貴志祐介の待望の新作は、やや消化不良な内容でした。
4つの短編で構成されてましたが、前半の2作品は、SFっぽい内容ですが、話が難解すぎて読みづらく、読み進めるのを途中で断念してしまいました。
後半の2作品は、なかなか面白く、本のタイトルにもなっている罪人の選択というミステリーと赤い雨というパンデミックを題材とした作品でしたが、こちらは期待通りの内容だったと思います! -
4編の短編集。表題作「罪人の選択」以外はSFって感じ。新井素子さん読んでるのかって思った。罪人の選択だけ、テイストが違うので、なんでこの4編になったのか??
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近未来を描く特質した作家さんが貴志裕介さんだと改めて痛感させられた本でした。新世界も拝読しましたが、また違う近未来と未知の世界に連れ出してくれる作品です。
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最初の2作(夜の記憶・呪文)がとても好きなSFで連作と思ったら3作目は全然違った。3作目はミステリっぽい話だけどとくに感想がない。4作目はまたSFっぽい。2話目呪文はほんとに好きな世界観とストーリーだった。映画のインターステラーを思い出したけどインターステラー公開よりずっと前の作品なんですね。宇宙のどこかでおきる集団心理のぶきみさぞわぞわして面白かった。