肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行

  • 文藝春秋 (2020年7月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (276ページ) / ISBN・EAN: 9784163912233

作品紹介・あらすじ

牛、羊、鹿、鴨、ホルモン、鯨……
うまい肉が生まれる現場にはソウルがある!

・“害獣”を地域の恵みに変えた島根県美郷町モデル
・「肉にも旬がある」ジビエ料理のフロンティア
・常識の壁を乗り越え、馬肉文化を守り抜いた熊本の挑戦
・「捨てていたもの」から価値をつくり出す職人芸とは?
・「露地養殖」という“非効率”が異界の味わいを生む……etc.

それぞれの土地で培われた〈知恵と技〉が日本の食の未来を照らし出す

歩いて、食べて、考えた。
“食の未来図”をまるごと味わう傑作ノンフィクション!

みんなの感想まとめ

命を頂くことの深い意味を考えさせる内容が特徴のこの作品では、日本各地の肉文化とその背後にある人々の努力が描かれています。普段何気なく食べている肉が、実は多くの生産者や猟師の愛情と敬意によって成り立って...

感想・レビュー・書評

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  • 普段何も考えずに食べている食肉、スーパーでパックになった状態で購入し、フライパンで調理している。食べる時も、スマホやテレビを見ながらであり、味わっていなかった。
    命を頂戴していることを全然意識していなかった。そりゃ、生きている動物をシメて解体加工している訳だから、とんでもない労力が掛かっている。この本では猟や食肉生産の現場が生々しく描かれている。肉になってしまう動物達に日々愛情を注ぐ生産者や、仕留めた動物に敬意を払う猟師の姿が印象的だった。

    特に、本書に出てくる鹿猟師が獲物を見つけた際、物陰から急襲するのではなく、銃で撃つ前に必ず音を出して自分と相対するようにしている「心構え」に感動した。

    命を頂く動物達と、生産者・加工者に感謝しながら、ウマイ肉をしっかり噛みしめて食べたい。作中に出てくる表現「美味しいホルモンを噛みしめて食べる時は抱き締められるような気分」を体感したい。

  • 肉を食べて生きている。
    普段は意識しない。焼かれた、茹でられた、加工された肉を食べて、うまい、滋養、力をつけて、動いている。
    育て、捌き、売る。そんな場面を、本を通じて知った。
    実際に目の当たりにしてみたいと思った。
    命からいただき、生きていることを実感しながら食事をしていきたいと感じた。

  • 日本各地で、ソウルフル&ソウルミートな“肉”に会う紀行。
    生き物と、肉と、人々との出会いを綴る、ノンフィクション。
    1章 羊  2章 猪  3章 鹿  4章 鳩  5章 鴨
    6章 牛  7章 内臓  8章 馬  9章 すっぽん 10章 鯨
    適宜にカラー写真口絵有り。
    人間が肉を食べるのに大事な存在は、飼う人、狩る人、加工する人。
    それ以外にも様々な存在が関わっています。
    販路を広げる、地域での協力関係、料理する人、食べる人など。
    様々な動物の“肉”について取材し、日本の肉食の文化と現在を
    考えてさせてくれる内容のノンフィクションです。
    人間と共に生きる羊と恩恵を受ける人間は一心同体。羊男の試み。
    “害獣”の猪を長い年月を掛け、地域の恵みとした人と地域の連携。
    食糧は自力で調達するサバイバル登山家が向き合う自然と、鹿。
    伝統的な鴨の狩猟を守る人々と鴨たちとの緊張感。
    内臓という生き物の副産物の恩恵と処理技術が支える食文化の可能性。
    我が子のように接するすっぽんの養殖、
    神聖な儀式のような鯨の解体、等々。
    自然に生を受けた者同士の緊張感ある鬩ぎ合い。
    相対する生き物たちや肉へ向き合う真摯な姿。
    飼い、加工する者の、生き物への想い。
    命を頂くことの深い意味を、改めて考えさせてくれる内容でした。

  • 副題に「日本ソウルミート紀行」とあります。

    そう、国産の肉の産地を訪れて、その現場を
    ルポしています。

    羊、猪、鹿、鴨を始めとして、すっぽんや鯨
    まで紹介しています。

    日本人の肉食は近代である明治から始まった
    とされていますが、猪やウサギは古くから食
    べられてきたと考えられています。

    その歴史も含めて、日本人と肉食文化の奥深
    さを学べる一冊です。

  • ふだんはパックされた肉しか見ないけど、元は動物だし誰かが育てて屠殺してるんだよなぁとしみじみ
    役所の人の周りの巻き込み方含めていのししの話が一番面白かったので、とりあえず手軽な缶詰を買ってみるつもり

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    1章 羊ー北海道・白糠 羊男たち一万年のロマン/2章 猪ー島根・美郷町 害獣を恵みに変える挑戦/3章 鹿ー埼玉~山梨・奥秩父 鹿を狩る/4章 鳩ー東京・門前仲町 「肉にも旬がある」/5章 鴨ー石川・加賀 江戸伝来「坂網猟」を引き継ぐ/6章 牛ー北海道・襟裳岬 短角牛とともに生きる/7章 内臓ー東京・品川 「うまい」をつくり出す現場/8章 馬ー熊本 馬肉文化を守り抜く/9章 すっぽんー静岡・舞阪 「露地養殖」が育む異界の味/10章 鯨ー千葉・和田浦 ツチ鯨漁の現在

  • 羊、猪、鹿、鳩、鴨、内臓、馬、すっぽん、鯨、一般的消費者には簡単に手に入らず、食べるにも専門店でなければ難しい食肉の数々の生産から加工に関わる人々と仕事を追ったルポ。食エッセイで名高い著者ならではの視点に生産者への尊敬が伺える。

  • おいしい肉を食べるその前に、狩猟や解体などの作業がある。食物連鎖、命の営みに感謝して肉を食べたい。日本の食肉の紀行。

    食レポとエッセイに定評のある筆者の近著、全10章。食卓に上がる肉を狩りや養殖の場面から屠殺、解体し調理するまで、その全てを見学する紀行。生々しい場面より筆者の食欲が勝っているから実に読みやすい。

    羊、猪、鹿、鳩、鴨、牛、内蔵、馬、すっぽん、鯨。

    ちょっとした肉料理でも動物の生の営みがある。感謝して食したいと思わせる作品。筆者の作品は自慢や嫌味がなく、純粋に食べる喜びを伝える作風が心地よい。

  • 「いただきます。」の意味をもう一度考えたくなる本でした。食べたことのない肉が沢山あったので、機会があったらチャレンジしてみたいです。

  • 羊からすっぽんまで、日本で食べられるさまざまな種類の“肉”にスポットを当て、徹底取材したノンフィクション。猟師と共に山に登り、と場で処理される内臓を見学しと、なかなか肚の座った取材が楽しい。女性に限らず、動物が解体される現場に立ち会うのはなかなかキツイのではないかと思うが、平松さんはなんの問題もないようだ。肉=生き物であり、その命をいただいているのだということを改めて確認した本だった。

  • 食材としての肉を日本各地に追ったルポ。畜産による肉だけでなく、狩猟による野生の肉+すっぽん、鯨肉も収録。

    肉の本だけど、実はそんなに美味そうな本ではない。それぞれの肉の料理や食べるシーンの記述はあり、グルメ本と違ったしっかりとした筆致で表現されているのだけど、それが主眼ではない。それぞれの肉を「食材」として「生み出している」「誠実な人たち」がそれを支えている。それは生産者や料理人に限らないこと。その人たちは命を食べものに変える転換点を知り、「食べて生きる」ことの本質を理解している。この本はそんなことを教えてくれる。…といいつつ、美味そうなのは鹿、内臓、すっぽんかな。

    だから、例えば鯨肉も決して特定のイデオロギーや立場にはならない。そこに「食べて生きる」人類の原点を見るからだ。

    この著者の本は初読だけど、この筆致は何というのだろう…。文章は言葉の選び方を含め、とても整った、流れる感じ。話の転じ方も(よく考えるとあまり繋がっていない気もするのに)自然なんだけど、流麗というには麗しさがあまりなく、派手な表現はないけど誠実。他の題材だとどんな表現になるんだろう…。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00555323

  • 【うまい肉が生まれる現場にはソウルがある】害獣を地域の恵みに変えた島根県美郷町モデルからジビエ料理のフロンティアまで、「食の未来図」を丸ごと味わうノンフィクション!

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著者プロフィール

平松洋子=1958年、倉敷生まれ。東京女子大学卒業。エッセイスト。食文化、暮らし、本のことをテーマに執筆をしている。『買えない味』でBunkamura ドゥマゴ文学賞受賞。著書に『夜中にジャムを煮る』『平松洋子の台所』『食べる私』『忘れない味』『下着の捨どき』など。

「2021年 『東海林さだおアンソロジー 人間は哀れである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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