新橋パラダイス 駅前名物ビル残日録

  • 文藝春秋 (2020年9月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163912219

作品紹介・あらすじ

昭和最後の秘境は東京のど真ん中にあった!
サラリーマンの聖地であり、高度経済成長のシンボルでもあった新橋。なかでもそのランドマークが新橋駅前ビルとニュー新橋ビルだった。完成から50余年を経て、震度6強で倒壊の恐れがあると認定され、現在、駅前の再開発計画が進められている。
吞み屋、金券ショップ、寿司屋、ビーフン屋、中国マッサージ店……。東京のど真ん中にあって、昭和の懐かしさをいまなお色濃く残すディープなこのビルを楽しむ時間は多く残されていない。戦後の闇市から脈々と続く魅惑的なカオスの全貌とまだまだ知られていないビルの素顔を、そこで働く人々の証言をもとに多数の写真とともに伝える異色の探訪記。
一歩足を踏み入れると、迷路のようなビルの中は、アッと驚く楽園だった!

みんなの感想まとめ

昭和の懐かしさを色濃く残す新橋の名物ビル群を探訪する本作は、歴史と人々の物語が交錯する魅力的な一冊です。新橋駅前ビルとニュー新橋ビルの生い立ちや、そこで営まれる様々な店舗のオーナーたちのインタビューを...

感想・レビュー・書評

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  • 東京のJR新橋駅をはさんで建っている名物ビル、「ニュー新橋ビル」と「新橋駅前ビル」の生い立ちと、そこで店を構えている人たちの生き方、考え方のインタビューを通じ、かろうじて残る「昭和遺産」の魅力を伝えている本。

    「ニュー新」の方はごくたまにだが行くことがあるので、何となく雰囲気は知っていたが、「駅前」とペアであることや、「ニュー新」の上層階が住居となっていること、耐震強度が足りないことで、2棟ともいずれ解体される等々の事は本書を読んで初めて知った。

    ちなみに、「駅前」は1966年、「ニュー新」は1971年に建てられたとの事。

    なくなる前に二つとも探訪しておかなければ!

  • 新橋への親しみがぐっと湧く一冊。今までは正直近寄り難かった、ニュー新橋ビルの歴史を知り、そこで暮らす人のナラティブを垣間見ることで、再開発の前に私も行ってみようと思いました。

  • 2025年57冊目。満足度★★★☆☆

    新橋駅前にある名物ビルは、戦後の闇市にルーツがあった

    この怪しげなビルには、飲みに何度か足を踏み入れたことがある

    本書を読んで、改めて「探検」したくなった

  • かつて、新橋で少しだけ働いていた。

    新橋が持つ、猥雑さや新鮮さ、親近感、妖しさを、見事に表現した、不思議な空気感を纏った素晴らしい文章であった。

  • <目次>
    第1章  マーケットの路地裏が遊び場だった
    第2章  妖しい中国系マッサージ街の謎
    第3章  ”裏新橋”の入り口に立つ
    第4章  カプセルホテルに暮らす演歌師のブルース
    第5章  ピンクの部屋に棲む蜥蜴
    第6章  駅のホームを見下ろす部屋で
    第7章  生卵をかっ込みながら頭を刈る
    第8章  スナックは魔の巣か団欒か
    第9章  汐留再開発が支えた幸福の味
    第10章  浮世と現実を昇り降り

    <内容>
    新橋駅西口SL広場に隣接して立つ「ニュー新橋ビル」。窓のところが白く区切られている建物なので、意外と見ているに違いない。そこはかつての屋外マーケットのように、雑多な店が並ぶ。しかし、建ってから60年近くたつこのビルは、耐震問題などから再開発が進められようとしている。そこを取材したルポ。新橋界隈の雑多な雰囲気の味わえる本である。

  • 新橋に縁がある人なら誰でも知っている怪しいビル、ニュー新橋ビルと新橋駅前ビルを巡る人々のドキュメンタリー。NHKのドキュメント72時間の書籍版と言った印象。
    登場人物が非常に多く盛り沢山。もう少し絞って、その分掘り下げても良いような。

  • サラリーマンの聖地新橋。戦後のヤミ市の痕跡を残す二つの再開発ビル。そこで商売を営む人々。

    新橋駅を挟んだ新橋ビルとニュー新橋ビルはどちらもヤミ市がルーツ。区画整理により出来たビル。内部の区画は分譲であり、わずかではあるが50年以上続く店、また時代の流れにより変化した業種、金券ショップや中国マッサージなど雑多な店が立ち並ぶディープな世界。

    本書は小さな店を営む人々に取材し、一人一人の人生を描いた一冊である。かなり綿密な取材。

    新橋駅周辺もいよいよ再開発の話が進んでいるという。ディープな世界もあとわずか、今のうちに新橋を訪問したい。

  • 今すぐにでも新橋に行きたくなる本。

  • 新橋界隈の勤め人にはお馴染みの二つのビルにはどこか「いかがわしさ」を感じていたが、戦後の闇市から連綿と続く「街」の歴史が醸し出すものとはついぞ思い至らなかった。こうなると、お隣の有楽町の駅前に長く君臨する交通会館ビルの由来も気になってくる。

  • 新橋の会社に勤務していたことがあり、当時から「不思議の街 新橋」だった。その謎に少しでも近づきたくて読んだ。
    山手線や京浜東北線に乗っていて、「今どこ?」と焦ったときに目印になる網目模様のビル。それが「ニュー新橋ビル」。その反対側、汐留側にある新橋駅前ビル。ともに独特の雰囲気を醸しており、立ち入ってはいけない空気が蔓延している。
    そんなにおいを知っている人には興味深いけれど、もう少し掘ってほしい。なんかもっといろいろあるように(あったように)思えてしょうがない。
    こういう本って本当に難しいのだなと。

  • 新橋駅前にあるニュー新橋ビルと新橋駅前ビルやそこで働く人たちにスポットを当てたドキュメンタリー。

    この二つのビルは、昭和40年代に、戦後の闇市として形成された店舗たちをその下層階にそのまま吸い込んで出来上がった。

    そのため、あのような雑多で猥雑な、その当時の雰囲気が今も奇跡的に残っているのだ。

    それはあたかも一種の生き物のようであり、もはや単なるビルではない。

    そして著者はその雰囲気を愛し、しかしそれが間もなく再開発という形で失われようとしていることに哀惜の念を抱き、何かこの事実を形に残したいという思いで、2005年から約15年間にわたり、この二つのビルを取材した、その結晶が本書である。

    文章からも十分、この二つのビルへの愛情は伝わってくるが、所々に挿入される写真もまた素晴らしい。
    おそらくこの写真も著者の手によるものだろう。

    私もこの二つのビルには大変お世話になってきた。
    最近は、新橋駅前ビルの地下の立ち飲み屋に行く機会が多いが、実は40年以上前の私が幼少期の頃から主にニュー新橋ビルに出入りしていた。

    というのも、私の父がニュー新橋ビルの区分所有であり、かつそこで働いていたからだ。

    幼少期の私は、父の仕事が終わるのを待つ間、下層階の店舗を「探検」して暇を潰したのだが、それは幼心にもその猥雑な空気感に触れ、何か見てはいけないものを見たような、今まで味わったことのない、なんとも言えない複雑な感慨を持ったことだけははっきりと覚えている。
    それはまさに子供の私にとっては冒険そのものだった。

    そんな私から見ても本書の写真はまさに現場の雰囲気を正確に伝えているといえる。

    ただ、個人的に是非取り上げてほしかったと思うのは、3階の中国人マッサージ街で孤軍奮闘する野球用品専門店「井本スポーツ」だ。

    もしかしたら、ここも取材したものの、本で取り上げるようなドラマがなかったのかもしれないが、未だにニュー新橋ビルでも唯一無二の個性を放っている点では是非取り上げてほしい店だった。

    最後に著者のこの二つのビルに対する深い愛情の念が滲み出た文章をそのまま引用し、私の書評を終えたい。

    「ニュー新橋ビルの各階にあった書店も、四階にあったサウナも一階のパチンコ屋も、今はもうない。
     だが、計画して作られた品のいい商業施設では存在しえない、戦後の闇市から脈々と続く、怪しさと下世話さと文化が渾然となった店がここにはまだ残されている。
     過去と断絶したスクラップアンドビルドを繰り返す「東京」において、土地の記憶をとどめたビルの価値はより一層高まっている。それはきっと、未来の東京においてもっと必要となるはずだ。
     新橋には、いつまでも戦後の猥雑さを取り込み、非日常を愛しき日常に変えてくれるビルを抱えた、稀有な街であり続けてほしい。
     二つのビルは、今もしっかり生きている」。




  • JR新橋駅を挟んで2つのビル、新橋駅前ビル
    とニュー新橋ビルの「ディープさ」を伝える
    ルポです。

    間違いなくここには戦後の昭和が残されてい
    ます。

    正確には戦後間も無くのバラック街をビルに
    押し込めたのが始まりであるそうですが、
    令和の時代の今では、昭和50〜60年の雰囲
    気が残されていることさえも珍しいです。

    再開発の話も出ているそうです。昭和を感じ
    たい人は今のうちに行くべき、読むべき一冊
    です。

  • おじさんの私にとって新橋は「大人のワンダーランド」だ。そう思っていた。そしてその中心がニュー新橋ビルと新橋駅前ビル。それぞれのビルの特徴は似ているようで異なる。その歴史を本書で知ることが出来た。
    特に不思議に思っていたニュー新橋ビル2階の中国系マッサージの店がひしめき合っている理由も何となく。
    新橋駅前ビルの地下は昭和のワンダーランド。昭和の親父たちが今でも通う素敵な空間だ。
    本書では著者が自分のできる範囲でルポにまとめてあるが、できればプロのルポライターさんにもっと人物像を際立たせて書いてもらうと読み応えあったかも。今の人たちがどう感じているか、なども触れられていたら感性的に気づきがまたあったかもしれないね。
    建て替え計画があるようだけどこのまま残して欲しいと思っている人は私以外にもすごくたくさんいるはず。

  • 怪しげで雑多なビルの歴史や現状などをストーリーを交えて引き込まれる描写で描かれていた。

  • 新橋エリアで働いてた頃、足しげく通っていて馴染みがある「ニュー新」と、何ともいえない独特な雰囲気があって(個人の感想)訪れるときにちょっと緊張する「駅前ビル」。
    そこで働き、そこに集う方のお話を軸にそれぞれのビルの歴史や変遷、時代の空気感が垣間見えてとても楽しかったです。
    「みなとや」や「ベジタリアン」などちょくちょく通っていたお店のお話はもちろん、ずっと気になっていたニュー新2階のマッサージ店のお話が興味深かったです。

    ”市井で働くひと”のお話が好きなら、新橋に馴染みがなくても読んで楽しい一冊だと思います。

    流しのけんちゃん、あとがきで少し触れられていたけど元気でいてほしいな…

  • 新橋今昔物語。
    箱根駅伝の今昔物語みたいな感じで読み進めた。

  • 週刊文春 11月19日号 小川さやか 評

  • とてもいい本だった。字を追ってるというより、映像、ドキュメンタリーを見ているような気がした。
    声や音が自然と思い浮かんだ。
    むさしの創業100年が元は菓子屋で、今の味が100年続いてるわけではないことを知った。あとは喫茶カトレア

  • 【最後の秘境は東京のど真ん中にあった!】再開発が迫る新橋駅前の二つの名物ビルには知られざるディープな時間が流れている。その魅惑的なカオスの全貌を写真満載で伝える。

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著者プロフィール

村岡 俊也(むらおか・としや):1978年生まれ。鎌倉市出身。ノンフィクション・ライター。著書に、25歳で高松の海で亡くなった画家の評伝『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』(新潮社)。アイヌの木彫り熊職人、藤戸竹喜を取材した『熊を彫る人』のほか、『酵母パン 宗像堂』(ともに写真家と共著、小学館)がある。

「2026年 『増補 新橋パラダイス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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