アニーはどこにいった

  • 文藝春秋 (2020年10月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784163912769

作品紹介・あらすじ

 スティーヴン・キングが賛辞を贈る新鋭、
 恐怖と驚愕を増量して前作『白墨人形』をしのぐ傑作。

 ホラーか? ミステリか? 
 いや、これは恐怖と驚愕を両立したホラー・ミステリの傑作なのだ。

 妹アニーに起きた忌まわしい出来事が再び起こる。そう告げる不吉なメールでぼくは故郷に呼び戻された。ぼくの前任の教師は、「息子じゃない」という血文字を残して息子を惨殺したという。その血文字にこめられた真意を、ぼくは知っている。8歳のアニーが姿を消したのは、ぼくが友人たちとともに探検に行った鉱山跡の洞窟でのことだった。あの夜、あそこで恐ろしいことが起きた。そしてそのあとアニーにもっと恐ろしいことが起きたのだ……。

 過去の忌まわしい記憶と、現在の忌まわしい事件。友人の不可解な自殺。惨劇の家で起こる怪異。封印した恐ろしい記憶。それらがすべて明らかとなり、ひとつになるとき、恐怖に満ちた真相が姿をあらわす!

 恐怖と驚愕を見事に融合させた新鋭の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 一言で言えば、詰め込みすぎといったところか。
    もうちょっとシャープにして深掘りしていけば
    とんでもない傑作になっていたのではないだろうかと、
    そんな気もした作品。とは言え、面白かったのは確か。

    ジョー・ソーンは、かつての自分の母校へ
    新任の英語教師として25年ぶりに舞い戻る。
    ジョーの前任の教師ジュリアは、「息子じゃない」という血文字を残して
    息子のベンを惨殺したのち、自殺したという。
    25年前、ジョーの8歳の妹アニーが姿を消した。
    ジョーが仲間のスティーヴン・ハーストたちと共に
    探検に行った鉱山跡の洞窟でのこと。
    あの夜、あそこで恐ろしいことが起き、そのあとアニーに
    もっと恐ろしいことが起きたのであった。
    過去の忌まわしい記憶と、現在の忌まわしい事件。
    友人の不可解な自殺。惨劇の家で起こる怪異。
    『妹に何が起きたか知っている。同じことが起きようとしている』
    突然そう告げる謎のメールが送られてきて故郷に戻ることになったジョー。
    果たして、この町にはどんな真実が隠されているのか。

    まずあらすじで相当興味が湧いた。
    ミステリーとホラーの完璧な融合。
    これを聞いて手が伸びないわけはないだろう。
    とは言え、どちらかと言えばミステリーではあった。

    その設定いる?っていうとこと、
    借金取りと殺し屋の設定がどこか浮いてるようでもあった。

    なんて突っ込みたくなるところもあるにはあるのだが、
    全体的には非常に楽しめたし、ワクワクハラハラさせられた。
    スティーヴン・キングからの影響も多大に感じたし、
    それが上手く活かされている良作。

  • 終始ゾワゾワするお話でした。
    読後、トイレ掃除をしたくなります。
    ホラーシーンよりも、いじめのシーンの方が怖かったです。
    日本は陰湿とよく言われますが、海外はこんな感じなの…?
    そこに恐怖です。

    当たり前かもですが、会話のテンポやジョークが日本とは異なります。
    それがオシャレすぎて…ジョー先生が皮肉屋なのに気づいたのは終盤でした(笑)
    「ちょっとは誰かを素直に信じれば…」とは思ったのですが。
    真っ直ぐに愛されなかった生い立ち上、そうならざるを得なかったのかと思うと、ちょっぴり悲しく感じました。

  • 同じ作者の白墨人形のほうが面白かった。なんなんですか、陰キャのオタクを呼びよせてしまうその謎の穴は???

  •  「妹になにがあったか知っている。 同じことが起きようとしている。」
    不吉なメールで故郷に帰ってきた僕。 25年前、確かに妹のアニーには何かが起こってて、その正体は分からないまま死んでいった。 忌々しいあの夜の記憶、あの夜の出来事からアニーは変わってしまった、まるで別人のように。
    二度と戻ってこないとは思っていた故郷。 僕の前任の教師は自分の息子を殺したのち、自殺を遂げた。 「息子じゃない」という血文字を残して。

     生粋のキングファンであるC・J・チューダーの長編二作目。 匿名のメールによって過去の記憶の封印を解いた主人公が自身の妹の謎に迫っていくストーリー。 この主人公のジョー・ソーンが中々の曲者でギャンブル好きで借金まみれ、アルコール中毒の兆しも見える中年男。 しかし謎の正義感を発揮したり、皮肉を以て巨悪に立ち向かう姿勢も見せてくれる。 この主人公の人格の形成と事件への執念の理由が過去の事件を通して見えてくるのが面白い。 
     殺し屋まがいの女や経歴詐称の同僚、そして町会議員の旧友、信用ならない奴らとの駆け引きでハードでな展開が繰り広げられる。 一体だれがジョーを呼び起こしたのか、25年前の事件の裏の真相とは。 キング氏のモダンホラーとミステリーが融合した秀作。 三作目の長編も発表済みというしそちらも楽しみだ。

  • スティーヴン・キング絶賛!の推薦文に惹かれて読んだけど、わかりみの極みとしか言えなかった。
    虫!グロ!!ホラー!!!!!ミステリー!!!!!!!!!!!
    皆んな(皆んな?)大好きなやつだと思う!!
    勿論私も!!

    ミステリー要素はそこまで上手く機能してるとは思えなかったものの、読み終わった頃の嫌な余韻は好き。
    人間ではないものは私達の生活のすぐ近くに居る。
    目を瞑って見ないふりをするか、存在を認知しながら共存していくしかない。

  • 次に期待して やや浅かったけど面白かった

  • 前作よりホラーに寄り、スティーブン・キングに寄っている。前作と同じく、現在と過去を交互に描かれており、少年時代の友情や憎しみ葛藤、そして暗い秘密が徐々に明らかになる構成で物語には引き込まれる。

    キャラにも工夫の跡があり、主人公と悪友その彼女の愛憎入り混じった三角関係?は切ないし、女性ギャングのキャラも面白い。

    しかし、”アニー”の設定自体ですぐに話の構図が、キングの有名作品と同じ、というのがわかってしまうので盛り上がりにかける。

    前作と続けて読んだこと、期待が大きすぎたこともあり少し残念だったが、文章が抜群にうまいし構成も見事なので、次回作に期待。

  • なんかスッキリしない。読みやすいし、変な文章の絡まりがなく、自分の物語の作り方が出来る人なんだろうけど、最後に向かうにつれ、色々種明かしというか、また見えてきた所にカバーかけるみたいな、よくわからなくなった。なぜ子供の墓地がないのか?自閉症の意味、父親を刺したのは自分?炭鉱に骨があるのはなぜ?ゆっくり読んだのにわからなかった。

  • 故郷に教師として戻ってきたジョー。彼は子どもの頃幼い妹を亡くしていた。その死の真相を知っているというメールが届いたので戻ってきたのだ。現在と過去が交互に描かれるのだが、徐々に過去に起きた恐ろしい秘密が明らかになる。
    ホラー的な要素は確かに怖いけど、いまいち何でそれが起きてるのかよく分からない。死者がよみがえるのは何でなのか、よみがえると何で恐ろしいのかはっきりしない。
    それより幼馴染たちが大人になってどう変わったのかとか、教師や村人たちとの会話で浮かび上がってくる事実とか、話の構成というかミステリー要素は面白い。
    さらにユニークなのは過去だけでなく現在でも主人公は秘密を抱えてること。ヤバい人間に借金をして殺し屋につけ狙われていて、その彼女が良いキャラなのだ。最後あたりで、過去の悪事を主人公に告白してる悪人を、もう用がないからとあっさり撃ち殺したのは笑えた。

  • 悪趣味で派手な装幀からアメリカものとばかり思っていたら嬉しいことにイギリスの地方ものだった。ノッティンガムシャーの閉山して久しい炭鉱町に久々に帰郷した語り手。はて何か起こるか。
    息詰まるような田舎町、不良による陰湿ないじめ、有力者の手下共の暴力となんとも鬱陶しい出来事が次々と。そして異様にハードボイルドなプロの犯罪女。うーん、期待していたイギリスの地方ものとはかなり違ってきたなあ。なんか違う、と思ったら作者、スティーヴン・キング好きなのね。道理で。ごめん、キングはあまり好きではない。
    物語が半ばを過ぎるころまでは面白い、確かに。でも残り4分の3くらいで何か期待はずれとなり、最後に至ってはえ?何だったのこれで終わり?
    つまりはペットセメタリーだよね、これ。結局本当の謎はあやふやなまま、というか消化不良に終わった感じ。
    ミステリーとホラーの融合みたいなこと書いてあるけれど、どちらも中途半端。半分くらいまでは面白かった(汚かったけれど)のでまあ良いかな。

  • 久しぶりにこういうノリの本読んだ気がする。
    嫌いじゃない。

  • ダメ人間すぎる設定が、ちょっとど越しすぎで受け入れられないか?そして、なんで3万ポンド切る?

  • 傑作ですね。評判通り。

    たっぷり怖いです。腐臭もカビ臭さも不穏さもムシのガサガサ感もしっかり味わえます。イギリスの田舎が舞台ですので、ゴシックとまではいかないですけど現代のやさぐれ感のバックキャストに土地の呪いが浮かび上がる語り口は上手い。

    そして綺麗な回収に謎解き。くわえて敢えて解かない「遊び」としてのオカルト部分の配分が超絶妙。ぱっきりと合理的に説明されちゃうのが欲しいなら横溝正史を読めばいい。このハイブリッドな読書感が本作の1番の魅力でしょう。油断してるとびっくりするくらいの騙しに遭ってるし。

    僕にとって最も味わい深かったのはハードボイルド要素ですね。主人公はギャンブル依存症で作った借金のせいで逃亡している男性英語教師。亡くした妹への愛や惜別の情、いじめられっ子の生徒への優しさや正義感を見せながらも、だらしないところや決して誠実と言えない自分の性格を自虐する一人称は素晴らしく魅力的。散々自分のことを「嘘つき」と貶めるその態度が最後までこの作品のテーマでもあります。

    酒飲みらしい作者の嗜好からか、華美ではないけども飲み食いのシーンがとてもよく描けているところも好きです。全編を通して居心地の良い瞬間はほとんどないのですけど、それでも同僚の女性教師ベスとのパブでのシーンは数少ないほっこりする場面のひとつ。このベスとの距離感がまた主人公の内向きの食えなさを表現していることに終盤気付かされるのだけど、なんだろうこの全方位に神経張り巡らせたペンの行き届き方!

    読んでるうちに3回くらいジャンルが変わるような本です。それも静かに気付かないうちに。あまり枠にはめて理解しようと躍起になって読まないほうがいいでしょう。怖くて気持ちの悪い世界に漂っていると、とんでもないものに足を掴まれていた、そんな感覚を楽しめる小説です。

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