女帝 小池百合子

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 171
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912301

作品紹介・あらすじ

コロナに脅かされる首都・東京の命運を担う政治家・小池百合子。女性初の都知事であり、次の総理候補との呼び声も高い。しかし、われわれは、彼女のことをどれだけ知っているのだろうか。「芦屋令嬢」育ち、謎多きカイロ時代、キャスターから政治の道へーー常に「風」を巻き起こしながら、権力の頂点を目指す彼女。今まで明かされることのなかったその数奇な半生を、四年の歳月を費やした綿密な取材のもと描き切る。〔目次より〕序章 平成の華第一章 「芦屋令嬢」第二章 カイロ大学への留学第三章 虚飾の階段第四章 政界のチアリーダー第五章 大臣の椅子第六章 復讐第七章 イカロスの翼終章 小池百合子という深淵

感想・レビュー・書評

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  • 小池百合子の生い立ちから、エジプト留学時代を含む学生時代、タレントからキャスターへ、そして政治家、都知事になるまでの半生を丹念な取材で解き明かした力作。

    特にエジプト留学時代のルームメイトの証言は貴重。今まで明かされることのなかった小池の留学時代の行動が克明に明かされていて、これを読む限りでは小池のカイロ大首席卒業という公表履歴は、首席はおろか卒業さえも限りなく怪しい。

    もっともこれについては、本書の中でもカイロ大が卒業したことをを認める発言をしていることが書かれているが、著者はこれについても何らかの裏取引があり、本当には卒業はしていないのでは、という強い疑問を呈している。

    さらに本書は学歴詐称疑惑でだけではなく、本人の強い上昇志向を実現するための数々の虚言を含む言動や、政党を渡り歩く行動も細かく紹介されていて、読んでいてかなりゾッとした。

    もしかしたら、我々はとんでもない人を都知事に選んでしまったのかも・・・。

    あと、本書を読んで驚いたのは影の大物フィクサーとして一部では名高い朝堂院大覚が小池家に深いかかわりがある人物として登場するところと、石原慎太郎との浅からぬ因縁のところ。プロインタビュアーの吉田豪に深く掘り下げてほしいところである。

  • 初読

    いや、面白かった。

    噂のカイロ大学卒業疑惑に関しては
    確かにエジプトという国の習慣・現状から説明して貰わないとわからないわ…
    で、読み終えて2日後にカイロ大学からの声明。
    これももう、キタキタキターとタイムリーに楽しんでしまった。
    で、「疑惑」に関してはこれはもうカイロ大学が小池百合子は卒業している、
    と公式に認めたなら、例え正規のカリキュラムをクリアしてなかったとしても、
    それは卒業したという事なんでしょうね。
    今は亡き、政治ゴロで百合子にエジプト留学させて(ただし仕送りせず)後にエジプトで日本料理店をやってた
    お父ちゃん勇二郎も大喜びの事でしょう。

    トルコ風呂の名称変更に百合子が絡んでたのは
    初耳。は〜、ナルホド…。
    その後、細川→小沢→小泉と引き立てて貰う権力者を替えてきた百合子の政界寄り添い道。

    その辺も勿論興味深いけど、
    私が気になったのは

    >

    これ、正直、女の私にとって爽快なピカレスク・ヒロインに映る面もある。
    こういう事をする精神構造はわからないようでわかる気もする。
    かと言って、
    >

    阪神淡路大震災被災者の嘆願時のマニキュア事件や
    築地移転の女将さん会の下りを読んでもわかるように
    女もどうでもいい。
    かつ、人の口に登るような事をしてもデメリットの方が大きいだろうに、
    攻撃を、傷つける事を楽しんでいるかのよう。
    パワーを行使する楽しみの1つなんだろうか。

    それにしても、こういう女がいる方が世界は面白いんだけど、
    おらが村の酋長だと洒落にならないわw
    だって、支持を失った時、恐らく大衆を、都民を、国民を憎むもん
    自分を担ぎ上げて引き摺り下ろす存在。
    それはもう敵でしょう、彼女にとって。

    そして1つ気になったのは1~2章に詳しい
    彼女の顔の痣、美しい従姉妹への劣等感といった
    旧態依然としたジェンダー意識によって書かれた
    「女の物語」
    著者は1冊を通して「彼女の『物語』」という言葉を使用するのだけど、
    このストーリー自体も石井妙子氏による「女帝小池百合子という女の『物語』」めいていて、
    結局は、物語対真実ではなく物語対物語。
    そういうカタルシスを求める、この本をゴシップとして消費してしまう、
    そんな私達がいるからこそ
    衆議院議員の、環境大臣の、東京都知事の「小池百合子」が
    誕生したのだよなぁ、と思わざるを得ない。

  • リアル『白夜行』

    うーむ、数年前にある精神科医が「女性には珍しいサ○コパス」と呟いたのがきっかけで、その目線でウォッチしていましたが。

    芦屋から南女の辺りに土地勘があるので、あの狭い山から海への、富裕層から下に降りていく住民間のなんとも言えない感情がリアルすぎる「芦屋令嬢」

    『ゼロの焦点』を思い出させる「カイロ大学への留学」
    ここまではノスタルジックな小説のよう。

    帰国してからは資料も増え、一気にドキュメンタリーに。
    『平気で嘘をつく人々』か。

    しかし、自分の生活に直結するノンフィクションは初めてかも。
    あぁ、これがフィクションであってくれたらいいのに…

    都民は読みましょう。

  • 「政界の渡り鳥」
    「権力と寝る女」

    これまで時の権力者に擦り寄っては捨て、擦り寄っては捨てを繰り返してきた小池百合子。

    この人どこか胡散臭いなー、信用できないなー、なんて思っていた人にはドンズバ。
    その人間性を紐解き、世に放つ一冊だ。

    特筆すべきは、カイロ留学中に同居していたという女性の証言。
    小池百合子は、4人に1人は留年するという難関カイロ大学に在籍しながら(しかも不可解な編入学)、アラビア語は拙いまま勉強もせず、駐在員らとパーティーや夜遊びに明け暮れていたという。

    すでにこの頃には、嘘で塗り固められた「ストーリー」を作り、自分はその「ヒロイン」であるかのように振る舞う女の姿があったようだ。
    女性の証言を聞くと、学歴詐称疑惑は限りなく黒に近いのだろう。

    ある意味、小池百合子の行動原理は一貫しているように思う。
    軸となる政策や思想はない。いかに煌びやかな自分を演出し、次なるステージへと進むにはどうすれば良いか、ということしか念頭にない。

    ときに「敵」を作り出して攻撃し、人々を煽り焚きつける。その怒りのパワーを自分の支持へと繋げ、相対的に自分の器を実際よりも大きく広く見せようとする。そのためには権力や地位、一般市民をも利用してきたのだ。

    最近で言えば、敵はまさに「新型コロナウイルス」であり「安倍政権」だ。

    当初、頭の中には東京オリンピック開催しかなかったとされるが、延期が決まると意気揚々とメディアの前に姿を現し、フリップを使って横文字のスローガンを次々と打ち出し始める。共にコロナを打倒しよう!と。

    さらに、対応が後手後手に回る政府を痛烈に批判することで、都民のために国家権力にも怯まない“立派なリーダー”像を作り上げることに成功。
    ご存じの通り、先の都知事選で圧勝した。

    今後の都政で懸念されることは、都知事の職務に利用価値がないと判断されれば、なにかと理由をつけて任期の途中であっさり投げ出してしまうのではないかということだろう。

    テレビ東京の選挙特番で、池上氏が例の如く、再選直後の小池知事に厳しい質問を投げ掛けていた。

    池上氏
    「4年の任期を全うするつもりはあるのか?」
    小池知事
    「今日改めて選んでいただいたばかり。しっかり仕事を重ねていきたい」
    池上氏
    「約束するか?」
    小池知事
    「健康を守っていきたい」

    明言を避けた形になったのだ。

    国政に新たな風が吹き始めたとき、あるいは風を巻き起こせると判断したとき、「機を見るに敏」という最大の特徴を生かして都民を置き去りにする…
    とならないことを祈る。

    「女性初の総理大臣」という肩書を彼女はまだ諦めていないはずだから。 

  • ホラーのようなノンフィクションだった。しかも、現在進行形の話だ。大手メディアの罪の部分がクローズアップされており、それは何十年も改められることなく繰り返され、上塗りされている。賛否両論あるようだが、読んでよかった。かなり思い切った著作だ。

  • サイコパスが、頭のてっぺんから爪先まで邪悪に満ちていたなら、回れ右して全速力でかけ出せるが、大抵そうはならず魅了され、心奪われ最後に震え上がる。

    テレビを通じてしかわからないが、彼女の一番の武器は声だと感じていた。
    が、特に本書で言及されていない。

    また幾度か、彼女が復讐を果たしたとする記述があるが、別の感想を持った。
    サイコパスは非情ではあるが、相手の裏切りには寛容なはずだ。
    むしろ、何も感じない。
    徹底して功利的なので、対する人物が、使えるか使えないか、過去を知りすぎてないかだけが興味の中心で、仕返しに走らない。

    彼女が大臣なった時、官僚がレクチャーしようとしても嫌がって遠ざけ、実務そっちのけでパフォーマンスに走ったと批判される。
    「学ぶ」ことはせず、「見せる」ことにしか関心がない、と。
    これもサイコパスに特徴的な性向で、彼らはしばしば助走もなく跳躍する。
    学習を必要としない。
    誰に教わるでもなく、自分が最も華やかに映る見せ方を心得ているし、誰に取り入ればのし上がれるか、どれに手をつければ先駆者と見られるかをあらかじめ知っている。
    それと危機的な状況になればなるほど、脳の一部が活性化し、不安が静まり、高揚感が高まるのも特徴だ。

  • コロナよりもオリンピックを第一に考えていたのに、中止が決まったら手のひらを返して国と対決するかのように、コロナ第一のようなパフォーマンスを見せつけられると胡散臭さを感じていた。
    この本を読んでこの胡散臭さの原因が理解出来た。
    これだけの影響力を発揮出来る能力は評価するが、「政界のペテン師」が東京のトップとは…。

  • なぜこの人は同性に対してこうも冷たくなれるのだろうと考えた。
    この人は、父親に対してとはまた違う次元で、母親に対しても大きなわだかまりを抱え続けているのかもしれないと思った。
    どう考えても 困ったちゃん レベルでは済まない強烈な父。彼に幼い頃から翻弄され続ける生活の中、子供の立場なら、なぜ母は文句を言いながらも父の元を離れようとしないのかと考えたと思う。
    無力な子供である自分の生活の安心安全は、父親の改心か母親の決断どちらかに委ねられる。父親の改心が実現する可能性が低い場合、母親の決断への望みにかかる期待が必然的に大きくなる。
    膨らんだ期待がいつまでも叶えられない場合どうなるか。失望感だけが、深く、深く胸をえぐったことだろう。そして深くなった失望感は、そのまま、決断をしない母に向かったのではないだろうか。
    彼女が他者に対して徹底的に冷たいのは、満たされなかった幼い自分が今も心の真ん中に座り続けているからなのかなと思った。
    石綿被害で夫を失った女性も、彼女に取材する女性記者も、築地市場で働く女将さんも、この人にしてみれば「満たされている側の人間」にしか見えないのだろう。
    すべてが「私基準」の人間が最高権力を握ったらどうなるか。
    恐ろしくて具合が悪くなる。

  •  コロナの東京都の対応が変だと思っていて、特にステップ1~3と東京アラートが、感染者数の推移とまるで関係がなかったことに驚いている。それが一体なぜであったのか、この本で実に腑に落ちた。ステップやアラートなどは単に小池都知事が目立とうとしてテレビで取り上げられるためにやっているだけだった。本質的にコロナの蔓延に対応しようとしているわけではなく、都知事として頑張っている様子を人々に示すことが目的だ。目的はその場限りで力強いリーダとして自分が目立ち称賛されることだけなので、東京のみなさんは今回の都知事選挙で別の人に投票して欲しいと願うばかり。現時点で支持が51%もあるのが怖い。元々テレビの世界の人なので、メディアを味方につけることに長けており、彼女にあるのは戦略のみだ。

     この本では小池都知事の負の側面が多く語られており、功績であるのはクールビズやエコバッグなどばかりで、本当にそこまでダメなのだろうか。もうちょっとまともな政策に携わっていないのだろうか。

     弱者に対して暖かい感情がまったくなさそうに書かれているが、そんな感じはする。築地のみなさんや水俣病で頼りにした人たちがかわいそうだ。しかしそこから悪評が広まらないのがすごい。

     本当に残念な人で、ちょっと気の毒だ。しかし権力からは引いて欲しい。

     カイロ大学卒業も嘘だと思う。

  • 「永遠のゼロ」、というのが本書を読んで小池百合子という人間に感じた所感であった。その発言は全てが空疎であり、確固たる政治信念などというものはなく、都知事選で掲げた公約もほとんどがゼロ達成である事実。

    本書は小池百合子という妖怪の空疎さを暴くためにその出自から現在に至るまで、数年に渡る丹念な取材をベースにまとめられた史実である。最近になってまた話題になっているカイロ大学の卒業証書の問題も本書を読めば何が問題かがはっきりと分かる。本書を読んで小池百合子がカイロ大学を首席で卒業した、という事実を真に受ける人はいないだろう。

    それでも2週間後に投票日を迎える都知事選において妖怪が再選するのは確実とも言われている。血が流されなければならない。

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著者プロフィール

石井妙子 (いしい たえこ)
1969(昭和44)年、神奈川県生まれ。白百合女子大学卒、同大学院修士課程修了。2009年『おそめ―伝説の銀座マダム (新潮文庫)』を執筆。綿密な取材に基づき、一世を風靡した銀座マダムの生涯を浮き彫りにした同書は高い評価を受け、新潮ドキュメント賞、講談社ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞の最終候補作となった。『原節子の真実』で第15回新潮ドキュメント賞を受賞した。2019年、「小池百合子『虚構の履歴書』」で第25回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞。

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