二百十番館にようこそ

  • 文藝春秋 (2020年8月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784163912417

作品紹介・あらすじ

就活に挫折して以来ずっと、実家でオンラインゲーム三昧の日々を送る“俺”に転がり込んだ伯父さんの遺産は、離島に建てられた館を丸々一棟。なんと無職から一転して不動産持ち、これからは課金し放題だ!と浮かれて現地を下見に行った俺は、まだそれが両親からの最後通牒であることに気づいていなかった……。
「もう面倒見きれない。そこで一人で生きていけ」
いきなり始まった強制自立生活。とにかく金銭問題を解決するべく下宿人を募ることに。
母親に送り込まれてきたニートのヒロ、無医島には是非とも呼び込みたい元医者ニートのBJさん、遊び人風のリア充・カインさん……ゲームの中にあった人間関係は、島のおじいちゃんおばあちゃんも巻き込んで、だんだんとリアルの世界へと広がっていく。
立ち止まっていたニートたちが、おっかなびっくり歩き出す前の「人生の夏休み」が青い空と海のもとで始まります!

みんなの感想まとめ

テーマは、ニートの主人公が不動産を相続し、孤島での自立生活を始めることから展開される心温まる物語です。彼は、ゲームに逃げ込んでいた自分を見つめ直し、仲間たちと共に少しずつ生活を築いていきます。個性的な...

感想・レビュー・書評

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  • ネトゲ廃人が過ぎ、両親から離島に追いやられた〈刹那〉。
    高齢者しかいないその島で、暮らしていくしかなかった。

    〈二百十番館〉の意味が分かったときには、笑ってしまう。

    ニート仲間を集め、少しずつ生活していく〈刹那〉たち。

    だんだんと明かされる、それぞれのかかえる問題。
    繊細なヒロの頑張りにはぐっとくる。
    〈BJ〉の過去はせつなく、泣けた。

    問題はあっても、結局根は善良なニートたちで、心あたたまる物語。

    彼らのがんばりはもちろん、元気なじいちゃんばあちゃんたちが、明るかった。

  • オール讀物2019年2、5、7、9,10合併、11月号、2020年1、3,4合併号に掲載したものを2020年8月文藝春秋から刊行。ニートが島でシェアハウスを運営しながら暮らして行くお話。展開が都合良すぎるように思いますが、次から次へとおこる問題になんとか対応していく様子が面白く楽しい。話に出てくるオンラインゲーム世界の描き方が上手く(深く入り込まないのが良い)、展開に彩りをもたらします。

  • 30歳を目前にして親に捨てられてしまったニートの"俺"
    伯父さんの遺産をもらえると知って乗り込んだのは絶海の孤島の一軒家。
    特技はゲームだけの"俺"は、この先どうやって暮らしていくのか!?

    ゲームの話し部分はちょっとよく分からなかったし読むのが面倒だったけどw、
    自分に出来ることは何もない、とゲームの世界に逃げ込んでいた主人公が、逃げ場を失ってから、知恵を絞り仲間を集めて、だんだんと自信と居場所を取り戻していくのは、読んでいて気持ちよく楽しかった。
    それぞれのキャラも個性があって、みんなでささえあっている感じがとてもよい。
    コロナ禍で地方に移住する人が増えているいま、ほんとうに二百十番館があったらきっと人気になるだろうw

  • 情けは人の為ならず、袖触れ合うも多生の縁
    なんて言葉を思い出しながら読んだ。
    優しい人ばかり小説で読み終わって癒される。
    主人公は自分のこと卑下するけど、きっかけさえ与えられればこんなにも変われるんだからすごい人だよね。
    主人公に親が300万貸さなかった時、私的にはええって思ったけど、まあ、それも仕方ないと思える主人公はいい子なんじゃなかろうか。
    全体的に上手さを感じる加納さんの小説。
    タピオカの正体に泣かされる。

  • 就活に失敗したのをきっかけに、オンラインゲーム中毒になってしまったまま二十代も終わりに差しかかっているニート青年の“俺”が、会ったこともない伯父から相続した不動産は、離島の館だった。
    手続のためにと弁護士に連れられて島に出向いた俺は、自分が用意周到に両親から見捨てられたことを知らされる。

    ゲームの世界では仲間に頼りにされる“刹那”として生きている俺は、リアルの世界では働いたこともない、資格もない。両親が残してくれた資金の半分は、とにかくまずゲームができるようにネット環境を整えるのに使ってしまった。
    そこで思いついたのは、自分のように親から愛想を尽かされたニートを移住させ、家賃収入を得ること。
    ニートの語呂合わせで『二百十番館』と名付けた俺の館に、新しい住人が…

    リアルの世界でボロボロになった心を、ネットの世界でギリギリ繋いで生きていた青年が、島の老人たちとの交流や、ニート仲間たちと暮らす日々のなかで、自立への道を少しずつ少しずつ、ゆっくりと歩き出す物語。


    ネット依存の引きこもり、就活で心が折れたニート、老人ばかりの離島…と、重い現実を下敷きにしながら、とびきり優しさあふれる物語。
    そして、偶然のように見えていたことの裏に隠されていた真実を知って、またさらにじんわり。
    加納朋子さん、さすがです。

    とはいえ、現実にはそんな上手くいくわけないじゃないかと、言いたい方はいるでしょうが。
    でも、そういうちゃんと上手くやってる人たちの言葉では、伝わらないことがあるんです。
    それを甘えと言うのだと、また言われそうですが…

    “未来は、未だ誰もプレイしたことのないゲームみたいなものなのだから。“
    ネトゲ廃人だった刹那さんのこんな言葉なら、ネットの中でしか生きられないと感じている誰かにも、うまく伝わるのかもしれない。

    小さな部屋の中、ネットのゲーム世界の中から、いきなり外のリアル世界に出るのは、そこでしか息ができなくてそこにいる人にとっては、いきなり違う成分の空気の世界に出るくらいの本当に大変なことなんだ、ということが、少しでも理解されれば…
    少し、リアル世界のピリピリトゲトゲした空気も、やわらかくなるのでは。

    それにしても刹那さんは、老人たちと会話できるスキルと、料理のスキルがあったのが、大事なポイントでしたね。
    親としては、それだけでも教えておけば、何とかなるのか?


    余談ですが、引きこもり青年が外に出る物語といえば…『生きるぼくら』(原田マハ)も大傑作だと思います。こちらも、豊かな自然とおばあちゃんの人柄で、主人公の心は健やかさを取り戻してゆきます。

    主人公ではないけれど、『アキハバラ@DEEP』(石田衣良)の登場人物、ダルマさんも印象に残っています。

  • 就活に失敗して以来引きこもりニートかつネトゲ三昧の生活をしている「俺」が、亡くなった伯父から離島の不動産を引き継ぐことに。
    意気揚々と現地に行ってみると、なんと両親から荷物が送られてきて、そのまま両親も引っ越してしまい音信不通になってしまう。

    島に「捨てられた」ニートの主人公が、相続した不動産「二百十番館(210→ニート、と読むところから)」に同じようなニートたちを集め、皆でオンラインゲームを楽しみつつも島の住人たちと交流を交わすようになり…と、いうお話。

    ※※※

    はー…とっても良かった。

    加納朋子さんは昔からよく読んでいて、毎回、読後になんとも優しくて幸せな感情になれること請け負いなところが大好きです。

    この本の素敵なポイントはなんと言っても、何も否定しないこと。

    引きこもってオンラインゲーム三昧上等!なニートが主人公の作品なんですが、安易に現実社会で就職が決まってオンラインゲームの世界から抜け出す、みたいなストーリーにはしないあたりがさすが加納さんですよね。

    この作品ではオンラインゲームは決して悪いものとして描かれておらず、むしろ現実がすごく苦しくていたたまれなくて折り合いがつけられなくて、そんな人たちの救いとしての一面が丁寧に描かれています。

    なおかつ、そんなバーチャルの世界とリアルな離島のお年寄りたちとの交流。
    一見まったく相反してそうなものをうまく融合させ、引きこもりニートと超高齢化していく離島というふたつの社会問題をうまく解決させていく手腕はお見事の一言。

    とはいえ、離島の人たちもみんな良い人すぎだし、ニートたちもなんだかんだ有能な人ばかりだったりで、いろいろ都合よくいきすぎやろ〜!と感じる方ももしかしたらいるかもしれません。

    でも、リアルじゃなくても、
    ひょっとしたら日本のどこかでこんな世界が繰り広げられているかもなぁ。私も(ニートじゃないけど)二百十番館にお呼ばれしたいな〜!
    と十分に思わせてもらえたので大満足です。

    とにかく読後感がすごくよい!ってものが読みたいときに、イチオシの一冊です。


  • なんとなくで生きてきたら就活で失敗、そのまま実家暮らしのヒキニート廃ゲーマーとなった主人公が親の策略で老人しかいない小さな島へと送り込まれる。あきらめて更生するかと思いきや最初にやったのはネット回線の確保、そしてゲームへのログイン。

    しかしそのゲームがなんやかんや重要なファクターで人と人をつなぐ役割を果たしているというのが面白い。ゲーム内の人間関係がリアルにつながったり、ゲームが仲良くなるためのきっかけになったり。作者ゲームのことよく知ってるなあと感心する。
    それから島の住民のじいちゃんばあちゃんが実に良い。優しくて頼もしくてあったかい。主人公が猫を愛しているのも良い。
    自分を底辺ニートと蔑んでいた主人公が成り行きとはいえどんどん動いて成長し、少しずつ仲間が増えて降りかかるトラブルを彼らと力を合わせて解決する。まるでゲームで弱かったキャラがクエストやイベントを経て成長し強くなるのを見ているみたいな。
    人生どこからでも再出発できるんだという気持ちになれる。爽やかでずっと読んでいたいと思える本。

    ところでESはどこでダウンロードできますか?

  • オンラインゲームに没頭する30代も間近な引きこもりニートが、ある日突然叔父の遺した離島の館を相続してそこに暮らすことになる――という設定から始まる物語。

    現実の人間関係をスムーズに築けなかった、職を得ることができなかったという躓きを一度経験すれば、なかなかまた踏み出し直すことは難しいものでしょう。その踏み出す一歩を、ネトゲで得た経験を生かした足掛かりでもって乗り越えて、そして現実にも適応していく、という流れが自然に、そしてコミカルに描かれていて、心地よく読めました。

    館に集まる個人個人の抱えた事情はおいそれと解決できるものでなく、BJと名乗る人物の葛藤は本人以外には解決できないもので、解決をあえてしないという選択肢もまたひとつの自分を生かすための手段だとも思います。そしてそれを、周りの人々も否定はしない。そんな、それぞれの生き方や考え方を尊重して、共同生活を営んでいく様子が丁寧で温かく思えました。

    最後のほうではネトゲという匿名性ならではの謎解きも加わり、一ひねりの展開も楽しめて面白かったです。

  • オンラインゲーム、やったことないのだけれど
    一度はまったらやめられないとか、廃人になるとか
    耳に入ってくるのは何やら恐ろしげな情報ばかり。。。

    でも、現実世界からドロップアウトしてしまった主人公たちが没頭しているオンラインゲームの世界は、
    読んでいてやたらと魅力的なのだ。
    ままならない現実から抜け出して、理想の自分になれる場所がオンラインゲームなら、
    その場所が私にとっては読書だったというだけだ。

    本当にこんな島があればいいのにね。
    こんな風にお年寄りと若者が支えあえる場所があるといいのにね。

  • 実家を追い出されたニート達が、人口僅か19人の小さな島で共同生活を始める
    のんびりとした島の雰囲気とギクシャクしつつも力を合わせて頑張るニートたちの姿に和みつつ、丁寧に描かれる人の弱さと暖かさに心を動かされました。
    お産のシーンでは思わず少し涙も……

    後半のミステリ要素と伏線回収も鮮やか!
    ベタな仕掛けではあるけどすっかり作品の世界観に浸っていたのでしっかり驚かされました

  • やはり親は子供が気がかりだよね

  • ニートでネトゲ廃人の主人公が、伯父の遺産を相続し訪れた島に捨てられた。
    捨てられたと言っている時点で、20代後半のいい大人が・・・と、まず親目線でイラっとする。

    だが島民との交流や、二百十番館を立ち上げる様子から、この主人公は意外にもそれなりに社会性もあり、思考力、行動力もある事が分かる。
    島の人達がまた、みんな温かい。大きな長い目で見てくれるのが嬉しい。

    引きこもりニートを親が自立のために突き放し、田舎で再生という、既視感のある話だが、ネトゲに特化していることと、伯父の存在があって、独自の面白さを感じた。
    物語の中だけでも、こんな風にニートが歩き出していく姿が見られるのは、嬉しい。

  •  突然<島流し>(言葉通り)になってしまった主人公。いきなり積みゲーかよ、一応住はあるけど状態だったけど、主人公の性格がああだったからこそ出来たことなんだろうなあと。
     ニート引きこもりゲーマーにもいろんな背景がある。そんな彼らのささくれだった心を人生の大先輩である島民たちが図らずも支えてくれているという。サトシが来た時はどうなることやらと思ったけど、丸くなってよかった。。。とりあえずは。
     タピオカさんとラクダさんはちょっと「えー」と思うところもあったけど、それもまた現実は奇なりってことで。

    追記
    自分も主人公たちみたいな感じでRPGゲーをやっていた(もうサービス終了したけど)時期があったので、懐かしいなーと思いつつ、またやりたいなあと思ったり。

  • 島の別荘をもらったニートが、「ひとりでいきる」ために始めたことは?さすがの加納朋子さん。はずれない。面白かった!最初の主人公はほんとクソだったんだけど、それを自覚して、じゃあどうする?というところです。じわじわ集まっていく仲間と、島の人も楽しかった。おすすめです。

  • ネットゲームを知らないので、ハンドルネームで最後まで呼び合うのになかなか慣れず…(笑) でも、島の人や親の気持ちや、読了感はいいのかも。私はあまり得意な内容ではなかったけども。自分の生き方は、自分が変えようと努力しなきゃいけないんだなぁ。

  • ニートでネトゲ廃人の俺は
    親に見捨てられ、離島の館に住むこととなった。

    働いてはいるし引きこもってもいないけれど
    メンタル属性としてはそんな「俺」に共感する処多し。

    [図書館·初読·9月10日読了]

  • 「未来は、未だ誰もプレイしたことのないゲームみたいなものなのだから。」の言葉が胸に響きます。人生は、本人次第だと思います。未来は、自ら切り開く気持ちの大切さが伝わりました。
    ニートから簡易郵便局長へと、夢物語ではなく、日本郵便ホームページを見ると、作家さん簡易郵便局長制度を良く調べてあると思いました。

  • 就活に失敗し、実家に引きこもってオンラインゲーム三昧だった主人公が、亡くなった伯父の残した古い建物のある離島へと追い出され、自分と同じような境遇のものを募集し、集まった仲間たちや島民たちとの暮らしが始まるというお話。

    加納朋子さんはとにかく物語の構成力が素晴らしくてとても好きな作家です。

    今回はミステリー要素のない作品なのだなと思って読んでいたら、終盤になって怒涛の伏線回収があって、魔法のように物語の世界がひっくり返るのが本当に素晴らしかったです。

    こういうネットスラングが多く出てくる作品は賞味期限が短そうなのがもったいない。

  • 働きもせず、就活もあきらめて、親からも見捨てられ、叔父の不動産二百十番館を相続したのをきっかけに何もない島に移住させられた主人公。
    生活の為に、同居人を募り、集まった仲間とともに、徐々に島に馴染んでやがて…

    島のお年寄り達が個性的で楽しい。
    色んなドタバタを経験して、最初は問題だらけだった二百十番館の住人たちが仲良くなり、成長していくのが読んでてほっこりする。

  • ニートでゲームオタクの主人公は、伯父さんから島の館を遺産としてもらうことになった。これで遊んで暮らせると島へ行ってみると、何もない島に住んでいるのはジジババだけ。資産価値ゼロの元研修所だった。あげくに、父母は当面の生活費だけを残していなくなってしまった。ゲーム仲間を下宿人として招いたり、島のじいさん、ばあさんの手伝いをしたり。

    現代的なテーマ風なのに、読み終わってみれば、変わらないテーマ。次々わかる意外な展開。ちょっと出来すぎだけど、めでたしめでたしかな?

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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