一人称単数

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 6838
感想 : 615
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163912394

作品紹介・あらすじ

「女のいない男たち」以来6年ぶりに発表される短篇小説集。収録作は以下の通り8作。「石のまくらに」「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」「『ヤクルト・スワローズ詩集』」「謝肉祭(Carnaval)」「品川猿の告白」(以上、「文學界」に随時発表)「一人称単数」(書き下ろし)。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた本。今日中に、返さないといけないので、一生懸命読んだ。

    ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles

    品川猿の告白
    が、印象的だった。

    PM5:05 今から返しに行きます。

  • 村上春樹は、私はいつも意味がわからないけれど、何かすごく面白いと思うことがあるので読んできました。
    今までに読んだ短編集では『象の消滅』、『東京奇譚集』などが特に面白かったです。

    6年ぶりのこの短編集には8作品が載っています。
    ちょっと抽象的な言い方ですが、今までに読んできた作品と比べて幻想的な作品が少なく、実直で端正に書かれているような作品が多い気がしました。

    物語の舞台が神戸だったり、チャーリー・パーカー、ビートルズ、ヤクルトスワローズ、1960年代の若者が出てくるところは村上春樹っぽいと思いました。

    以下「石のまくらに」のみネタバレしているので、ご注意ください。


    「石のまくらに」
    大学二年生の僕が、二十代半ばのアルバイト先の女性と一晩限りの関係を持ったあとに、送られてきた自作の歌集を読んで、彼女の詠んだ、死のイメージを追い求めた歌を記憶しているのが僕だけかもしれないというもの哀しい話。
    たち切るも/たち切られる/も石のまくら/うなじつければ/ほら、塵となる

    「クリーム」
    ちゃんと読んだのですが、抽象的で今ひとつ、意味がわかりませんでした。

    「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノバ」
    夢のような夢の中の話。

    「ウィズ・ザ・ビートルズ」
    1065年神戸の高校で初めてできたガールフレンドとその兄との交流。
    すごく、村上春樹っぽい話だと思いました。

    「ヤクルト・スワローズ詩集」
    これは、エッセイのようでした。

    「謝肉祭 carnaval」
    一番、熱量を感じました。

    「品川猿の告白」
    女性の名前を盗む猿の話。
    これに似た話を読んだことがあります。
    続編か、姉妹編でしょうか。

    「一人称単数」
    太宰治の『晩年』に入っている「親友交歓」を思い出しました。


    今回の短編集は、村上春樹の中では特に面白いとは思えず最高点はつけられないので、星4つで。

    • まことさん
      澤田拓也さん♪

      コメントありがとうございます。
      『東京奇譚集』に入っていたのですね。
      すっきりしました。
      ありがとうございます。...
      澤田拓也さん♪

      コメントありがとうございます。
      『東京奇譚集』に入っていたのですね。
      すっきりしました。
      ありがとうございます。

      澤田さんのレビューも拝見しました。
      すごい洞察力ですね。
      恐れ入ります(__)
      2020/07/25
    • fufufuyokoさん
      私も東京奇譚集が好きなので、早速久々購入検討です!
      私も東京奇譚集が好きなので、早速久々購入検討です!
      2020/07/26
    • まことさん
      fufufuyokoさん♪

      コメントありがとうございます。
      『東京奇譚集』今、本棚を探して、内容を確認したら、「好きだ」といいつつほ...
      fufufuyokoさん♪

      コメントありがとうございます。
      『東京奇譚集』今、本棚を探して、内容を確認したら、「好きだ」といいつつほぼ忘れていました。
      時間があったら私も再読したいです。
      2020/07/26
  • やれやれ、やはり僕はハルキが好きだった(みんなもそうかもしれない)。

  • 「海辺のカフカ」まで村上春樹さんを新刊で追いかけていたけど、それ以降は読む機会があればというスタンス。村上さんの作品の主人公“僕”が、なぜか、村上さん本人のビジュアルが浮かんでしまうようになり、まあ、こちらもそれなりに年齢を重ねて、村上ワールドに入り難くなったから。
    この短編集は、あちらもそれなりに年齢を重ねて、新ワールドというより、ちょっと立ち止まって、あの頃を振り返るという感じが、しっくりきた。
    「石のまくらに」で短歌を入れ込んできた。“猫を棄てる”では(ごめんなさい、未読です)亡父の俳句を手掛かりにしたとか。村上春樹氏が、本気の和歌を創ることになれば面白い。
    「ヤクルトスワローズ詩集」はファン的心理入魂の詩を堪能させていただいた。多少古い物を使ってきているが、今後、作詞活動とかどうでしょう。
    「一人称単数」が書き下ろしという事。いよいよ、本物の“僕”的活動の示唆でしょうか?といっても、作品的には、自己否定感感じましたが。

  • 前回は、いつ読んだのだろうか⁇
    遠い昔だったかも…
    久しぶりの村上春樹氏の本である。
    8作の短篇小説集。
    実際あったことなのか?過去にあったことなのか?
    …と想像してしまった。

    以下は、気になった4篇。

    「クリーム」は、老人との会話からして謎めいているが。こんな老人いそうかも…。

    「ウィズ・ザ・ビートルズ」は、昔のガールフレンドの自殺よりも兄が気になった。
    兄に芥川龍之介の歯車を朗読して聞かせた過去も。

    「品川猿の告白」は、ちょっとひと癖あって面白い。

    「一人称単数」いつもとは違う自分だと意識していたが、見知らぬ女性に言われた「恥を知りなさい」に腹が立たない感情を消化できたのか…

    違った角度から迫ってくるさまざまな短篇。
    しっかりと楽しめた。

  • ー 作家の村上春樹さん(71)の3年ぶりとなる小説の新刊「一人称単数」(文芸春秋)が、18日発売された。東京都千代田区の三省堂書店神保町本店には、同著で作った本のタワーが登場し、通常の開店時間より早い午前7時から販売を始めた。(読売新聞)

    のだそうだ。
    村上さんの新刊は、例え短編集だろうとも、発売の際はお祭り騒ぎで、ニュースになるんですねぇ…

    それにしても、71歳!もうおじいちゃんなんだなぁ。
    そのせいか、人生の回顧録的趣きがある内容。その割には文体が相変わらずポップなので、ぼーっと読むと何が書いてあったのか掴めないかもしれない。

    (以下、何も考えず書いているので、意図せずネタバレになっているかもしれません。)

    石のまくらに 評価2

    村上さんの小説に「短歌」が登場するのは結構衝撃的なのではないか?
    19歳男子が20代半ばの女性と一晩だけの関係を結ぶ話。
    「僕」の認識では「僕」と「彼女」は行きずりのセックスはしたけど、お互いの存在を結びつけているものは何もない。結びつけているものは何もないのに、なぜ「僕」が「彼女」を題材にして小説を書くのか。
    短歌を堪能する能力が低い僕にはそこら辺がピンときませんでした。

    クリーム 評価3

    結構難解で抽象画みたいな短編だと思った。
    頭は、わからんことをわかるようにするためにある。
    考え抜くこと、特に若いうちは。

    「中心がいくつもあって、しかも外周を持たない円」とはどんな円なんだろう。
    多次元の世界の人とか宇宙人とか、あるいはものすごく頭の良い人でない限りわからない、
    なんて諦めちゃいけないってこと。

    チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ 評価4

    タイトルだけでワクワクして、高評価になってしまう。
    凄くないすか?
    このLP聴いてみたい!

    ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles 評価5

    この短編は好きです。
    高校時代のガールフレンド、サヨコの事を思い出す話。お互い好きだったし素晴らしい時間を共有した。結局、サヨコは「ウィズ・ザ・ビートルズ」のレコード盤を大事に抱えていたわけでも、耳の奥にある特別な鈴を鳴らしてくれる訳でもなかったけど、大切な人だった。
    行きつくところがない思い。喪失感と同時に人生は豊かだとも感じるアンビバレント。

    ところで、サヨコのお兄さんの髪の毛の長さについて「床屋に行くべき期日を、少なくとも二週間は越えてしまっているように見えた」と描写している部分がある。昔、村上さんの他の作品で同じような表現を読んで以来、僕の人生にとって「床屋に行くべき期日」というのは重要事項になっている。なかなか守れなくて、借金の返済期限みたいに心に引っ掛かった状態の期間が長くて確実に僕の精神衛生を蝕む要因となっている笑

    「ヤクルト・スワローズ詩集」 評価5

    村上さんといえば、スワローズ。村上さんのエッセイを読んで神宮球場で野球を見ることが好きになった(ジャイアンツファンだけど)。
    読んでたら、野球を見に行きたくなった!
    はやくコロナ終息してくれ!

    ー 人生の本当の知恵は「どのように相手に勝つか」よりはむしろ「どのようにうまく負けるか」というところから育っていく。

    いい言葉ですね。負けゲームは黒ビールを飲みながら、チームの負け際をしっかり見届けよう、と思った。

    謝肉祭(Carnival) 評価2

    シューマンの曲。
    女性を「醜い」と連呼するのはどうか?と思った(笑)

    品川猿の告白 評価3

    猿になったことがないので、猿の気持ちはよくわからないし、今のところ、特に理解したいとも思わない。残念ながら。
    恋した女性の名前を盗むのは、面白いと思ったけど…

    一人称単数 評価3

    たとえば、自分に身に覚えのないことで、突然知らない誰かに「恥を知れ」と強く罵られた時、明確に「私じゃありませんよ」って否定できるだろうか?

    否定した場合、さらに非難され、自分の知らない自分が他人を深く傷つけていることが顕になるかもしれない…

    とても怖い話でした。

    • まことさん
      たけさん♪

      わからないと、おっしゃいつつ、こんなに感想が書けるのは、凄い!と思います!!
      たけさん♪

      わからないと、おっしゃいつつ、こんなに感想が書けるのは、凄い!と思います!!
      2020/07/23
    • たけさん
      まことさん。

      正直、この短編集は、村上春樹さんの作品の中で最も難解だと思いました。だから、意味を決めつけて、強引に感想を書く、という作業を...
      まことさん。

      正直、この短編集は、村上春樹さんの作品の中で最も難解だと思いました。だから、意味を決めつけて、強引に感想を書く、という作業をしてみた結果、だらだら長く書けました笑

      長く感想を書きたい気分だったのです。
      2020/07/23
  • やっぱり好きだな~、村上春樹。

    この短編集8作品。どれも捨てがたい。
    なんとなくエッセーのような作品もあるけど、まあ、そこはよしとしましょう。

    もう、村上春樹の作品って、ストーリーとかはどうでもよくて(←ちょっと失礼)、村上春樹の描く、文章の美しさとか文章の面白さを愉しむのがいいんだよね。

    だからストーリーとかはどうでもいい。
    村上春樹がその脳内の情景をペンによって紙に落とす、その文章、その一つ一つのセンテンスを愉しむ、愛でるのが僕にとっての村上春樹作品の愉しみ方。

    こういう愉しみ方ができる作家さんの作品って少ないよね。
    村上春樹とは全然方向性が違うけど『知らない映画のサントラを聴く』『いいからしばらく黙ってろ!』の竹宮ゆゆこ氏の文章は文章自体を愉しむことができるかな。

    いずれにせよ、こういう作家さんの作品は素敵だ。まさに読書人にとっての至福の時間だ。
    こういう時間が永遠に続くのだったら、「永遠」もそう悪いものではないかもしれない。

  • タイトルの通り一人称「僕」の視点で描かれる8つの短編。
    それ自体は村上春樹の小説で珍しいことじゃない。むしろ、メジャーな作品の大部分は「僕」の視点で描かれる一人称のものではないだろうか。
    作者の考え・思いが最も直接的原始的に表現される文体。エッセイにも多用されるし、本作のように小説なのかエッセイなのかその中間を浮遊しているような作品にはもってこいの文体だと思う。

    不思議に感じつつもスッと懐に入ってきてしまう。
    相変わらずとても村上春樹的な作品でした。

  • 久しぶりの村上春樹作品は八編からなる短編集。独特の著者の文章が心地良かった。中でも面白かったのは、『「ヤクルトスワローズ詩集」』と『品川猿の告白』。ヤクルトスワローズ"愛"の凄さと滑稽さが、読んでいて楽しかった。


  • 記憶のスタンプを押して、人はそれぞれ歩んでいくのですね。記憶はとても儚くて、そして頼りないものであって、どこかにしまいこまれていると思いきや、ふと零れ落ちてくる。雲散霧消する前に書き留めないといけない、そんな想いが伝わる短編集でした。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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