地に這うものの記録

  • 文藝春秋 (2020年3月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784163911830

作品紹介・あらすじ

「僕の名前はポール」--再開発計画に揺れる駅前ビルに突如現れたのは、一匹の喋るネズミ! 市議会議員の浦田さんの助けを得ながら、欲望うずまく人間たちの世界に飛び込んでいく。ついには、堂々市議会に登壇し、大演説をぶつことに。聖書の昔から続く人間とネズミの深い因縁は、はたして今日どのような結末を見ることになるのか? 近作『ひよこ太陽』で泉鏡花賞を受賞し波に乗る芥川賞作家が新境地に挑んだ、仰天寓話小説。

みんなの感想まとめ

言葉を話すネズミが市議会で演説を行うという独特な設定を通じて、言葉の本質や人間社会の矛盾を鋭く描き出す物語です。主人公ポールは、再開発計画に揺れる街で、和解を訴えながら人間と対話を試みますが、その言葉...

感想・レビュー・書評

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  • 言葉を話すネズミのポール。1号ビルの再建を求めて市議会にで演説をふるう。喋るネズミの寓話。ポールのへ理屈は止まらず、人間との掛け合いもぎくしゃく。一体このネズミの意図するところは何なのか?ついでに作者の意図するところも何なのか?田中慎弥特有のまどろっこしい言葉の羅列で、ポールの小さな脳味噌をパンクさせようとしているのに違いない。なかなか読み難しい本で、作者の思うツボ。

  • ねずみが言葉を喋ると言うことを通して、言葉とは何かを炙り出す。

    言葉とエゴ(さなぎ)、言葉の起源(パパ)、言葉の恣意性(ドンの議員)、言葉の限界(恋愛)、言語の暴力(さなぎ)。

    言葉を使うには弱くなければならないというフレーズが印象的だった。

    最後の市議会でのやりとりは熱かった。

    その後の闘争は難しい。
    青い目、赤い目、パパが何のメタファーなのか。

  • 人間の言葉を話すクマネズミのポール。
    ぎっしり埋めつくされる言葉、言葉、言葉。そこに現代の社会情勢や人間の普遍的心理など沢山の要素が詰まっているので、注目する部分を変えれば色んなものがクローズアップされる。

    ポールが悩ましくせつない。
    言葉から逃れられないが言葉しかないという感覚もさることながら、キャラに苦しむ姿は著者である田中さん自身に見えてしまう。

    無意識に抱いてしまう期待や希望と、それに気づいてしまった時の動揺と虚しさ。「和解」という言葉が孤独に響く。

    美しい夕日を急に不穏に感じる表現が独特で殊更に美しい。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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