猫を棄てる 父親について語るとき

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 3160
感想 : 356
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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163911939

感想・レビュー・書評

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  • 懐かしくて寂しいような綺麗な本
    歴史の不思議と他者の奥深さ
    歴史や他者を理解することができなかったとしても常に留意しなければいけない
    小説のモチーフの原点を感じさせる

  • タイトルがなかなかの破壊力だけれども
    ちなみにこの捨てた猫は戻ってきております。
    ホッとしていたのはかつて口減らし的なもので
    養子に出されて、結果戻ってきたからでしょうね。

    そう思うとこの風習がなくなったことは
    喜ぶべきことなのかな…
    (まあ私も施設に入れられそうになってるので)

    結局関係性は思うようにはならなかったのよね。
    親と子は違うということ。
    そして、相性もあるということ。
    どうにもならなかったんだろうね…

  • 2023年6月5日読了

  • 2023年6月3日読了。村上春樹による、自身の父親との記憶と従軍記録などから辿った事実に関する短い文章。自分に一番近く大きな影響を受けた存在である家族・父親がどう生きてきて何を考えているのか、実は自分は何もわかっていない・いわんや自分の周囲の他人においてをや。著者の父親はすでに亡くなっているようだが、生きていて対話を繰り返したとしても、本当に相手の内面を理解することってできないことだとも思うが、それでも相手を理解しようとする営みは一生続けていくべきことなのだと思う。自分も父親ともっと会話して彼の生きてきた時代をもっと理解したくなった。タイトルになっている著者のエピソード、なんだか自分にもそんな不思議な体験の一つや二つ、あったような気もする。

  • 村上春樹が父親について調べ、語った本。
    1人の人間というものは偶然が重なって生まれてきた個体にすぎないけれど、誰かが重ねてきた歴史を内包している唯一無二の存在であるとも思えた。
    今の私を形作っているのは脈々と続いてきた先祖たちの生きた歴史であり、そこに私が生きてきた歴史が加わり、次世代に受け継がれていく。
    自分が経験していない歴史をも、私は内包しているのだろうと思った。もしかしたら次世代の未来も内包し得るのかもしれない。
    タイトルにもあった猫のエピソードが素敵だった。
    誰かとの思い出って、だった一つでも心を温めるものなんだなと思った。たとえ相手が覚えていなくとも。

  • 怖いタイトルだけど、心配いらない。
    父との記憶。戦争の跡。

  • 亡くなった父を振り返って描いたショートエッセイ。戦争に人生の運命を変えられた父、母。そしてその運命に影響されてこの世に生まれた自分。あらためて、不思議な、奇跡のような出来事ですね。
    村上さんの作品やスピーチで、時に反戦、権力なるものへの反抗といったことが扱われるのは、お父様の影響も、もしかしたらあるのかもしれないと思いました。

  • 誰でも程度の差は有っても親との想いは持っていると思う。作者は分筆業なので、これを書き文章化することで解決しようとした。

  • 2022/12/03

  • 父親のことについて全然知らないがそれでも信用てきる存在なのは産まれた時から一緒にいるから。あえて知ろうと村上春樹氏は取り掛かるが疎遠だったゆえ、だろうという文章しか書けない。
    それでも出版したかった理由は何だろうと考えるが読者に向けて書いたのではなく、売れなくても構わないけど記録に残しておきたいと感じたのかも。
    それぐらい平凡な父親でみな同じような人生を歩んできたような父親像。
    村上春樹氏は父親を調べて何を気づいたのだろう。

    自分は家を出てから父親の距離が近くなった。というか父親が私に近づいてきてくれているのだろう。
    週末実家に行くと今まで無口で一声しか話さなかった父親が一週間分を話してくれる。今までなかった事だったので最初戸惑ったが私の自分勝手な行動だったのだが父親なりの思いがあるのだろう。家を出て距離が近くなるのは皮肉でもあるが実家に居続けたら無口な父親しか分からなかった。と本を読んで父親のことを考えるよいきっかけになった。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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